ダブル★アクション2 [11] |
| ダブル★アクション2 vol.11 ひぐらしが鳴く 風間が出てきたことに、俺はげんなりした。 「そいつはワームだぞ。それが分かっててかばうのか?」 「大切な人がワームだった・・・それだけの事だ」 感動的な台詞なんだが、この『ワーム』の部分を『男』や『幼女』と置き換えるとオソロシイ台詞になるんだよな。 思わず脳内変換してしまった妄想を頭から追い出し、俺は変身を解除した。 風間の背後のワームも、いつの間にか人間の姿に戻っていたから。 よく見れば、『スーパーの女』(1996年 監督 伊丹十三)じゃないか。 いや、映画のタイトルじゃなくて。 いつか風間と一緒に激安スーパーにいた女だ。 あらぬ誤解をされてフラれたと思ったのに、ちゃっかりヨリを戻していたらしい。 でも矢車さんが言った通り、この女ワームだったんだ。 麗奈と呼ばれた女は正気に戻ったのか、身を縮めて震えている。 その体を心配そうに支える風間。 ふたりのバックにバラの花だけじゃなく、オペラの歌まで聴こえ始めた俺は、幻覚に加えて幻聴まで出てきたのかもしれない。 「嘘だッ!」 と叫んでレナ、もとい麗奈は顔を手で覆った。 季節はずれのひぐらしがないている。 「私が・・・怪物に・・・」 「麗奈さん、違います! あなたは・・・」 どこが違うのさ、と俺の心の声。 「私・・・ショッカーに改造されたのね。私はもう人間じゃないんだわ・・・! さよなら、風間さん!」 抱きとめようとする風間の腕を逃れて、麗奈はおもむろに駆け出した。 またもや、以前と同じシチュエーションで取り残された俺たち。 ・・・やっぱり、絶対歳誤魔化してる、あの女。 「麗奈さん・・・」 彼女を追いかけることもできず、風間の伸ばした手が力なく落ちる。 「・・・最悪だ」 落胆する風間の肩を俺はポンと叩いてやった。 「最悪は、最高なんだよ」 我ながらよく分からない慰め方だと思ったけど、慰めようという気持ちは汲んでもらいたいもんだ。 なのに、風間は苛立ちの矛先を俺に向けてきた。 「うるさい! そもそもお前が麗奈さんを倒そうとするから、こんなことになったんだ!」 それは違う。初めに彼女と戦っていたのは、剣で。 そう言いたかったけど、風間は俺の言葉なんて聞いちゃいない。 すでにドレイクに変身して戦闘モードに入ってる。 「なんで、こうなるのさ」 『仕方ない。ライダー同士の戦いは、ウリのひとつだからな』 愚痴をこぼす俺に矢車さんは面白そうに答えてくる。 そんな製作サイドの諸事情なんて、知った事じゃない。 帰ったと思ったホッパーゼクターが再びピョンピョンやってくるのを見て、俺は矢車さんの意図を理解した。 「・・・じゃ、今度こそよろしく」 俺は早々に引っ込むことにした。ゼクターの装着の仕方を間違えないうちに。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [10] |
| ダブル★アクション2 vol.10 表と裏の悲劇 「カ・ゲーヤマ、ひとこと言っておく。そのワームは女だ!」 タッチ交代とばかりに剣は俺にその場を任せて、戦闘から離脱する。 『全てのワームは俺が倒す』と豪語していたおぼっちゃまが、妙に逃げ腰だ。 「しかも人間でいる時は、自分がワームという意識がない」 剣の言葉に俺はドキッとした。 それって、剣と同じってことじゃあ・・・。 「高貴でフェミニストな俺には、とてもそいつは討てん。だが、幼女誘拐犯の前科がある小悪党のお前なら、できる。いや、お前にしかできない!」 さらっと聞き捨てならないことを言われたような気がしたのは、思い過ごしだろうか。 ともあれ言い返そうにも、すでに剣はじいやの運転するリムジンに乗り込んでいた。 こんな時ばかりはガソリン代をケチらないあたり、さすがディスカビル家の末裔。 つまりは、俺に厄介事を押し付けた、と。 『しょーがない、矢車さん。ザビーでいくよ』 気乗りはしないけど、その分きっちり剣にバイト代を請求してやる。 ところが、矢車さんはザビーブレスを腕から外してしまった。 「・・・すまないが、俺も女性に向ける拳を持たない」 『ちょ、ちょっと』 ああ、なんだってこう、みんな女に甘いのさ。 女にも容赦がなさそうなのは俺の他に誰かいるだろうかと、候補を挙げてみる。 自分で戦おうという考えは、もはやアウトオブ眼中。 その間も、カニワームの攻撃を受け流していた自分を俺は誉めてやりたいよ。 「そうだ、キックホッパー!」 やさぐれ矢車さんならなんとかしてくれるかも、と俺は思いっきり他力本願で跳んで来るホッパーゼクターをキャッチした。 また袖を破られたら敵わないけど、この際選り好みはしてられない。 「変身!」 こうだったかなぁ、と見よう見まねでホッパーゼクターをベルトに装着。 すぐに矢車さんにチェンジするはずだったのに。 よくよく見れば、ホッパーゼクターを表裏逆にして付けてしまっていた。 慌てて外そうとしたが間に合わず、俺の体はキックホッパーと色違いのグレイのライダースーツに包まれていた。 「うわっ、なんだこれ?」 『パンチホッパーだ』 どうやらホッパーはリバーシブル仕様のようで。 その日の気分に合わせて、カラーもグリーンとグレイが選べます。同系色の小物と合わせれば、オシャレ度アップ♪ なんて、キャッチコピーがあるとかないとか。 「ともかく早く代わってよ、矢車さん」 『無理だ。俺はパンチホッパーにはなれない』 頼みのやさぐるまさんにも断られた俺は愕然とした。 表と裏を間違えただけで、この仕打ちって何さ。 「・・・じゃあ、俺が戦わなきゃいけないってこと?」 『らしいな』 「銃とかロッドとか、なんかラクな武器ってあるの?」 『パンチのみ、だ』 ・・・なんか安上がりなライダーだな。 「パンチの裏がキックになってるんだ」 『違う。キックの裏がパンチだ』 俺には果てしなくどうでもいいことだったんだけど、矢車さんはキックが表だと言い張る。 いや、そんな不毛な言い争いをしてる場合じゃなく。 カニワームに向かって、行くぞ、と構えたものの。 やる気のなさと日頃の運動不足がたたって、イマイチ決まらなかった場面は中略。 ようやくコツがつかめてきて、必殺のライダーパンチを繰り出そうとしたところに、お約束のように邪魔が入った。 「・・・やめろ、麗奈さんに手を出すな!」 俺とカニワームの間に割って入り、両手を広げてワームをかばう男、風間大介。 まるでこっちが悪役みたいなこの状況。 一体、どっちが悪役でどっちがヒーローだよ。 ついでに、ホッパーの表と裏、どっちがどっちなのかも教えてくれ。 →NEXT |
ザビー・アディクト [6] |
| ザビー・アディクト [6] シャドウ隊員たちの異変は、俺と影山、そして田所さんと岬さんのみが知るところとして、ZECTへの報告は見送ることにした。 まだ、謎が多過ぎる。 「おはよーっす、矢車さん」 重い足取りでZECTの執務室に向かう俺に気軽にかけられる声。 余りにもいつも通りの光景に、俺は一瞬言葉を失った。 「あ、ああ。おはよう」 それは、確かに昨日俺にマシンガンブレードを構えたひとりだ。 「どうしたんすか?」 「・・・いや」 昨日の事を、覚えていないのだろうか。 「おはようございます。・・・あれ、どうかしました?」 あれほど怯えていたのが嘘のように、日比野も屈託なく挨拶をしてくる。 「矢車さん? 大丈夫ですか」 青ざめて口元に手をやる俺を、彼らは不思議そうな目で見ている。 「悪い。気にするな、なんでもないから」 無理矢理笑顔を作って、俺は二人から離れた。 頭が混乱する。あれはすべて、夢だったのか・・・? 洗面所の水道の蛇口をひねり、俺は流れ出る水の下に思い切り頭をつっこんだ。 「ぷは・・・っ!」 髪からポタポタと落ちる水滴が、スーツに丸いシミを作っていく。 気持ちをすっきりさせるには、これが一番いい。 「はい。拭かないと、服、濡れちゃいますよ」 横からタオルが差し出される。 俺はそれを受け取って、顔を上げた。 「・・・影山」 影山もまたいつもの笑顔を俺に向けていた。 『ザビーに関わった者が不幸に見舞われる』などと、一体誰が言い出したのだろう・・・。 「誰かが、ザビーブレスを持ち出してるのは間違いない。だが分からないのは、なぜそいつがザビーに変身できるのか・・・だ」 もたれかかるように壁を背にして、俺は腕を組む。 考える時の癖だ。 「そっか。資格者の日下部さんがザビーに殺られたってことは、他の奴がザビーになったってことですよね」 俺のマネをして、影山も腕を組んでウーンとうなる。 「田所さんが知ってるんじゃないですか?」 「・・・それはないな。もしそうなら、あの時俺たちに、『注意しろ』ぐらいは言ってくれたはずだ」 そう。少なくともその程度には、田所さんは信用できる。 「じゃあ、どうすれば・・・」 何かいい策があるのか、と言いたげな影山。 「おびき出す」 俺は率直に考えを言った。 「ザビーの次の資格者として狙われるのは、俺だろう。それを利用すればいい」 「囮になる・・・ってことですか」 「そうなるな」 苦々しく笑みを浮かべる俺に、影山は唇をかんだ。 何かを考えている顔で。 「・・・なら、俺が囮になります。俺をザビーの資格者に立候補させてください」 もちろん犯人をおびき出すまでですけど、と影山は付け加える。 「バカ言うな。危険過ぎる」 「ほんとに犯人が襲ってきた時、俺じゃ矢車さんを助けられないけど」 矢車さんなら、俺を助けてくれるでしょ? 影山の瞳は信頼を込めて、そう語っていた。 →NEXT |
