ダブル★アクション2 [27] |
| ダブル★アクション2 vol.27 眠れない夜 ちょっとした俺の失言に、風間は「汚らわしい貴様と一緒にするな!」だの「麗奈さんがこんな目に遭ったのは貴様のせいだ」だの、罵詈雑言を吹っかけてくる。 甘い甘い。 毎日、三島さんの嫌味攻撃に耐えてきた俺だよ? その程度で傷付いたりしない。 俺をやり込めるつもりなら、「幼女誘拐犯」とか「信じてたその人に裏切られた男」くらいは言ってもらわなきゃ。 あ、マズ。・・・自分で言って悲しくなった。 「それより、お前どうやってここに入ったんだ」 とにかく、風間の剣幕が収まるのを待って聞いてみる。と。 「天道から、通用口を教えられた」 「・・・守衛は?」 「しばらく眠ってもらってる」 ・・・不法侵入らしい。立派な犯罪じゃないか。 どうか今の会話は、オフレコでよろしく。 「だいたい、貴様! どういうつもりで麗奈さんにあんなネックレスを・・・!」 「待てってば。今はそれどころじゃないんだ。その麗奈が・・・」 噛み付きそうな勢いの風間に、俺は事情を説明してやる。 麗奈が襲われそうだ、と聞いて、風間は駆け出した。 「襲う」の意味は、まあ色々あるだろう。 「麗奈さん・・・!」 ババーン!と効果音を背負ったヒーロー的タイミングで、風間は部屋に飛び込んだ。 麗奈に麻酔をかがせて連れ去ろうとしていた不埒な男の手を、風間は力任せにねじり上げる。 恋する男は、コエー・・・。 「貴様、ここで何してる!?」 すっかり熱くなってる風間は、連続婦女夜這い未遂犯(違っ)から全部話を聞き出してくれた。 はっきり言って、今回はかーなーりラクだ。 「・・・風間さん!?」 「麗奈さん、助けに来ました。もう大丈夫です!」 俺のことも、横で伸びてる可哀相な新入りZECT隊員も、風間の目には入ってないようで。 よかったな。あとは勝手にやってくれ。 俺には、他にやるべきことがある。 ・・・なんて言うと、カッコイイかも。 『うらやましい、って顔してるぞ』 「ほっとけよっ!」 面白そうに言う矢車さんに、俺は怒鳴り返す。 こういう時ばかり、意地悪くツッコんでくるんだから。 『・・・ま、予想通りだったな』 と矢車さん。 『まんまとエサに食いついてくれた』 麗奈を狙ったあの新入りは、上からの命令でやった、という。彼女を連れてくるよう言われたそうだ。他の誰にも知られずに。 命令した人物、というのは 『おそらく奴の目的は、麗奈の口封じとネックレスの処分だろう』 矢車さんの口調が厳しくなる。 「・・・うん」 頷いて、俺は足を速めた。 けど俺の足は、矢車さんが思っている方向とは逆の仮眠室へ向かう。 『おい!?』 呆気に取られた矢車さんの声。 でも、今は聞けない。 俺にはやらなきゃいけないことがあった。 「もー限界! 眠いんだよ、俺! 何があっても朝まで寝るからっ!」 有無を言わさず、ベッドに飛び込む。 さすがの矢車さんも、この時ばかりは俺の迫力に圧倒されたらしく。 今日の、俺からの教訓。 "睡眠不足は、人間を粗暴にする" ってさ。 →NEXT |
「電王」第26話&雑記 |
| 久々の「電王」感想を・・・。 侑斗くんの笑顔がかわいいなぁとか、良太郎フルバージョン(マイナス1)で華やかだなぁとか(^^; あの中にモモバージョンがいないのは、何か考えあってのことなんでしょうかね。 今年の仮面ライダーは一味違う! 映画とリンクしてるは、「しんちゃん」と共演するは(笑)。 「電王」面白いのに・・・ どうしてまだ、こんなに地獄兄弟スキーなんだろう自分(苦笑)。 拍手、有難うございます。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
ダブル★アクション2 [26] |
| ダブル★アクション2 vol.26 夜這いでGo! 「・・・起きろ、影山」 誰かが俺の体を揺り動かす・・・ような気がする。 「ふぇ・・・?」 寝ぼけ眼をこすりながら、起き上がる。 ギシギシと体が痛い。 ・・・あれ、もしかして俺、寝てる間にナニかされた? 「馬鹿言ってないで、口元拭け」 砂の体の矢車さんが、呆れたように俺を見てる。 ぼーっとする頭で考えてみると。 あ、そうか。 昨夜は麗奈を見張るために、ZECTのモニター室に泊り込んでたんだっけ。 椅子に座ったまま、机に突っ伏して寝ちゃったらしい。 どおりで、体の節々が痛いわけだ。もう若くないよな、俺も。 とりあえず矢車さんに指摘されたよだれを拭いて、ふと手元足元を見ると、機器類が砂でザラザラ。 「ちょっと・・・どうしてくれるのさ、これ」 「内から呼んでも、お前が起きなかったからな。仕方ないだろう」 言うだけ言って、矢車さんはまたスッと俺の中に入った。 あーあ、キーボードの間にも砂が詰まっちゃってるし。明日、どうやってメンテの人に言い訳しよう。 童心に戻って、つい砂遊びしちゃったんだー、ハハハ、とか。 ・・・ダメだ。我ながら、うさんくさ過ぎる。 『・・・なんで起こしたと思ってるんだ。ほら、見てみろ』 矢車さんが、グイと俺の意識をモニターに向けた。 そこに映し出されたのは、簡易ベッドで寝ている麗奈の姿。と、彼女にこっそり近寄る若い男。 「うわっ、夜這いかよ!」 うらやましいやら悔しいやら、俺は思わず大声を上げてしまった。 午前三時。草木も眠る丑三つ時。 忍んで行くには、ちょうどいい時間かも・・・後学のためにメモっとこう。 『あの男の顔・・・よく見せてくれ』 「え? うん」 言われるままに、俺はモニターを操作して拡大した。 「あっ、こいつニキビ、無理矢理つぶしたんだね」 アップになると、顔面にニキビ跡がくっきり。 気持ちは分かるけどさ。やっぱり薬で治した方がいいよ、青少年。 『ニキビの話じゃない。・・・この男、見覚えないか』 矢車さんがうるさく言うもんだから、めんどくさいなと思いつつ、俺は男の顔をじっと見た。 そういえば、こいつ・・・。 昼間、麗奈を取り調べてた男じゃなかったかな。ZECT内での見覚えのなさに、見覚えがある。変な日本語だけど。 「新入りなのかな、こいつ」 『分からん。ともかく、急いだ方が良さそうだ』 人の恋路を邪魔したくはないんだよ、本当は。 恨むなら矢車さんを恨んでよね、青少年。 深夜にもかかわらずバタバタと廊下を走る俺は、これまた前方から走り込んでくる人影に、角を曲がったところで正面衝突してしまった。 「いってーっ!!」 「ツッ!!」 互いに頭と顔を押さえて、その場にうずくまる。 「お前っ、廊下を走るなよ!」 「それは、こっちの台詞だ!」 顔を覆った手の隙間から覗き見て、俺は心臓が止まりそうなくらい驚いた。 多分、向こうも同じだったろう。 「風間・・・」 こんな夜中に、しかもZECT内部で出会う相手としちゃ冗談がキツイ。 「お前も・・・夜這いか?」 だから、動転したゆえの俺の台詞。 許してくれたっていいと思うんだけどな、普通・・・。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [25] |
| ダブル★アクション2 vol.25 Trust no one(誰も信じるな) 一連の怪事件の首謀者として、間宮麗奈はZECTの取調室にいた。 想定通り、カブトとガタックに捕り押さえられたようだ。 証拠品は、麗奈の首に下げられたワーム化ネックレス。 「私にもよく分からないんです。本当に、知らないんです」 涙ながらに訴える麗奈。 取調べに当たっているのは、俺も知らないZECT隊員だ。 その机の上には、定番のカツ丼が。 「うまそう・・・」 別部屋からその様子をモニターで見ながら、俺は思わずジュルッとよだれを拭った。 「あのカツ丼は、確かにうまかった」 いつの間に来たのか、天道が相槌を打つ。 カラッと揚げた衣とジューシーな肉汁が絶妙にマッチして、肉の旨みを引き出し、温かいご飯の上に。 これぞ、まさにパーフェクトハーモニー。 『・・・安易にその言葉を使わないで欲しいな』 堅物矢車さんが口を挟むけど。 今使わなくて、いつ使うっていうのさ。 「でも、あのネックレス・・・エリアXにあったって、ほんとですか?」 やはりこいつもいたか、の加賀美が俺にそんな事を聞いてくる。 ボロが出ないように、と内心ガクブルしつつ、俺は平静を装った。 「そうさ。あのネックレスを付けると、誰でもワームに変わってしまう。