完全調和な不協和音 [9] |
| 完全調和な不協和音 vol.9 ニ長調の相談 翌日、日下部が言ったように、ザビーの事件がZECTのごく一部の者に伝えられた。 ZECT総帥、三島さん、他の幹部たち、そして田所さんという面々。 「ゼクターのデザインもようやく決定したぞ。なんと、モリ●ナエの新作モデルだ」 ザビーの周知が終わった後、「グッドニュースだ」と田所さんは俺に告げる。 「それは良かったですね」 どうでもいいと思いつつ、いつも通り俺は愛想よく相槌を打った。 万が一破壊したら、ZECTから恐ろしい金額の請求書が回って来そうな代物だが。 「・・・じゃ、次は資格者探しですか」 「そうなんだ。矢車、お前カブトになってみないか?」 『君、アイドルになってみない?』と、原宿辺りを歩いていると一昔前はよく声を掛けられたものだ。 「カブトは辞退しますよ。『天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ』なんて口上、俺にはできそうもありません」 「いや、平成ライダーに口上はないと思うぞ・・・」 どちらにしても、カブトには違和感がある。 俺には向いていない。 「なら、ドレイクはどうだ?」 「3番目のライダーでトンボでしょ。人気は出そうだけど、二番煎じじゃないですか」 「じゃ、サソードは」 「あの、ちょんまげみたいなのが嫌です」 「そう言われてもな・・・」 ふむ、と田所さんは顎に手をやる。 あえてザビーの名前を出さないのは、田所さんの思いやりだろう。 そんな話をしながら、俺たちの足は自然と人気のない方に向かっていく。 別に、ヘンな下心など微塵もないし、そもそもあり得ない。 ZECTの建物内でもあまり人が立ち入らないエリアがあって。知られたくない内々の話をするには、格好の場所だった。 普段は電気も付けていないため、昼間でも薄暗い。 「これも田所さんが書いたんですか?」 壁に貼られた『経費節減』の張り紙を俺は指差した。 「いや、それは別の者だ。俺は廊下担当になってる」 つまり、まともな張り紙は "田所さん作" ではない、と。 「や、やめてくださいよっ!」 ふいに聞き覚えのある声が、暗い廊下の突き当たりから聞こえた。 「影山・・・?」 期待を裏切ることなく、数人のゼクトルーパーに取り囲まれている部下の姿を見て、俺は思わずげんなりする。 ヘルメットをかぶっているため連中の顔は分からないという念の入れようで。 不良たちに絡まれるなんて、学園ものにパーフェクトにありがちなシチュエーションだ。 「カッコよく助けてやれ」と俺にひそひそ囁く田所さん。 影山が困っていることは状況から見て取れたが、あまりにもバカバカしい。 これは、助けるべきなんだろうか・・・。 →NEXT |
雑記:パソご臨終 |
| 数日前から、PCの電源入れると10分くらいでフリーズします・・・。 せっかく記事書いても、マメに保存しないと、すぐパアになるという恐ろしい環境のため、もしかしたら更新停滞するかも・・・です。 もう型は古いし、CD-ROMも壊れてて入らないので、思い切って買い換えることにしました(泣)。 あ、『ザ! 世界仰天ニュース』観ましたv 某公式サイト様で話題になってて楽しみにしてたんですよ、「仮面ライダー集結スペシャル」(^^) 久々に、細川さんのシュッ〆が見れた〜v 司会の中居さんのあれはギャグですか、それとも細川さんと「響鬼」ファンにケンカ売ってますか(爆)。 藤岡弘、さん、宮内洋さん、速水亮さんまでご出演。 燃え泣けるラインナップです。泣けるで〜! 冒頭のあのアトラクションで感動してしまったワタシは、やはりライダーファンだった・・・。 拍手、押してくださる方ありがとうございます。 いつも心の励みですm(__)m ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
完全調和な不協和音 [8] |
| 完全調和な不協和音 vol.8 嬰ハ短調の通話 「中華鍋に大さじ1を入れ、強火で豚ひき肉をしっかり炒める」 横から覗き込んでくる影山に説明しつつ、俺は手早く鍋を振った。 「油を足してから、にんにく・しょうが・豆板醤を弱火で炒めて香りを出すんだ」 「なるほど。いい匂いしてきましたね」 まるで『きょうの料理』のワンシーンだが、レシピはここまでなのでメモは取らないように。 ちょうど具が炒まったところで、俺の携帯が鳴った。 水のかからないよう台の上に置いていたのだが、今は手が濡れていて。 「影山、すまないが携帯をとってくれ」 「え? あ、はい」 そう返事をした影山は、あろうことか電話に出ようとする。 「待て! 俺に "渡してくれ" という意味だ」 手を拭いて、慌てて影山から携帯を取り上げた。 ・・・日本語とは、難しい。 画面に表示された発信者は、ZECT同僚の日下部だった。 影山に豆腐を入れるようジェスチャーで示し、俺は少し離れたところで電話に出た。 『・・・矢車か?』 「そうだ。他に誰が出るっていうんだ?」 今さっき、影山に電話をとられそうになったことは、あえてふせておく。 『ザビーがらみで、また事件が起きた。明日周知があると思うが』 「・・・分かった。お前も無茶するなよ」 それだけ言って、俺は終了ボタンを押した。 盗聴の危険がある。長電話はできない。 さて豆腐は、と鍋のところに戻ってみれば。 焦げ付かないようサクッと混ぜろ、と言ったのだが、影山には少々高度過ぎたらしい。 「・・・なんか、豆腐崩れちゃいました」 すまなそうに俺を見る影山。 きちんとさいの目に切った豆腐は、見事に原型をとどめていなくて。 見かけはもろに "吐しゃ物" とはいえ、味付けは俺がしたのだし、食えないことはないだろう。 「気にするな」と声をかけて、ゲ・・・もとい、麻婆豆腐を皿に盛った。 その時、また俺の携帯の着信音が。 今度はメールだ。 「メル友ですか?」 「そんなとこかな。・・・日下部だ」 別の隊の隊長だが名前ぐらいは知っているだろ、と聞くと、影山はふるふると首を横に振る。 案外知られていないのか。それならそれで都合がいいが。 「だって俺、矢車さんしか見てなかったし」 ・・・こいつの回答は却下しよう。 俺はもっと一般的な意見が欲しい。 メールを確認する俺が気になるのか、影山はチラチラとこちらに目をやる。 つい悪戯心が湧いて、俺は受信したメールを影山に見せてやった。 果たして、影山に分かるだろうか。 「これって・・・」 「知らないのか? ギャル文字だろ」 呆気に取られる影山に、俺はにこりと笑った。 これを考えた人間はすごいと思う。 ギャル文字・・・怪しまれることなく、それは、ちょっとした「暗号文」になるから。 →NEXT ※『ザビー・アディクト』をギャグ路線で書いたのがこの話だと、思っていただければ・・・(そうなのか?)。 |
完全調和な不協和音 [7] |
| 完全調和な不協和音 vol.7 へ長調の食卓 豆腐を図らずも2丁持って、俺はマンションに影山を招いた。 「へー、いいとこですね」 辺りを見回しながら、影山が感嘆する。 駅から徒歩4分、近所には深夜まで営業のスーパーもあり、小学校も近いから良いですよ、と勧められた物件だ。 バイク通勤だし、安売りスーパーには興味がないし、子供どころか結婚もしていないので小学校もどうでもよかったんだが。 「お邪魔します」と言って部屋へ入ってくる部下に、紅茶でも入れてやろうと俺はキッチンへ向かった。 その後を、影山がとことこ付いてくる。 「なんだ? 気にしないで、TVでも見てればいい」 「でも、隊長にそんなことさせちゃ・・・」 影山は落ち着かなげに視線を泳がす。 「・・・矢車さん、ワイシャツ着たままなんですか」 まったく、何を気にしてるのかと思ったら。 「仕事から帰ってきて料理する癖がついてるからな」 ネクタイを外し、腕まくりすれば、いつもの調理スタイルで。 熱湯で温めたティーポットに二人分の茶葉を入れた後、沸騰させた熱湯を入れ、よく蒸らす。 これが、紅茶の入れ方のパーフェクトルール。 「おいしいですね、このほうじ茶!」 「・・・紅茶だ」 ボケまくる影山に俺は淡々と答えた。 ひと息ついたところで、リクエストに取り掛かろうとした俺だが、 「あ、待ってください! やっぱりワイシャツじゃ、汚れちゃいますよ。 味噌とかケチャップとか、シミになっちゃうし」 と、影山がやけに絡む。 味噌だのケチャップだの、麻婆豆腐にそんなもの使うか。 いや、影山にとってのポイントは、多分そこではなく。 「俺、エプロン用意してきましたんで。使ってください!」 なるほど、それが言いたかったらしい。 しかし、なぜそんな物を持っているんだか。 「そりゃ、会員番号26番ですから」 矢車さんの生年月日はもちろん、趣味、特技、スケジュールや出演作もすべて把握してます、と誇らしげな影山。 「出演作」というのは意味不明だが、俺のプライバシーはどこへ行ったのだろう。 守秘義務は、個人情報の保護は一体・・・。 期待に満ちた目を向ける影山も、どこかうさんくさく。 「・・・期待するな。裸エプロンなどやらないぞ」 「やだな。そんな事思ってないですよ」 びっくりしたような影山の顔を見て、考え過ぎだったようだ、と俺は自戒した。 無闇に部下を疑ってしまうなんて。 「じゃ、これどうぞ!」 無邪気な笑顔で、影山はそれを俺に渡す。 しかし、これは・・・。 せっかくの部下の厚意を無下にするのも気が引けたが、俺はやはり自分のプライドを取った。 「・・・影山、これはエプロンじゃない」 「え?」 「"かっぽう着" だ・・・」 →NEXT |