ザビー・アディクト [5] |
| ザビー・アディクト [5] ZECT本部の廊下を、俺と影山は必死に走った。 背後から自分たちを追ってくるシャドウ隊員の足音が、まだ数人分聞こえる。 「きゃっ!」 「わっ、・・・と。すみません!」 角を曲がったところで、前から歩いてきた岬さんに勢いよく肩がぶつかってしまった。 彼女が持っていた書類がバサバサと床に落ち、その横にいた田所さんが顔をしかめる。 「矢車? どうした、そんなに慌てて」 それには答えず、俺は耳に意識を集中させた。 足音は 「何かあったのか?」 不審に思ったらしい田所さんが再度聞いてくる。 影山はひょいと角から顔を出して背後の様子を窺うと、凍りついたような表情で俺を見た。 「・・・誰も、いなくなっちゃいました」 角を曲がる寸前まで、シャドウの何人かは俺たちを追っていたはずだ。 どこかの部屋にでも隠れたのだろうか。 考えがまとまらず、俺は無言で床に散らばった書類を拾う。 そんな俺たちに、田所さんはしびれを切らしたらしい。 俺と影山のそれぞれの肩にガシッと後ろから手を回し、逃がすまい、という雰囲気を放って言った。 「何かあったようだな。説明してくれるよな」 ZECTの一室で、俺はありのままを田所さんに話した。 殺人のあった前日に影山とザビーブレスを見る為開発部に入ったこと、そしてシャドウ隊員たちの急な変貌のこと。 「なんで、あんなに皆がおかしくなっちゃったのか。俺にも分かりません。矢車さんに呼ばれるまでは、不安がってはいたけど、普通だったのに・・・」 岬さんが煎れてくれた温かいコーヒーをゆっくりとすすった後、影山はハァーと息をついた。 「なんか、やっと現実に戻った感じ」 影山にも笑顔が戻った。 「おそらく、集団ヒステリーの一種だと思います。ザビーの呪いへの不安がいっきに膨れ上がって・・・」 カップを持ったまま、俺は手元に視線を落とした。 中のコーヒーがわずかに揺らいでいる。俺の手が、震えているのかもしれない。 「呪い・・・か」 難しい顔をして、田所さんは呻くように呟く。 「日下部と同じ死に方だったからな。まあ、呪いかどうかはともかく、ザビーブレスが犯行に関わってるのは確かだろう」 「・・・え?」 日下部と、同じ死に方・・・? 「田所さん、知ってるなら教えてください! 日下部はどうして死んだんですか!?」 詰め寄る俺に田所さんは少し眉根を寄せ、俺の肩をポンポンと叩く。 「落ち着け。お前らしくないぞ」 隣には、影山が心配そうに俺に向ける眼差しがある。 (落ち着け) 自分に言い聞かせ、コーヒーカップに口をつけた。 温かい液体が喉を通り、じんわりと心にも浸透していく。 (よく、考えろ) 伏せていた目を上げて、俺は田所さんを見据えた。 「日下部も、鋭利な物で刺し殺されたんですね・・・」 「・・・そうだ」 苦々しそうに田所さんは肯定する。 鋭利な物・・・血に濡れたザビーゼクター・・・。 ならば、推測されるのは。 「何者かが、ザビーになって殺人を繰り返している・・・ということですか。そして、ZECTはそれを隠そうとしている」 俺の質問に、田所さんは答えなかった。 「・・・苦いな」 答えの代わりにぽつりと言った言葉は、コーヒーの事なのか。それとも、この現状の事なのだろうか。 →NEXT |
「電王」第18話&雑記 |
| 今日はもう語りたいこと、多過ぎて! ストーリーは、モモと良太郎の距離がさらに縮まった?みたいな感じで。 なんだかんだ言っても、みんな良太郎のこと心配してるのが良かったです。ハートウォーミングv で、桜井くんは・・・お久しぶりの中村優一さんですか!! 桐矢くんと同じく茶髪だけど、大人っぽくなりましたね〜。ぱっと見た時、誰だか分からなかった(^^; 最近また『響鬼』熱が高まってきたところに、桐矢くんもとい中村さん登場で嬉しい限りですv でもって、SHTのプレゼント告知は、やさぐれ矢車さん&策士矢車さん! 徳山さんのブログで知って、今日の日を楽しみに待ってましたよ(^^) パーフェクトな矢車さんの声って、ちょっと高めで甘くてセクシーで・・・いや、今さらながら感動しちゃいました。 パーフェクトバージョンだ・・・って。 策士の矢車さん、かなり好きv まぁ、やさぐれ矢車さんじゃないけど、DVDプレゼントは出してもどうせ当たらないし。 矢車さんの出番がちょっと増えたそうなので、買おうかどうしようか迷ってるとこです。 『仮面ライダーカブト VOL.10』 あと、仮面ライダー関連は小説の『仮面ライダーEVE 1 誕生篇』 購入したものから、感想は追って書いていきますので。 拍手押してくださった方、ありがとうございました。とっても励みになります(^^) |
ザビー・アディクト [4] |
| ザビー・アディクト [4] 血に染まった遺体が発見されたのは、ザビーブレスが保管されているZECT開発部の中だった。 死んだのは、若い研究員の男。 一昨日から無断欠勤していて、自宅や携帯に電話をしても連絡がつかなかったという。 鋭利な刃物で体を数ヶ所刺され、それが致命傷になったらしい。 表向きは研究中の事故として報告され、警察の介入は免れた。 ZECTトップが警視総監というのは、こんな時実に都合がいい。 奇妙な事件だったが、さらに不思議だったのは、ケースに納められたザビーブレスに大量の血がこびりついていたことだ。 血液鑑定から、その血は死んだ男のものだと明らかになり、ZECT内部は騒然とした。 場所と状況から考えて、部外者が犯人にはなり得ない。 けれど、ザビーブレスに付着していた血は何を意味するのか。 ざわついて落ち着きのないシャドウ隊員を、俺は一堂に集めた。 まだ正式に隊長に任命されたわけではなかったが、今ある権限だけでも事足りる。 「噂に振り回されるな。毅然としていろ。これは殺人事件だ。犯人は必ず挙がる。だから、お前たちはいつも通り任務に当たればいい」 ゆっくりと隊員ひとりひとりの顔を見ながら、俺は告げた。 その中に、心配げな影山の姿もある。 「・・・でも、ザビーブレスが血だらけだった・・・って・・・。ボクたち、今度からそのザビーの下に就くんですよね。そんなの・・・」 影山よりも年下の隊員、シャドウ最年少の日比野が声を上ずらせた。 その才能を抜擢されたとはいえ、日比野はまだ10代だ。 オカルト的な噂話に、不安になっているのだろう。 日比野の不安はたちまちシャドウ中に派生した。 「そうだ! 俺たちも危ないかもしれないじゃないか!」 「矢車さん、ザビーになんかならないでください!」 隊員たちが異様に高揚し出した。 ほとんどパニック状態のように場が沸き立つ。 「待て、違う! これは呪いなんかじゃない」 皆を落ち着かせようと試みる俺の声は、次第に大きくなるざわめきにかき消された。 「イヤだ、呪いで死ぬなんて!」 「ザビーの資格者のせいだ、俺らがこんな目に遭うのは」 ヒートアップしていく隊員たちの挙動。 俺は集団心理の異常さを目の当たりにし、言葉が継げなくなった。 直感が警鐘を鳴らす。 この場から離れた方がいい、と。 「矢車さん、逃げましょう!」 ぐいと俺の腕を引く影山と、俺目掛けて物が飛んできたのは、ほぼ同時で。 咄嗟に避けた俺の横をすり抜け、ゼクトルーパーのメットがガツンと重い音をたてて背後の壁に当たった。 それを合図に、空気が動いた。 駆け出す俺と影山。 まるで錯乱したかのように、メットを壁にぶつけ続ける者。マシンガンブレードを手にして俺たちを追おうとする者。 一体、何がどうなったのか。 頭の中を整理する暇もない。 狂気の集団と化したシャドウから、俺と影山はただ逃げることしかできなかった。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [9] |