俺は見たんだ」 「何を見たんだ?」 「・・・えっと・・・」 鋭い天道のツッコミに、いきなりボロが出るし。 助けて矢車さん! とすがって、わずか0.05秒で蒸着・・・もといチェンジ。 「人間を守るという表の顔じゃなく、ワームと協力する裏の顔だ。ZECTは一部のワームと手を組んで、人類をワームに変えようとしている」 さすが矢車さん。長い台詞も、どんと来い。 「人類をワームに!? どうして?」 衝撃を受けている加賀美に、俺も激しく同意。 「・・・それは、あなたが知ってるんじゃないですか。ねぇ、田所さん?」 気づかなかったけど、ドアの側には田所さんがいて俺たちの話を聞いていた。 矢車さんの言葉が終わる前に、天道はすかさずドアの前に立ち、退路を阻む。 ・・・この二人の敵にだけは回らないでおこう。 「ZECTはいろいろ裏がありそうだな。何を企んでる?」 「・・・俺は、何も知らん!」 冷静な天道と対照的に、顔面に玉の汗をかいてる田所さん。 『大いに知ってる、だが聞かないでくれ、頼む。人の情けがあるなら!』 と顔に書いてあるよ。 『ないな、そんなものは。痛い目に遭いたくなかったら、素直にとっとと吐け』 と天道の表情が言っている。 多少脚色はあるけど、まあ、そんなとこだろう。 「やめてくれ、天道! きっと本当に田所さんは何も知らないんだ」 慈愛の人、加賀美が二人の間に割って入る。 いや、俺でさえそうは思えないんだけど。 加賀美に遮られ、天道は問い詰めることを諦めたらしい。 脇をすり抜け、無言で部屋を出て行く田所さんを、俺たち三人(正確には四人だけど)はそれぞれ複雑な思いで見送った。 →NEXT |
雑記:来週の・・・ |
| さーて、来週の地獄兄弟は 「影山です! 毎日暑いね。みんなはもう夏休みかな。 俺も兄貴と一緒に海でも行きたいな。なんせ、白夜の国に行き損ねちゃったからさ。 でも、どうせ兄貴のことだから、素直に連れてってくれるわけないんだよね。 さて、次回は 『ダブル★アクション』 『楽園依存症候群』 『誘惑の夏』 の、三本(予定)です」 来週もまた見てくださいね。 ジャンケンポン! (チョキ) ということで・・・(^^; 拍手押してくださった方、ありがとうございました。 何か、お返しできるといいんですけど。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
迷宮クロニクル [12] |
| 迷宮クロニクル [12] (・・・影山・・・!) 叫び出したい気持ちを堪え、矢車は影山の手首を取って脈をみた。 心臓にも耳を当ててみる。 弱いけれど、脈打つ鼓動。 影山の生の証を感じ取り、とりあえずほっとする。 矢車は、三島が打ち捨てたライダーベルトを影山の腰に巻くと、そこに先ほどのゼクターを装着した。 気を失っている影山は、自分が何をされているか分からないだろう。 矢車の腕の中で、影山はパンチホッパーへと変化する。 「生きろ、影山」 常になく、弱々しい声音で矢車は呟いた。 まるで、祈るかのように。 「・・・でなければ、俺が生き延びた意味がない」 ホッパーゼクターに込められた "破壊" と "再生" の力。 三島から吸い取った命は、影山を生かす力に変換されるはずだ。 どのくらいの時間そうしていたのか。 身動きもせず、影山をただ見守る矢車の後ろから、誰かの気配が近づいてくる。 「・・・仕留め損なったようだね」 予想通りの言葉をかけられ、矢車は軽く溜息をついた。 「事情が変わった」 矢車の腕の中のホッパーの姿に目を留め、その人物は肩をすくめる。 「なるほど。だが、初めからきみは、殺すつもりはなかったのだろう」 「・・・天道や、あんたの息子の出番を残してやったまでだ」 ふむ、と、その人物は苦々しく笑った。 矢車の一計で、ネイティブの黒幕である三島が倒れてくれればしめたものだったが、そううまくはいかなかったようだ。 できることなら、『赤い靴』の発動は避けたい。 知らぬ間に巻き込んでしまった、自らの息子を思えば・・・。 これからの算段を立て直さねばならない、と彼は踵を返す。 しかし、思いついたように足を止めて矢車を見た。 「彼を、きみの相棒にするのかね?」 不躾な問いに、矢車は眉をひそめた。 それに構う様子もなく、その人物は話し続ける。 「きみには、まだ言ってなかったかな。破壊と再生は、一対のものだ。円を為し、循環する」 「・・・それがどうした」 今さら聞きたくもなかった。 ホッパーゼクターを与えられた時、知らされている。 最悪のシナリオの場合、自分の命を削ってワームを殲滅する。 制御できないその力は、おそらく世界を滅ぼすことになる。 破壊の後の再生を担うのが、もうひとつのホッパーだ、と。 「どちらがどちら、ということはないんだよ。それぞれが、どちらの役目も果たす。実際、そのゼクターで証明済みだろう」 その言葉に合わせたように、影山の変身が解除されていく。 目を見張る矢車は、影山の傷がすっかり癒えているのに安堵した。 まだ、意識が戻ることはなかったけれど。 「互いが、己の一部になり、ひとつの役割を果たす。だからこそ、私はホッパーを二体作ったのだ」 一応は耳を傾けながら、矢車は舌打ちした。 この男の言うことは、いつも謎掛けまがいで苛つく。 「もうひとりのホッパーは、きみと対になる存在、ということだ。まぁ、慎重に選びたまえ」 ふっ、と笑みを見せ、加賀美陸は二人を残して立ち去った。 ようやく訪れた、静寂。 目覚めない影山に視線を落とした後、矢車は三島と陸の姿を追うように前方を見やって目を細めた。 三島は、今後どう出るのか。 陸は、自分という駒をどう動かすのか。 (相棒・・・か) 陸の言葉を反芻して、矢車は自嘲気味に笑った。 それは、地獄に共に落ちる相手だ。 「・・・忘れろ、影山。今回のことはすべて」 三島を逃がしてしまった今、その正体を知っている影山はおそらく命を狙われる。 「忘れてくれ」 矢車は、願いを込めてゼクターを握り締めた。 次に会うときは、また自分たちは違う立ち位置にいる。 それならば、いっそ白紙に戻したほうがいい。 (それで、お前が無事なら・・・) 九月十七日 飛蝗の命は短く だからこそ "つがい" でなければならない END ※ラストです。ほんとは、もう一話あるはずだったのに、無理矢理一話に収めてしまいました(^^; この話は本編に沿ったように見せかけて、実は沿っていないパラレルです(苦笑)。 本編通りにやるなら、「二人の確執はどうした?」ってことになってくるし・・・。 いただいたリクと主旨が違ってしまったかも・・・ゴメンナサイm(__)m |
迷宮クロニクル [11] |
| 迷宮クロニクル [11] シシーラワームを捕獲するため、現場に向かった影山たちだが、決着はあっさりと付いた。 意外にも、カブトが彼女に引導を渡したのだ。 腑に落ちない気はするものの、それについて深く追及するつもりはない。 むしろ、自分が手にかけずに済んで幸運だったかもしれない。 後始末をシャドウに任せて、影山はザビーの変身を解除した。 ホッパーの姿のままの三島の傍に寄る。 やはりまだ、具合が悪そうだ。 「三島さん、終わりました」 「ああ・・・」 事の成り行きを把握しているのかいないのか、三島は曖昧な返事をする。 (さっきよりも、ひどくなってるみたいだ・・・) 「変身、解いたほうがいいです。早く帰って休みましょう」 立ち上がれないほど衰弱している三島に、影山は肩を貸そうとした。 そこに、ふいに声がかけられる。 「・・・変身を解かないんじゃなくて、解けないんだ」 振り向いた影山の目に映ったのは。 「矢・・・車・・・」 あの時と同じ、黒いロングコートにボロボロのタンクトップ姿で、矢車は近づいてくる。 触れたら切れそうな狂気の瞳に、薄く笑みを浮かべて。 「そいつの生命力は、すべてジャッキを通してゼクターに吸い取られてる。もう、変身は解除できない」 矢車は腕組みしながら、倣岸にパンチホッパーを見下ろした。 「貴様・・・っ、最初から、そのつもりで・・・!」 「当然」 少しの哀れみすら感じていないような物言いだった。 「一応、忠告はしたはずだぜ? ホッパーは破滅の象徴だと。それだけの力を、媒体なしに引き出せるわけないだろう」 「媒体・・・だと・・・?」 