楽園依存症候群 [13] |
| 楽園依存症候群 [13] 影山の姿を追って通路を駆け上がる矢車は、やはりここは船体の中らしい、と判断した。 土中に埋もれた宇宙船と考えれば、地面に開いたあの縦穴は、ハッチというところだろう。 「・・・相棒!」 やがて小部屋のような空間に行き止まり、背を向けたまま俯く影山に矢車は呼びかけた。 影山の周囲には、子供たちが10人程。 淡い色の眼と髪を持つ彼らは、日本人ではないことは明らかで。 「相棒、この子たちは何だ」 20もの瞳に一斉に見つめられ、矢車は困惑した。 「・・・俺の友だち。みんな親を殺して、ここにやって来たんだ。楽園を求めて」 「何を言ってる・・・」 影山の言葉に呆れつつも、子供たちに目を移す。 彼らの瞳が尋常ではないことに、矢車は気づいた。 その奥に宿るのは、狂気。 かつて自分が宿していたのと同じ・・・。 (・・・マインドコントロールだ) おそらく、天道が言っていた「音」が子供たちの精神を操っている。 ワームの巣であるここに子供たちがいるということは、親殺しはワームが促したものに違いない。 だが、なぜ・・・? 「ほら、薬だ。とにかく飲め。・・・それから、帰るぞ」 落とさないよう大事にポケットに入れておいた薬を、矢車は差し出した。 ビストロ・ラ・サルから出てこれを取りに戻っていたために、天道より遅れてしまったが。 けれど、振り返った影山は勢いよくその手を払った。 床に落ちた薬が子供たちの手で下方の通路まで投げ捨てられるのを、矢車は黙ったまま目で追う。 「・・・どうした、相棒」 「もういい。俺は、もうワームだよ、兄貴」 子供たちの頭をひとりひとり撫でた後、影山は辛そうに告げた。 「俺は、この子たちと楽園に行く。だから・・・」 手に銀色の凶器を持って。 「・・・俺は、兄貴を、殺さなきゃならない」 その言葉を聞いても。その手に握られたナイフを見ても。 矢車は表情を変えることなく、影山に向けて片手を伸ばした。 「ワームでも何でもいいさ。お前は、俺の相棒だろ?」 (・・・兄貴) その手を取れたら、どんなにいいか知れない。 だが、それはもうできなかった。 (俺の心もワームになっちゃったんだよ、きっと) そう思って、影山は薄く笑みを浮かべた。 だって、ほら。 俺の心のどこかでは、兄貴を殺すことがこんなに嬉しい。 『逃げられないように、押さえちゃおうか』 『ダメだ』 少年の提案に、影山は首を横に振った。 声に出さない少年と影山の会話は、矢車には分からない。 「兄貴、逃げないの? 今なら、見逃してあげるよ?」 ナイフを手でもてあそびながら、からかうように宣告する。 溜息をひとつついて、矢車は相棒を見据えた。 その顔は、これまで影山が知っている矢車のどんな顔よりも優しげだった。 「・・・やっとお前を見つけたのに、どうしてお前から逃げなきゃいけないんだ?」 →NEXT |
楽園依存症候群 [12] |
| 殺さなければ、ならない 感情でもなく、策略でもなく、ただそれは 「本能」として 楽園依存症候群 [12] 鬼神のごとくワームを蹴散らすカブトによって、敵の数も徐々に減少を見せ始めた。 視界に入った、その凄まじい戦いぶりに矢車はギクリとした。 歯止めをなくし、正気を失っている。 (暴走スイッチが発動したな・・・) 意志とは関係なくワームと戦い続ける『赤い靴』は、装備者の体をぼろぼろにしても止まることはない。 腕のニードルでワームを葬り、ザビーは突破口を求めた。 このままでは、天道まで自滅してしまう。 頭上を仰ぎ見た時、そこでザビーとなった自分に注がれる視線とカチリと目が合った。 「・・・相棒!?」 それは確かに、影山で。 けれど、矢車の声に弾かれるように影山は奥の方に姿を消した。 故意に自分を避けているのだろうか。 追いかけたくとも、この状況ではそれもできない。 「チッ・・・! 天道、目を覚ませ!」 ワームが目の前にいる限り、暴走が止まないことは分かっていた。 (どうする・・・!?) ギリッと唇を噛み締めた矢車の耳に、まさに天の声とも言える声が響いた。 「大丈夫か、二人とも・・・!」 「・・・加賀美か!」 ドウッと倒れるワームの背後には、青いライダー、ガタックの姿がある。 戦いの神 「あれ・・・矢車さん? ホッパーじゃないんですか?」 矢車がザビーになっていることが不思議なのか、加賀美が尋ねてくる。 「色々事情があってな。・・・それより、カブトを頼む。今、奴は暴走してる」 短く言って、矢車は駆け出した。 ザビーの変身を解除し、向かってくるワームを蹴り倒しながら。 「えっ、カブトが・・・。って、矢車さんはどこ行くんですか!?」 いきなり戦闘から離脱する矢車に、加賀美は慌てふためいた。 「・・・影山がいたんだ。俺はあいつを探なきゃならない」 悪い、と一言告げて、矢車はもう振り返らない。 「ったく、時間がないってのに!」 姿が見えなくなった矢車に、加賀美は小さく毒づいた。 それほど時間は残されていない。 とりあえずワームから離れれば、カブトの暴走を抑えられる。 それから、矢車と影山を見つければ・・・。 (あー、もう!) 考えていても始まらない。 「・・・避けろよ、カブト!」 とにかく逃げられればいい。わざわざ倒す必要はないのだ。 荒っぽい手段は承知の上、ガタックは刃の開いたままのダブルカリバーをブーメランのようにワームに向けて投げ放った。 →NEXT ※A. この話の主役は誰ですか? Q. 加賀美くんです(違っ) いえ・・・加賀美くん、書きやすいもんでつい(--; |
楽園依存症候群 [11] |
| 楽園依存症候群 [11] 渋谷隕石の落下地点に来てみれば、クレーターの底の地面にはぽっかりと空洞が空いている。 間に合わなかったようだ、と加賀美新は唇をかんだ。 もう二人はこの奥に進んでしまったのだろう。 加賀美はポケットから携帯を取り出すと、先程から連絡を取り合っている父親にリダイヤルした。 あの話が本当なら、事態は最悪の方向に向かっている。 「あ、親父」 2回のコールで出た父に、口早に告げる。 「天道たち、中に入ったみたいだ。これから、俺も行くから」 『よせ、新! もう時間がないんだぞ』 携帯の向こう側から怒鳴るような父の声。 「あと2時間弱・・・。まだ大丈夫だ」 腕時計を確認しながら、穴の中を覗き込んだ。この中に入れば、携帯の電波は届きそうにない。 「・・・すぐ戻るよ、天道たちと一緒に」 それだけ言って、加賀美は携帯を切った。 未練がましく話すつもりはない。 自分は必ず、皆と共に戻ってくるのだから。 * * 当初の目測は、あっけなく外れた。 ワームが待ち伏せているのは分かっていたが、この数は予想外だ。 次から次へと現れるワームに、休む間もない。 「くそ、どれだけいるんだ!」 既にカブトに変身した天道だが、体力も底をついてきた。 (矢車は・・・?) 見回しても、目に映るのは緑色のワームばかり。 自らの戦闘に手一杯で、気を配ることもできなかった。 ふいにドクン、と体の血が逆流するような感覚が起こり、カブトは動きを止めた。 この感覚は、以前にも覚えがある。 (まずい・・・これは・・・) 天道の自我は、そこで途切れた 「・・・貴様ら、底なしか」 その鍛えた筋力でワームを蹴りつけながら、矢車は溜息をついた。 連中のほとんどはカブトの方に向かっているとはいえ、こちらも生身で相手をするには限界がある。 しかし、ホッパーベルトはもう持っていない。 (できれば、使いたくなかったが・・・) 矢車は今一度深く息をつくと、黄金色のブレスを腕に付けた。 螺旋状になった通路の上から、人間らしき人影がその黄金色の輝きを食い入るように見つめている。 (ザビー・・・) 影山は、呆然と呟いた。 頭では理解していた。 ホッパーになれない矢車がワームと戦うとすれば、ザビーの力に頼るしかないのだと。 そして何より、矢車は自分のために、ここまで来てくれたのだと。 けれど、心の奥底で渦巻く感情は別物だった。 『・・・ね、これで殺せる?』 横にいた少年が、影山の黒いコートをくいっと引っ張った。 『うん・・・』 自分のものとも思えないような返事を、影山は返す。 ポケットからそっと、銀色に光るそれを取り出して。 裏切られる前に。 見捨てられる前に。 自分の手で、永遠の楽園を手に入れるために。 →NEXT |