| ダブル★アクション2 vol.9 かにすき大好き 剣からの電話を取り次いだのが田所さん、というのが、俺にとっては不運だった。 剣が困ってるようだから早く行ってやれ、と田所さんは俺を促す。 まさか俺がZECTに内緒でワーム退治のバイトをしてるなんて、田所さんは夢にも思っちゃいない。 この人にバレるのはマズイ。 背中に大きく『任侠』とプリントされたシャツを田所さんがスーツの下に着ているのを目撃してしまった時は、さすがに恐かった・・・。 「それカッコイイですね!」 なんて、加賀美は誉めまくっていたが。 仕方なく俺は、剣を救うべくバイクに飛び乗った。 ちょうど夕暮れ時。頃合いもぴったり。 『きれいなパーフェクトハーモニーが奏でられそうだよ』 あとはよろしく、矢車さん。答えは聞いてない。 逃げるように引っ込んだ俺と入れ替わりに、矢車さんは「俺」の体を支配する。 「久々だな」 と言いながら伸びをして。 剣が指定した場所は、地元の小さな公園で。 メールが来てから小一時間は経ってるから、もしかしたらもう決着が付いてるかも、付いてたらいいなぁ、と考えてたのに。 何を手こずってるんだろう、あいつは。 サソードは白いカニみたいなワームと、いまだ戦っていた。 一対一。他にワームの姿はない。 その少し離れたところで、子供たちがスナック菓子を食べながら、「がんばれ、ライダー!」とか「負けるな、ライダー!」とか口々に応援している。 微笑ましさに、俺は心が和んだ。 ・・・いや、和んでる場合じゃなかった。 「君たち、ほら、もう家に帰らないとお母さんに叱られるぞ。夕食の時間だろ」 矢車さんは子供たちの背を押すようにして、戦闘から遠ざける。 「えー、もっと見てたいのに」とむくれる子供たち。 「今度お兄ちゃんが、別のライダーを見せてやるから」 「わー、本当?」 「ああ、あれよりもっとずっとカッコいいライダーだ。だから、今日はもう帰るんだぞ?」 すさまじく緊張感ゼロの会話を、矢車さんは続ける。 一人で必死に戦っている剣には聞かせられない台詞だ。 夕焼け空の下、またね、と手を振りながら家路に向かう子供たちに、笑顔で手を振り返す「俺」。 そのノスタルジックな情景のすぐ後ろでは、サソードとワームの激しい戦闘が繰り広げられていた。 「カ・ゲーヤマ! 来たなら加勢してくれ!」 あれ、なんか「ー」を入れる場所が以前と違う。 名前を正確に呼ぶのは、人付き合いの最低限のマナーだってのに。 剣はなぜか、変身を解除してヤイバーだけでワームと渡り合っている。 素顔に戻ったのは、もしやファンサービスのためなのか。 だが惜しい。 これは文章だけの話だから。お前のイケメンも、ビジュアルで描写されることはないだろう。 「何遊んでるんだ、剣。いっきに片を付けろ」 ザビーブレスを装着しつつ、矢車さんは呆れたように声をかける。 それほど強そうなワームに思えないんだけど。 むしろ肩の辺りとか、なんか妙に美味しそうで。 その時の俺の頭の中は、『か●将軍』の大きなカニの看板のイメージでいっぱいになっていた。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [8] |
| ダブル★アクション2 vol.8 不思議のゼクト ZECTの最奥部と言われる渋谷廃墟の一角。 立ち入り禁止のそのエリアに、天道と加賀美が探りを入れているという噂はシャドウにも広まっていた。 矢車さんが天道に告げた、意味ありげだが実は超テキトーなあの言葉が起爆剤になっているのだろう。 それでも、そこで天道たちは怪しげなファイルを見つけたらしい。 まさに、『ひょうたんから駒』ってやつで。 マスクドライダー計画について記されたファイルには、『カガ・ビシン』か『カ・ガビシン』か知らないが、そういった名前があったのだとか(BY.加賀美新)。 中国人の名前かもしれない。 一緒にZECTの秘密を暴きましょう、と熱血な加賀美に勧誘されたけど、俺は何の得にもならないことには乗らない主義だし。 「田舎の母親に心配かけたくないから」と、さりげなく『いい人』っぽさをアピールしつつ丁重に加賀美の誘いを断った。 もしや本当に、ZECTはヤバい組織だったりして。何の前触れもなく、倒産とかしたらどうしよう。 給料未払いのまま路頭に迷うのだけは、絶対に避けたい。 そういえば、ZECTのトップって誰だっけ。 誰がどうやってZECTの活動資金を調達しているのか、今さらながら謎だ。 ZECT本部の休憩室で、俺はぼんやりと今後の生活の先行きを考えた。 そんな折、俺の携帯にメールの着信音が。 『・・・剣か』 うんざりとした矢車さんの声が響く。 最近また着メロを替えて、剣からのメールは「友だちんこ!」と連呼する着台詞にしたんだけど。 これを矢車さんは、やたら嫌がるんだ。まったく、ユーモアが通じないんだから。 『今はそのバイトは止めた方がいいな。いつまた剣がワームになるか分からない』 「・・・うん。俺も、やられちゃったらシャレにならないもん」 一応心配してくれてるらしい矢車さんに、俺も真面目に返す。 でもおぼっちゃまとはいえ、雇い主にヘタに断れない。 『田舎の母親が危篤、とでも言っておけばいい』 柔らかい笑顔の矢車さんが、黒い・・・。 まあ、それが一番当たり障りない理由だろうと思い、俺はさっそく剣にメールを返信した。 許せ、剣。 お前とはもう戦いたくない。この前ボコられたことがトラウマになってるんだよ。 ところが、メールの返信後、10分も経たないうちに田所さんが休憩室に飛び込んできた。 「影山、 やっぱりここにいたか! 食堂にいなかったから、ここだろうと思ったんだが」 「何かあったんですか?」 直属の上司でもない田所さんに行動パターンを読まれていたことがショックだったが、ここはあえて我慢だ。 「剣からZECT本部に電話があってな。お前の母親が危篤・・・という話を聞いてな。影山、後の事は俺に任せて、早く田舎に帰ってやれ!」 真剣に俺を気遣う田所さん。 俺は何か言わなくちゃ、と口をパクパクと動かすが、あまりの事に声が出ない。 剣の奴、一体どうしてZECTに電話なんか・・・。 通話料がかかるから電話はしない、ときっぱり言い切ってたのに。 「ああ、すみません。それ誤解ですよ。俺の母親、奇特な人だって言われてるって話をしたら、なんか剣が勘違いしたみたいで」 使い物にならない俺に代わって、矢車さんはスラスラと言葉をつなぐ。 そうだったのか、とあっさり納得する田所さんも、加賀美と似たタイプだな。 「でもどうして、あの剣が電話をしてきたんでしょうね」 そうそう、それそれ。 俺の疑問を矢車さんは田所さんに問いかけた。 「今度、ZECTの電話がフリーダイヤルになったんだ」 当然のように答える田所さんに、俺は絶句した。 いつからZECTは民間企業になったんだろう。 よく考えれば、警察も110番はタダだけど。それにしたって・・・。 「ちなみに番号は、0120-110910(いいゼクト)だ」 追い討ちをかけるように言われ、俺も矢車さんも少なくとも数分は真っ白い灰になっていたと思う。 →NEXT ※作中のフリーダイヤルは架空のものですが。もしや、どこぞでほんとに使われてるかもしれないので、掛けたりはしないでくださいね(汗)。念のため(^^; |
仮面ライダーV3 |
| ・・・風邪でダウンしました。 仕事休んで寝ててもヒマなので、ブログを書いてるワタシは何なんでしょう。 あ、アンケートでいただいたリクエスト(?)は順次書かせていただきます。ありがとうございます(^^) では、少々熱があるので、熱のこもったトークを(なんじゃ、そりゃ)。 『仮面ライダーV3』の宮内洋さんは特撮俳優さんとして非常に有名な方で、最近では『仮面ライダー THE FIRST』で拝見しましたv ファンサービスってやつですか、あれは。 「ブイスリャー!」という独特の名乗りが有名でギャグられてるV3ですが、バックグラウンドはものすごくシリアスなんですね。 父、母、妹を惨殺され、自身も大怪我を負って、仮面ライダー1号、2号によって改造手術を受けるという、とんでもない悲劇的設定で。 昔の子供向け番組って結構スゴイものを放送してたもんです、今思うと。 でも幼稚園児にはやはりそこまで理解できるハズもなく。当時はただ「ブイスリャー!」のマネばかりしてました(笑)。 正直、V3のカッコよさを実感したのは『仮面ライダーSPIRITS』を読んでからで(^^; 以来、V3の主題歌の「父よ、母よ、妹よ」のところが切なく聞こえます。 ライダーマンもねー、当時は思いっきりバカにしてた記憶があるんですが・・・(汗)。 やー、やっぱり半分顔出しライダーというのはその、なんというか・・・。 でもこれも、『SPIRITS』読んでライダーマンファンになりましたよ。 えらく、かっこいいんだこの人はv ライダーマンも硫酸のプールで生身の右腕を溶かされた、という設定でしたっけ。 想像すると、コワイです。 恐るべし、昔の子供番組・・・(--; |
ダブル★アクション2 [7] |