「装着者の命そのものさ」 (命が・・・媒体って・・・) 影山は必死に、矢車の言葉を頭の中で整理した。 確か、矢車自身も緑色のホッパーに変身したはずだ。 「だって、それじゃ・・・!」 言いかけた影山に、矢車は目で制する。 余計な事は口にするな、と。 こうなれば、もう何も聞けなくなってしまう。 「力を使えば使うほど、ゼクターは力を吸収する。あんたは、少し欲張り過ぎた」 苦しげなホッパーに、矢車は容赦なく告げる。 「さよなら、三島さん」 「調子に乗るな・・・よ!」 ふらりと立ち上がったパンチホッパーは、ベルトを無理やり外そうと試みる。 「無駄だ。力づくで外せるわけ・・・」 その時、矢車は何かに気づいてハッと息を飲んだ。 重要なことを、忘れてるのではないか。 そうだ、三島は 「おおおおおっ!!」 獣じみた唸り声を上げたかと思うと、三島の体からガチャリとベルトが外れ、地に落ちた。 行き場を失ったホッパーゼクターは、助けを求めるかのように矢車の手に収まる。 矢車と影山の目の前で、三島は見る間にワームの姿に変わっていった。 「み、三島さんが・・・ワーム!?」 影山は激しく動揺している。 「離れろ! 奴はグリラスワーム。・・・おそらく、最強のワームだ」 影山の肩をぐいっと掴んで、矢車は自分の後ろに引き寄せようとした。 が、それはほんの少し遅かった。 グリラスワームの左腕の爪が、影山の胸を深々と貫いて。 「影山・・・!」 矢車が伸ばした腕の中で、影山はくず折れるように倒れた。 傷が深い。 血の気が引いて蒼白な影山の顔。その胸からは、血がとめどなくあふれ出してくる。 (ちくしょう・・・!) 不甲斐なさに、矢車は握った拳を地に打ち付けた。 グリラスワームの方も、力が回復したわけではない。 残った力を振り絞っての反撃だったのだろう。 今なら、討つことができる。 だが、弱った足取りで逃げて行くワームを、矢車は追わなかった。 それよりも、優先しなければならないことがある。 →NEXT |
雑記:BLって |
| チオ●タドリンク、ケース買いしたワタシです。 めっきり体力なくなったなぁ(--; 内山さんに続き、徳山さんもBL映画に出演ということで。 相手役の方は、ボウケンブラックですか・・・。 『ボウケンジャー』は、『カブト』始まる前になんとなく見てたという(^^; BL映画を別に否定はしませんが。 これだけ「イメージ」ということにこだわる特撮業界で、ある意味スゴイと思います。 「大きいお友達」はいいんですよ。 ワタシは、「楽しみにしてる派」だし。 でも純粋にヒーローに憧れてる子供たちはどう思うのかな、なんて。 まあ、ワタシが言える義理じゃないので、これにて感想終了(苦笑)。 拍手、ありがとうございます。 いつも励みになってます。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
迷宮クロニクル [10] |
| 九月十日 事態はゆっくりと進行する 向かう先は、"破壊" と "再生" 迷宮クロニクル [10] 三島は、パンチホッパーとして繰り返し変身を果たしていた。 必ずそこに、ザビーやシャドウを引き連れて。矢車への牽制であることは、容易に見て取れる。 (・・・頭の切れる奴だ。だが・・・) いつものように、ホッパーたちの戦闘を遠目で眺めながら、矢車は思いを馳せた。 矢車の持つホッパーゼクターが、三島の力の衰えを教えてくれている。 (そろそろだな) もう、いい頃合だ。 とどめを刺しに行くべきかもしれない。 * * 影山は困惑していた。 先日の矢車のZECTへの来訪だけでも十分な衝撃だったが、今度は、ワーム狩りを命じられた。 しかも、そのワームは見知った人物だ。 特に親しかったわけではないが、彼女が働く店にも何度か足を運んだ。 三島の命令である以上、やるしかないが、正直気は進まない。 加賀美が知ったら、きっと止めに来るだろうと予想がつく。その時、一騒動起こすだろうことも。 「・・・あの女が、ワーム? ほんとにですか」 意外に思って聞き返す影山に、三島は淡々と告げた。 「シシーラワームの擬態だ。ためらう必要はない」 しかし、三島の顔色はひどく青白い。 ここ最近の体調不良は傍目から見ても、はっきりと分かるほどだった。 立っているのが辛いのか、壁にもたれるようにして息をつく三島に、影山は心配そうに声をかけた。 「今回は、俺とシャドウだけで行きます。三島さんは休んでてください」 それは、純粋に三島を気遣っての台詞だったのだが。 「私の目を離れて、矢車に寝返るつもりか?」 「えっ?」 いきなり考えてもいなかったことを言われて、影山は言葉を失った。 「それとも、加賀美に加担して女をかばうか?」 「ま・・・さか」 影山にしてみれば、三島がなぜそんな事を口にするのか分からない。 今まで忠実に、三島の元で動いてきたというのに。 「俺は、三島さんに・・・ZECTに従います。何があろうと」 言いながら、影山はその決意を自分自身に言い聞かせる。 それしか、自分の生きていく道はないのだから・・・。 「そうか。だが、私のことなら心配無用だ」 目にかかる数本の髪を気だるそうにかき上げると、三島はポケットからガラス瓶を取り出した。 サプリメントか薬なのか。 緑色の錠剤をいくつか手に乗せて、水なしでそれをガリッと飲み込む。 その様子は、どこか病的に見えた。 「・・・行くぞ。シャドウにも準備させろ」 「・・・はい」 影山に、否を言う権限はなかった。 →NEXT |
迷宮クロニクル [9] |
| 迷宮クロニクル [9] 「全ライダーの中でも、ネイティブの影響を一番強く受けているのがザビーだろう。くだらない野望に、影山を巻き込むのはやめろ」 その人物がドアの外にいるとも知らず、矢車は話し続ける。 「私が巻き込んでいるわけではない。彼が自ら選んだんだ、ザビーになることを・・・」 ちらりと視線をはずした三島は、カツカツと靴音を響かせ、ドアの方に向かってきた。 (やば・・・!) 外で聞き耳を立てている影山は、慌てて立ち去ろうとするが。 「・・・そんなところにいないで、そろそろ入ったらどうだ」 勢いよくドアが開かれ、影山は思わず顔をぶつけそうになった。 「あ・・・」 部屋の中から、矢車が驚いたように自分を見ている。 ふいに目が合ってしまい、影山は気まずい思いで顔を伏せた。 そんな二人の反応をさも面白そうに見やって、三島は影山を室内に招き入れた。 楽しんでいるのが、ありありと分かる。 してやられた、と、憎々しげに矢車は唇をかんだ。 「影山。お前からもはっきり言ってやれ。ザビーを手放す気はない、と」 「ザビーを・・・?」 三島たちの話がどういった経緯から発したかは分からない。 途方に暮れていた影山だが、"ザビー" という言葉にピクリと反応を返した。 ザビーは・・・。 今の地位を、ザビーでありシャドウ隊長を任されている現状を、捨てるつもりは、ない。 「俺は・・・ザビーで、いたい」 小さく、けれど強い意志で影山は言った。 その答えに満足そうな三島と、複雑な表情で受け止める矢車。 辛そうな目を向ける矢車に、影山の胸がずきんと痛んだ。 (なんで、そんな顔するんだよ・・・) 「・・・まあ、そういったわけだ。肝心の当事者が拒んでいる以上、この条件は無効だな」 三島はクッと人差し指で眼鏡を押し上げる。 当然だと言わんばかりの冷静さで。 「確かにな」 矢車の口元は薄く笑っていた。 だが、うつむき加減のため、長めの前髪に隠れて表情は分からない。 「なら、明かしてもらおうか。ホッパーの力とやらを」 あえて、影山の前で話させようというのだろう。 嘘や誤魔化しをさせないために。 影山は、この交渉において三島の保険のようなものだ。 ふうっと息をついて、矢車は切り出す。 「・・・ホッパーは、"破壊" の象徴さ。ガタックが "戦いの神" なら、ホッパーは "破滅の神" といったところだ」 「ふ・・・。それほどの力があるとは思えんが」 見下したような三島の視線は、ホッパーゼクターに注がれていた。 「腕のアンカージャッキが、爆発的な力を解放することは知ってるだろ。最大限に発揮すれば、世界を破壊するほどの威力を持つ。・・・その時はおそらく、カブトにもガタックにも止められない」 「馬鹿な、そんなもの・・・」 あの加賀美陸が、作るはずがない、と言いたいのだろう。 甘いな、と矢車は心の中で嘲笑する。 ホッパーは『赤い靴』のサポートであると同時に、万が一の場合のストッパーだ。 生半可な力で、暴走したカブトたちに対抗できるわけがない。 「ホッパーは、最終兵器さ」 (悪いな・・・) 少し青ざめた顔で話を聞いている影山に、矢車は声に出さずに詫びた。 今この段階で、影山に知らせるつもりはなかったのに。 →NEXT |
