地獄兄弟は今日も平和

* Novel List *

兄弟のつぶやき

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 あたらしいとし
弟のつぶやきもう1月も半ばになるね。今日は雪が降ったよ。橋の下はさすがに寒すぎるから、兄貴と路地裏に引っ越した。去年の大晦日。神社に行ったら、お酒がタダでもらえた。もちろん小さいカップにほんの少しだけど。体、あったまるね。兄貴は、「俺たち地獄の住人が神に祈るもんじゃない」なんてヤサグレてるけど、タダでお酒飲めりゃいいじゃん?まったく、融通きかないんだから。仕方ないから、兄貴の分ももらってきたら、そ...

SS・お題

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 A Little Happy Day
 俺は、幸せなんて望んじゃいない。  どうせ望んでも、俺のところには、やって来やしない。 1月。新しい年の始まりの月。 一年でこの月が、矢車は嫌いだった。 以前はそんなことはなかった。 かつて自分が組織の隊長を務めていた頃は、部下たちに得意の料理をふるまってやりながら、新しい年を祝った。 おせち料理、七草がゆ、鏡開き。腕をふるう機会は頻繁にあった。部下たちとの楽しい交流も。 あの頃とは何もかも違い...

想が瞬を駆け抜けて

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 想が瞬を駆け抜けて(1)
1.始まり 矢車さんが――いや、兄貴がどうして俺を選んだのかは分からない あの頃の俺は、兄貴に憧れていた、ただの部下のひとりだった マスクド・ライダーシステムの話は、機密事項であるにも関わらず、既にZECT内部に広まっていた。 対ワーム戦のZECTの切り札。最初のライダーとなる『カブト』の資格者はもう決定済みだという。 今、ZECT内部で話題になっているのは誰が次のライダー『ザビー』の資格者になるか、だった。 ...

白夜行~想と瞬

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 白夜行 [第一夜]
「さよならだ、兄貴」 その後に小さく呟いた、相棒の最期の言葉が、忘れられない――。 空っぽになったようだった。 いつも俺の側にいた相棒は、もういない。 相棒は俺に倒されることを望んだ。だから、俺もそれに答えてやった。 それだけだ。感傷の入る余地などない。 しばらくの間、動かなくなった相棒の体を自分の方へともたれさせ、ぼんやりと考える。 なぜ、俺は白夜の世界など求めたりしたんだろう。馬鹿げている。「『...

refraction -リフラクション-

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 refraction(1)
 幼い頃、父親に手を引かれて見たその光景は、心の奥に綺麗な思い出として残っている。 どこまでも遠く青い海。歩くたびに、さくさくと音を立てる白い砂浜。寄せては返す波を見ながら、まだ少年だった影山は、海の向こうの国に思いを馳せた。 あの頃は、すべてが美しく、まっすぐに見えた。「矢車さん!」 意外なところで意外な人物を目撃してしまった影山は、頃合いを見計らって声を掛けた。 夜の繁華街。ネオンがきらびやか...
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