| ダブル★アクション2 vol.7 日●ンの美●ちゃん 「天道! なんでお前がこんなとこに?」 そうだ、加賀美、もっと言ってやれ。 今俺たちがいるのはZECTの建物の中だったんだ。状況説明の描写がなかったから、すっかり忘れてたけど。 こんなとこまで部外者がズカズカ入ってくるなんて、どうなってるんだZECTの警備は。 「俺は、顔パスだ。それより、話の続きを聞いている」 せっかく脇道にそれそうな話を、天の道を行く男はわざわざ元に戻してくれた。 ・・・仕方ない。 俺は誤魔化すのを諦めて、腹をくくって事情を説明することにした。 「・・・その・・・変な人が俺に取り憑いて。なんかパラレルワールドから来たとか言って、時々性格壊れてるし。バッタのゼクターはいつの間にかザビーゼクターとデキてるし、三島さんは態度おかしいし、俺の昇格は結局うやむやになるし」 しどろもどろだったけど、嘘は言ってない。 なのに、うさんくさそうな目で俺を見る天道と加賀美。 天道にいたっては、明らかに侮蔑の表情を俺に向けている。 「もう少し、まともな嘘をついたらどうだ」 「あのー、も一回説明してもらえますか」 それぞれ言い方は違うが、つまりは二人とも俺の言葉が信じられないということなんだろう。 そりゃあ、驚くべき事実だろうさ。 『・・・俺に代われ』 見てられん、と言って矢車さんは強引に俺の体を奪った。 いや、奪うといっても怪しい意味じゃないから。 途端に精悍になった声と表情で「俺」は薄く笑う。 「なら、分かりやすく言ってやろう」 あいにく、今日はカバンの中にマントを持ち合わせていなかった。 それに気付いて、矢車さんは舌打ちする。 俺だって、そこまでバカじゃない。最近は身の回りの物はマメにチェックするよう心掛けている。マントなんて、かさばる物は却下。 だが、気を取り直して矢車さんは続けた。 「最近、三島さんの様子がおかしいことに気付いたか? あのグリラスワームの件以来だ」 「・・・それと何の関係がある」 天道は眉を顰める。 「叩けば色々と出てくるかもしれないぞ、ZECTは。緑色のライダーの事を知りたかったら、ZECTを探ってみたらどうだ?」 「・・・・・・」 口から出まかせなのに、矢車さんは天道をも言いくるめてしまった。 こういうのを口八丁とか、舌先三寸とか言うんだな。 「・・・巧みな話術、と言え」 矢車さんが憮然と小声で呟く。 俺も矢車さんと同じように弁明したつもりだったんだけど、どこがどう違ってたのか。 まあ、深くは考えないでおこう。 押し黙った天道と加賀美に背を向け、俺はこれ以上問い詰められないうちに立ち去ろうと試みた。 「待て」 考えを巡らせているらしい天道が俺を呼び止める。 「お前は、ZECTには裏の顔がある・・・と言いたいのか」 「さぁ、な」 ふっと笑って「俺」は今度こそその場を後にした。 我ながら似合わないリアクションだ。 中身があったのかなかったのかよく分からない会話だったけど、謎をふっかけてなんとなくカッコがついてしまった。 これが『伏線』てやつ? 結構テキトーなもんなんだな。 『・・・スゴイや。俺も話術、習ってみようかなぁ』 ぽつりと言った俺の言葉を矢車さんは聞き逃さなかった。 「そうしろ。先生は超一流ぞろい。一日20分の練習でOKだ」 ・・・どうやら通信講座だったらしい。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [6] |
| ダブル★アクション2 vol.6 影山瞬の憂ウツ 例のスーパーでの一件で、謎のホッパーゼクターの存在がZECT幹部たちの耳に入ったらしい。 あの緑色のライダーは何だ、と尋問されたが、俺は、まったく記憶にありません、と不正を追及された政治家のように苦しい言い訳を押し通した。 「すべて秘書がやったことです」と言えば、もっと完璧だったかもしれない。 知らぬ存ぜぬでこのまま済むとは思えないけど、俺の身に起こってることは説明しようがないじゃないか。 あとひとつ、三島さんの態度が変わったような気がする。 ネチネチと嫌味を言わなくなったし、なんか俺と距離を置いてるみたいだ。 まあ、俺にとってはありがたいことだけど。 シャドウ隊員たちも、俺の人格がコロコロ変わることを気味悪がっているようで。 以前と変わらず接してくれるのは、田所班ぐらいなものだった。 「影山さん、カエルのライダーになったっていうじゃないですか。ほんとに覚えてないんですか?」 加賀美の何気ない一言に、俺の中の矢車さんがピクリと反応する。 「・・・カエルって・・・。誰がそんなこと言ったんだよ」 「天道が」 しれっと答える加賀美。 確かに、緑色だし、ゼクターはピョンピョン跳んでくるし。 妙に納得してしまう俺とは反対に、矢車さんの怒りがフツフツと沸いてくるのが分かった。 「なんか、すげーダサいライダーだって天道が言ってました。まさかそんなのがZECTの新ライダーなわけないですよね」 ははは、と爽やかに加賀美は笑う。 『・・・どけ、影山』 どす黒いオ−ラをまとって矢車さんの声が頭に響く。 悪気はないんだから、と俺はヒヤヒヤしがら矢車さんを押し留めた。 やさぐれ矢車さんなら、俺たちのこともあっさりと暴露しかねない。 「お前はいいよなぁ、加賀美。戦いの神ガタック、なんて名前がもらえて・・・。どうせ俺なんて、ただのキックホッパーだよ」 『なにバラしてんだよ、矢車さん!』 ・・・あれ? なぜ俺の台詞が二重カッコに・・・。 とうとう俺の意識を跳ね除けて、矢車さんが姿を現してしまった。 「? ・・・なんか声、変ですよ影山さん」 大丈夫ですか、と加賀美は俺の顔を覗き込んでくる。 よかった。加賀美の関心は別の方に向いてくれた。 「へ、ああ。ちょっと風邪引いて・・・」 すかさず矢車さんに取って代わり、俺はゴホゴホと咳をしてみせる。 「ちゃんと栄養取ってないからですよ。・・・そうだ、これ」 そう言って加賀美が差し出したのは、「ステーキのど●」のタダ券。 「ぜひ行って来てください。たまにはおいしい物食べなきゃ」 にっこりと笑う加賀美が、俺には天使に見えた。 そう。生簀の料理を食べた時のような、天使の輪っかと羽を付けて。 「・・・食事の時間には天使が降りてくる」 いきなり加賀美の背後から、皮肉っぽい声が。 どこにでも現われるのが特撮主人公の鉄則とはいえ、間の悪いときに出てくるもんだ。 「で、キックホッパーというのは何だ?」 ストレートに聞いてくる天道に、俺は頭を抱えた。 コメディだと思って油断してると、これだ。 俺はどうしたらいいんだろう、教えて!goo。 →NEXT |
ザビー・アディクト [3] |
| ザビー・アディクト [3] メタリックな光彩を放つそのブレスは、まるで博物館の展示物のように、蓋の開いたジェラルミンケースの中に納まっていた。 窓から入る陽の光が反射し、ザビーのシンボルとも言える黄金色の部分が時折きらりと輝く。 ザビーブレスを見てみたいという影山とともに、俺はZECTの開発部の一室にいた。 まだ持ち主のいないザビーブレスは、セキュリティロックのかかった保管庫に眠っている。 もっとも、暗証番号さえ分かれば簡単に開けられるもので、それほど厳重な警備とはいえないが。 「キレイですね・・・」 見惚れるように溜息をもらす影山。 それとは正反対の印象を、俺は持っていた。 「・・・禍々しい」 ぽつりと呟いた俺の顔を影山は心配そうに覗き込んだ。 「怖い、ですか?」 呪いを信じるのか、と影山は問う。 ザビーゼクターの開発者のひとりが、ワームに襲われて死んだ。 その助手が、不慮の事故で大怪我を負った。 別の開発者は、ザビーゼクターの完成を待たずに行方不明。 そしてザビーの資格者に選ばれた日下部は、ワームとの戦闘で殉死したと伝えられただけで、詳細は分からない。 「・・・怖いのは、呪いじゃない」 呪い、だとは思わない。 だが偶然でなければ、何らかの意図が働いていることになる。悪意ある誰かの 日下部の事件後まだ間もないため、俺のザビーへの『テスト』は一週間という余裕を持たされた。 俺にとっては、願ったり、だ。 「さ、もう行くぞ。ここに長居したくないからな」 俺は単に、この開発部という閉鎖空間が気にくわないだけだったのに。 「な、なにかマズイことでもあるんですか?」 明らかに動揺している影山を見て、少々悪戯心が湧いた。 「知らなかったのか?」 夕暮れの赤く染まりつつある空に目をやり、俺は真面目な声で言った。 「空が赤い時は、ザビーゼクターが血を欲するんだ」 「え・・・」 途端に、影山の顔からサーッと血の気が引いた。 「や、矢車さん、それってどういう・・・」 「ははは、すまない。・・・冗談だ、冗談!」 我慢ができず笑ってしまう俺。 心臓に悪いんだからやめてくださいよ、と真剣に抗議する影山に、俺は、悪かった、と苦笑しながら謝罪を繰り返す。 そんな冗談が、次の日に、現実のものになってしまうとは・・・。 →NEXT |
ザビー・アディクト [2] |