雑記:地震 |
| 明日は更新できそうにないので、今日のうちに(^^; 被災地の方、大丈夫でしたでしょうかね・・・。 ワタシの地元でも、東海大地震が来る来ると言われ続けて早数十年。他の地域ばかりで、なぜか中部はまだ無事なんですが。 地震といえば、以前ブログにも書いたジェット・リーも、スマトラ沖地震に遭ったんですよね。 当時そのニュース聞いて、すごく驚きました。 「ジェット・リーが死んだ」なんてデマも流れたりして(--; 天災は防げないけど、備えあれば憂いなし。 皆様、お気をつけて。 (と言いつつワタシは、何も備えてない) 拍手押してくださった方、ありがとうございます。 元気の源ですm(__)m ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
星祭りの夜 [4] |
| 星祭りの夜 [4] そして・・・ 探していた人物は、唐突に現れた。 それぞれの隣にいた少年は、流星群が止むと、いつの間にかいなくなっていて。 月と星が照らす川べりで、ふたりは合流した。 「お前、どこにいたんだ!」 「兄貴、どこにいたのさ!」 口をそろえて同じ質問をする。 赤いタンクトップが少し濡れているのが気になったが。 いつもの影山の姿に、どうやら現実に戻ったようだ、と矢車は安堵の息をついた。 過去の影山を見ているのも、決して嫌ではなかったけれど。 「・・・あれ。今度はあの子が、いなくなっちゃった」 キョロキョロと辺りを見回して、影山はうーんと首をかしげる。 「あの子?」 「うん。兄貴がいない間、一緒にいたんだ」 「・・・どんな子だ?」 「・・・あ」 影山は、そう言えば、と思い至る。 自分は少年の名前さえ、聞いていなかった。 「なんか、ヘンな子だったなー、教科書とか川に投げ込んでてさ。それを俺、拾ってやって・・・」 影山には状況がまったく分かっていない。 矢車は、考えるように眉根を寄せた。 ゆっくりと頭の中のモヤが晴れていく。 (・・・ああ、そうか) くっくっ、と矢車は思い出したように笑った。 「相棒。子供の頃、短冊にどんな願いを書いた?」 「短冊って、七夕の? そんなの覚えてないよ」 子供の頃なんて、願い事は数え切れないほどあった。 年を重ねるごとに、願い事は変わり、それに少なくなっていった。 願っても、容易に叶えられないものだと知ってしまったから・・・。 「兄貴こそ、何か願い事したとか?」 「・・・短冊じゃなかったがな」 含みを持たせた矢車の物言いに、影山は好奇心いっぱいの眼差しを向ける。 「じゃ、何に願ったの?」 「流れ星さ」 星に願いを、なんてガラじゃない。 思いきり意外そうに自分を見る影山の胸を、矢車は軽く小突いた。 「他の奴のために願ったんだ。そいつの願いが叶うように、って」 「ええっ、兄貴が?」 またもや大げさに驚かれ、矢車はただ苦笑するしかなかった。 「さあ、もう帰るぞ」 ひとこと言って、くるりと背を向ける。 すたすた歩き出す矢車の後を、影山は慌てて追い掛けた。 「えー、待ってよ! まだ、兄貴と一緒に星見てないのにっ」 そんな影山の抗議の声も、聞こえない振り。 もう、見る必要もないだろう。 あれほどの流星群を、体験したばかりなのだから。 相棒が気づいていないのなら、それはそれでいい。 初めて人前で涙を見せたあの出来事は、実を言えば、あまり思い出したくはない。 それでも。 あの時の事は、矢車にとって大きな意味を持つものだった。 振り向くことなく、矢車はぽつりと言った。 「・・・ヘンな子で、悪かったな」 照れたような笑いを口元に浮かべて。 「なんの事だよ」 いまだふて腐れて後ろを付いてくる影山が、その表情を窺い知ることはなかったが。 それは、七夕の夜の、不思議な旅 END ※はい、ラストです。 4連チャン、お付き合いくださり、ありがとうございました。 |
星祭りの夜 [3] |
| 星祭りの夜 [3] 流星群 長いような、短いような時間が過ぎていく。 「・・・空、見てよ!」 少年の影山が、俺に預けた頭を少し上向かせて弾んだ声をあげた。 「これは・・・」 俺も見上げて、思わず息を飲む。 空から、たくさんの星たちが次々と降ってくる。 雨のように、とどまることなく。輝きを放ちながら。 プラネタリウムでも、こんなに見事なものには滅多にお目にかかれない。 「そうだ! 願い事しなきゃ」 必死の表情で、少年は小さな声で自分の望みを何回か呟いた。 どうやら、短冊に書いたものとは違うらしいが。 「慌てなくても、当分続くんじゃないか、これ」 もはや流れ星なんてレベルじゃない。 空の星がすべて落ちてしまうのではないかと思うくらい、光の雨は止むことがなかった。 壮大な天体スペクタクルに見惚れながらも、俺の意識は別のところにあった。 ・・・相棒。 なぜ、お前は、ここにいない? 「ほら、お兄ちゃんも」 「何だ?」 急に声を掛けられ驚いた。 てっきり、願掛けに夢中になっていると思っていたのに。 「願い事あるんだろ? 今のうちだよ」 「・・・願いなんて」 ない、と否定することはできなかった。 少年が、こう続けたから。 「ありそうな顔してるよ。何かを願ってるみたい」 * * 今なにか、とんでもないキーワードを聞いたような気がした。 どうして、彼は俺の好物を知ってるのか。 「ほら、見なよ」 少年がつい、と俺の服を引っ張る。 「あ?」 考えをまとめようとしていた俺だったけど、少年が示した方向に目をやり、いっきに思考が奪われてしまった。 それは、無数の星のシャワーだった。 「・・・うわ・・・っ」 後から後から落ちてくる星。 思わず傘を差したくなってしまうほどで。 「すげーっ! 俺、こんなの初めて見た!」 静かに空を見上げてる少年の隣で、俺はバカみたいにはしゃいでいた。 どちらが年上か分かったもんじゃない。 「そうだ、流れ星が落ちる前に願い事しようぜ!」 浮かれる俺に、少年はさらりと言う。 「流れ星っていうか、流星群だけど」 「・・・かわいくないガキ」 「ガキはどっちだよ」 無尽蔵に降って来る星たち。 確かにきれいだけど。 でも本当は、こんな風にひとりで見るつもりじゃなかった。 ・・・兄貴は、どうしてるだろう。 この星空をどこかで見ているんだろうか。 「何、考えてるの?」 「え?」 いきなり声を掛けられてびっくりした。 黙りこくってしまった俺の顔を、少年は覗き込んでくる。 「・・・俺、人を探してるんだ。さっき、はぐれちゃってさ」 苦笑いして答える。別に隠すことじゃない。 「じゃ、願いを掛けてみたら?」 空を仰いで、少年はそう言った。 「もう、やってる」 言いながら、俺は願いに集中できるように目を閉じた。 真っ暗になった視界の中、少年の声が響く。 「オレも、一緒に願ってあげるよ」 相棒は、 兄貴は、 なぜ今、俺の傍にいないんだろう・・・? →NEXT |
星祭りの夜 [2] |
