地獄兄弟は今日も平和

矢車・影山の地獄兄弟二次小説です。

7月です 

雑記・ライダー感想

先日、昔のYoutubeの地獄兄弟の動画を整理してて、やっぱり好きだなあと再確認しました。
そして、私は隊長時代の矢車さんが思ったより好きらしい

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フリーゲーム公開しました 

雑記・ライダー感想

しばらく間が空いてしまいました・・・。
何をやってたかというと、フリーゲーム作ってました。3年ぶりです。

クトゥルフ神話を題材にした、乙女ゲームアドベンチャーです。
このゲームの某キャラは、バレバレかもですが、地獄兄弟がモチーフになってます。
「ふりーむ」様よりダウンロードできます。よろしければ、どうぞ。

『スパークリング・ナイトメア』

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小説も再開しなくっちゃ。

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学園迷走サバイバル(10) 

学園迷走サバイバル

 二人の男は、おそらくレベルAのハンター。やっとのことで外へ出られたと思ったのに、ここで捕まったら元の木阿弥だ。

「しつこい奴らだ」

 ふらつく足取りで、矢車さんはハンターたちに対峙する。
 矢車さんの銃は、拉致された時点で取り上げられた。武器なしで太刀打ちできる相手じゃないと、矢車さんが一番分かってるはずなのに。

「丸腰で、レベルA二人を相手にする気ですか」

 やたら丁寧な口調の男が、狙撃銃を矢車さんに向けた。俺については、ものの数に入っていないらしい。

「自殺行為だな、命を粗末にするのはよくない」

 剣を持った男が、面白くなさそうにふんと鼻を鳴らす。

「あいにく、死ぬ気はない」

 言葉と同時に、かざした矢車さんの左手にザビーゼクターが現れた。
 ゼクターは手甲のように矢車さんの手首を包み、鋭利な針を持つ武器へと形状を変化させた。

 怪我を負っているとは思えない瞬発力で、矢車さんは銃使いの男の懐に飛び込んだ。
 空気を薙ぐ音と甲高い金属音。ゼクターのニードルを、男が銃身を使ってガードする。二人の素早い動きを、俺は目で追うのがやっとだった。

「風間! 何を遊んでる」

 参戦した剣使いが、矢車さんのニードルを勢いよく弾いた。息もつけない攻防に横槍を入れられるなんて、この男も相当な腕だ。

「俺は早く報酬をもらって引き上げたいんだ。さっさと終わらせるぞ」
「まったく、あなたはいつもそれですね」

 剣使いの言葉に、風間と呼ばれた男が肩を竦める。そのやり取りを見ながら、矢車さんは再びじりと距離を詰めた。

「やはり、金で雇われたハンターか。雇い主は誰だ」
「秘密厳守は鉄則でしょう」
「言い値を出すなら、教えてやろう」

 鉄板な答えを返す風間と違い、剣使いのほうは真顔で取引を提案してくる。

「剣、いい加減にしてください!」

 風間に叱責され、剣という男は仕方なさそうに得物を構え直した。

 この妙な二人組をどうにかしなければ、逃げられない。何か武器になるものでもあれば、と周囲を見回した時、建物の残骸を踏み砕き近づく別の二人が目に映った。

「そこまでにしておけ」
「矢車さん、影山さん!」

 冷え冷えとした声にかぶせ、暑苦しくも熱血に名を呼ばれた。

 反ZECTのリーダーが、手にした銃を風間に向け、その背後で加賀美も銃を構えていた。
 どうして天道までいるのか腑に落ちないものの、ひとまず敵ではなさそうだ。
 
「こちらはレベルAが三人。お前たちに分はないな」

 天道がそう嘯いた。
 実力はともかく、反ZECTである天道はレベルEなのだが、その事実は俺の胸にしまっておく。

「……よく、ここまで辿り着けましたね。見張りはいませんでしたか」
「外で寝てる」

 殺してはいない、という天道の答え。
 風間はほう、と感心し、金にうるさそうな剣は、眉をひそめて刃を鞘に収めた。

「報酬は微妙な線だな。……風間、俺は下りる」
「そうですね。俺も、危ない橋は渡りたくないですし」

 あっさり戦線離脱を表明するハンター二人に、俺は拍子抜けしてしまう。
 ともあれ、戦わなくて済んだのは幸いで、闇の中へ消えていく風間らを追うこともなく、黙ってその背を見送った。

 風間たちが見えなくなると、矢車さんは力尽きたように地面に膝をついた。色を失い、憔悴した端正な顔。既に腕から離れたザビーゼクターが、心配げに上空を舞っている。

「矢車さん……!」
「心配ない」

 急いで傍に寄り、矢車さんの体を支えた。なのに肩を貸そうとする俺の手を払い、一人で立ち上がろうとする。

「行きましょう。エリアXを出たら、タクシーを呼べます」

 否応なく加賀美が矢車さんの片方の腕を担ぎ上げたので、すかさず反対側の腕を俺が受け持つ。両方から捕らえられては、今度は矢車さんも拒まない。

 天道と矢車さんは、あえて目を合わせなかった。
 瓦礫の隅でうずくまる何人かの人影は、天道らが倒したハンターだろう。俺たちは無言のまま歩き、石を踏む音と、荒い息使いだけが周囲に響いた。

「ZECTの恐ろしさが分かったろう」

 一瞬、天道が俺に耳打ちし、すぐ離れた。おそらく今の言葉は矢車さんには聞こえてない。

(ZECTの恐ろしさ……)

 エリアXでのことを思い返しつつ、俺は心の内で呟いてみる。ZECTが矢車さんを見殺しにしようとしたこと、地下迷宮に得体のしれない何かが潜んでいること。つらつら考えれば、確かに恐ろしい。

 それでも、矢車さんはZECTに身を置いている。だったら、俺もそうするまでだ。

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学園迷走サバイバル(9) 

学園迷走サバイバル

 俺が落ちた場所は、迷路にも似たひどく入り組んだ地下通路だった。土壁全体が発光する苔で覆われていて、真っ暗闇でないのが救いだ。
 ハンターたちは矢車さんをこの地下迷宮に幽閉し、そのまま放置したらしい。迷路を抜け出ることは困難。外へ出られなければ、ここでのたれ死ぬしかない。

「連中も、この通路には降りて来ない。ミノタウロスの迷宮だからな」

 土壁に片手を付きながら、矢車さんが立ち上がった。
 聞き慣れない単語に、俺は首をひねる。

 ギリシャ神話に、ミノタウロスという怪物を閉じ込めるために作られた迷宮の話がある。つまりは、この地下通路もそういうものだと、矢車さんは言いたいんだろう。

「あ! そうだ、さっき上で、ザビーゼクターを見かけたんだ」
「ああ。ザビーが、お前のことを教えてくれた」

 矢車さんの言葉を受けて、ザビーゼクターが頭上から舞い降りてきた。
 崩れた土砂で、俺が落ちた穴は完全に埋まってしまっていたが、ゼクターはどこへでも移動できる。

 矢車さんの掌に一度止まったゼクターは、すぐにまた洞窟の天井まで上昇した。道を示すように飛ぶゼクターの後について、俺たちは歩いていく。

「忠実な部下だね、ザビーは」
「誰かと違って、聞き分けがいい」
「……誰かって、誰さ」
「さあ、誰かな」

 軽口を叩く矢車さん。でも、怪我が痛むのか、時折辛そうに顔を歪める。

 これまで、矢車さんに傷を負わせるほど腕の立つ相手はいなかった。天道たちの反ZECT派とは別の、第三勢力の過激派。現体制の変革を求めるテロまがいの組織が、しばしばプロの狩人を金で雇う。

「ハンターの中に、レベルAが二人いる。他は雑兵の集まりだ」
「レベルA……」

 つい復唱して眉根を寄せた。レベルEに落ちる瀬戸際の俺には、遥か遠い次元だ。

「痛む、よね。少し休もうか?」
「いい。もたもたして、『連中』に出くわしたくない」
「ハンターたち?」
「いや、別」

 額に脂汗を浮かべながらも、矢車さんは先を急ごうとする。

 土壁に囲まれた単調な通路をもう小一時間は進んだだろう。出口はまだ見えず、ザビーゼクターは止まらず飛び続ける。
 この迷宮を作ったのは、ハンターたちじゃない。それなら、誰が何の目的で作ったのか。その答えを、矢車さんは知ってるような気がした。

 迷路というのは、人間の感覚を狂わせる。
 前方の十字路を緑色の影がスッと横切ったのを目にした時、俺は錯覚だと思った。人間と同じか、それよりも少し大きな生き物で。人とは姿形はまったく異なるもの。

「どうした」
「今……、何かヘンなものを見た、ような」

 説明したくても、一瞬でその異形は視界から消えていた。

「なんか、緑色のブヨブヨした奴。見間違いかな」
「……そういうことにしとけ」

 矢車さんは訝しむわけでもなく、ただ苦笑を浮かべる。
 もしかしたら、あれがミノタウロスかもしれない、と俺はぼんやりした心持ちで思った。

 やがて、空気の流れが変わり、出口が近いことが肌で感じ取れた。

「やった! 出られそうだよ、矢車さん!」
「ああ……」

 外ももう薄暗くなっていたけれど、星と月が柔らかに廃墟を照らしている。ゼクターの案内のおかげで、なんとか地下迷宮から脱出できた。
 息詰まるような地下を後にし、俺は思い切り肺に新鮮な大気を吸い込む。

 横を見れば、明かりがない中でも矢車さんの顔色がよくないことが分かった。一刻も早く、病院へ連れて行かないと。
 だけど、現実はそうそう甘くない。

「ご苦労さま。残念ですが、ここでおしまいです」

 瓦礫の陰から、若い男が二人、俺たちの前に現れた。
 銃を構え、にこやかに告げる男と、その横に、西洋風の剣を手にしたもう一人。纏う雰囲気から、こいつらが雑魚ではないと俺にも直感できた。

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学園迷走サバイバル(8) 

学園迷走サバイバル

 夕焼けの空の下、俺は半ば喘ぐように呼吸しながら全力疾走する。

 試験官を突き飛ばして教室を出た後、またも校門で待ち受けていた雑魚ハンターに襲われる始末。
 ブレスの麻酔針で珍しく撃退できたものの、レベルE認定されたらどうなることかと、先が思いやられた。

 すべては、俺が弱すぎるせい。その弱い俺が、大事な試験を放棄して、どこへ向かっているんだろう。

(バカかも、俺)

 冷静に考えれば、俺が行ったところで何の役にも立たない。それが分かっていても、走る足はUターンすることを拒んだ。
 途中何回か止まって息を整え、再び駆け出す。自転車でもあれば楽だけど、市街地にあるエリアXは走って行けない距離ではない。

 三十分程して、ぜいぜいと肩を上下させつつ、立ち入り禁止のロープをくぐる。

 エリアXと呼ばれる一帯は、昔隕石が落ちたために地盤がもろく、復興が進まない廃墟だった。崩れかけた家々や瓦礫等、住居の名残がそこかしこに点在している。

「SATが来るんじゃないのかよ」

 心細さから、声に出して呟いた。危険エリアには、部隊どころか、人っ子ひとり、猫の子一匹見当たらない。
 コンクリート片や陥没した地面に足を取られ、何度も転びそうになった。周囲の建物はもれなく全壊し、ハンター集団のアジトなどありそうにない。

(本当に、ここに矢車さんがいるのかな)

 不安に思いながら覚束ない足取りで歩いていると、倒壊した建物の後ろで、五、六人の影が動いた。
 慌てて瓦礫の後ろに身を隠せば、各々型式の異なる銃を構えたラフな格好の男たちが、俺の方を指差して何か叫んでいる。

 SATではない。つまり、捕まったら一巻の終わり。
 急いで駆け出す俺の頭上で、突如黄金色が煌めいた。蜂を模したガジェットが、俺を導くように眼前を横切って飛ぶ。

(ザビーゼクター!?)

 ゼクターに気を取られた俺は、足元への注意がおろそかになり、瓦礫に躓いてしまう。転んだ先で、すり鉢状の巨大なクレーターが口を開いていた。

「うわっ!」

 勢いが付いたまま穴の底まで滑り落ち、その衝撃で地盤が緩んだのだろう。さらに下の地面が割れるように崩れた。
 大量の土砂とともに、俺の体は重力に従い流されて落下する。

(ほんと、バカだよな……)

 自嘲するうち、いつの間にか俺は意識を手放していた。

 それからどのくらい経ったのか、ペチペチという音とともに、断続的に襲ってくる頬の痛み。
 音が大きくなるにつれ痛みも増していき、俺の覚醒を促した。

「……って、痛いってば!」

 叫んで、向けに寝ていた体をがばっと起こす。

「おたふくになるだろっ」
「……起き抜けの台詞がそれか」
「あれ?」

 周囲の薄暗さも手伝って、開いたばかりの瞳は状況を把握しきれない。
 しばらくぼんやりしていたが、次第に目が慣れ、周りが見えてきた。自分の体を見回せば、服は土まみれでも、頬以外は痛みもない。
 ようやく正気づき、俺の頬を叩いていた人物へ振り向いた。

「矢車さん……!」

 呼び掛けた声音は掠れてしまっていた。驚きと安心、どちらが強かったのか分からない。
 無事でよかった、と言い掛けた俺の唇は、途中で止まる。無事、ではなかった。少なくとも矢車さんの方は。

「撃たれたの!?」
「大丈夫だ。たいしたことない」

 上着もネクタイもない矢車さんの白いワイシャツが、右肩から腕にかけ、赤く染まっていた。相当量の出血。
 あちこち傷だらけで、シャツはところどころ破け、手荒な扱いを受けたことを示唆している。

「なんでお前がここにいる。試験はどうした?」
「あ、その……、なんというか」

 矢車さんは口の端の血を手の甲で無造作に拭うと、鋭い視線を向けた。
 痛々しい姿を直視できず、俺は顔を逸らしてもごもごと言い訳をする。

「……馬鹿か、お前は」

 言われるだろうと覚悟していても、心底呆れた表情をされれば、さすがにへこむ。

「そりゃ、SATが来るんだから、俺なんか役に立たないかもしれないけど」
「SATなんて、来るわけないだろ」

 じめじめと卑屈な言葉を並べる俺をよそに、矢車さんは淡々と続けた。

「弱ければ死ぬ。頼れるのは、自分の力だけだ。お前も、身に染みてるんじゃないのか」

 あまりに平然としたその口調に俺は愕然とした。
 弱肉強食のこの世界では、ZECTの幹部クラスといえど、条件は等しく同じ。矢車さんは、もとよりZECTの体制を受け入れている。

 少し考えれば、予想できたかもしれない。
 たとえ、加賀美がSATの派遣をどんなに頼んでも、きっと総帥は首を縦に振らないと。

「仮に、俺がここで死んでも代わりはいる。ZECTには、レベルAの人間はいくらでも……」
「代わりなんて、いないよっ。矢車さんがいなくなったら、俺はイヤだ!」

 思わず声を荒げていた。ZECTにとってどうであれ、俺にとって矢車さんの代わりの存在なんていない。矢車さんの口から、そんな事を言って欲しくなかった。

「仮定の話だ。生きて戻るさ、当然」

 困ったように笑い、矢車さんは俺の頭をくしゃりと撫でる。
 その手は、生きていることを証明するがごとく温かかった。

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