| ザビー・アディクト [2] 日下部が死んだという報告を受けたのは、その日からほんの3日後のこと。 ZECTから充分な説明もないまま、必然的にザビーの資格者のおはちが俺に回ってきた。 とはいえ、最終選考をするのはザビーゼクターで。ゼクターに選ばれるためのテストとやらを受けるよう三島さんから通達があった。 日下部も、そのテストを受けていたと記憶している。 だが、それからすぐに日下部の様子がおかしくなったので、どんなものだったか内容を聞くことはできなかったが。 「矢車さん、ザビーになるってことはシャドウの隊長なんですよね。いよいよかぁ・・・おめでとうございます!」 この時の影山は、本心からその言葉を言っていたのだろう。 屈託なく賛辞をくれる影山に、俺も笑顔を返す。 「まだ早いな。最後に決めるのは、ザビーゼクターだそうだ」 「・・・ゼクターが? どういうことですか?」 不思議そうに問い返す影山に、俺もどう答えてよいか分からない。 俺の方が聞きたいぐらいだった。 「さあ・・・な。マスクド・ライダーシステムは謎が多すぎる」 少なくとも、開発者であるZECTの思い通りにはならない、ということは確かだ。 ZECTが選んだカブトの資格者がワームに殺され、どこの誰とも知れない男がライダーベルトを持っていたのだから。 「きっと大丈夫ですよ。俺、矢車さんが隊長になってくれるの、楽しみにしてます!」 「・・・そうか、そんなに俺にしごかれたいか」 「いやっ、しごかれたいってワケじゃ・・・」 わたわたと言い訳をする影山の頭を、俺は笑って小突いた。 正直なところ、ザビーに興味はなかった。 けれど、シャドウ隊長はザビーの資格者が務めることになっている。シャドウで上を目指すなら、ザビーになるしかない。 ザビーにまつわる噂の数々・・・。 それを知っているのだろうかと、俺はちらりと影山の顔を窺った。 すると俺の言いたいことを読んだように、影山が切り出した。 「まぁ、ほんと言うとちょっと怖いです。あの話は本当なのかなぁ・・・って」 影山は知っていた。 ならば、隊員のほぼ全員が知っていると思って間違いない。 「お前は、どう思う・・・?」 俺は自分の考えを先送りにして、影山に意見を求めた。 「俺は、それもありかなって思います」 「呪いが、か?」 「・・・はい」 互いに話す声が小さく低くなるのは、無意識に、だ。 この科学の時代に、しかもZECTが開発したゼクターに、そんなことが起ころうはずはない。 理性では、誰もがそう考えていた。 持ち主を次々と不幸に導く『呪いのダイア』というものが、実在するらしい。 それと同じような現象が、ここZECTでも起きている。 単なる偶然か、それとも どちらにしても、俺たちに示されたのは、ザビーに関わった何人目かの犠牲者として日下部が数えられたという事実だけだった。 →NEXT |
仮面ライダーBLACK |
| 『電王』の感想ではなく・・・また昭和ライダーに戻ります、スミマセン。 『仮面ライダーBLACK』は、当時『光戦隊マスクマン』にハマってたもので、ついでのように(ヒドイ)観ていたのでした。 だって、やっぱショックだったですよ。 何がって・・・。 ライダーが自分と同い年だってことが(苦笑)。 ライダーはあくまでも憧れの存在だったので、それに自分の年が追いついてしまったのかと思うと・・・。 (平成ライダーは開き直って観てるので、いーんです、もう(--;)。 主人公の南光太郎に言わせると、郵便ポストが赤いのももう一人の主役秋月信彦の出番が少なすぎたのも、すべて「ゴルゴムの仕業だ!」そうです(イヤ、そこまでは)。 『BLACK』というと、あのあまり上手いとはいえな・・・もとい、独特の節回しの主題歌が脳内で再生されます。 歌はすっごくカッコいいのですよv エンディング曲もまた素敵です。 ストーリーで一番印象に残っているのは、クジラ怪人の話。 ライダーを助けたために殺されてしまい、これが結構泣けます。 『BLACK』と『RX』は昭和と平成の過度期で、ライダー史上でもどっちつかずの微妙な位置づけで。 つっこみどころ満載なんですけど、やっぱり好きなライダーの一人です。 『RX』は、第一話見ただけでして。 『BLACK』の暗さや背負ってるものの重さが好きだったので、『RX』の軽さは意表を突かれたというか。 「太陽の子」・・・という表記に、『エステバン』かよ、とツッコミを入れたのはワタシだけじゃないでしょう(笑)。 |
ダブル★アクション2 [5] |
| ダブル★アクション2 vol.5 怒りの大根 変身を解いた「俺」は左手を顎の下に持っていき、何か考える仕草をしている。 「あの女、やはりおかしい」 『そりゃあ・・・確かにヘンだと思うけど』 「間違って覚えられている番組名」上位3位にランクインされてるに違いないタイトルを正確に知ってるとは・・・若そうに見えるけど、かなり歳、いってるんじゃないだろうか。 案外、特撮オタクとか。 「ワームかもしれないぞ・・・」 『え!?』 まるきり見当違いに深刻なことを言われて、俺は焦った。 ちょっと待ってよ。 この話って、軽快な俺のサクセス・コメディで。名付けるならば、『摩天楼(ZECT)はバラ色に』主演:影山瞬、のはずじゃあ・・・。 「・・・その姿はなんだ。新しいライダーなのか? それに、麗奈さんに闇が見えるとはどういうことだ!」 もはや丁寧語もすっ飛ばして詰め寄る風間。 ぐいっと襟元を引っ張られて俺は息が詰まったけど、矢車さんはそんな表情微塵も見せない。 無言で風間の手を払いのけると、「俺」はギャラリーたちのどよめきの中を歩き去った。 後ろで、スーパーの店長が風間に怒鳴り声を上げている。 店内を破壊した補償の問題は、風間に押し付ける形になったようだ。 元凶のワームはとっくに姿をくらましてるし。 許してくれ。 あとで、ZECTに匿名で請求書を送っといてやるから。 吹きすさぶ風を受けて、マントがはためく。 「邪魔だな」 矢車さんはマントもスーツも脱ぎ捨てると、せっかく「洋服の●山」で買ったワイシャツの右袖を肩口からビリッと破り取ってしまった。 『な、なんて事するんだよ! 俺の一張羅・・・』 泣きそうな気持ちで、俺はむき出しになった右腕を呆然と見た。 洗い替えのワイシャツはまだ洗濯機の中だから、明日までに縫い直さなきゃ。 今夜は夜なべになるだろう・・・。 結局、夕食の材料も買えず仕舞いで。 悲惨な俺の日常は、やっぱり今日も顕在だった。 ポップなサクセスストーリーでも、シリアスなヒーローものでもなく。もしかして、これって実は平成版『おしん』なのかも。 虐げられた俺はそんな事まで思ってしまう。そうなれば、当然今夜のメニューはこれに決定。 「・・・大根飯か、たまにはいいかもな」 うそぶく矢車さんを、俺は今日ほど恨んだことはなかったよ。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [4] |
| ダブル★アクション2 vol.4 怪奇とんぼ男 ザビーが苦戦しているのに、素知らぬ態度で店を出ようとする風間。 さすが、男にはどこまでも冷酷非情な奴。 「さあ、行きましょう麗奈さん。ゴンも行くぞ」 先ほどメイクした女性の肩にさりげなく置いたその手は何なんだ。 「・・・待て」 低い声のトーンで矢車ザビーが制止する。 なんか、イヤな予感。 突然矢車さんはザビーの変身を解除したかと思うと、スーツの前をバッとはだけてベルトを衆目にさらした。 キャー! 変質者よぉ、なんて黄色い声を上げるおばちゃんたち。 うわっ、何やってんだよ。それ、俺の体なんだからねっ。 脱いでるわけじゃないけど、なにげに恥ずかしいポーズだ。 よくよく見ると、それはライダーベルトで。 俺・・・マントを持ち歩いていただけじゃ飽き足らず、そんなベルトまで付けてたのか。 どこからかピョンピョン跳んで来たホッパーゼクターをキャッチアンドセットする「俺」。 うつむき加減に変身して、ハァーとやる気なさげに溜息をつく。 「風間、その女・・・。瞳の奥に闇が見えるぞ・・・」 「何だと?」 よせばいいのに、訳の分からない因縁をつける矢車ホッパー。 風間の眉がピクリと釣り上がった。 その隙に麗奈と呼ばれた女にワームが襲い掛かろうとする。 このワームもやることがなかなか、コスい。 「麗奈さん、危ない!」 と、フェミニスト風間はようやく変身する気になったようだ。 かわいそうに、ゴンは横でむくれてるけど。 ドレイクの姿を見て、麗奈はヒッ!と引きつったような悲鳴を上げて風間から身を離した。 あれ、ドレイクはそんなにスゴイ面相じゃないのに。 これにはドレイク=風間もショックだったようで。 「れ、麗奈さん・・・?」 戸惑ったように伸ばした手が振り払われて、さらにショックに追い討ちがかかる。 「あなたが・・・、まさか超神ビビューンだったなんて・・・!」 ワッと顔を覆って、昼メロのように別れを告げて走り出す麗奈。 対して、残された俺たちはギャグマンガばりに顔に縦線を付けて固まっていた。 『超人ビュビューン・・・?』 「違う。超神ビビューンだ」 すかさず矢車さんが訂正を入れる。でも、20代に入ったばかりの若い俺には分かるはずもない。 「・・・くそっ、よくも麗奈さんを・・・!!」 どこに憤りをぶつけたらよいか迷った末、ドレイクはその矛先をワームに向けた。 完璧に八つ当たりだが、まあいいんじゃないかな。 シューティングモードで撃ちまくるドレイクにワームもひるんだ。 ホッパーがキックを入れようとするや、ワームはあっさりクロックアップで逃げ出してしまった。 追えないこともなかったけど、深追いはしない方がいい、と矢車さんは判断した。 「ちっ!」 悔しそうに肩を震わすドレイクに、悪いと思いつつ俺は吹き出さずにはいられなかった。 →NEXT ※ビビューンは赤色です。似てるのは目のとこだけかも(^^; ちなみに、ビビューンを演じたのは『仮面ライダーストロンガー』の荒木茂さんでしたv |
ダブル★アクション2 [3] |
| ダブル★アクション2 vol.3 ゴンと俺とカップラーメン ザビーに変身した「俺」は、サナギ体のワームにいきなりライダースティングを仕掛けた。 背景がこんなさびれたスーパーでもこだわらないところをみると、どうやら『策士』の矢車さんらしい。 容赦ないザビーの攻撃に、サナギ体のワームは成虫に脱皮した。 あとからZECTのホームページにあるマル秘ワームファイルで調べてみたら、グラリスワームという奴だそうだ。 これが結構強くて、さすがの矢車ザビーも押され気味。 もともと狭いスーパーの入口付近で戦ってるもんだから、吹っ飛ばされた勢いで、背後の特売カップラーメンの陳列が見事に破壊された。 バラバラと頭上から降ってくるカップ麺。 弁償しろと言われるかも、と俺は青くなった。 不可抗力だ。 代金は、ZECT宛てに請求してもらおう。 『大売出し!68円!! お一人様2コ限り』と書かれたポップが舞い落ちる。 これ、新発売の明太子味じゃん! 一度買おうと思ってたんだよな。 どさくさに紛れて1個もらっておこうか、なんて子供向けヒーロー番組にあるまじき事をチラッと考えた時。 「あれ、影山・・・さん!?」 "さん"と付けるのが微妙に嫌そうなイントネーションで、少女の声がした。 「ゴン!?」 矢車さんと俺が同時に叫ぶ。 「何してるの、こんなとこで」 まだ小学生のその少女は、いちご牛乳をストローで吸いながらキョトンとしている。 いちご牛乳には、ちゃんと会計済みのテープが。 (ああ、俺って最低かも・・・) ちょっとでも誤った考えを持った俺をどうか許してほしい、番組のスポンサーさん。 「どいてろ、完全作戦の最中だ」 策士バージョン矢車さんはあくまでもクールに、ゴンを手で突き放す。 『もっと優しくしてやってよ。相手は子供だよ』 「・・・お前の方こそ、状況を分かってるのか」 言ってるそばから、ワームの鉤状の触手が伸びてきた。 咄嗟に避けると、身代わりに突き刺されたカップ麺のケースには大きな穴が。 ああ、もったいない・・・。 「ゴン、ドレイクは・・・風間大介は一緒じゃないのか!?」 切羽詰った矢車さんの声。 珍しく応援を頼みたいようだ。 「大介? 大介なら、化粧品売り場のとこで女の人くどいてるよ」 少し頬を膨らませて言うゴンがかわいい。 それにしても・・・なんて節操のない男だ。 ねたみとひがみの入り混じった気持ちでモンモンとする俺の耳に、明らかに場違いな会話が聞こえてきた。 「ほら、こんなスーパーの化粧品ではあなたの美しさが損なわれてしまうでしょ」 「ほんとね、ありがとう。風間さん」 バックに花が飛んでるのは、俺の目の錯覚かもしれないが。 相変わらず、俺には理解できないファッションセンスと雰囲気をまとって風間は現われた。 内容から察するに、この場でメイクを施していたのか。 営業妨害だと訴えてやれよ、スーパー側。 きっと、勝訴だ。俺が保証する。 やっと俺たちに目を留めた風間は、露骨に顔をしかめた。 「何か騒がしいと思ったら・・・あなたですか」 おい。その騒がしい中、お前は悠長にウフフアハハとやってたのか。 気付いてたなら、早く来てくれ。 一応お前もライダーのひとりだろうが。 「早くドレイクになれ! このワームは手ごわい」 命令口調の矢車さんに、風間は不満顔。 「・・・気に入りませんね」 まったく、どいつもこいつも。 スイマセン、スポンサーさん。俺たち、教育指導的なライダーじゃないみたいです・・・。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [2] |
| ダブル★アクション2 vol.2 俺に釣られてみる? ごく普通の買い物客を装い、レジに進もうとした俺は思わずワームと目が合ってしまった。 ぶっちゃけ、どこが目なんだか分からないが、明らかに俺の方をじっと見ている雰囲気。 やだなあ、俺がライダーだって知ってるんだろうか。 襲われたら「人違いですよ」と言って逃げようか、なんて考えていたら、俺の中から声がした。 『俺が相手になってやる。代われ、影山』 「早く帰りたいんだけどなぁ・・・」 ブツブツ呟く俺の独り言は無視の方向で、有無を言わさず体を取って代わられた。 ポケットからさりげなく白い手袋を取り出し、キュッとはめる「俺」。 あれ・・・俺、ポケットに手袋なんて仕込んでたっけ? さらに「俺」は毎日仕事に持っていく通勤バッグの中を漁ると、短めのマントを取り出してバサリと羽織った。 なんか最近バッグがかさばると思ったら、あんなものが入っていたとは・・・。 仕事の書類なんてチェックしたためしがないから、バッグを開けることもなかったんだが、毎日俺はアレをZECTに持って行っていたのか。 奇術師か、マジシャンみたいにも見えるその格好に、周りにいた買い物客のオバサンたちが引いた。 これがヤンママ(死語?)だったらよかったんだけど、さすがに昭和枯れススキ世代には受けなかったようだ。 「最近の若い男の子は、情けないわねぇ・・・」 なんて、おばちゃん同士でヒソヒソ話。 内緒話なら、本人に聞こえないように言ってくれ。 てか、どういう状況だと思ってるんだよ、今。 「完全作戦のためには、ギャラリーなどどうでもいいことだ」 妙にクールな矢車さん。 すかさずザビーブレスを腕にはめて、ザビーが来るのを待つ。 「お前、俺に釣られてみる?」 ワームに向かって何を言ってるんだろう、この人は。 しかもそれって、番組とキャラが違うんじゃあ・・・。 ツッコミを入れようとした俺を、矢車さんは押し留める。 「ギャラリーは引っ込んでいろと言っただろう」 ・・・なんで、俺がギャラリー? 俺が本体のはずなんだけど。 ルンルンとやって来たザビーザクターは、相変わらず俺なんか見てないし。 もう、釣りでもマジックでも勝手にやってくれ。 →NEXT |
ザビー・アディクト [1] |
| ※「カブト」DVDの内山さんのインタビューを見て書きたくなりました(笑)。 ザビーのリクエストも頂いてるので、今回はザビーの不思議話で。『想が瞬を〜』と一部リンクしてます。 初めてそれを目にした時、俺は妙な胸騒ぎを覚えた。 美しいが、どこか禍々しい けれど、相棒はその黄金色の輝きに、ひと目で魅入られたようだった。 「キレイだな・・・」 ぽつりと漏らしたあの頃から、俺たちがこうなることは決まっていたのかもしれない。 ザビー・アディクト [1] カブトに次ぐ第二のライダーの最有力候補に挙がっていたのは、俺と日下部の二人で。 俺たちの実力は拮抗していたし、シャドウを率いるにふさわしい統率力も申し分ないと言われていた。 だが、俺たちはどちらも第二のライダー『ザビー』を敬遠していた。 おそらく、本能的に。 ライダーになる人物を決めるのは、ZECTの幹部ではない。ゼクターが、資格者を選ぶ。俺たちに選択権はなかった。 ザビーゼクターに選ばれるのは、どちらか。 ZECT、特にシャドウ隊員たちの話題といえば、それだ。 中には俺たちを賭けのネタにする連中まで出てくる始末。 「俺は、ちゃんと矢車さんに賭けましたからね」 当時部下だった影山は、そんな事を言って俺を苦笑させていた。 「お前まで参加してるのか」 「だって、結果なんて分かってるじゃないですか」 信頼を込めて見つめてくる目に、俺はますます苦笑する羽目になる。 俺と日下部はザビーを巡るライバルとして火花を散らしているかのように周りは捉えていたが、実際は違う。 俺たちは良き友人だった。 ZECTに反抗的な日下部をお偉方がよく思っていないのは、誰もが知っていた。 そのために、ザビーの資格者にはなり得ない、というのが大方の意見らしい。 「・・・少しは控えろよ。それじゃあZECTに居づらくなるだけだろ」 ZECTの不正や矛盾をすぐ指摘する日下部に、俺はよく忠告した。 そのたびに、日下部は言うのだ。 「矢車、俺はさ。自分が正しいと思ったことをやりたいんだ」 真っ直ぐ過ぎる信念。 「熱血? 体育会系? はやらないぞ、今は」 「ほっとけ」 冗談めかして俺がパンチを入れると、日下部は明るく笑って拳を受け止めた。 それが、俺が交わした日下部との最後の日常。 皆の予想を裏切り、ザビーゼクターは日下部を資格者に選んだ。 日下部の言動におかしなところが現われ始めたのは、その頃からだった。 傍目にもわかるほどにやつれた顔。 精神的に病んでいる人間の表情だ。 理由を聞いても、日下部は何も答えない。 今思えば、あれは俺に宛てた日下部の精一杯のメッセージだったのだろう。 その日の日下部は特に異常で。 普段らしからぬ暴力的な言葉や態度を取る日下部の肩を、俺は強く掴んだ。 「どうしたんだ? 最近、お前変だぞ。何があった?」 誤魔化しを許さずに問い詰める。 最初はかたくなに口を閉ざしていた日下部だったが、俺が根気強く尋ねると、やがて不安げに目を泳がせ始めた。 何かに怯えているかのように。 そして、ようやく重い口を開いた。 「矢車・・・ザビーに気をつけろ・・・」 「・・・え?」 その時の俺は、残念ながら、日下部の言葉を理解する充分な判断材料を持ち合わせてはいなかった。 →NEXT |
「カブト」DVD vol.9 |
| アマゾンからやっと届きましたv DVD 『仮面ライダーカブト VOL.9』 いや、これはもうインタビュー目当てでこの巻だけ買いましたよ、ワタシは。 レンタルでもよかったけど、やっぱり綺麗な画面で見れる地獄兄弟を手元に残しておきたかったし・・・。 噂通り、インタビューはとっても良かったです(^^) 思ったよりも時間長くて、うれしかったv うっちいは、初めかなり緊張してたみたいで。徳山さんは落ち着いてましたね。 ラブラブモード(違う)全開で、見ていて顔がニヤけっぱなしでした。 でももうこれで地獄兄弟見ることなくなるんだなぁ、と思うと寂しい・・・(泣)。 |
紅の箱舟 [エピローグ] |
| 紅の箱舟(アーク) [エピローグ] 意識の中に闇が流れ込んでくる。 払っても払っても。 やがて、それは心に堆積しどす黒く固まっていく うっすらと目を開けた時、矢車は自分がまだ生きていることを不思議に思った。 三島に撃たれたことは覚えている。避けることはできなかった。 弾は正確に心臓を撃ち抜いた・・・はずだ。 「ホッパーゼクターは役に立ったようだね、色々な意味で」 いまだ霞がかかったように頭ははっきりしないが、突然聞こえてきたその声には覚えがあった。 顔は知っていても、実際に面識はない人物。 XECT総帥の加賀美陸その人が、矢車の寝かされているベッドの横に椅子を置いて座っていた。 手の中に持っていたそれを、ポンと矢車のベッドの上に投げる。 「・・・ホッパー・・・ゼクター?」 陸が何を言っているのか、矢車には分からない。 その奇妙なゼクターに視線を落としながら、矢車は記憶を辿った。 ゆるゆると記憶が甦ってくる。 そうだ・・・自分はそのゼクターに導かれて、エリアXの地下通路へ入ったのだ。 (確か、動かなくなったそいつを、ここに入れて・・・) 胸に手をやり、矢車は、ああ、そうかと思った。 胸の隠しに入れて持っていたゼクター。 おそらく、そのために三島の弾は急所を外れたのだろう。 「幸運にも、きみは助かった・・・が。公には、死亡として処理された。身の安全のためにも、時期が来るまで姿を隠していた方がいい」 「・・・俺を殺したかったのは、あんたじゃないのか」 陸の言葉に矢車は皮肉を返す。 一連の事件の黒幕が、何を言うのか。 「誤解をしているようだが、私は蚊帳の外だよ。今回の件は、私の預かり知らぬことだ」 表面上は、と陸は大袈裟に肩を竦めて見せる。 食えない男だ、と矢車は苦々しく思った。 ホッパーゼクターを寄越し、今こうして矢車を助けたのが陸だとしたら、三島と陸の間には内なる対立があるのかもしれない。 しかし、ZECTの内情などもはや自分には関係ない。知りたくもなかった。 そんなことよりも・・・。 「あの子は、どうなった・・・?」 答えは分かりきっていた。 分かっていたが、聞かずにはいられなかった。 うつむいたまま尋ねる矢車に予想通りの返答をし、陸は言い訳のように続けた。 「・・・もともと人間をワームに変える実験は医療目的だったのだよ。擬態という能力があれば、移植手術に拒絶反応という壁はなくなる。人類の未来のための実験のはずだった」 「・・・どうでもいいさ」 吐き捨てるように矢車は呟く。 一体、自分は何をしたのか。 何もできなかった。 誰ひとり助けることができなかった。影山も、あの少年も。 自分の存在もまた、今や抹消されてしまった。 日の当たる世界を歩くことはできない。しばらくは存在を隠して生きろ、と陸は言う。"時期が来るまで"は・・・。 「マーク・トゥエインの著書を思い出したよ。・・・神は、人間を救うためにノアの箱舟を作らせたのではない」 仮面のような表情で陸は語る。 おそらくそれが、真実なのだろう。 侵食されていく闇の中で、矢車はぼんやりとそう考えた。 救うためではない 神は 人を 苦しめるために 人に 箱舟を 作らせたのだ END ※やっと、終わりました。暗かった・・・胃が痛い(苦笑)。 矢車さんは、部下に裏切られたぐらいでやさぐれたんじゃ27歳男としては情けないだろうと思って、「地獄」を壮絶にハードにしたかったんだけど・・・。 文章力の無さ+あまりの暗さのため、書ききれませんでした(--ゞ イメージとしては、『幽遊白書』(また、古いマンガを・・・)の仙水さんみたいなのを書きたかったんですよ、ほんとは(^^; |
紅の箱舟 [11] |
| 紅の箱舟(アーク) [11] 何が起こったのか、影山には分からなかった。 互いに技を掛け合い、間合いを取るため体を離した一瞬のことだった。 気が付くと、矢車はうずくまるようにして倒れていた。 うつ伏せになったまま動かない。 胸の辺りから流れ出る血で、床がじんわりと赤く染まるのを、影山は呆然と見つめた。 大量に出血している。おそらく、命に関わるほどに。 (撃たれ・・・た?) ようやく、影山はひとつの答えにたどり着いた。 思考がうまく働いてくれない。 自分の背後に人の気配を感じ、のろのろと体を向ける。 「何を遊んでいる。命令を忘れたのか、影山」 「三島・・・さん」 今しがた凶弾を放った銃を、三島は何の感慨もなく影山に手渡す。 「お前のだ。お前の手柄にするといい」 その銃は、確かに先ほど取り落とした影山のもので。 三島は、わざわざ影山の銃を使って矢車を撃った。 今回の件に自分が直接関わっていることを、ZECT内部に知られたくないがために。 しかし、影山にそんな理由は知る由もない。 ただ自分の銃が矢車を撃った 「後始末はルーパーにさせる。仮にもかつてのシャドウ隊長が裏切り者だったなどと、他言無用だ。ZECTの恥だからな」 もっともらしい言葉で、三島は影山を口止めする。 エリアXで動かしたルーパーたちは全て三島の息がかかっている。影山さえ口を閉ざせば、真実は闇に葬られるだろう。 秘密を漏らそうとする者は、もういない。 影山を促しながら、三島は蔑むような眼差しを矢車に向けた。 「・・・哀れだな」 せっかく、箱舟を示してやったのに。 愚者はいつでも、神の救いの手を拒絶するのだ 三島の言葉に、人形のようにこくりと頷く影山。すでに何かを考えようという意思はなかった。 倒れた矢車を一瞥した後、影山は足を前に出す。 一歩、また一歩。 もう振り返ることはしなかった。 一度踏み出した歩みは、もはや留まることも方向を変えることも許されていない。 示されるまま、進むだけだった。 →NEXT |
「電王」第15話&雑記 |
| 今回はギャグ話でしたね。 『ダブルアクション』のキン・ウラ版が笑えた! やっぱり一番カッコイイのは標準のモモ版だけど、キンタロスのも味がありますね。 なんかもう豪華に、4タイプのフォームにすべて変身という・・・。 歌といい変身といい、今日は4ライダーを"見せる"ための話だったんだなぁ、と思います。 それにあやかって・・・というわけではないけど、『ダブル★アクション2』を性懲りもなく始めました。 怒られるかなぁと恐る恐る書き始めた話だったんですが、寛容に受け止めていただけたようでホッとしてます(^^; ありがとうございましたv |
ダブル★アクション2 [1] |
| ダブル★アクション2 vol.1 今夜は麻婆豆腐 「 ZECTの一応お偉方が集まる会議の中、俺がそう言うと、おおーっ!と一斉にどよめきが起こった。 いつも冷静な三島さんも、眼鏡がずり落ちてるのも気付かないほど呆けてるし。 まあ、普段ネクタイをしない俺がきっちりネクタイを締めて、髪の毛なんかもちょっと茶髪だったりして見た目もいくらか違うわけだから、驚くのも無理はない。 『あんまり派手に目立たないでよね、矢車さん。みんな不審がってるよ』 一応釘をさす俺。 「お前の出世のために、やってやってるんだろう」 心外だと言わんばかりの矢車さん。 堅苦しい会議が終わると、田所さんが声をかけてきた。 今日の発言はすごかったな、とか、きっとすぐ昇進できるぞ、とかなんとか。 いつのまにか、俺の昇進確定みたいな話になってる。 「今日は赤飯だな」 というこの人も、イマイチ不思議な人だ。 「いえ、今日は麻婆豆腐です」 なんて矢車さん、律儀に答えなくていいからさ。 そういえば、おそらく誰も覚えていないだろうあの不運な隊員Aは、退職届を出したらしい。 矢車さんの正体を見たばっかりに・・・。 噂では、喉に砂が詰まって炎症を起こしたそうだが、その理由については口を閉ざしているという。 まあ、炎症のせいでしゃべりたくてもしゃべれないのかもしれないけど。 ・・・ムゴい話だ。 本筋には関係ない脇キャラがどうなろうと、世間は同情してくれないんだよ。世の中って、シビアなものさ。 俺がなにげに感傷に浸っているうちに、矢車さんは勝手に俺の体を使ってスーパーで買い物をしている。 『うわっ、何買ってんだよ!』 一丁300円近くもする豆腐をカゴに入れる矢車さんを見て、俺は青ざめた。 ほんとに麻婆豆腐にするつもりだったのか。いや、それはいいんだけど、どういう金銭感覚をしてるんだ、この人は。 『豆腐なんて、これで充分。ただでさえ、給料前なんだからね』 いつも買っている一丁68円の木綿豆腐を示すと、矢車さんは、というか「俺」は不服そうに眉を寄せた。 「・・・貧しい奴だな」 余計なお世話だ! 『それよか、早く体返せよ! もう今日は、ZECTに用事ないんだからさ』 私生活まで干渉されたんじゃ、たまらない。 「お前の体は具合がいいんだ。俺にぴったりフィットする」 誤解を招きかねないコワイ台詞は止めてくれ。規制がかかるだろ。 『とにかく! しばらく出て来ないでよっ』 俺はありったけの力を込めて、矢車さんの意識を抑え込んだ。 買い物ぐらいは自由にしたい。 矢車さんは意外と料理がうまいから、夕食を作る時は、どうしたって出てきてもらわなきゃ困るわけで。 やっと体を取り戻したと思ったら、女の人たちの悲鳴が店の入口付近で上がった。 タイムサービスはこんな時間にやらないはずだけど、もしやサプライズで激安特価商品があるのかも。 しばらく食べてないし、牛肉だったらいいなぁという俺の淡い期待は、見事に打ち砕かれた。 なんてこった。 ワームだ! なんで、こんな僻地の安売りスーパーにワームが現われるんだ。 奴らも、目玉商品の売り出しを狙っていたのか。 ・・・そもそも、この状況で俺に戦えと? カゴに入った豆腐を見つめつつ、俺はため息をついた。 今晩の麻婆豆腐の具は、レトルトに決定だ・・・。 →NEXT |
紅の箱舟 [10] |
| 紅の箱舟(アーク) [10] (腕を上げたな) 矢車は自虐的に心の中で笑った。 こんな状況下で、元部下の成長を嬉しく思うなんて。 「大人しく捕まるなら、今は、殺さない」 搾り出すようにして影山はそう告げた。 三島の命令に反していることは分かっている。三島は、その場での始末を命じたのだ。 ・・・だが ちら、と床に落ちた銃に目をやり、矢車は再び影山を見た。 表情は読めない。 影山はシャドウ隊長として、完璧なまでに自分の感情を押し隠す術を身に付けている。 自分が銃の方に跳べば、牽制のため発砲されるだろう。 ならば (お前は、俺を撃てる、か?) 矢車は勝負に出た。 躊躇せず、影山に向かって走り込む矢車。 「くっ・・・」 素早く至近距離に入られ、影山は思わず身を引く。 まさか、銃を構えている自分に真正面から挑んで来るとは。 「遅い!」 影山の銃を右脚で蹴り上げた矢車は、続けざまに蹴りを放つ。 それを咄嗟にかわし、影山も右ストレートを繰り出した。 拳は頬をかすめ、矢車の髪が数本宙を舞った。 「・・・やるな、影山」 「あんたに、仕込まれたからね」 息を上げながらも、互いに間合いを計って会話を交わす。 シャドウに配属された当初から、戦闘訓練のほとんどは矢車から指導を受けていた。 才能はあっても不器用でなかなか実力を出し切れなかった影山を認めてくれたのが、矢車だったのだ。 ふと、矢車は影山の腕にはめられたブレスに目を留めた。 「ザビーにならないのか」 「あんたごときに必要ない、ね・・・!」 言いざま、影山は拳を打ち込んでくる。 「後悔するなよ」 矢車は腕で払い、回し蹴りで応戦する。 はたから見たら、それは真剣勝負というより、訓練中の上司と部下そのものの構図だったかもしれない。 しかし、そんな二人の対決は、突然響いたひとつの銃声によって終わりを迎えた。 →NEXT ※書きたかった「矢車さん vs.(×ではなく(^^;)影山」でした。 戦闘シーンは好きだけど、難しい・・・。 |
ダブル★アクション [8] |
| ダブル★アクション vol.8 俺の怪我は思ったより深刻で。冗談みたいだが、そのまま入院ということになった。 有給使えることだし、まあ、良しとしよう。 剣がバイトのことを話さずにいてくれたおかげで、ZECTにもバレずに済んだ。それどころか、欠勤してもなおワームと戦うほど正義感に篤いと思われて、なんか俺の株は急上昇。 "棚からぼたもち"ってやつ? 『言ったろ。お前の願いを叶えてやるって』 病室のベッドで、いい気持ちでくつろぐ俺に声を掛ける矢車さん。 『俺は強い力でこの世界に無理やり引っ張り込まれたんだ。お前の望みを叶えてやれば、俺は元の世界に戻れるかもしれない』 なんだか、矢車さんを引きずりこんだ張本人が俺、みたいな言い方。 冗談じゃない。 「俺は関係ないからねっ。だいたい、俺の望みなんてこれと言って・・・」 『ないことはない、だろ?』 矢車さんは優しげに問う。きっと今はパーフェクトハーモニーの矢車さんなんだ。 ずっとそのバージョンでいてくれたらいいのに。 「・・・ほんとに、特に思い当たらないんだけど。あえて言えば、出世して給料アップして、その資金を元に株でも買って儲けて、ビジネスを興して海外進出して、ビバリーヒルズに豪邸を建てて、左うちわな生活を送ることぐらいだし・・・」 俺がいっきに言うとその後に、微妙な沈黙が。 きっと俺の、あまりの望みの小ささに呆れているんだろう。 俺も、大きな『夢』っていうのを持ってみたいよ。 そんなところへ、また果物の盛り籠が・・・じゃなく、見舞い客が訪れた。 「影山さん、具合どうですか?」 さすが、親が警視総監の加賀美。マスクメロンが入ったLサイズの盛り籠は太っ腹だ。 一緒にやって来た天道は・・・やっぱり、手ぶらか。 「たいしたことはない。すぐ復帰できるさ」 予定ではあと一週間は有給を使い倒すつもりなんだけど、それを加賀美に言う必要はない。 「・・・お前、なんでそんなに大怪我をしてるんだ。あの後、ワームはいなくなったはずだ。サソードと戦ってそんなになったのか?」 チラリと俺の方を見て、天道はまた余計なことを蒸し返す。 「え!? 天道、お前もその場にいたのか?」 ・・・頼むから、食いついてくるなよ、加賀美。 「いや、その。あれから野球の硬球が飛んで来るわ、ハンマー投げのハンマーに当たるわ、あげくに自転車に轢かれるわ、と散々な目に遭って・・・」 どこかのヒーロー番組の主役みたいな運の悪さを切々と語る俺。 我ながら苦しい言い訳にも、単純、いや純粋な加賀美は信じてくれたようだ。 「そりゃ大変でしたね。しっかり治してくださいよ、戻ってくるの待ってますから!」 案外、加賀美もいい奴かもしれない。 ありがとう、マスクメロン。 何を考えているのか、天道はそれ以上追及してこなかったのだが。 去り際に一言。 「おばあちゃんは言っていた。『禁断の果実は禁断ゆえに甘い』のだと」 どうとでも解釈できる、というか、どう解釈していいか分からない謎の天道語録をひとつ増やして、天道は去っていった。 待ってくれよ天道、とかなんとか言いながら、加賀美も病室を出て行く。 やれやれ・・・。 俺はほっと息をついて、再びベッドにゴロリと横になった。 すると今度は、窓の方からコツコツという音。 見ると、ザビーゼクターが「入れてくれ」と外から窓ガラスを叩いている。 その隣で、落ちないように必死に窓枠にしがみついているのは 「バッタゼクター・・・!?」 やさぐれ矢車さんのところに跳んできたあのゼクターが、ザビーと並んでこちらの様子を窺っている。 ・・・お前ら、いつの間にそんなに仲良く・・・。 『ホッパーゼクターだ』 「・・・へ?」 突然響いてきた矢車さんの言葉に、俺はマヌケな声を上げた。 ああ、もう、どうでもいいよ。 いい感じにダラダラしていたあの平和な日常は、一体どこへ行ってしまったのだろう・・・。 人格変異するヘンな人に取り憑かれたせいで、たまってた有給は使えたし、メロンはもらえたし。 まあ、それはいいけど。 にわかに慌しくなった俺の状況に、体も心も追い付いていかない。 とりあえず今はゆっくりさせてくれと願いつつ、俺はふて寝を決め込んで毛布にくるまった。 END ※とりあえず第一部(?)完です。 しょーもない話に、お付き合いありがとうございました(^^ゞ |