| 誰かが言ってた 七夕の夜は、精神の旅(サイコトラベル)ができるんだって 星祭りの夜 [2] 影山瞬 「兄貴ー、どこだよー!」 七夕の夜、満天の星空の下。 いつもと違う場所で、兄貴と一緒に星を見ようと思っていたのに、気づいたら兄貴とはぐれてしまっていた。 下は川だし、この土手のどこかにいるはずだけど姿が見えない。 「おっかしいなぁ・・・」 ここ最近じゃ珍しく綺麗な流れの川面に、月が揺らいでいる。 「お月様、兄貴知らない?」 俺の問いに、水面だけががさらさらと音を立てる。 ほかに音は何も聞こえない。兄貴も、誰も、いない。 そんな静まり返った中、ザブンと水が跳ねる音がした。 「・・・兄貴!?」 俺は慌てて、音のした方に向かう。 まさか兄貴が足をすべらせて川に落ちたんじゃないか、と心配になって。 川ぶちに立つ黒い人影が目に入った。 とりあえず、その人物は兄貴ではなさそうだ。もっとずっと小柄で・・・どうやら少年らしい。 その子が川に何かを投げ込んだだけだ、と分かり、俺は肩を落として引き返そうとしたのだが。 目の前を流れていくそれを見て、俺はギョッとした。 学校の教科書に、カバン。 それに続いて、今度はその少年自身も大きな水音を立てて川に飛び込んだ。 「わっ、バカ!」 おそらく足は立つだろうが、流れは結構速い。 考える暇などなく、俺も川に足を突っ込んでいた。 ザブザブと流れに逆らって歩き、教科書とカバンを拾い上げた手で、子供を抱える。 「何やってんだよ、死ぬ気か?」 「・・・あのさ、こんな浅い川で死ねると思う?」 妙にこまっしゃくれた調子で、少年は呆れたように言う。 言われてみれば、確かにそうだけど。 こんな小学生の子供に馬鹿にされるのは気分が悪い。 「助けに来てやったのに、その言い草はないだろ」 ムッとしながらも、川から拾ったものを少年に突き返してやる。 ずぶぬれの俺と教科書を交互に見て、少年ははにかんだ笑顔を見せた。 「・・・ありがとう」 その笑顔に、どこか見覚えがあるような気がしたものの、はっきりと思い出せない。 土手まで這い上がった俺たちは、たっぷり水を吸ったシャツの裾を絞った。 頭からつま先まで、びしょ濡れ。 少年は別のスポーツバックからタオルを取り出すと、俺に投げて寄越した。 「いくら夏でも、風邪ひいちゃうよ」 「お前から先に拭けよ。俺は大人だからいいんだ」 なんて、カッコつけてみたけど。その後に盛大なくしゃみをして笑われてしまった。 どうも、調子が狂う。 どうやら、少年は俺に打ち解けてくれたらしく。 草の上に腰を下ろしたまま、聞いていないことまで、あれこれと話してくれた。 たとえば、今回のことは、塾をサボった理由をカモフラージュするために、川に落ちたように見せかけようとしたのだ・・・とか。 「サッカーの試合が近いから練習があって。でもそんなこと、親には言えないから」 「なんで? スポーツだって立派なことじゃん」 「親は、オレがしっかり勉強することを望んでる。塾に行かなかったなんて、言えるわけないよ。サッカーチームのみんなは、今度の試合でオレに期待してる。・・・どっちも、断れない」 聞いていて、俺は頭が痛くなった。 「どっちにも、いい顔しようって?」 「だって、みんながオレにそう望んでるんだ。だから、オレは完璧でなきゃいけない。そうでなきゃ・・・」 周囲の期待通りの自分でなければならない。 そうでなければ、自分の存在が維持できなくなってしまう。 完璧であり続けられるわけがないのに。 無理を重ねれば、ひずみが生じて、いつかは破綻する。 やっぱり誰かに似てる、と俺は眉を寄せた。 「・・・なんか、全然好きでやってるように見えない。楽しそうに見えないんだけどさ」 子供なら、もっと気楽に構えて、いろんな事を楽しむべきなのに。 「体裁のためだけにやってる、って感じがする。そんなの疲れちゃうだろ」 いつも心を張り詰めて。 「・・・泣いたっていいんだ。たまにはさ」 その言葉が、呼び水だった。 多分、この子は自分の弱い部分を人に見せることを禁じていたんだと思う。 大粒の涙をこぼし、声をあげて少年は泣いた。 そんな少年の隣で、俺は黙って流れる川を見ていた。 こんな時、何もできない。 ただ、傍にいることぐらいしか。 なぜか俺に心を開いてくれたこの大人びた少年は、ひとしきり泣くと落ち着いたらしい。 笑顔が戻り、俺に話しかけてきた。 「オレね、本当はひとつ、好きなことあるんだ」 「うん?」 少年の笑顔にほっとしながら、俺も笑い返す。 「・・・オレ、料理が好きなんだ」 「料理?」 何かの予感に、俺はドクンと心臓が高鳴った。 「そう。得意の麻婆豆腐、いつか作ってあげるよ。・・・約束する」 →NEXT |
星祭りの夜 [1] |
| ※亡き石ノ森先生をリスペクトして。 誰かが言っていた 七夕の夜は、精神の旅(サイコトラベル)ができるのだと 星祭りの夜 [1] 矢車想 「相棒! どこだ?」 先ほどから呼んでいるが、相棒の姿が見当たらない。 こんな夜中にこんな場所で、はぐれるバカがいるか。 例年、雨が降ることが多い七夕の夜。 今年は珍しく晴れたから星がよく見えるところに行こう、と言い出したのはあいつなのに。 すぐ下に澄んだ川が流れる土手に腰を下ろし、俺は探すのを諦めた。 街灯もない。 月明かりと星の輝きだけが頼りのこの場所で、下手に動いたら余計分からなくなりそうだ。 月の光を宿し、さらさらと流れる川面。 静寂の中、川の流れだけがあった。住宅街からそれほど離れていないはずなのに、生活の音がまったくしない。 あまりの静けさに、俺はわずかに身震いした。 まるで、世界に自分ひとりだけしかいないような感覚に襲われる。 いつも俺の傍にいた相棒も、今はいない。 「どこに行ったんだ、相棒・・・」 呟くように言って、俺は膝の間に顔を伏せた。 "笹の葉さらさら のきばに揺れる" どこかで、子供の歌う声が聞こえる。 誰か来たのだろうかと周りを見回すと、俺の下の方、川ぶちに小学生くらいの少年がいる。 笹の葉で作った舟を川に流そうとしているようだ。 「おい、そんなとこにいると危ないぞ」 近くに寄りながら、驚かせないように声をかける。 だが少年は俺の忠告に耳を貸さず、目的を果たそうとさらに身を乗り出していた。 「危ないって言ってるだろ、落ちるぞ!」 ぐい、と俺は少年の体に腕を回して引き上げた。 「・・・離せよっ!」 少年はキッと睨み付けてくる。その顔は、どこかで見覚えがあるような気がする。 「なら、別の場所でやれ。俺の見てないところでなら勝手に落ちろ」 突き放すように言うと、少年は急に黙り込んだ。 そして、すがるようにギュッと俺の腕を掴む。 「・・・なんだよ。助けてくれたんじゃないのかよ」 「悪いな。そんなに善人じゃない」 「・・・助けてよ」 「え?」 少年の訴えに俺は戸惑った。 「一度助けようとしてくれたなら・・・ちゃんと責任持てよ」 俺を見上げてくるその顔は、確かによく知ったもので。 「・・・お前、名前は?」 馬鹿げた考えだと思いながらも、確かめずにはいられなかった。 問われて一瞬きょとんとした様子を見せたが、少年は屈託ない笑顔で答えた。 「影山瞬」 頭を殴られたかのような衝撃が走った。 半ば予想していた答えではあったが。 これが過去の影山だというなら、今の影山はどこだ・・・? 「どうかした?」 呆然とする俺を不思議に思ったらしく、少年の影山が覗き込んでくる。 「いや・・・。それよりお前、どうしてこんなところにいるんだ?」 頭を整理しなくてはならない。 俺は状況を把握しようと、少年からの情報を求めることにした。 「別に。笹舟を流そうと思っただけさ」 どこか、きまり悪そうな言い方をする。 ふと彼が手に握っていた笹舟に目をやると、その先には短冊が付いていた。 短冊を付けた笹を流す行事は聞いたことがあるけれど、笹舟とは。 「ぷっ」 おかしくなって吹き出す俺に、少年は真っ赤になって怒った。 「わ、笑うなよっ! 俺の短冊、笹に飾らせてもらえなかったんだから、仕方ないだろ!」 「飾らせてもらえなかった? どうして」 「・・・いろいろ事情があるんだよ」 うつむいてしまった少年に、それ以上聞くことはできなかったが。 短冊に書かれた願いが、彼の境遇を物語っている気がした。 『強くなりたい』 このくらいの歳の子供が、そんな願いごとをするというのは・・・。 強く、なりたい。 誰からも傷つけられないくらい、強く。 俺にも、そんな想いを抱いていた時期があった。 「やめとけ。今のお前じゃ、強くなれない」 少年の感情を逆撫ですることは分かっていた。 「どうしてだよ!?」 案の定、食ってかかる影山の頭に俺はポンと手を置いて。 「・・・お前は、助けを求めてるんだろう?」 諭すように俺は言った。 「頼りたい気持ちは分かる。だが、そのままじゃ強くなれない」 「・・・じゃ、どうすればいいの?」 「そうだな。まずは、自分の現実を受け入れろ。目をそらしたり、逃げたりしないで」 子供相手に何を真剣に語っているのか、と自分でもおかしかったが、なぜか言わなければいけない、言っておきたいと思った。 「逃げずに、戦うんだ。自分の力で」 「がんばっても・・・それでも、ダメだったら・・・?」 少年が泣きそうな顔で尋ねてくる。 「がんばって、ダメだったとしても・・・」 俺は彼の頭をキュッと抱き寄せた。 「・・・俺が、傍にいる」 →NEXT |
雑記:いまさら七夕 |