雑記:今日の不協和音で最後にします |
| 拍手押してくださった方、ありがとうございますv(←今日は冒頭で) あ、別に小説やめるわけじゃありません(^^; 磯野様のサイトで拝見しましたバトンです ↓ いっぺんバトンというものをやってみたかったのでした(笑)。 スミマセン、興味ない方はどうかスルーで。 ---------------- 今日の日記で最後にします 〜ルール〜 これを見たひとはコメントを書いて自分もやる事。そして、タイトルを『今日の日記で最後にします』にする事。強制です。 1.髪は?短髪?長髪? ⇒いつも短い。肩に付く前にすぐ切る! 2.背は?大きい?小さい? ⇒160センチ 3.何でも頼れる方?頼れない方? ⇒頼れない方。人様にお願いするだけのパワーがない。 4.積極的なほう?恥ずかしがり屋なほう? ⇒やらないでいいことを、わざわざしてしまう傾向あり。積極的(笑)? 5.(一緒にいるときは)盛り上がりっぱなし?まったり落ち着いてる? ⇒落ち着いてる。というか、すべてにおいてパワーがない(--; 6.(目が悪いとしたら)眼鏡?コンタクト? ⇒眼鏡。裸眼で0.1ないくせに、普段は掛けない。 7.デートするなら遊園地?ショッピング? ⇒ショッピング。買ってね(笑)v 8.髪は?くせっ毛?ストレート? ⇒ストレート 9.優しい?近付き難い感じ? ⇒友人いわく癒し系(^^; 10.天使?悪魔? ⇒天使っぽい外面、そこそこ悪魔の内面(笑) 11.普通の人?変わっている人? ⇒経歴やら性格やら色々変わってるらしい・・・。 12.髪の毛の色は?茶色?黒? ⇒茶髪。友人に無理矢理髪染められました(--; 13.香水は?つけてる? ⇒つけてませーん 14.どっちかというとヤンキー?おたく? ⇒間違いなく、おたく(笑) 15.(自分が呼ばれるとしたら)ちゃんづけ?あだ名? ⇒ちゃん付け。名字の方で 16.性格は?真面目?バカ? ⇒真面目、時々バカ 17.器用?不器用? ⇒不器用。器用に生きてみたい! 18.眉は?太い?細い? ⇒細い。トゥイーザーズは必需品v 19.連絡をとるなら、メール?電話? ⇒メール。電話は借金取りがコワくて出ない(笑)。 20.エロイ?普通?興味無い? ⇒それなりに普通 21.痩せ気味?ぽっちゃり? ⇒お腹は出てるのに痩せてる。メタボリック(笑)? 23.好みのタイプは?年上?年下? ⇒兄貴とかヒビキさんとか。・・・みな年下(--; 年上だと千代の富士くらいしか(泣)。 24.(貴方があげるとしたら)バレンタインに何あげる? ⇒本命なら1000〜2000円、義理なら300〜600円のチョコ。(←値段か) 25.束縛されたい?されたくない? ⇒されたくない。「スゴイよ、スゴすぎるよ、兄貴!」のアレですか。(←それは緊縛) 26.遠距離恋愛はできる?できない? ⇒してました(^^; でも愛が足りなかった(笑)! 27.好きな人といくなら、ファーストフード?高級料理? ⇒高級料理。おごってねv(←そればっか) 28.王子様(またはお姫様)系?コメディアン系? ⇒コメディアン系・・・のような 29.好き 可愛い 面白い 言われて一番嬉しいのは? ⇒「面白い」。最高の褒め言葉ではないかと。 30.回す人 ⇒ご自由にどうぞv |
完全調和な不協和音 [6] |
| 完全調和な不協和音 vol.6 ト短調の予感 世界的に有名な指揮者の指揮で奏でられる壮大なオーケストラに、俺はすっかり酔いしれていた。 チケット代は、S席を2人分で4万は下るまい。 田所さん無理をしたな、と頭の片隅で思う。 「・・・影山、帰るぞ」 全曲目が終了し、観客たちが帰り支度を始める中、俺はよだれを垂らして隣で熟睡中の影山の肩を揺すった。 「あ・・・俺、寝てました・・・?」 「悪かったな、つまらなかったろう?」 苦笑しながら、席を立つ。 「いえっ! 最近寝不足だったんで、おかげ様でゆっくり寝させてもらいました」 「そうか、よかった」 よかったのか? と、俺は自分の言葉に首をかしげたが、そういうことにしておこう。 そういえば、ここ数日影山は朝からボーッとしていると思ったが、寝不足だったとは。よく見ると、目の下にはくっきりとクマがある。 「何か心配事か? 俺でよければ、話ぐらいは聞くぞ」 新しい職場環境に慣れるまでは、色々とストレスも感じるだろう。 一応上司として、気を回したつもりだった。 「・・・会長のせいですよ」 「会長? ZECTの?」 「矢車さんファンクラブの、です」 その言葉で、また俺の脳裏には「あの人」の顔が走馬灯のように浮かんだ。 「いきなりファンクラブ解散なんて言うから、先輩たちが怒っちゃって・・・なんか俺のせいだってことになって、風当たりが強いんです」 食べたパイの中にガラスの破片が入ってたり、登ろうとした船のマストのボルトが外されていて宙吊りになったり・・・、と影山は悲痛な表情で話す。 「昨日はトイレで、先輩から『矢車さんに近づくな』とか言われちゃったし・・・」 告げ口じゃないですからねっ、と影山は念を押す。 ZECTは今や、芸能界か、女子高か。 くらくらする額を押さえつつ、俺は影山を促した。 「分かった・・・その話は、飯でも食べながらゆっくり聞こう」 俺のマンションは、ここから遠くない。 手料理を振舞ってやろうと提案すると、影山は一もニもなく了承した。 「何が食べたい?」 「麻婆豆腐!」 満面の笑みで、そう答える。 「中華か・・・」 はた、と考えてみると、食生活は最近イタリアンやフレンチに偏っていた気がする。 たまには中華もいい。 食材を調達しなければ、と、行きつけの豆腐屋に足を運んだ。 ここの豆腐は絶品で。眩しいほどに、白く美しい。 「おお、あんた! 今日はカワイイ彼女連れてるねぇ」 その芸術的豆腐が、なぜこんながさつな主人の手で作られるのか今もって謎だが。 「・・・彼女じゃなくて、俺の部下です」 女でもない、と否定し忘れたものの、主人は陽気に笑っているし、影山もカワイイと言われてまんざらでもないらしい。 『カワイイ』は男にとって褒め言葉じゃないぞ、と俺は口の端まで出掛かった。 「じゃあ、これは嬢ちゃんにオマケね」 豆腐屋の主人の、この言葉を聞くまでは。 ひとつ追加される豆腐を、影山は嬉しそうに受け取る。 さすがに声を出せばバレると分かっているのか、感謝の気持ちはペコリと頭を下げることで伝えていた。 こいつは、案外したたかだ。 将来的にはZECTを率い、あっさり俺の地位を奪って「不協和音なんだよ」などと言う男になるかもしれない。 いや、ただの妄想だ、今のところは。 「・・・そうだ。矢車さんは、マスクドライダーシステムの提案・運営・開発をやってるんでしたね」 「運営と開発はやっていないな」 豆腐屋を離れたところで、脈絡なくそんな話題を出され、俺はドキリとした。 「カブトやドレイクは、もう完成間近なんでしょ。ザビーは、どうなんですか?」 「・・・ザビーか。ザビーについては、色々と問題があるんだ」 「どんなですか?」 珍しく真剣な顔をして聞いてくる影山。 話すべきかどうか迷った末、俺は打ち明けた。 「ザビーブレスは、上からなかなかOKが出ない」 思えば、初めからザビーに関してはトラブル続きだった。 おそらく影山の耳にも、噂としては届いているだろう。ザビーにまつわる、黒い噂の数々を・・・。 「なんか、やだな。ザビーが悪いわけじゃないのに・・・」 やけに執着を示す部下の肩を、俺は励ますように叩いた。 「仕方がない。大人の事情だ」 しょせん、俺たちが口出しできるレベルではない。 「・・・変身ブレスだと、戦隊シリーズとかぶるからな」 そう、すべては、スポンサーであるバン●イの意向次第だ。 →NEXT |
完全調和な不協和音 [5] |
| 完全調和な不協和音 vol.5 変ロ長調の誘い もらったチケットは、今週末のコンサートのものだった。 何人かの友人に声を掛けてみたが、既に先約があったり、都合がつかないとのこと。木曜日の今日、誘いを掛けても、思えば急過ぎるだろう。 それなら、ひとりで行けばいい。 1枚余ったチケットを田所さんに返しに行く途中の廊下で、俺はあの新入り隊員にばったり出くわした。 運の悪いことに、チケットを手に持った状態で。 「あれ、矢車さん。それ、何ですか?」 お約束のように、影山は目ざとくチケットを指差してくる。 「ああ、これは・・・」 隠すことでもないので事情を話すと、影山は目をきらめかせて俺を見た。まるで、何か訴えるかのように。 もしかしたらコンサートに行きたいのだろうか、とも思ったが、影山とクラシックはイメージ的にミスマッチで。 俺はただ、影山が口を開くのを待っていた。 そんな風に向かい合って立つ俺たちの横を、ZECT隊員たちが不躾にじろじろ見ながら通り過ぎていく。 その視線が気になりつつ、ふと横の壁に目をやると。 ちょうどそこには、『廊下で立ち止まるな』 『廊下で見せつけるな』 『イチャつくな』 『キスをするな』 『彼氏・彼女に携帯をかけるな』の張り紙が。 以前よりパワーアップした書き文字に、俺は唖然とした。 ・・・田所さん。 廊下で何か、余程嫌なことがあったに違いない。 この張り紙すべてを集めれば、何があったのか、そこはかとなく知れそうだが、俺もそこまで暇ではない。 当面の問題は、このチケットなわけだが・・・。 「影山・・・よかったら、これをやろう」 埒があきそうにないため、俺から切り出してみた。 「えっ、い、いいんですか? ありがとうございますっ」 嬉しそうにチケットを受け取る部下の姿に、俺も心が和む。 「任せてください、絶対落札されますから! 3000円から開始ってことでいいですか?」 「・・・は?」 待ち合わせの段取りを決めようと思っていた俺は、呆気にとられた。 落札、ということは・・・。 どうやら、ヤフ●クに出品するつもりだったらしい。 週末のコンサートチケットを、今からじゃ間に合うわけないだろうに。 「バカ。一緒に行こうと誘ってるんだ」 「・・・あ、そうですね。今からじゃ、間に合わないや」 同じ事を考えたらしい影山に、俺は一瞬目眩を覚えた。 「じゃ、当日1万円で。会場の前で販売しましょう!」 ・・・やめろ。 ダフ屋行為は、迷惑防止条例に引っかかるから。 ともあれ、これでチケットは無駄にならずに済んだようだ。 →NEXT |
完全調和な不協和音 [4] |
| 完全調和な不協和音 vol.4 ハ長調の勤務後 例の一件以来、俺を避けているような田所さんだったが、勤務が終わった夕方、彼に呼び出された。 夕焼けで建物も赤く染まった、ZECTの裏庭。 俺たち二人の他には、誰もいない。 手に封筒のようなものを持って立つ田所さんの顔も、ほんのりと赤く染まっているのは、あくまで夕日のせいであって。 決して、この、胸騒ぎの放課後シチュエーションのためではない。 「なんですか、田所さん。こんなところに呼び出して」 俺の発した台詞もまた、こういった状況での定番だろう。 「・・・矢車。この前は、すまなかったな」 「いいですよ、もう」 どこからか、『禁じられた遊び』の曲が流れてくる。 誰だ、そんなBGMを流すのは。 しばし無言で封筒を眺めていた田所さんは、それをグッと俺の手に握らせて言った。 「あとで、開けて見てくれ」 定型郵便物用、長形4号の白い封筒で。 表裏とひっくり返して見ると、ZECTのロゴ入りだが、ハートマークはどこにもないことが分かり、俺は安堵した。 「今見られたくないなら、俺の靴箱にでも入れておいてくれればよかったのに」 「・・・今時それは、乙女チックな漫画でもまず見当たらないぞ」 と田所さん。 「変な誤解はするなよ。これは、あくまでこの前の詫びだ」 誤解など、していないし、したくもないんだが。 要するにこれは、この前俺が言った「2割」の正当な取り分らしい、と俺は見当をつけた。 「・・・了解です。では、これは遠慮なく」 そう言って、スーツの内側に封筒をしまう。 賄賂を袖の下に入れる政治家とは、こんな感じだろうか。 帰宅後、ミラノ風リゾットを作りながら、俺は封筒のことを思い出し、中を開けてみた。 「コンサートチケット・・・?」 それは、俺が行きたいと思っていたクラシック演奏のチケットだった。 ご丁寧にペアで2枚入っている。 この厚みと大きさから、現金かと当たりをつけていたのだが予想がはずれた。 もっとも、俺にとってはどちらでも構わない。 2枚あるということは、誰かを誘えということだ。 チケットを振って、俺は考えてみる。 「さて、誰と行くか・・・」 →NEXT ※田所さん、引っ張るなぁ・・・。 また影山、出せませんでした。次回は、皆様の予想通りです(苦笑)。 |
楽園依存症候群 [10] |
| 楽園依存症候群 [10] (兄貴・・・?) 矢車の声が聞こえた気がして、影山は思わず後ろを振り向いた。 誰もいないことなど、分かっているのに。 『・・・兄貴って、誰?』 青い眼と、日本人よりも色素の薄い淡い色の髪を持った、小さな少年が尋ねる。 『んー、俺の大事な人。ほんとの兄貴じゃないけどね』 影山は、その子の頭を撫でてやりがら答えた。 『コイビトなの?』 今度は別の女の子が、大きな碧眼をクリクリさせて聞いてくる。 ませた物言いに困ったように笑って、影山はその子の頭も撫でてやった。 『恋人じゃないけど・・・恋人よりも、きっと俺の心に一番近いところにいるよ』 誰も声は発していない。 もとより、日本語が通じる相手ではないだろう。 会話はすべて、心で行われていた。 『ふーん』と子供たちは無邪気な瞳を向ける、が。 『・・・まだ、殺してないの?』 その口調には影山を責める含みがあった。 * * 「こいつ一体だけか」 「・・・らしいな」 影山に擬態していたワームを倒した後、天道と矢車二人の前に新手は現れなかった。 しかし、すでに気づかれているはずだ。 どこかで機を狙い、待ち伏せているかもしれない。 「だが、これで影山がここにいるのははっきりした」 「そう・・・だな」 少し安堵のこもった矢車の声に、天道は返事をにごす。 影山の擬態がいたことから、ここに来たことは間違いないとしても、果たして無事でいるとは限らないのだが。 矢車は、その可能性を頭に入れていないのか。 「変な気を回すな。あいつは、まだ生きてる」 天道が何を言いたいのか、矢車には分かっていた。 天道なりに、気を遣っていることも。 「どうして、そう言い切れる」 「さあ。ただの勘だ」 「・・・当てにはならんな」 「違いない」 くっと口の端で笑う矢車を、天道は不思議そうな面持ちで見やった。 「これが片付いたら、ノルウェーに連れて行ってやらないと」 矢車の言葉は、「誰を」とは言っていない。それでも、容易に察しはついた。 「ワーム化抑制の件か。あとで詳しく調べておいてやる」 「・・・親切過ぎて、気味が悪いぞ」 「ほざいてろ。すべて、これが片付いたら・・・だ」 前方を鋭く見つめ、天道はゼクターを握り締めた。 黒くうごめく幾つもの影が、壁面に映し出されている。 おそらく少なく見積もっても、10体以上。 こちらに、向かってくる。 ・・・敵 -ワーム- だ。 →NEXT |
楽園依存症候群 [9] |
| 楽園依存症候群 [9] 縦穴を降りると、メタルの光彩を放つ床と壁が目に入った。 カツンと床に足を落とす音が、やけに大きく響く。 「・・・まるで、宇宙船の中だな」 続いて降りてきた天道が、周囲を見回した。 少なくとも、ZECT所有の建造物ではなさそうだ。 ドームのように丸みを帯びた壁面と天井。 先へと通じる通路は相変わらずさほど広くはないが、二人並んで歩ける程度はある。 侵入者に気づかないのか、中は異様な静けさで、他に誰の姿も見えない。 何がいるのか、何があるのか。 普通なら、すくみあがってしまいそうな状況にあっても、二人はまったく無頓着に歩を進める。 必要なこと以外、互いにいっさい話さない。 「・・・誰か来るぞ」 駆けてくる足音。 どんどんこちらに近づいてくるが、身を隠すような場所はなかった。 「兄貴・・・!」 「あ、相棒・・・?」 身構えた二人の前に飛び出したのは、まさに探していたその人物だった。 気をそがれたように、天道はふぅと息をつく。 「影山・・・なぜお前がここにいる。ここで何をしていた?」 「お前に話す義理はないね」 プイと横を向いた影山は、天道には目もくれない。 「兄貴、やっぱり来てくれたんだ!」 勢いよく矢車の胸に飛び込む影山を、天道は呆れ顔で眺めていた。 「・・・離れろ」 ポツリと言う矢車。 その手は今も体の横にあり、影山に触れてはいない。 「兄貴? どうしたの」 「俺に触れるな」 きょとんとする影山に、矢車は冷たく言い放つ。 「・・・偽者に、用はない。俺が探してるのは本物だけだ」 その言葉を聞くや、影山はいっきに形相を変えた。体がぶくぶくと膨れ上がり、緑色の怪物に変化していく。 「ワームか!?」 ライダーベルトに手を掛けながら、しかし天道はふいに思いとどまった。 このワームが影山でないと、本当に言えるだろうか。 影山のワーム化が進んでいる可能性もある。 その事は、矢車が一番よく分かっているはずなのに。 「天道、構うな! こいつは影山じゃない」 ワームに蹴りを入れながら、矢車が叫ぶ。 「・・・分かった」 矢車が言うのだ。それならそれで、否はない。 こんな地下にあっても、ゼクターは時空を寸断してやってくる。 カブトゼクターを掴み、天道は最後に確認を取った。 「本当にいいんだな?」 「・・・たまには信用しろ」 ふっと笑った天道は、ゼクターをベルトに装着する。 「変身!」 カブトに葬られるワームを、矢車は何の感慨もなく見つめていた。 確証など何もない。けれど分かった。 あれは、影山では、ない。 ならば、本物の影山はどこにいるのか。 (俺を呼べ、相棒・・・) 矢車は心の中で願ってみる。 お前が呼ぶなら、俺は、どこへでも行ってやるから。 →NEXT |
完全調和な不協和音 [3] |
| 完全調和な不協和音 vol.3 ホ短調の告白 「・・・田所さん!」 どうぞ、という声が聞こえてくる前に、俺はドアを開けて中にいる人物のもとに走り寄った。 「一体どういうことですか、ファンクラブって何なんです!?」 デスクで、何やら書いていた田所さん。 よく見ると、それは先程見かけた「廊下は走るな」の張り紙だ。 机の上には、マジックだのマーカーだのスクリーントーンだの。 まるで、どこかの漫画家か同人作家の机の上のようだ。 ・・・張り紙の制作者は、この人らしい。 「ま、まあ、落ち着け。矢車」 俺の肩を抑えて、田所さんは静めようとする。 とりあえず、その手に持ったトーンとカッターナイフは机に置いてほしいんだが。 「・・・実はな、ZECTでも『社員の意識改革』の見直しが提案され、俺が実行リーダーになったわけだ」 「はあ・・・」 「それにはやはり、『コンプライアンスの徹底』と『福利厚生の充実』だ。分かるな?」 やたらと小難しくもっともらしい言葉を並べる田所さんは、俺を煙に巻くつもりなんだろう。 しかし、俺にその手は通じない。 「コンプライアンス・・・『法令遵守』ですね。で、手始めに、廊下を走ることを取り締まろうと」 「そ、そうだ」 旗色が悪いことを悟り、田所さんはギクッと固まった。 「福利厚生については、レクリエーションの一環として、ファンクラブを作ったわけですか。隊員たちの士気を高めるために」 「そ、そ、そうだ」 さすが矢車だ、と田所さんは誤魔化すようにハハハと笑う。 その額には、冷や汗が。 「・・・それで、徴収した会費は? ポケットマネーにしたんですか?」 「まさか! 俺が、そんな事をするか」 そこだけ妙に毅然と主張する。 「ファンクラブの売り上げ金は、ちゃんとZECTの収支報告に計上した。1円だって、誤魔化しちゃいない!」 田所さんのZECTへの忠信ぶりは立派だ。 ただ内容が内容だから、情けないだけであって。 俺はふっと息をついて、肩を落とした。 「とにかく・・・俺の写真を隠し撮りするのは、やめてください」 「・・・わ、悪かった。すまない」 汗を拭き拭き、田所さんは謝罪する。 「2割、でいいですから」 ドアに向かった俺は、振り向きざまニコッと笑いかけた。 「俺の肖像権の取り分は」 サーッと青ざめる田所さんを顧みることなく、俺は機嫌よくオフィスを後にするのだった。 →NEXT ※矢車さん、黒過ぎます・・・。 おかしいな、なんでこんな話になるのやら(--; |
雑記:夏のイベント |
| あー、もう今週末ですね。夏のイベントは・・・。 今はすでに他人事になっちゃいましたが。 『幽遊白書』にハマってた頃は、東京・大阪をまたにかけて、イベント三昧でした(笑)。 交通費抜きで、月平均2万円は使ってたという・・・。 我ながら、よくまあ(^^; 今年行かれる方は、暑いのでお気をつけて(^^) 拍手、ありがとうございます。 このブログ始めて、もう7ヶ月・・・早いなぁ。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
完全調和な不協和音 [2] |
| 完全調和な不協和音 vol.2 変ニ長調の出会い その新しい部下は、緊張した面持ちで俺に自己紹介した。 「影山瞬です。よろしくお願いします!」 そう言って、ペコリと頭を下げる。 どことなく懐かしい風貌だと思ったら、ちゃんちゃんこを着た某妖怪じゃないか。 こいつだったら、ウエ●ツのようにヅラなしでもイケるだろうに。 「カゲヤマシュン・・・だったな。シュンは、どんな字だ」 「えっ・・・と、日を左に書いて、右にカタカナのノを書いて、ツを書いて・・・」 一生懸命説明する影山の言葉通りに、俺は頭の中で字を書いてみる。 「ああ、瞬間湯沸かし器の "瞬" か」 もっといい例えを使いたかったが、あいにく思いつかなかったので。 まさか、19の男に「アンド●メダの瞬だな」と言っても、どうせ分かってもらえまい。 19歳・・・まだガラスの十代で、ZECTに身を置くとは。 「影山、ひとつ言っておくが・・・」 「はい?」 「"瞬" の字の『へん』は、日じゃなくて目だ」 あれ? と掌に字を書いて確かめている影山。 後で、漢和辞典を見せてやらないと。 漢字検定がある時は、覚えておくといい。 この字は、間違う奴が必ず数人いるため、出題者が好んで出す「引っ掛け問題」だから。 「それから・・・ここは実戦部隊だ。ワームが現れたらすぐ出動命令が来る。覚悟はできてるか?」 「はいっ!」 上司らしく毅然とした態度で尋ねる俺に、影山は元気よく答える。 「俺は、矢車想。趣味は料理だ。何か、他に質問は?」 握手の手を差し出し、俺は最上の笑顔を向けた。 管理職として、「親しみやすい上司」をアピールしつつ、部下の自主的なやる気を引き出してやらねばならない。 「あ、実はひとつ頼みたいことが」 「なんだ?」 「実は、今月給料がピンチで・・・」 言いにくそうな影山の様子に、俺はピンと来た。 「前借りか? だったら、俺が経理課の方に頼んで・・・」 「いえっ、そうじゃなくて。・・・1セット5000円は、ちょっと高いんで、できれば給料引きにしてもらえないかと」 ・・・1セット5000円? 影山の言ったことが何を示すのか、俺は首をかしげた。 「あ、俺、会員番号26番で。ちょうど矢車さんの歳と同じですよね」 ・・・ますます分からない。 何の事かと尋ねると、影山はあっけらかんと言い放った。 「え、矢車さんの公認じゃないんですか?」 唖然としている俺に影山が見せたものは、いつの間に撮られたのか、12枚もの俺の写真と、『矢車さんファンクラブ No.26』と書かれた会員証。 「タオルやパスケースもありますよ」 パスケースは限定10個のレアものです、と影山は大事そうに俺に見せる。 物好きにそんなもの買うな、入会するな。 だから、金がなくなるんだ。 というより、俺は全然知らないうちに、ファンクラブなんていつ誰が発足したんだ。 肖像権の侵害で訴えるべきじゃないだろうか。 手にしたペンを親指でボキリと折りそうになったが、これはZECTの備品なので、それもできない。 怒りで引きつりそうになる顔を必死で抑え、俺は影山に尋ねた。 「・・・そのクラブの、会長は誰だ?」 「えっと・・・確か・・・」 影山の言葉を聞いた俺は、修羅のような形相をして、ZECTの廊下をズカズカと大股で歩いていく。 北斗修羅とは無関係だ、念のため。 本当は走って行きたかったが、ところどころに貼られた「廊下は走るな」の張り紙が俺を押しとどめる。 小学校か、ここは。 苛立ちを隠しつつ、俺は目的の部屋のドアを、ぶち壊すほどの勢いで荒々しく叩いた。 →NEXT |
雑記:再放送観た! |
| 休みの時でも、昼間はめったにTVは見ないんですが・・・。 今日友人の家で、『GTO』と『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』を観ました。 『GTO』の徳山さん・・・若い、というか、すごく少年ぽいv 面影はあるけど、いやー、ビックリ。昔の作品とはいえ、久しぶりに画面で徳山さん観れて嬉しかったです(^^) 『マイ☆ボス』の方は、黄川田将也さん! 「仮面ライダーがヤクザの息子になる」というネット記事があったので、どんな役かと思ったら、穏やかな青年役で。イメージとしては、本郷と重なりました。 『仮面ライダー THE FIRST』と『THE NEXT』も2年間空いてるけど、あまり黄川田さんは変わってないなぁ。 拍手、ありがとうございます。 まだまだ地獄兄弟お好きな方いらっしゃるんだなぁ、と嬉しく思いました(^^) ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
完全調和な不協和音 [1] |
| ※またフザけたタイトルを・・・(--; パーフェクトハーモニーの矢車さんサイドのコメディです。矢車さん視点でギャグができるんでしょうか疑問(←無責任)。 完全調和な不協和音 vol.1 イ短調の日々 これからもう一仕事か、と俺は両肩をほぐすように腕を回した。 ワームとの戦闘の後に、書類を提出。 管理職というのも楽じゃない。 「矢車さん、お先です!」 部下たちはさっさと定時上がりだ。 お前たちはいいよなぁ、と思わず愚痴をこぼしたくなるが、今はまだやさぐれる時じゃない。 「ああ、お疲れ」 営業用のパーフェクトスマイルを部下に向けると、なぜかその部下はポッと顔を赤らめた。 ・・・熱中症だろうか。 最近、ひどい猛暑だから。 「ちゃんと、まめに水分補給しろよ」 そう言って俺は部下に手を振った。 「・・・さて、と」 デスクワーク用の眼鏡をかけて、今日の報告書をまとめ始める。 カチャカチャとパソコンのキーボードを叩く音だけが聞こえる室内。そこに、ガチャガチャと濁音を付けた異音が響いた。 「・・・田所さん、またですか」 座ったままクルリと椅子を回転させ、後ろを振り向くと、ベルトだのグリップだのヤイバーだのを腕に抱えた田所さんがいた。 「悪いな。また頼みたいんだが・・・・」 申し訳なさそうに、田所さんはそれらをガチャッと床に置く。 今こんな余分な仕事を押し付けられたら、帰りは深夜になってしまう。 せっかく昨夜仕込みをしておいたバルサミコソースで、ローストビーフを作ろうと思っていたのに。 しかし、胸の内のそんな葛藤を見抜かれないように、 「気にしないでください、慣れてますから」 と俺は眼鏡をはずして、にっこり笑って見せた。 「ベルトは・・・少し重過ぎますね。グリップは、握りがしっくりこないし。ヤイバーはデザインが最悪です」 「デザインはこの際、どうでもいいと思うが・・・」 現在開発中の、『マスクドライダーシステム』のアイテムを一つ一つ吟味しながら、田所さんに告げる。 自分で言うのもなんだが、ZECTのエリートであり、資格者の最有力候補にノミネートされている俺は、時折こうしてコーディネーターとして意見を求められる。 「このベルト、ちょっとイメージが合わないですよ。もっとスマートカジュアルに、今の流行をフィーチャーしないと」 「・・・なるほど」 ほんの冗談でそんなことを言ったら、田所さんは真に受けてしまったらしい。 「トラッド系やヴィンテージっぽくてもいいけど。アンファンのヒットを考えると、アヴァンギャルドもOKですね」 「そ、そうか?」 何の事か分からず目を白黒させる田所さん。俺は吹き出しそうになるのを必死でこらえた。 ・・・このくらいのストレス解消は、許されるだろう。 それにしても、最近ZECTの退職者が増加傾向にある。 いくら給料が良くても、命の危険がある仕事内容はネックだ。 昔、「3K」という言葉がよく言われたが、この職場はまさに3Kそのもの。 ZECTでも正社員は減り、派遣社員やアルバイトが増えている現状。合理化の波は、正義の組織といえど容赦なく押し寄せている。 この慢性的人手不足の状態で、また『マスクドライダーシステム』なんてものを作るから、そのシワ寄せが回ってくるのは必然で。 「そうだ、矢車。今度新人が入るからな、お前が面倒みてやってくれ」 「え、俺が・・・ですか」 俺の考えていたことを読んだように、田所さんが言うので。 もしや、この人はエスパーかと俺は真剣に疑ってしまった。 「お前の隊に配属されることになっている。名前、年齢、スリーサイズを言うから紙にでも控えろ」 「・・・スリーサイズは、別にいりませんけど」 新人教育は神経を使う。 また仕事が増えることに内心溜息をつきながらも、俺はメモにペンを走らせた。 今年20歳になる、実戦経験ゼロの新入隊員だ。 →NEXT |
楽園依存症候群 [8] |
| 楽園依存症候群 [8] 「親父、何だよ、これ?」 「見て分からんか」 「分からないから聞いてんだよ!」 加賀美新は声を荒げて、渡された紙を父親に突き返した。 渋谷廃墟からの謎の電波通信を分析できたと聞いて、やって来たのに。 父親から見せられたのは、まるで暗号のように、○と×が不規則にびっしりと印字されたA4の用紙だ。 コンピュータからプリントアウトしたものらしいが。 「×はパルスを、○は各休止期間を表している。宇宙の知的生命体が最も普遍的に用いる通信方法だ」 ゆっくりした口調で、陸は息子に諭すように言った。 「で、なんて書いてあるんだ?」 「分からん」 「・・・は?」 悪びれた様子もなくあっさり答える父親を、加賀美はぽかんと見つめる。 「そんなに簡単に解析できるわけなかろう。今判明しているのは、ここまでだ」 陸は、暗号の用紙をピラピラと振ってみせた。 「ただ、同じような電波を、ノルウェー、カナダ、それに南太平洋上からも傍受した。つまり・・・」 「隕石が落ちた地点! やっぱり、生き残りのワームが通信を送ってるのか!」 息子の剣幕にやや驚きながらも、加賀美陸は頷いて同意を示す。 「親父・・・今、渋谷廃墟にいるワームの数はどのくらいだ?」 「そうさなぁ。海外からも集結しているとすると、ざっと見積もって・・・」 緊張感のかけらもない陸の言葉だったが、告げられた答えは最悪だった。 (ヤバイ・・・! 天道と矢車さんが) 「おい、新! 最後まで話を聞かないか」 「そんな暇ないんだ!」 引きとめようとする父の言葉を遮って、加賀美はバイクに飛び乗っていた。 * * 廃墟のほぼ中心に、大地をえぐり取ったような大きなクレーターがある。 隕石落下の無残な爪あとだ。 「電波の発信源はこの辺りだが・・・見事に何もないな」 「・・・地下、か」 矢車はためらうことなく、窪地の斜面をザッと滑り降りていく。 やれやれ、といった様子で天道も続いた。 クレーターの底は固い地面だった。 ブーツの踵で地面を踏み叩いてみた矢車だが、なんの異状も見当たらない。 「見ろ。ここが少し段差になっている」 土に埋もれた部分を手で払いながら、天道が矢車を呼ぶ。 「・・・ビンゴだ」 すっかり土を払いのけて、現れたのは蓋状の扉。 金属製の重い蓋を二人がかりで上に押し上げると、軋んだ音を立てて扉が開いた。 地面にぽっかりと穴ができ、下へと通路が続いている。 幅は狭く、人ひとり通れる程度の縦穴だ。 脱出する時不利だ、と天道は顔をしかめた。 「梯子があるな。・・・どうする?」 下を覗き込んで、矢車の表情を窺う。 「行くに決まってる」 くだらない事を聞くなとばかりに、矢車は率先して梯子を下り始めた。 →NEXT ※○×の通信法は「素数積・絵画通信」というものらしいです。出典は、『009』。 ちなみに・・・念のためググってみたけど、↑はヒットしませんでした(--; |
楽園依存症候群 [7] |
| 楽園依存症候群 [7] 影山はようやく、自分が薬を持ってくるのを忘れたことに気づいた。 ポケットから出したまま、置き忘れてしまったらしい。 一日薬を飲まないことで、身体のワーム化がどれだけ進むものなのか。 見当がつかなかったが、もうどうでもいいような気もする。 ネイティブかワームか、どちらかは分からない。だが、人間に害意を持つ者たちが事を起こしつつある。 自分の中のワームの部分が反応している。それを影山は皮肉に思った。 (兄貴、心配してるかな・・・) 何も言わずに出てきてしまったことを、少しばかり後悔した。 けれど、だからといって何を話せばいいのか。 夢の中で、三島が差し出したナイフを影山は受け取ってしまった。 矢車を葬るための、凶器を。 (俺が、兄貴を殺そうとするぐらいなら・・・) 影山の脳裏に、白夜の世界に行こうとした、あの夜の出来事が思い浮かぶ。 「・・・あの時、俺は、死んでればよかったんだ」 独り言を呟き、影山は暗闇の中で膝を抱えてうずくまった。 * * 「・・・意外と遅かったな。急いでたんじゃなかったのか」 渋谷へのゲートの前で、天道はバイクを停めた側で腕組みをして待っていた。 チッと舌打ちして、矢車は天道の前を通り過ぎようとする。 「助けを頼んだ覚えはない」 「別に、助けに来たわけじゃない。ワームの調査だ。それに、おばあちゃんが言っていた。『一本の矢は折れても、二本の矢は折れない』と」 「・・・なら、勝手にしろ」 ここで揉めていても、不毛だ。 今は時間が惜しい。 破壊されたコンクリートの欠片がゴロゴロ転がる、荒廃した区域。 隕石の落下は7年以上前にもかかわらず、ワームへの恐怖のためか、行政の復興は遅々として進まない。 渋谷廃墟は、いまだに無法の地帯だった。 「・・・ノルウェーにもワームがいた、と言ったな」 コンクリートの塊を蹴り飛ばしながら、矢車は天道に話しかける。 「そうだ」 「マスクドライダーシステムは、なかったはずだ。どうやってワームを撃退した?」 それは、以前から気になっていた疑問だ。 少し考えるようにして、天道は口を開いた。 「・・・レミングを、知っているか?」 「ああ、ノルウェーに生息するネズミだろう。集団自殺で有名な」 何の関係があるのかと苛立ちもあらわに、矢車は天道を睨む。 レミングは、固体数が増え過ぎると、種を存続させるために、海に飛び込み自殺するという。 少々マユツバものの逸話ではあるが。 「さすがに、お前だと話が早いな。加賀美なら、まずそこから説明してやらなきゃならない」 ニッと笑う天道に、矢車も同じことを思って苦々しく笑んだ。 自分も、影山が相手の時は何もかも最初から話してやっている。 「・・・ノルウェーの対ワーム組織は、ワームを "レミング" にした」 この意味が分かるか、と天道が挑むように問う。 「ワームの集団自殺を誘発したのか・・・」 「その通り」 「だが、どうやって・・・」 「"音" だ。俺も専門外だから詳しくは知らない。脳に直接作用する超音波の類らしいが」 パズルのピースのように、バラバラに起きている事件。 もしかしたら、すべてがまとまってひとつの絵になるかもしれない。 音でワームを操ることができたとしたら、あるいは、人間も・・・。 「・・・親殺しも、その "音" のせいか?」 「・・・やはり、お前だと、話が早い」 先程と同じ天道の台詞は、彼も矢車と同様の結論にたどり着いていることを示すものだった。 →NEXT ※なんとなくいつもと違う展開ですが・・・最後は、いつもと同じような感じに落ち着きますので(^^; |
「電王」第28話 |
| やっぱり映画を観てないと、よく分からない部分あるみたいですねー。 でも、今日は泣けた! ハナさん、いいキャラですv モモとはいいコンビで。 去年は、ゼクターが合体したと思ったら、今年は・・・。 パーフェクトゼクターも、ゴテゴテしてて強そうじゃないなぁと思ったんですけど(苦笑)、これもなぁ・・・(^^; 単体の方が好きなんですが。 あのキックは・・・アンカージャッキですか(笑)。 拍手、ありがとうございました。 以前の記事にも押していただけて、とっても嬉しく思ってます(^^) |
楽園依存症候群 [6] |
| 楽園依存症候群 [6] 影山が、矢車の前から姿を消した。 図書館での事件があった翌日のことだ。 『子供が母親をナイフで刺傷』という見出しが、新聞の一面に大きく踊っている。 だが殺人ではなく、傷害として。 場所が場所なだけに、惨事に気づいた職員が素早く対応し、母親は命を取りとめている。 果たして本当に、影山が言っていた子供がそれを行ったのか、確かめる術はなかった。 影山は、問われることを恐れていたように見える。矢車もあえて影山を問い詰めようとはしなかった。 しかしその夜、影山はいなくなった。 何も言わずにどこかへ行くことなど、今まで一度もなかったのに。 (どこへ行った、相棒・・・!) 影山の行きそうな場所は隈なく探したが、手がかりはない。 苛付く気持ちのまま、導かれるように矢車の足は『ビストロ・ラ・サル』に向いていた。 「いらっしゃ・・・何だ、お前か」 店員であるひよりの対応は、仮にも客に対して適切とは言いがたい。 それを気にする様子もなく、矢車はいつもの席へと進んだ。 天道のほぼ指定席となっているテーブルへ。 「何だ、お前か」 矢車の姿を認めた天道は、先程のひよりとまったく同じ言葉を投げた。 「あ、矢車さん」 今日は非番なのか、私服の加賀美もその場にいる。 それならそれで、都合がいい。 手近にある椅子を引き寄せて、矢車は天道たちと同じテーブルを囲んだ。 顔を突き合わせて、深く溜息をつく。 「・・・影山がいなくなった。"あの事件" と関係があるようだ」 手助けを求めるのは、癪に障る。 けれど、今は天道に頼るしか方法がないのだ。 * * 「どうも、妙だな。一連の事件のターゲットは子供だ。なぜ影山が関わってる」 矢車から事の成り行きを聞いた天道は、疑い深げに眉を寄せる。 天道の態度は、矢車の感情を逆撫でた。 「それは、俺の方が知りたい。・・・もしや、お前、影山に例の話を吹き込んだんじゃないだろうな」 周囲の状況に影響を受けやすい影山のことだ。 ノルウェーの事件を知って、おかしな妄想に捕らわれたのかもしれない。 「誰が、あんな単純バカに話すか」 心外だと言わんばかりの天道。 コーヒーカップを両手に持ちながら、黙って二人の話を聞いていた加賀美は、会話が途切れるのを待ってようやく口を開いた。 「・・・矢車さん、俺たち今、その事件のことを話してたとこなんです。で、影山さんがいなくなったことと関係あるかは分からないけど・・・渋谷廃墟で、ちょっと変なことが起きてて」 「渋谷廃墟?」 矢車は嫌な予感を覚えた。 「ええ、隕石落下の跡地で」 加賀美は、"親父" からの情報ですから、と前置きする。 つまり、警察側ではなくZECT側の管轄、というわけだ。 表向きは、ワーム殲滅と同時にZECTは解散ということになっている。 けれど、ワーム化ネックレスのすべてを回収できたわけではなく、ワームの侵攻が完全に収まったわけでもない。 水面下では、ワームの脅威に対して警戒が続いていた。 「何かの電波が、渋谷廃墟から発信されてるんです。もちろん、ZECT基地からのものじゃありません」 「まだ分析結果は出てないが、どうやら電波通信らしい。外宇宙へ向けてな」 加賀美の説明を、天道がそう引き継いだ。 「ワームがまた動き出したのか!?」 「・・・落ち着け。まだ、可能性の段階だ」 椅子から身を乗り出しそうになる矢車を、天道は片手を挙げて制す。 矢車はギリッと唇を噛んだ。 ワームが活動を始めたとしたら、影山はどうなる? せっかく薬で抑えているのに、ワーム化が進んでしまうかも・・・。 (・・・そうだ、薬は!?) 事の重大さに、はたと気づく。 ワーム化抑制の薬は置いたままになっていた。影山は薬を持っていない。 「手がかりは、渋谷廃墟ってことだな」 返事を待たずに、矢車はガタッと席を立つ。 一刻も早く、影山を見つけなければならない。 「ちょ・・・、ま、待ってください! もうじき、電波通信の分析結果が出ます。それからでも遅くは」 「・・・いや、遅いのさ」 止めようとする加賀美の声も聞かず、矢車は足早に店を出て行く。 天道たちに事情を説明するのも、無意味だと思った。 「天道、俺も行くよ! 矢車さん一人じゃ・・・」 矢車を追いかけようと、加賀美も椅子から立ち上がる。 はっきりしたことは何も分からない今の状況で、行動を起こすのは無茶だ。どんな危険があるか知れないのに。 「待て。お前は分析結果を調べろ。父親からもっと詳しく話を聞き出すんだ」 「でも、矢車さんは」 「俺が、行く」 加賀美を制止して、天道が外に向かった。 「バイクを借りてくと、ひよりに伝えておいてくれ」 白と赤の塗装のバイク。 もう乗ることもなかったため、店に置いてあったものだ。 「借りてく・・・って、もともとお前のなんだろ、それ」 「そうだな」 懐かしそうに手で触れた後、天道は久しぶりにエンジンをかけた。 これなら、頭に血が上った矢車に簡単に追いつけるだろう。 →NEXT |
ダブル★アクション2 [32] |
| ダブル★アクション2 vol.32 いつでもいっしょ なんで三島さ・・・いや、グラ・・・グリ・・・ワームがここにいるんだ。 拘置所にいるんじゃなかったのか。 まったく最近の警察は当てにならない、とブツブツ文句を言いかけた俺の耳に、矢車さんの穏やかな声が響いた。 『・・・大丈夫だ。手当てが早かったからな、命に別状はない』 そこで、はっと我に返った。 そうだ、俺、腹を切られて血がドバーッと・・・。 『あれ・・・?』 自分の体を見回して、俺は首をひねる。 どうも実体じゃないみたいだ。意識体、というか。俺も矢車さんも、なんだか体が半透明なんだけど。 『お前の体は今、病院のベッドの上だ』 いつにもまして優しい声音で矢車さんが言う。 三島さんのワームも、あの後すぐにカブトとガタックに倒されたそうだ。なんせ、ZECT内での凶行だったし。 けど、俺を狙うのは筋違いだろ。決めのライダーキックにも混ぜてもらえなかったのにさ。 ワームが拘置所を脱走する際、警備員も何人かやられたらしい。 また例によって、何の関係もない善良で平凡な一般市民が巻き添えに。 特撮のモブキャラって、本当に不幸だよな。 『・・・ところで影山、さっき話していたこと覚えてるか?』 『さっき?』 ふいに問う矢車さん。 あの即席の係長室で、俺たち何か大事なことを話してたような。 今日の夕食の話だったら、俺の第一希望は麻婆豆腐ってことで。 『そうじゃない。俺が元の世界に戻る方法だ』 静かな、でも誤魔化しを許さない、強い口調。 『俺が別世界に飛べるのは、宿主の意識がない時だ。たとえば、今のように』 聞きたくない。知りたくない。 だけど・・・。 俺は覚悟を決めた。 『・・・じゃあ、今なら元の世界に帰れるってこと?』 『お前の意識が戻る前に、行かなきゃならない。・・・だから、ここでお別れだ』 "お別れ" 無情な単語が、俺の心に重くのしかかる。 俺の体は、どんどん薄く透けてきていて。 そろそろ実体の方が目覚めようとしてるのかもしれない。 『・・・矢車さんの元の世界に "俺" は、いる?』 『ああ、俺の大事な部下だ』 『そっか』 こぼれそうになる涙を止めて、頭上を仰いだ。 矢車さんは戻らなきゃいけない。きっと、その世界の "俺" が矢車さんの帰りを待ってる。 『・・・さよなら、矢車さん。今まで、楽しかった』 『こちらこそ』 なんとか笑顔を作る俺に、矢車さんも少しおどけた調子で返す。 俺の世界では、矢車さんは2年前にこの世を去っていた。 本当なら、俺たちは知り合うことはなかった。 ・・・それでも、俺は矢車さんに出会うことができたんだ。 『これからも一緒だよね、俺たち』 『・・・ああ』 矢車さんがふわっと微笑んだ。 それが、俺が矢車さんと交わした最後の言葉だった。 * * 「つぅ・・・っ!」 目覚めた俺は、起き上がろうとした途端、激痛を感じて呻いた。 「まだ寝てなさい。傷が開くわ」 そんな俺を、岬さんが冷静にベッドに押さえつける。 変わらない日常。 「俺、どのくらい寝てました?」 「半日ってとこね。傷はそんなに深くなかったのに、意識が戻らないから心配したわよ。だいたい、なんでザビーに変身しなかったの? 変身できなくても、誰か人を呼ぶくらいできたでしょうに」 延々と続きそうな岬さんの小言を、俺はボーッと聞いていた。 「・・・あ、ご、ごめんなさい。言い過ぎたかしら」 「え・・・?」 急に岬さんの態度が柔らかくなったから、どうしたのかと思ったら。 何気なく自分の顔に手をやって、気づいた。 俺、泣いてる・・・? 「ち、違います! これは、その・・・嬉し泣き、で」 咄嗟にそう言ったものの、それもちょっと苦しい言い訳だったかもしれない。 だけど、半分は本当。 「嬉しいんです、俺・・・」 だって、出会えるはずのない人と出会えた奇跡。 別れが悲しいんじゃない。 出会えたことが、この上もなく、嬉しいから。 「元の世界に、ちゃんと戻れたのかな・・・」 また別のパラレルワールドに迷い込んでなきゃいいけど。 そう思って、俺はこの世界にはいない人の無事を祈った。 どこにいても。 どんなときも。 俺の心の中に、矢車さんはいる。 これからも、ずっと。 END ※ようやく完結です。ギャグは書いてて楽しかった(^^) ちょっと切なめの終わり方になっちゃいましたが、いかがだったでしょう。 長い間お付き合い頂き、ありがとうございました。 |
ダブル★アクション2 [31] |
| ダブル★アクション2 vol.31 パーフェクト・ワールド 三島さんに加担していた幹部数人への懲戒処分を含め、ZECTのトップ加賀美陸は組織を粛清した。 やる時はやるもんだ、あのオヤジも。 いっきに幹部のポストが幾つか空き、俺は「係長」という役職を得た。 ZECTに係長があったとは、知らなかった。 仕事内容を聞いたら、シャドウの統率・管理と書類整理、その他諸々、と言われた。 それ、以前と変わったとこ、あるんだろうか。 でも役職手当が月5000円付くそうだから、これはこれでよし。 『とりあえず、お前の望みも叶ったな』 「うん! 矢車さんのおかげだよ」 あてがわれた係長の椅子は、なかなか心地いい。 いや、ほんとにフカフカの椅子で。 『・・・俺も安心して、元の世界に戻れる』 「え・・・戻るって・・・?」 矢車さんの突然の「帰る」宣言。 思ってもいなかったことに、俺は頭が真っ白になってしまった。 ・・・違う。本当は、初めから分かってた。 ただ、それを考えたくなかっただけだ。 「で、でも、どうやって帰るの? 帰れないんじゃなかったの?」 『・・・思い出したんだ。俺がなぜ、ここへ飛ばされのか』 少し声を落として、矢車さんは話し出した。きっと、あまりいいことじゃないんだろう。 『俺は、ワームとの戦闘で大怪我を負って病院に運ばれた。俺の体は、まだ眠ったまま病院にあるはずだ』 「え、矢車さんの世界にもワームっていたんだ」 そっくり似てるけど、少しだけ違う世界。 たとえば、この世界の矢車さんはもう存在しないけど、別の世界では、矢車さんはちゃんと生きてる。 ・・・よかった。矢車さんは本当は女でした、とかいうオチじゃなくて。 ほら、パラレルワールドって色々あるから。 『話の腰を折るな』 「ご、ごめん、それで?」 『多分・・・俺は意識を失った。その時に、別世界に飛んだんだろう』 「それで、ここへ来て俺の体に入ったの?」 『・・・いや、その前にまた別の世界にいた』 なんだか、話がややこしくなってきた。 どうやら矢車さんは、パラレルワールドを渡り歩いていたらしい。 本来の矢車さんの性格はパーフェクトハーモニーなんだけど、別世界では、策士だったりやさぐれてたり。 それぞれの世界の矢車さんと体を共有してたせいで、今でも時々人格が変わるそうだ。 でも、人格変異が治らないまま元の世界に戻ったら、困るんじゃないだろうか。 間違いなく、変人だよ。 動揺しているせいか、そんな取りとめもないことを思い巡らせながら、俺はふと気づいた。 「・・・じゃあ、今矢車さんの体は意識不明の植物人間ってこと? もし、矢車さんがこのまま戻らなかったら・・・」 『・・・そのうち、死ぬだろうな』 他人事のように矢車さんは言う。 『俺の体が死んだら、俺の意識も消えてなくなる』 「だ、だめだよ! そんなの・・・」 矢車さんが俺の傍からいなくなるのは、嫌だ。 だけど、矢車さんが死ぬのは、もっと嫌だ。 「早く帰らなきゃ! 俺、何でもするよ。言ってよ、どうすればいいの?」 『それは・・・』 その時、とんでもない客が俺の真新しい係長室に入ってきた。 乱暴にドアを開けるもんだから、蝶番がバキリと取れてしまった。 いかにも急ごしらえで作りました、って感じが丸分かりの部屋で、まあ無理はないけど。 「あーあ、ドアが・・・」 無残に傾いた扉に、思わず気を取られた隙に。 『バカ、影山! 避けろ!』 その訪問者は、俺の腹に左腕を一閃させた。 グリラスワーム・・・! 鋭い痛みが走った。 けどそれは、ほんの一瞬のこと。 意思とは関係なく流れ出す血を見ているうちに、俺の意識は暗闇の中に引きずり込まれるように落ちていった。 →NEXT ※今回で終わるはずだったのに、まとめられなかった・・・。また影山、やられてます。なんだかなー(--; |
ダブル★アクション2 [30] |
| ダブル★アクション2 vol.30 田所さんからの伝言 トリプル・・・じゃなくて、ダブルライダーキックを食らった三島さんは、一命を取りとめ、後は法の裁決に委ねる結果となった。 天道も加賀美も手加減をしたらしい。 俺はとどめを刺す気、満々だったのに。 「助かったとは言えないな。軍事裁判にかけられて、まず極刑だ」 「そんな・・・!」 天道の台詞に加賀美が悲痛な顔を向ける。 いや、だから。 ここは日本で。軍事裁判なんて、ないない。 俺たちが一同に会してそんなやり取りをしていたところに、岬さんが「大変よ!」と言いながら飛び込んできた。 手に書類を抱えていたから、こんな時にまた仕事か、とうんざりしたんだけど。 「これを見て」 と彼女が広げた書類は、田所さんからの手紙だった。 まず目に飛び込んできたのが、『しばらく旅に出ます。探さないでください』という見出し文字。 レポート用紙にざっと10枚。 几帳面な字で、ぎっしり書き連ねてある。 残念ながら、これを読む気力は俺には残ってない。 「で、なんて書いてあったんです?」 うまいこと聞いてくれた加賀美に、心の中で感謝。 岬さんが、レポ紙に書かれた内容を要約してくれた。 それによると 田所さんはやはり、人間をワーム化するというZECTの陰謀を知っていたらしい。計画の首謀者は、三島さん(ここ、赤ペンで下線が引いてある)。 三島さんは自らワームになり、ZECTの一部を牛耳っていたという。 エリアXで秘密裡に計画が進められていたが、それを当時ZECTのエリートだった矢車さんに知られてしまい。 矢車さんに問い詰められた三島さんは、口封じのために矢車さんを消した 「矢車・・・?」 初めて聞く名前に、加賀美が首をかしげる。 「あなたは知らないかもね。彼は将来を有望視されてたZECT隊員だったのよ。でも2年前、突然失踪してしまって・・・」 岬さんの説明に、俺もようやく合点がいった。 2年前、新入りだった俺は、まだ矢車さんのことを知らなかったんだ。 天道や加賀美にしてみれば、矢車さんは「見知らぬ人」で済む。 でも俺にとっては、文字通り「他人じゃない」わけで。 俺は、矢車さんの意識を探ってみた。 田所さんの置き手紙を、矢車さんはどう受け止めたんだろう。 『・・・心配してくれてるのか?』 不意打ちで、そう尋ねられたもんだから。 「べっ、別に、そういうわけじゃ・・・」 どもって否定する俺に、説得力はない。 くっくっと笑ってる矢車さんに、俺はほっと安心した。 「田所さん、きっと罪の意識を感じて・・・」 うつむいて、手紙をギュッと握り締める加賀美。その加賀美の肩に、天道がぽんと手を置く。 「そのうち戻ってくるさ。信じて待っててやれ」 「天道・・・」 美しい友情シーンが繰り広げられている横で、俺はといえば、「三島さんと田所さんが抜けたZECTで、上層部に大抜擢のチャンス!」などと思っていたなんて、口が裂けても言えない。 「ま、一件落着だよね。よかったね、矢車さん」 こそっと小声で言う俺に、矢車さんは少し間を置いて答えた。 『・・・そうだな。ハッピーエンド、だ』 →NEXT |
雑記:名古屋ロケ |
| 徳山さん、名古屋でドラマ撮影だそうで・・・。 あー、どこで撮影してたんだろ。名古屋人としては、ヒジョーに気になる。 風●坊の手羽先は、確かにおいしいですv この異常なまでに蒸し暑い、名古屋へようこそ(笑)♪ 『仮面ライダー THE FIRST』でも、名古屋の某観覧車が映ってたりして、「えー、名古屋でロケあったの!?」と後で分かったのでした(^^; 拍手、ありがとうございます。 スランプ気味でくじけそーな時など、励まされておりますm(__)m ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |