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【  2007年11月  】 

鬼殺し(7)

鬼殺し

2007.11.29 (Thu)

  急速に体が冷えていく感覚と痛烈な痛みが、影山の意識に上った。『……バカかよ。体が死ねば、どっちもおしまいだってのに』 信じられない、という面持ちでワームが顔を歪める。 影山自身はもちろん、ワームもまた首から胸までを赤く染めていた。 現実なのか、そうでないのか、判断がつかない中で、影山は自分の首に手をやった。 鮮血に濡れた手をぼんやりと見て、目を閉じる。血が失われるにつれ、頭も体も痺れていくようだ。...全文を読む

鬼殺し(6)

鬼殺し

2007.11.25 (Sun)

  俺の弱さが、すべての良くない結果を招いた。 俺の中で、『お前』はのさばり、再び現れる機を狙い。 兄貴には、兄弟殺しという十字架を背負わせて。「……遅かったな、兄弟」 埠頭で暗い海を眺めながら、矢車は静かに言った。 かろうじて元の姿に戻っているものの、歩くのも辛そうな影山の状態がいかに酷いか見て取れる。「頼みがあるんだ、兄貴……」 矢車の隣に並び立ち、影山は声にならない声で呟く。唇の動きが、死を望む言...全文を読む

鬼殺し(5)

鬼殺し

2007.11.24 (Sat)

  影山の気配が変わったことに気づき、矢車は体を硬直させた。 狭い路地裏で、変貌していく相棒の姿を、矢車は息を殺して見つめる。「目を覚ませ、相棒!」 今度は右手だけに留まることなく、影山の全身が緑色のワームへと変わっていた。 呼びかけても、影山の心には届いていない。遅過ぎたのか、と矢車は悔やんだ。 逡巡する矢車に、元は影山だったものは躊躇なく襲い掛かっていく。 矢車は反撃はおろか、影山を置いて逃げる...全文を読む

鬼殺し(4)

鬼殺し

2007.11.20 (Tue)

  巻き戻した時間を、再び進めよう。 たとえ、同じ間違いを繰り返すとしても。 影山の告白に、矢車はぴくりと眉を動かした。 その様子を興味深く観察しつつ、影山は続ける。「俺を弟にしたのは、復讐だろ。それとも、地獄への道連れが欲しかった?」 矢車は答えず、ただ強く拳を握り締めた。「いつだって、俺を簡単に切り捨てるつもりだったんだ、兄貴は」 手加減のない非難で影山が煽ってみても、思った程に矢車から反応が返...全文を読む

鬼殺し(3)

鬼殺し

2007.11.18 (Sun)

  あの時の俺は、どうかしていた。 疑惑ばかり膨れ上がって、変異した自分の右手も意識できず。 それから、『お前』が、俺の意識を占領するようにどんどん大きくなっていった。 視界の全てが赤いフィルターを通して見え、形は醜く歪んでいる。 今までこんなにも歪な世界で生きてきたのだろうかと、影山は吐き気さえ覚えた。「俺に近寄るな! それ以上近付いたら、殺す」「何言ってる、相棒」 信じられる唯一の存在だった矢車...全文を読む

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