| ・・・しまった(--; イベントごとに小説を書こうと決めていたのに、今回七夕のことを忘れてました。 というわけで、10日程遅いですが、七夕イベントの小説、明日からアップします。 前後編くらいで終わる予定だったのに、もう少し長くなりそうで。3〜5話くらいかと・・・(^^; 七夕の話は、大好きな石ノ森先生の『009』を元ネタにして、どうしても書きたかったのでした。 もうこんなの、書ける機会ないかもしれないし(笑)。 『サイボーグ009』の「星祭りの夜」を知ってる方は、ニヤッと笑ってやってください。 お怒りはご勘弁を・・・m(__)m |
ダブル★アクション2 [24] |
| ダブル★アクション2 vol.24 コール・ミー・トゥナイト 今日は花金(死語)。 がっつり飲んで仕事の憂さを晴らそう、とか、彼女を誘ってロマンチックな夜を過ごそう、とか考えてたお客の皆さん、ごめんなさい・・・。 今から、店内はバトル会場となります。 ウカワームに変わった麗奈に、もう人間の心は残っていない。 カニの足みたいなおいしそうな腕を振り上げ、俺に襲い掛かってきた。 『逃げるぞ』 「え、え?」 いつの間にか、俺に体を返した矢車さんが俺を促す。 「逃げるって・・・戦わないの?」 戦闘シーンを楽しみにしてくれていた(かもしれない)読者様の期待を裏切るなんて。 俺の方は、カニすき食べに行きたい妄想や食欲と必死に戦ってたけど。 『ZECTにワームが暴れてると通報しろ。ワーム化ネックレスの事もな』 「でも、カブトやガタックが来たら・・・あの女、やられちゃうよ?」 俺たちが彼女を無理やりワームに変身させたんだし、いくらなんでもそれはマズイんじゃ。 『大丈夫だ。・・・風間がいる。奴が彼女を守るさ。それに、天道はともかく、加賀美は事情を知れば麗奈に攻撃はかけないだろう』 俺の気持ちを察したらしい矢車さんが、珍しく優しく言う。 "策士" なのに・・・。 ホールに現れたウカワームの姿を見て、あちこちで悲鳴があがった。 風間も異変に気づいたようだ。 俺は騒ぎに紛れて店外に出たところで、携帯を取り出した。 新しく設置されたというZECTのフリーダイヤルにかけると。 「一般市民の方は"1" を、ZECTの方は"2" を押してください」というガイダンスが流れる。 「なんだよ、これ?」 使えねーと思いながらも、"2" を押す。 「勤務については"1" を、緊急連絡については"2" を・・・」と、さらに自動音声が。 緊急連絡がこんなにまどろっこしくて、意味あるんだろうか。 今度、フリーダイヤルのクレームを匿名で投書してやる。 俺はいったん電話を切り、ZECT直通の番号にかけ直した。 すぐ出てくれた田所さんに事態を報告し、応援を要請する。 バカなことに時間を取られてしまったせいで、店内の喧騒はますます大きくなっている。 がんばれ、風間。今はお前だけが頼りなんだ。 仕方なく心の中で風間を応援しつつ、俺は足早に店を離れた。 じき、ZECTが来るだろう。 でもなんか、俺、放火して逃げた犯人みたいじゃない? しばらく黙って歩いていたけど、俺は立ち止まってコツンと拳で胸を叩いた。 「・・・ねえ、なんでこんな事するのさ、矢車さん」 『ZECTを引っ掻き回して、奴の尻尾をつかむためだ』 「そしたら・・・どうするの?」 『決着をつける』 矢車さんの口調は、決意を込めた強いものだった。 何かを考えてるように。 俺は少し不安になって、思わず聞いてしまった。 「もしかして・・・俺と矢車さんのこのラブコメ、ついにクライマックスとか」 『そうかもな』 またもやあっさりと矢車さん。 ・・・だからさ、そこでツッコミ入れてくれなきゃ困るんだってば。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [23] |
| ダブル★アクション2 vol.23 い・け・な・いワームマジック 「で、相手の男は誰?」 なんか浮気相手を追及する旦那みたいになってきたよ、矢車さん。 「名前は・・・知らないわ」 「・・・どんな男だ?」 これを修羅場というんだろうか(いや、違う)。 俺は不謹慎にもドキドキわくわくしながら状況を見守った。 「彼は・・・眼鏡をかけてて、無表情で、セクハラ上司みたいな・・・」 「ふーん、そう」 麗奈の言葉に、矢車さんは満足げな笑みを見せた。 眼鏡・・・セクハラ上司・・・どこかで覚えがあるような、ないような。 『心当たりあるの、矢車さん?』 「お前はないのか?」 尋ねたら、反対に聞き返されてしまった。 「まあいい。答えてくれて、ありがとう。これはお礼だ」 矢車さんは壁から手を離すと、ポケットを探って綺麗なネックレスを取り出した。それを、麗奈の首にかけてやる。 「え?」 いきなりの事に彼女は思考が付いていかないらしい。 俺もビックリした。まさに、ラブストーリーは突然に。 『どういうつもりだよっ』 急展開に頭がパニくってしまい、おかげでいっきに酔いが醒めた。 「・・・いいから見てろ。あのネックレスは、俺がエリアXで見つけたものだ」 小声で矢車さんが言う。 「ワーム化促進ネックレス。ZECTの一部で秘密裡に開発されたらしい」 『ワーム化・・・って』 俺はさらに衝撃を受けた。 矢車さんの説明を俺流に解釈すれば、それはつまり。 "これを付ければ、君もワームだ! 変身ネックレス!" なんてキャッチコピーでバン●イから発売されたり。 あるいは、「ワーム化ネックレスー!」と、あの独特の言い回しでドラ●もんがポケットから出しそうな、22世紀のひみつ道具みたいなもの、ってこと? 「そうだ」 あっさり肯定する矢車さん。 サラッと流されても困るんだけど、まあ大体は分かった。 『でも、どうやってネックレス盗んできたのさ。矢車さん、俺の中から出たら砂の体じゃない』 砂の手でどうやって、物をつかめたのか。 ドラ●えもんのマジックハンド並みに不思議だ。 「そんなことより・・・見てみろよ」 うまくはぐらかされた気もするけど、それよりやっぱり目の前の光景に驚いてしまった。 麗奈がワームに変わっていく! もともとワームの彼女は、ネックレスの力でワームの意識が目覚めたんだろう。 それにしても、これは・・・。 どうあっても穏便には終わりそうもない。 次回、激闘必至!? →NEXT |
ダブル★アクション2 [22] |
| ダブル★アクション2 vol.22 夜の帝王 風間と麗奈が向かった先は、ムーディーなバー。 結構高そうで財布の中身が気になったけど、しばらくカップ麺でしのげば、給料日まではなんとかなるだろう。 麗奈を優雅にエスコートする風間を目で追いながら、俺は店の隅の目立たない場所に席を取った。 ふたりに気づかれないように。 うわ、風間の奴、ドンペリなんて頼んでる。 俺も何か注文しなきゃと思ったけど、あんまりこういう場所に来たことないからよく分からない。 『これならいいんじゃないか。トマトジュースだぞ』 と矢車さん。 「じゃ、ブラッディ・マリーを」 最近野菜不足だし、ここは矢車さんの助言通り、トマトジュースでヘルシーにいこう。 落ち着いた音楽と、心地良いソファと、おいしいトマトジュース。 こういった雰囲気でくつろぐのも悪くない。 時間が経つにつれ、なんだか頭がホワホワしてきた。 『チャンスだ。女が離れた』 「は・・・?」 麗奈が化粧室に立ったらしい。 矢車さんが俺に呼びかけるけど、顔はほてるし、足元はふらつくし。 『めんどくさい。・・・変わるぞ』 すかさず、俺の体を乗っ取る矢車さん。 もしかして計画的犯行? 俺を酔わせて、ヘンな事する気だったとか。 『誰がヘンな事だ。麗奈を追い詰めるんだろ』 ・・・分かってるってば。 相変わらず冗談が通じないんだから。 矢車さんはスッと席を立って、麗奈の後を追う。 風間の方は、座ったままだ。俺には気づいていない。 化粧室へ通じる薄暗い一角は、ちょうど死角になっているため、店のホールからこちらは見えない。 化粧室から出てきた麗奈を、矢車さんは待ち伏せした。 麗奈を壁際に追い詰め、ダン!と両手を壁に打ち付けた。 彼女を逃がさないように、自らの腕で囲む形で。 「あ、あなたは・・・」 麗奈は怯えた目で俺を見てる。 さっき挨拶した俺と矢車さんが入ってる時の俺は、明らかに風貌も違う。 いきなりこんな事されたら、コワいよな、普通。 「あんたに聞きたいことがあるんだ・・・」 低い声で囁くように言う矢車さんは、どこかのチンピラみたいなノリで。 ちょっとこの展開はヤバいんじゃない、と俺はハラハラしていた。 けど、矢車さんは容赦ない。 「あんたをワームだと自覚させた男は、誰だ?」 「わ、私には何のことか・・・」 「誤魔化すつもり? なら、あんたの体に聞こうかな」 ワイルドかつバイオレンスチックなこんな台詞、間違ってもZECTの皆や小さいお子さんには聞かせられない。 でも、これ、R-18指定じゃないから。 ほどよくアルコール回ってきたところに暴れたら、悪酔いしてしまう。 『頼むから穏便に済ましてよ』 矢車さんに懇願してみるけど。 「相手次第だな」 という答えに、俺は、トマトジュースなんか飲むんじゃなかった、と激しく後悔した。 →NEXT |
雑記:映画いろいろ |
| 夏風邪と残業でヘロヘロのため、更新ペース落ちててすみません。 『迷宮〜』[8]のスレッドテーマが、なぜか「二次小説(BL)」になってますけど、間違いです(--; 一度保存しちゃうと、修正できないようで・・・(苦笑)。 昨日、『ダニー・ザ・ドッグ』観ましたv いろいろ「ありえねー」なところはありますが、感動できればイーじゃん、イーじゃん♪ ジェット・リー、若い! 40代には見えない・・・。 マイケル・J・フォックスと並んで、永遠の少年じゃなかろうか。 ジェット・リーのデビュー作、『少林寺』。 実は、『六神合体ゴッドマーズ』というアニメ映画と同時上映で(←ワタシはこっちが目当てだった)映画館で見たものの、ほとんど印象に残ってなくて。 昔は、アニメと同時上映なんてキテレツなことをしてたもんです(^^; ファンと言えるほどたくさんは見てないけど、『ザ・ワン』や『キス・オブ・ザ・ドラゴン』は好きですv ほんとは『仮面ライダー THE NEXT』のことを書くつもりだったのに・・・ジェット・リーにやられました(笑)。 拍手押してくださった方、ありがとうございます。 更新滞ってて、ごめんなさい。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
迷宮クロニクル [8] |
| 九月二日 己の立ち位置を振り返るとき、 大切な存在に気づくものだ 迷宮クロニクル [8] パンチホッパーとなった三島は、影山やシャドウと共にたびたび戦闘に赴くようになった。 そのことを知ったZECT総帥が、ひどく複雑な顔をしていたのを、影山は不思議に思っていた。 ZECT内でも隠されていたそのライダーがどういう存在なのか、影山には分からない。 それに、なぜか矢車が関わってくる。 彼の目当ては、おそらくパンチホッパーだろう。矢車が現れるようになったのは、三島がホッパーになってからだ。 影山は矢車が生きていることを三島に告げ、何があったのか問いただそうとしたが、三島の反応はあっさりしたものだった。 「そうか」と一言だけ発し、それ以上は弁明しようとしない。 自分の知らないところで何かが動いている・・・影山は薄々、そんな風に感じ始めていた。 膨らみかけていた疑惑が明確になったのは、三島の執務室に矢車の姿を見た時だ。 薄汚れた黒いロングコートをまとった矢車が、来客用のソファにゆったりと腰を下ろしている。 三島の方は、立ったまま窓の外を眺めていた。 (なんだってZECTに・・・) 以前の矢車を知る者に見られたら、あれこれ詮索されることは間違いない。田所や加賀美など、他の誰とも出会わなかったのだろうか。 わずかに開いているドアの隙間から、影山は戸惑いながらも、そっと中の様子を窺った。 「たいした性能じゃないな。こんなものが、『赤い靴』のサポートになるのか」 三島がホッパーゼクターを手にしているのが見える。 パンチホッパーのことを言っているのだろうが・・・『赤い靴』とは何だろう。 「まだ能力の半分も出し切っちゃいない。あんたの知らない力があるのさ」 矢車は口の端で笑った。 冷たい目だ。 自分に向けてくれる優しい顔とは、まったく違う。 「ほぅ。それは何だ?」 「取引だと言ったろう。こちらの条件をすべてクリアしたら教えてやる」 ドアの向こうの影山に気づかず、ふたりは話を進める。 おもむろに矢車が立ち上がり、掴みかからんばかりの勢いで三島に詰め寄った。 「影山をザビーから解放しろ」 矢車の口から出た自分の名前に、影山は心臓が飛び出しそうになった。 (一体、何の話だ・・・) ドキドキと跳ねる鼓動を抑えることができず、影山は食い入るように事の成り行きを見守った。 →NEXT |
迷宮クロニクル [7] |
| 八月三十一日 すれ違い、また出逢い 人と人との関係は思い通りにいかない 迷宮クロニクル [7] ねぐらにしていた渋谷廃墟を出た矢車は、三島の動向を窺っていた。 果たして、こちらの思う通りに動いてくれるのか・・・。 三島にはまだハイパーゼクターという切り札がある。 ホッパーゼクターなど三島にとっては取るに足らないものかもしれない。そのまま捨て置かれるのでは、と危ぶんでいたのだが。 「・・・そうそう、俺の相棒になってくれなきゃ。なぁ、三島さん」 廃ビルに立てこもったワームらを相手に、パンチホッパーが応戦している。 ビルから少し離れた物陰で、矢車は戦いの様子を見守っていた。 見なくとも、パンチホッパーの動きは手に取るように分かる。 ザコばかりだ。ザビーとシャドウまで率いていれば、容易にけりが付く。 恐らく、三島はホッパーの性能を実戦で測っているのだろう。 加賀美陸が希望を託したライダーがどんなものか、その身で知るために。 それに、直属のライダーであるホッパーが三島の手に渡ったとなれば、陸へのいい見せしめにもなる だからこそ、矢車は三島にホッパーゼクターを渡した。 自分の『相棒』にするために・・・。 「こんなものか」 たいした戦闘ではない、と矢車が立ち去ろうとしたその時。 小さな子供が2人、はしゃぎながら廃ビルの方に駆け寄っていくのが目に入った。 (まずい・・・!) 「待て、行くな!」 叫んで連れ戻そうとしたが、遅かった。 異形の怪物を目撃して、子供たちは悲鳴をあげる。 「チッ!」 彼らをかばうように、矢車はワームの前に立った。 利き脚の右に渾身の力を込め、蹴りを放つ。 ドォ・・・と倒れたワームから、矢車は子供たちへと視線を移した。 「大丈夫か?」 コクコクと頷くのを確認すると、2人を両腕に抱え走り出す。 「じゃ、逃げるぞ」 「お兄ちゃん、後ろ!」 子供のひとりが叫んだ。 気配で分かった。 攻撃が来る。 けれど、両手が塞がったこの体勢で切り返すのは無理だ。 「目つぶってろ・・・」 矢車は子供たちに優しく言った。 覚悟しながらも、足を止めることはしなかった。 今にも襲ってくるかと思われた衝撃は、しかし一向にやってこない。 振り向いた矢車が見たものは、ワームにニードルを突き立てているライダーの姿だった。 「影山・・・」 ザビーが黄金色のプロテクターをきらめかせ、こちらを向いている。 だが、表情は分からない。 矢車も何を言うべきか躊躇していた。 お互いが声を出せないうちに、ザビーはじり・・・と後じさり、何か小さく呟いて矢車から離れていった。 動かなくなったワームを見て、矢車は息をつく。 影山のおかげで、命拾いをしたようだ。 子供たちを安全なところまで連れて行った後、矢車は先程の影山の言葉を反芻した。 (俺の前に現れるな・・・か) 「悪いが、そうもいかないんだ」 手の中のホッパーゼクターを見つめて、矢車は自嘲気味に笑った。 →NEXT |
迷宮クロニクル [6] |
| 八月二十八日 運命の歯車は、かみ合わないまま それでも動き出すしかないのだ 迷宮クロニクル [6] うっかり二度寝をしてしまい、遅刻寸前に影山はZECT本部の守衛の前を駆け抜けた。 「おはようございます!」 IDカードを示しながら、挨拶もそこそこに走って行こうとする。 「今日は機嫌がいいねぇ、影山さん。夕べ彼女でも泊まってたの?」 「やめてくださいよ! 俺、彼女なんていませんて」 冗談めかして言う守衛に、影山は思わずムキになる。 急がないと遅刻だよ、と付け加えられ、影山は腕時計を見て足を速めた。 まったく。分かってるなら、呼び止めないでほしい。 昨夜、矢車が訪れたことは現実だったのか。 いつのまにか眠ってしまったらしい影山には判別がつかない。 朝目覚めたら、もちろん矢車の姿はなく、そもそもいつベッドに入ったのかも記憶がなかった。 ただ起きてからの気分は、すこぶる良かった。 これが遅刻ギリギリでなければ。 「・・・遅くなって、すみません!」 三島が待つ執務室に駆け込むように入った影山は、深々と目の前の男に頭を下げた。 朝一で来るよう言われていた日に限って、遅れてしまうなんて。 しかし、三島はその事に関して別段気に留めた様子はなかった。 愛用のサプリメントを飲んだ後、軽く体を動かして伸びをする。 「最近、少々運動不足だな」 「・・・はぁ」 三島の言葉に影山は適当に相槌をうつ。 無表情な上司の意図を測りかねた。 そんな事を言うために呼び出したのではないだろうに。 「実は、或るルートから新しいライダーを手に入れた。ZECTのお歴々は、私がこれを手にしているのを知らないだろう」 「・・・え?」 「実験的に、私がそのライダーになろうと思う。そこでだ、シャドウ及びザビーはしばらく私の指揮下に入ってもらう」 (新しい・・・ライダー?) 話がまだよく見えない。 「或るルート・・・って、ZECTが知らないって、どういうことなんですか?」 不信感を隠さずに影山は三島に詰め寄った。 だが、答える必要はない、と三島は短く言い放つ。 確かに、一部下に過ぎない自分に説明する義務はないのかもしれない。 けれど、三島の言動についていけなくなる事が度々ある。 矢車の件があってからは特に・・・。 「ちょうどいい。今ここで見せてやろう」 何を思ったのか、三島は変身用のベルトを影山に見せ付けるように装着した。 手には既にゼクターが握られている。 「変身」 バッタ型のゼクターがベルトに収まると、三島の体を装甲スーツが覆っていく。 影山は呆然とそれを見守っていた。 (このライダーは・・・) その姿には見覚えがあった。 色こそ違っているが、昨夜矢車が変身して見せたライダーとまったく同じで。 三島の姿は、矢車の緑色ではなく、グレイのそれだった。 「パンチホッパーだ。マスクドフォームもないらしい」 ライダーシステムを馬鹿にしているような口ぶりで三島は言った。 それならなぜ、自らライダーになろうというのか。 疑惑が抑えきれなくなりつつある。 「パンチホッパー、ですね。分かりました」 そんな自分の気持ちに逆らって、影山は三島に了承の意を示した。 ZECTで生きていくためには、三島に従順であり続けなければならない。 それが、影山が身をもって知った現実だった。 →NEXT |
イマジンの声 |
| 平日休みの時の定番となった『必殺仕事人』を観てたら、2007年の『必殺』スペシャルをやるそうで。楽しみですv 中村主水は変わらないけど、メンバー一新・・・どうなるのかなぁ。 いえ、今回の話題はそうでなく(^^; 『電王』映画版に、徳山さんと内山さんがイマジンの声で出演されるとか。 ふたり揃って・・・って、スタッフ狙ってるんでしょうか(笑)? どちらも普段の声とは違うみたいだから、聞いても分からなかったりして。 ほんとは声だけじゃなく、また二人が同じ画面に映ってるとこが見たいんですけど〜。 ・・・やはり無理ですか(--; 拍手押してくださる方、ありがとうございます。 とっても感謝してます(^^) ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
ワイルドストロベリー |
| 俺たちには縁のなさそうな洒落たアクセサリーショップの前で、相棒が立ち止まって、中を覗いている。 人差し指を口のところに当てて、いかにも物欲しそうに。 「兄貴、あれ欲しい」 言うと思った。 相棒が見ているのは、それぞれ黒と緑の石が配された2本の対をなすリング。 指輪好きの相棒のお眼鏡に適ったらしい。 俺も少し心惹かれて、なにげに値段を確認する。が。 ・・・見なかったことにしよう。 「あのリング、欲しいな兄貴」 「・・・なら、買えばいいだろう」 「カッコいいよね、あのリング」 じっと俺の顔を見上げてくる相棒。 「だから、欲しいなら買ったらどうだ」 「兄貴だって、あれ、いいと思わない?」 あえて「買って」とは言わない。 相棒は期待に満ちた表情で、俺が折れるのを待っている。 期待するな、といつも言っているのに。 「そうだな。ゼロひとつ少なかったらな」 「じゃ、いつかゼロひとつ分返すからさ。今回は貸しにしといてよ」 どうあっても、相棒は引かない。 よっぽどこのリングが気に入ったらしい。 溜息をつきながら、気がつくと俺は店に入って会計を済ませていた。 「これ、2本重ねると字が浮かび上がるんだって」 お目当てのリングを大事そうに手のひらに乗せ、相棒は説明する。 なるほど。2本合わさって、ひとつになるわけだ。 「ひとつは兄貴に」 はい、と相棒は緑色の石の方を俺に渡してくる。 「2本とも一緒じゃなきゃ意味ないだろ」 「うん。だからこそ、片方は兄貴が持っててよ」 ふたつ揃って、意味を成すものだから。 そう、俺たちのように。 「俺がゼロを返すまでね」 嬉しそうに笑う相棒に、俺は何も言えなくなる。 今回は、相棒にまんまと乗せられてやろう。 「・・・早く返せよ」 俺は自分の指にシルバーの輝きをはめながら、苦笑した。 END ※時期をはずした気もしますが、コラボアクセネタです(^^; 7/1、イベントだったんですよね。行かれた方は、いかがだったでしょうか。 |
ダブル★アクション2 [21] |
| ダブル★アクション2 vol.21 幼女と美女の 「とにかくゴン、お前は帰れ。遅くなると、お母さんが心配するぞ」 風間の言うことは至極正論なんだけど、お邪魔虫を追い返したいという気持ちが見え見えだ。 そんな風間に、ゴンも負けてない。 「知らないの? 今時の小学生は習い事で忙しいから、帰るの遅いんだよ」 「そろばんや習字か?」 俺の名誉のために言っておくと、今の台詞は俺じゃないから。 矢車さんに一時的に俺の体を乗っ取られただけ。 「習い事はいいわね。私も子供の頃は、蹴まりや薙刀を習ってたわ」 麗奈が楽しそうにゴンに話しかける。 ・・・一体、いつの時代の人だよ。 時代の波に微妙にズレたこの人たちは置いといて、俺はゴンの目線に合わせてしゃがみこんだ。 「これからは大人の時間だから。18歳未満はお断りだってさ」 「お前! ゴンに何てことを!」 体裁よく帰そうとしてやったのに、風間が突っかかってくる。 真っ赤になって怒ってるとこを見ると、なんかヤマしいことでも考えてたんだろうか。 「なんだよ、だってそうだろ」 日も落ちてきたこの時間、まさかマッ●やファミレス行くわけじゃあるまいし。 『お前は直接的過ぎるんだ』 矢車さんがそう呟いたと思うと、また体を乗っ取られていた。 「俺」はゴンの耳元で何かぼそぼそと言った。 するとゴンは途端に納得し、「またね大介」と言い置いて足早に去っていく。 恐るべし、策士矢車。 「邪魔して悪かったな。じゃあ俺たちも、これで」 「・・・俺たち?」 片手を挙げて爽やかに立ち去ろうとする俺に、風間が怪訝な顔を向ける。 ヤバ・・・危ない危ない。 追及される前に俺は二人から離れ、見えないところで物陰に隠れて様子を伺った。 連れ添って歩き出す風間たちから距離を置き、俺もその後を行く。 「・・・ほんとにやるの、矢車さん?」 『ああ、ゴンと約束しただろ』 幼女との約束なんて、常日頃ならいかにも反古にしそうな策士矢車さんなのに。 約束にかこつけて、自分の目的を果たそうということらしい。 まあ、いいけど。 始末書書くような事態にはなりませんように、と俺はこっそり願った。 →NEXT |
「電王」第22話&雑記 |
| 侑斗くん、変身できるのはあと8回? 「多いのか少ないのか分からないけど」って言ってましたけど、今22話だし、ちょうどいいんじゃないですか(笑)。 今回、『引き受けた仕事はどんな仕事でもやり遂げなければならない』という社会の厳しさが分かる話ではなかったかと・・・(^^; 『カブト』だったら、天道や加賀美くんでも仕事放棄して行っちゃうでしょう、きっと。 なんというか、『電王』は良太郎も普通の男の子だし、日常的な小さなコトを描写してくれるとこがいいのかもしれませんv 拍手、ありがとうございます(^^) ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |