大晦日の過ごし方 |
| 大晦日の過ごし方 「ねー、兄貴。なんで除夜の鐘って、107回つくの?」 「・・・1回足らない。108だ」 「だから、なんでなのさっ」 聞きたがりの影山に、半ばげんなりとして矢車は答える。 「108の煩悩を取り去るためだ」 「少な過ぎると思うぞ。1日に1回の煩悩としても、365回はいる」 田所が腕組みをして、深刻そうに眉を寄せると。 「えっ、じゃあ全部の煩悩払えないじゃん!」 「まったくだ。これは是非とも改定を求めるべき問題だぞ」 影山と田所が二人してまた、訳の分からない話で盛り上がる。 勝手にしてくれ、と矢車はますます気持ちが滅入ってきた。 「ところで、加賀美は? まだ来ていないようだが・・・」 店内を見回して尋ねる田所に、厨房からひよりの声が上がる。 「あいつは仕事。この近くでボヤがあって、駆り出された」 「放火か! ワームの仕業だ!」 「・・・あんただってワームでしょう、田所さん」 テーブルに頬杖を付いて、そっぽを向いたままボソリと言う矢車。 「・・・そもそも放火じゃないし。タバコの消し忘れが原因らしい」 タイミングよく、ひよりが3人分のパスタを運んできたものだから。 「いただきまーす」と、影山が一番に飛びついて。 「・・・天道はどうした?」 トマトソースで口の周りを真っ赤にしている影山を横目で見ながら、どうでもいいが、と付け足して、矢車はひよりに聞いた。 「ああ。・・・パキスタンに豆腐を買いに行ってる」 「・・・暗殺されてないだろうな」 よりによって政情不安の今、しかも豆腐を買いに。 「あれはきっと、擬態したワームの仕業だ!」 「だから、あんたもワームでしょうが・・・」 田所の根拠のない思い込みは、BLACKの南光太郎に匹敵する。 ガリガリと頭を掻いて、矢車は溜息をついた。 一体、何の因果で、こんな馬鹿げた大晦日を過ごすはめになったのか・・・。 「それは、こっちの台詞だ」 声に出したつもりはなかったのだが、思わず呟いてしまったらしい。 ひよりにジロリと睨まれ、矢車は肩をすくめた。 「一体、なんだってボクがお前たちのために料理を作ってやらなきゃいけないんだ?」 ひよりは怒りをふつふつと湧き上がらせている。 「ほら、やっぱ、大晦日にはスパゲティ食べなきゃさ」 オバQのような唇になった影山が、フォークを口に運びつつ主張する。 「・・・普通は、そばだが」 空気を読め、ナプキンで口元を拭け、と矢車が肘で突付くが、影山は気付かない。 「なんだよっ。大晦日はそば屋はどこも混んでるし、サルならツケが利くからって言ったの、兄貴じゃない!」 影山の漏らした何気ない一言で、場の雰囲気はさらに悪化。 「・・・まあまあ、年末なんだし」 誤魔化し笑いを浮かべて、田所が取り持った。 同じ理由でここに来た者として、事態を沈静する必要がある。 「年末だから、何だよ・・・?」 ふくれるひよりに、 『歳末助け合い』 「だ」だの「だろ」だの「だよ」だの、語尾は微妙に違っていたが、3人とも同じ言葉を言っていた。 「・・・たく。食べたら、早く帰れよ」 諦めたように、ひよりは厨房に戻る。 「あ、紅白見てこうよ、兄貴。その後、カウントダウンだよね」 「待て。行く年来る年の方がいいぞ」 無駄なチャンネル争いが、影山と田所の間で繰り広げられ。 「そんな時間まで居座るなよ!」 悲鳴にも似たひよりの叫びが響く。 それを傍観して、矢車はハァー・・・と定番になっている深い溜息をついた。 ビストロ・ラ・サル。 淋しい男たちが、大晦日に集う場所。 END ※おバカギャグで、今年の締めとさせていただきます(^^; 良いお年を・・・。 |
トライアングルハーフ [6] |
| トライアングルハーフ [6] 「ZECTがワームを倒すための組織だなんて、矢車さん、言わなかったじゃないか!」 「治安を守る組織だと言ったはずだが」 珍しく瞬が俺に食ってかかる。 今や立法も司法もZECTの影響下にあり、ワーム壊滅だけがZECTの役割ではない。 腐った世界から膿を出し、完璧な新世界を創造すること。 俺がZECTにいる目的は、そこにある。 「ワームと戦うとこだって知ってたら、俺・・・入らなかったよ」 「だろうな」 「じゃ、俺をだましたの?」 「・・・そうじゃない」 どう説明したらいいものか、と俺は溜息をつく。 もとより瞬を戦場に送り出すつもりはなかったし、「天空の梯子計画」が無事に終わるまでは、ZECTにいた方がかえって安全だと判断したのだが。 理屈では割り切れない部分もあるだろう。 特に、瞬にとっては。 「・・・警察だって、人間を倒すためにあるわけじゃない。それと同じことだ」 計画の真の意図は、たとえ瞬にも明かすことはできなかった。 ZECT総帥と限られた一部の者のみが知る、トップシークレット。 真実が漏れれば、大和さんですらネオゼクトに寝返るかもしれない。 「どこが同じさ! ウソツキ!」 叫んで、瞬は駆け出して行く。 その後姿を目で追ったまま、俺はポツリと呟いた。 「・・・早く帰っても、メシだけは作らないでくれよ」 * * 三島さんの指示を受け、俺はある人物のもとを訪れた。 ZECT直属でありながら、切り札もしくは暗殺者としての位置にあるため、彼の存在は公にはされていない。 「・・今日は、おひとりですか」 白い帽子を取って慇懃に挨拶した後、その男は言った。 黄金のライダー・黒崎は、屈強なガタイには不似合いなほど優雅な動きをする。 「ええ、嫌われたようで・・・」 黒崎が、誰の事を示しているかは分かっていた。 以前、瞬に会わせたことがあったから。 だから、続く言葉の意味合いも理解した。 「完璧にこだわる貴方が、中途半端な彼に入れ込むとは、どうした風の吹き回しでしょうね」 「・・・中途半端?」 黒崎が何をどこまで知っているかは、あくまで俺の憶測の範囲に過ぎない。 もっとも厄介な信念を持っていない分、扱いやすく、安心な相手ではあったけれど。 「瞬は、パーフェクトですよ」 「・・・というと?」 知られても問題ないだろう、この男には。 「・・・瞬は、人間とワームの、完璧な融合です」 →NEXT ※よもや黒崎さんが出てくるとは・・・自分でもビックリ(笑)。 |
トライアングルハーフ [5] |
| トライアングルハーフ [5] 織田を筆頭に、風間や修羅、そしてZECTメンバーの約3分の1が、ZECTに反旗を翻した。 ネオゼクトという組織を結成して。 「我々の敵は、ワームだろうが・・・分からずやどもが!」 報告を受けた大和さんは、廊下の壁を思い切り拳で打った。 壁にヒビが入りそうなその剣幕に、俺の後ろにいた瞬がビクリとする。 「ネオゼクトだと? バカな! この上、人間同士が戦って何になる」 「ええ。しょせんは、人類の支配権を巡る争い・・・」 従順な部下らしく、俺は大和さんに同意を示す。 けれど、本心では、どうでもいい。 むしろ、勝手にすればいい、という気持ちだろうか。 「・・・どうして、織田さんたちはZECTを抜けたんですか?」 おずおずと瞬が口を開いた。 黙らせようとしたが、大和さんは瞬の問いに関心を持ったらしい。 ほぉ、という顔で、瞬の正面に回る。 「・・・そうだな。いつまでたってもワームを倒せない、弱いZECTに嫌気が差したんだろうさ」 「ZECTはワームを倒すための組織なんですか?」 「もちろんだ」 大和さんの表情は、何を当たり前なことを聞くのか、と言わんばかりだったが。 俺としては、「かつては、そうだった」と訂正したい。 「織田たちは、世界がZECTに支配されるのが気に入らないんだ」 大和さんの手前、俺は言葉を選んで、やんわりと言う。 彼らはただの反乱分子に過ぎない。人類を救うためのプランなど、何も持たず。 信念だけで、世界が良くなるはずもないのに。 「くそっ、ワームに壊滅的な打撃を与えることさえできれば・・・!」 ZECTに強い忠誠心を持つ大和さんに、俺は少しだけ眉を顰める。 瞬はといえば、その言葉に衝撃を受けたようで。 「・・・どうして、ワームと共存しようとしないんですか?」 先程から、質問しか発していない。 まずいな、と俺は思った。 「共存だと!? 奴らは侵略者だぞ? 殺るか殺られるかしか、あり得ない」 「そんな・・・っ」 「すみません大和さん。私たちは、これから訓練がありますので」 険悪な雰囲気をかもし出す二人の間に割って入り、俺は瞬の腕を引く。 何か言われる前に一礼をすると、瞬を連れて足早に歩き去った。 「・・・った、矢車さん、痛いってば!」 強引に引っ張られた瞬は、抗議の声を上げる。 大和さんから見えない位置まで移動した後で、俺はその手を離してやった。 「ヒドイや、手の跡付いちゃってるよ」 「馬鹿言え」 わざとらしく腕まくりをして、赤くなった腕を見せ付けるものだから。 「・・・悪かった」 とりあえず謝っておいて、瞬の鼻先に指を突きつける。 「無事でいたかったら、事を荒立てるな。大和さんの言う事は聞き流していればいい」 「だけど・・・!」 「いきがるな。そのうち、全て上手くいく」 言い聞かせるように、ゆっくりとそう告げた。 瞬の気持ちは分かる。 感情を隠せないのは、まだ幼い証拠だという事も。 だが、はかりごとは、黙っていてこそ、価値があるものだ。 →NEXT |
雑記:メリクリ |
| 『聖夜は〜』は、初心に戻ってほのぼのハートウォーミングにしたつもりですが、なんか地味っ(^^; 初めに考えていたのは、「運命に立ち向かえ! 生存率0.1%、閉ざされた雪山からの決死の脱出!勇気の果てに、人は愛を見る・・・」というようなキャッチコピーの話(なに、ソレ)だったんですけど(笑)。 まあ、クリスマスということで・・・。 某名古屋港では(←某の意味がない)、イブの花火が上がってるそうです。 ワタシの家からは見えないので、友人談。 きっとすごい人出なんだろうなぁ(^^; それでは、皆様、Merry Christmas! 拍手押してくださった方、ありがとうございました。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
聖夜は静かにふけて [4] |
| 聖夜は静かにふけて [4] 結局、翌朝早く、俺と兄貴はオスロに戻る列車に乗った。 ふたりして無駄な列車代を使ってしまったわけで、これからどこかに出掛けるなんて事は、体力的にも予算的にも無理だった。 「・・・綺麗だねー、兄貴」 凍った湖面に雪山。 もういい加減見慣れた感があって、それほど感動できる景色でもなかったけれど。 「そうだな・・・」 兄貴も窓枠に寄りかかり、うとうとしながら返事する。 くたびれた体で、ようやくオスロに戻ってみれば。 街の店という店はすべてシャッターが下りている。 レストランで何か食べようと思っていたのに、それどころか食料品を買うこともできない。 「な、なんで店閉まってんだよ。クリスマスなんて書き入れ時だろっ」 「そう考えるのは、東洋人くらいなもんだ」 この状況を予測していたような、兄貴の答え。 「クリスマスには仕事は休み、もちろん店も。・・・家族と過ごすための大切な日だからな」 「家族・・・」 その言葉が心にツクンと引っかかる。 普段からは考えられない静かな街並みを、俺と兄貴は黙って歩いた。 こんなにひっそりとしたクリスマスは、初めてかもしれない。 今まで一人きりの時でも、街に出ればそれなりに賑やかだった。 「卵と、野菜が少し・・・あとはパンか」 アパートに戻ると、兄貴はさっそく冷蔵庫をチェックする。 「ほとんど買い置きないよ。店が開いてないなんて、思わなかったもん」 少し不貞腐れて、俺はコートを着たままベッドに倒れこんだ。 「靴ぐらい脱げよ」 「・・・はーい」 チラリと俺に視線を向ける兄貴。まったく、目ざといんだから。 「・・・疲れた・・・」 ぼんやりと天井を眺めながら、ぽつりと呟いてみる。 家にたどり着いた途端、気が抜けたのか、急激に疲れと眠気が襲ってきた。 どうせ、外出しても仕方ない。アパートの中にいても、何もすることがない。 白夜の国でも、やっぱり俺たちは、世間からのけ者にされているのだ。 そのまま少し眠ってしまったらしく、起きた頃には外はすっかり真っ暗。 もっとも時計を見ると、まだ4時そこそこ。 部屋の明かりも点いていなかったので、兄貴がいないのだと分かった。 「俺が寝てる間に、出掛けちゃうなんてさ」 寝起きの機嫌の悪さも手伝って、どこかに文句をぶつけたい気分だった。 「・・・兄貴のバカ、ツンデレ、ムッツリスケベ」 「・・・誰が、バカでツンデレでムッツリスケベだ」 タイミング良くというか悪くというか、コートや頭に付いた雪を払い落としながら、兄貴が部屋に入ってきたのは、ちょうどその時。 でもしっかり、悪態は聞こえていたらしい。 「あ・・・兄貴おかえり。雪、降ってたんだ」 人の悪口を言っていると、その人が現れるというが、まさにそれ。 俺は内心冷や汗をかきつつ、話をすり替えた。 「どこ行ってたのさ、こんな日に」 兄貴はジロッと俺の方を睨んだ後、諦めたように溜息をつく。 「・・・知り合いに少し分けてもらった。これで、一応クリスマスディナーらしくなるだろ」 手に持った包みをガサガサと開くと、ポークリブの塊があった。 「まだ早いが、昼も食ってないしな。腕をふるってやるよ」 そんな風に言う兄貴を見ていられず、俺は顔を背けた。 どうして・・・。 「・・・して、今日は・・・そんなに優しいんだよ・・・」 うっかりすると、目から熱いものがこぼれそうになる。 俺のせいで、せっかく兄貴が計画してくれたフィヨルド観光がダメになって。今だって、こんな雪の中、兄貴が食材を調達しに行ってくれてたのに、俺はずっと寝てただけで。 いつもは全然優しくないくせに。 「・・・いつも通りでいいよ。クリスマスが台無しになったのは、俺のせいなのに・・・」 ほとんど子供の八つ当たりと同じだ。 そう分かっていても、荒ぶった感情は止まらない。 「俺を責めればいいだろ。なんで、怒んないんだよ!」 「本当にバカな奴だな、お前は」 わずかに怒りを滲ませた眼差しで、兄貴は俺の襟元をぐいと引っ張る。 「ちょ・・・セーターのびるだろ、兄貴っ」 「いいか。宿無しだった俺たちが、今こうして日の当たる生活をしてる。何が、台無しだ? 俺たちはもっと深い闇を見ただろう。それに比べたら、何をそこまで落ち込めるんだ」 「・・・そりゃ、そう・・・だけど」 「なら、うるさく言うな。大人しく待ってろ」 俺のセーターを押し離して、すたすたと兄貴はキッチンへ向かった。 思い切り掴むもんだから、セーターは無残なことに。 「・・・やっぱ、優しくない」 独り言のようにそう言ってみたが、堪えきれなくなった涙がポタリと落ちる。 やがてキッチンから、肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。 今日は、クリスマスイブで。 外で楽しく遊ぶことはできない。 だけど、この日は。 大切な「家族」と過ごす、一年で一番温かい夜なのかもしれない・・・。 END |
聖夜は静かにふけて [3] |
| 聖夜は静かにふけて [3] 暗くなればなるほどに、車内の寂しさも増す。 窓から見える夜の銀世界は、神秘的だけど、怖い。この世界に、まるで自分ひとりしかいないような孤独感。 どこかの駅で停車し、ちょうどミュルダールへ向かう列車がホームに入ってくるのが窓の向こうに見えた。 すぐ隣の車線で停まった、あちらの車内もガラガラ。 やっぱりこんな遅くに、列車に乗ってる奴なんて、そういない。 けど、俺の目の端に、見慣れた日本人の姿が映った。 「・・・兄貴!」 叫んだ時には駆け出していた。 停車時間は、そんなに長くない。 「俺ここだよ、兄貴っ!」 発車を告げる音にかき消されそうになり、俺は大声を張り上げる。 およそ聞こえたとは思えないけれど、何かの勘が働いたのか、兄貴は俺の方を振り向いてくれた。 「・・・相棒!?」 気付くと同時に、列車から走り降りる兄貴。 両方の列車が発車した後には、反対側のホームに、俺と兄貴の二人だけが取り残されていた。 急ぐ必要もなかった。 どちらの列車も走り去ってしまったし、しかもどちらも、あれが最終とあっては。 つまり、俺たちはこの僻地の駅で夜明かしをしなければならないという、最悪の事態。 さぞや怒ってるだろうな、と俺は恐る恐る兄貴に近づいていった。 「ごめん兄貴! でも俺だって、どーしようもなくて・・・」 さっきの予行練習通りに、まず謝ってみる。 いつまで待っても罵声が飛んでこないので、どうしたのかと顔を上げると、いきなりガバッと抱きしめられた。 「兄貴・・・?」 「・・・馬鹿野郎。迷子になったら凍死だと、言ったろう」 表情は見えなかったものの、声には安堵の含みがある。 「ごめんなさい・・・」 今度の謝罪は、心の底から。 兄貴は俺のことを、心配してくれてたんだ。 ベルゲンから来る列車に乗っていた兄貴は、多分俺を探しにベルゲンまで行って。 俺がいないらしいと分かって、またミュルダールに戻ろうとしてたんだろう。 完璧に、行き違い。 「フィヨルド観光、できなくなっちゃったね」 「・・・それより、今夜どこに泊まるかの方が問題だな」 兄貴は俺の体を離して、溜息をついた。 幸い、駅の近くに宿泊施設があったので、野宿は回避できた。 なんとか暖が取れれば、文句は言わない。 朝起きたらカチンコチンに凍ってたってギャグみたいなシチュエーションも、シャレにならないんだから。 この、冬場のノルウェーでは。 →NEXT |
クリスマス近し |
| 3連休だー、わーい! といっても別にどこ行くわけでもないので、家でゴロゴロと・・・(--; 『THE NEXT』のDVD・・・通常版かコレクターズエディションか、どちらを買おうか迷ってます。 舞台挨拶は、3人がライダースーツ着てたそうなので見てみたいんですが、この値段の差はちょっと・・・(泣)。 劇場公開時にカットされた幻のシーンて、やっぱり一文字が死ぬシーンっぽいですね。 なんだかな〜。 クリスマス記念に、変なカットをアップしてみました。 これまた元絵は、はるか昔に描いたものですが。 ![]() 小説の続きも、夜に上げられたらなぁと思います。 拍手くださった方、ありがとうございました。 ↓以下、拍手レスです。 [Read More...] |
聖夜は静かにふけて [2] |
| 聖夜は静かにふけて [2] きっと兄貴も俺がいないことに気付いて、探してくれてるはずだ。 フロム鉄道に俺が乗っていないと分かれば、恐らくこのベルゲン行きの列車だと見当を付けてくれるだろう。 ただ、問題は・・・。 「兄貴は追っかけてきてくれるかな・・・」 ひとりで腕組みをしながら、俺はウーンと唸る。 兄貴がこちらに向かっているのなら、俺が戻ればすれ違いになってしまう。ここで待っている方がいい。 けれど、もし兄貴もそう考えて、向こうで待っていたら。 予想は、五分五分。 午後3時過ぎには、日が沈む。 昼の時間が短いこの季節、ぐずぐずしている暇はない。 「表なら戻る、裏なら残る!」 俺はポケットから50オーレの硬貨を取り出すと、指でピンと上に弾いた。 くるくる回って落ちるコインを左手の甲で受けて、右の掌で蓋をする。 手を開いて見ると、コインは表だった。 「・・・まあ、あの兄貴が追いかけてくるはずないよね」 自分自身を納得させるように、呟く。 俺たちの行き先はフロムなわけだし、兄貴がわざわざベルゲンに来る理由はない。 きっと怒りのオーラを発して、ミュルダールかフロムでじっと俺を待ってるのだろう。 考えるのも恐ろしいけど。 「よしっ、戻ろう」 ミュルダールに向かう反対列車に、俺は発車時刻ギリギリで乗り込んだ。 車窓から見える外は、すっかり暗くなり。 今日の予定は、完全にパア。 兄貴の鬼気迫る形相が目に浮かぶ。 「誰のために計画した旅行だと思ってるんだ」とか「なぜ乗る前に気付かないんだ」とか。 「・・・そりゃ、そうだけどさ。俺だって好きで間違えたわけじゃないよ」 空想上の兄貴が言う文句に、俺はブツブツとひとりで反論してみる。 イメージトレーニングってやつだ。 そのうちに、列車はミュルダール駅に到着した。 まだ日のあるうちに見た時とは、印象がだいぶ違う。 ともかく駅周辺を探し回り、駅員さんにも写真を見せながら兄貴の行方を尋ねる。 『こんな日本人、見ませんでしたか?』 答えは、Nei(ナイ)。つまり、ノーで。 ミュルダールにいないとすれば、フロムか。 フロムへの途中の滝が絶景だと、親切な駅員さんは教えてくれるが、俺の今の目的はそこじゃない。 『今日はもう、フロムへの運行はないよ』 その駅員さんは、さらに親切なダメ押しをくれた。 「・・・ってことは・・・」 俺はだんだんと不安になってくる。本当に、冗談じゃなく迷子になってしまったのだろうか。 このまま永遠に、兄貴と会えなかったらどうしよう。 兄貴がベルゲンに向かったとして、途中で下車してる可能性は低いと思う。 となれば、やっぱりベルゲンかフロム。でもフロムに行けないとなると。 「どこかに泊まらなきゃ・・・」 今日動くことはもう諦めた。 このままオスロに帰るという手もあるけれど、なんせ5時間の道のり。 せっかく来たのに、とんぼ帰りも悔しいし、兄貴が帰っているはずがない。 ミュルダールに宿泊できそうな場所はないが、ベルゲンならまだ都会だ。 どんよりと重たい心と脚を引きずって、俺はベルゲン行きの列車に再び乗った。 →NEXT ※注:ワタシのノルウェー観光案内(?)はあまり当てにはなりません(^^; |
聖夜は静かにふけて [1] |
| ※いかん、もうクリスマスまで1週間もない・・・。 イベントものは時期をはずすと悲しいので、取り急ぎこちらを先に書きます。シリアス続きだったので、ちょっとバカっぽく甘めになるかと(^^; 聖夜は静かにふけて [1] クリスマスよりも数日早く、兄貴はそのプレゼントを俺にくれた。 「え、ほんと? マジで? お金、大丈夫なの」 「そのために、仕事してただろうが」 「そりゃ、そうだけど・・・」 俺はあまりの事に、びっくりして息が止まりそうになってしまった。 フィヨルドに連れて行ってくれる、と以前から約束してた兄貴。 ノルウェー最大のソグネフィヨルドはオスロからそれほど遠くはないとはいえ、観光名所なわけで。費用もそれなりに掛かるのに、兄貴はその手配をしてくれたらしい。 列車でフロムというところまで行き、そこから船でフィヨルドを巡る。 旅行会社のパンフレットの景観写真は、それは壮大で綺麗だった。真冬は雪や氷河がひどく寒そうではあるけれど。 「迷子になったら間違いなく凍死だからな、気をつけろよ」 「そんなバカ、いないよ」 兄貴のからかいを、余裕で受け流す。 俺にとっては、とにかく楽しみで。 オスロからミュルダールまで鉄道で行き、そこからフロム鉄道に乗り換えて・・・と、兄貴は旅行の手順を細かく教えてくれるけれど、ほとんど覚えちゃいない。 兄貴に付いていけばいいだろうと、気楽な気持ちでいた。 あの時に、もっとちゃんと聞いておけばよかった。 後悔は、いつも後でやってくるものなのだ 純白の雪景色を車窓から眺めながら、ミュルダールの駅に着いて。 そこからフロム行きの列車に乗り換えるだけだったのに。 「・・・兄貴?」 観光客で混雑するホームで、兄貴とはぐれてしまったことが、始まり。 飛び乗った列車に兄貴の姿はなく。その列車が、どうやらフロム行きではないらしいと気付いた時には、すでに列車は発車した後だった。 『この列車、どこ行きですか?』 『ベルゲンだよ』 カタコトのノルウェー語を駆使して乗客に聞いてみると、不思議そうな顔をされた。 我ながら、間抜けな質問だったと思う。 一晩ホテルに泊まるだけのつもりだったから、荷物はもともとそんなに持ってきていなかった。 所持品は、地図とわずかなお金だけ。 兄貴と連絡を取る方法がない。 通り過ぎる山々や湖を、俺はぼんやりと目に映していた。 もう自然を楽しむどころじゃない。 途中いくつかの駅に停まったものの、どれも小さく寂しい駅で、周りは山と雪の氷雪地帯。 こんなところで降りたら、それこそ氷山のマンモスみたいに氷漬けになってしまう。 約2時間の旅を終え、俺はポツンとベルゲンに降り立った。 駅舎もわりと大きなベルゲン駅。 「・・・どうしよう」 ここなら最悪、夜明かしができるかもしれないと思いつつ、俺は駅舎の隅に腰を下ろした。 →NEXT ※あれ、これって「ホーム・アローン」じゃ・・・(笑)。 |
トライアングルハーフ [4] |
| トライアングルハーフ [4] ZECT総帥であり加賀美新の父親でもある加賀美陸や、三島さん、他の幹部たち、そして大和さんや、織田、俺といった実働部隊の指揮官が一堂に会しての話し合い。 ワームへの対策だけでなく、高まる政情不安をどう解消していくか、が課題となる。 「ワーム壊滅より、水不足の解消の方が重要でしょう。今は、『天空の梯子計画』の早期実現に尽力すべきです」 俺の提唱する折衷案は、総帥はもとより、ZECTの大方の支持を得ていた。 けれど、織田が頑として反対を示す。 「ZECTの使命は、ワームを倒す事だ。水不足の件は、本来の政府に任せるべきじゃないのか? 民衆からは、軍国主義の再来だと批判も強まっている。独裁政治に突き進む気か!」 咆えていればいい。 そうやって、正義をふりかざせばふりかざすほど、ZECTのお偉方は眉を顰めるだけだ。 「落ち着け、織田。何もワームに対して、手を打たないわけじゃない。ワームは俺たち実働部隊が全力を賭して・・・」 「それで? そう言いながら、7年間何も変わっちゃいない」 本来は戦友同士の、大和さんと織田。 しかし大和さんの説得にも、織田は耳を貸さない。 「・・・腐ってる! 結局あんたたちは、自分たちの権力を強めることしか考えてないんだろう」 織田はバンと机を叩いて、言い放った。 大きく足音を響かせて退出する織田を止める者は、誰もいない。 修羅の情報通り、織田の離反は確定。 「申し訳ありません。私がもっと計画において、確定要素を提示できればよかったんですが・・・」 毛ほども思っていない口先だけの謝罪を述べる。 「いや・・・。直情過ぎるんだ、あいつは」 ふぅと息をついて、大和さんは額を押さえた。 「・・・そうですね」 俺は同情を示す素振りで、悟られない程度に口の端に笑みを浮かべていた。 正論を唱える者がいなくなった結果。 ようやく、『天空の梯子計画』の正式な発令が決定した。 この地球に彗星を引き寄せる、『天空の梯子計画』。 氷と塵でできた彗星は、干上がった地表に海を戻すだろう。 そして。 別種の生命が、人類全体を良い方向に導いてくれるはずだ 「会議、どうだった?」 家に戻った俺を、無邪気な笑顔で出迎えてくれる瞬。 「ん? ・・・順調さ」 わずらわしいマントを取り去り、手袋をはずす。 「夕食作っておいたよ。この前矢車さんが作ってくれた麻婆豆腐、俺もやってみたんだ」 「お前が?」 心配になってキッチンに向かうと、シンクには焦げた鍋や割れた皿、汚れたままの食器類が山と置かれていた。 「初めて作ったからさ。で、でも味はおいしいよっ」 慌てて言い訳する瞬に、俺は「後で片付けろよ」と苦笑する。 「どれ、じゃあ味見・・・」 「あ、まだダメだってば!」 小皿に少し取って、口に運ぶ。 見た目は普通の麻婆豆腐で、豆腐の大きさもまあ問題ない。多少なら味の調整もできると思ったのだが。 「・・・砂糖、何杯入れた?」 「え、5杯かな」 大さじ山盛りで、と付け加えられては、もう頭を抱えるしかなかった。 「味見は、したんだよな・・・?」 「うん、もちろん」 その様子から察するに、瞬にとっては好みの味付けらしい。 菓子やら何やら、甘いものが好きだとは知っていたものの、これはさすがに・・・。 「だって、矢車さんが作ってくれたのも美味しかったけど、ちょっと辛かったもん」 辛いのが当たり前だという言い分は、こちらの勝手な基準で。 味覚が異なっていれば、それを押し付ける権利などない。 「・・・これからは、遅くなっても俺が料理するから。お前は何もするな」 夕食を食卓に運びながら、俺は瞬に釘を刺す。 「どうしてさ」 「慣れない手付きで、怪我でもされたら困る」 瞬の指に巻かれた絆創膏。 麻婆豆腐を匙ですくったまま、俺はその匙で瞬の苦戦の証を指し示した。 「こ、これは、その・・・」 さっと指を後ろに隠すが、もう遅い。 「少しの傷でも、破傷風という恐ろしい病気になることもあるんだぞ」 「わ、分かった・・・」 このぐらい脅しておけば、二度と包丁には触るまい。 ひとまず満足して、俺は最初で最後の瞬の手料理を味わった。 →NEXT |
トライアングルハーフ [3] |
| トライアングルハーフ [3] 「あれ、そいつ新入りですか?」 ガタックの資格者、加賀美がにこやかに声を掛けてくる。 「ああ。訓練生の・・・影山だ」 加賀美なら、瞬と歳も近い。 仲良くなれるだろうと紹介しようとしたのだが、瞬はさっと俺の後ろに隠れてしまった。 「・・・嫌われちゃってるのかな、俺」 握手のために差し出した手を引っ込めて、加賀美はポリポリと頭を掻く。 「いや、悪いな。人見知りするんだ」 俺は背後にチラリと目をやった。 大和さんや他の隊員たちにはそうでもなかったのだが、瞬はどことなく不貞腐れているようだ。 きちんと挨拶しろ、と目で訴えると、瞬はおずおずと手を出した。 「・・・よろしく」 「よろしくな、俺は加賀美新」 物怖じせず、裏表のない好青年。それが、たいていの人間が加賀美に持つ印象だろう。 「どうした? 加賀美は信用できると思うが」 むしろZECTにおいては、不似合いなほど正直な男。 加賀美が行ってしまったのを見届けて、俺は瞬に尋ねてみた。 「・・・だって、矢車さん、あいつの事気に入ってる」 「・・・え?」 瞬の言葉に、思わず目を丸くする。 親が別の子をかわいがると、子供が拗ねるように。 俺の心を読んで、瞬はあんな態度を取ったというのか。 ・・・それにしても。 「俺の事は別にして。お前自身には、加賀美はどう見える?」 「・・・澄んだ青空。どこまでも、青くて広い」 たどたどしく伝えようとする瞬に、なるほど、と俺は思った。 瞬は人の性質や感情を、直感として感じ取るのかもしれない。 「・・・じゃあ、俺は、お前にはどう見えてる?」 少しばかり勇気のいる質問だった。 お世辞にも良い人間とは言い難い、この俺は。 「矢車さんは、透明だよ」 予想もしなかった瞬の答えに、声が詰まった。 何を、馬鹿な。 俺が黙ったままなので、瞬は不思議そうに首をかしげる。 「きれいな氷みたいに透き通ってる。だけど、黒いものが下からだんだん広がってきてる」 「黒いもの・・・」 「うん。なんだか分からないけど、きっと良くないものだ」 指摘されるまでもない。 それは俺自身がよく知っている。俺のZECTでの立場や、これから成そうとしている野望を。 ZECTは、じきに分裂する。 その時が、俺にとって好機となる。 「そこまで見えるなら、どうしてまだ俺の傍にいるんだ」 自分の選んだ道を引き返す気はないが、他人まで巻き込むつもりはない。 瞬が俺から離れるというのなら、止めようとは思わなかった。 もう、瞬は一人でも大丈夫だろうから。 「離れないよ、俺は」 俺の考えを察したらしく、瞬はまっすぐに俺の目を見て言った。 「どんなに黒く覆われても、そんなの表面だけだ。だって本当の矢車さんは・・・」 いつまでも透明だもん。 そう瞬が続けるのを最後まで聞かないうちに、俺を呼ぶ大和さんの声。 「矢車、ミーティングだ!」 瞬に先に帰るよう言い渡し、俺は足早に向かう。 これから来るべき、戦の場へ。 →NEXT |
トライアングルハーフ [2] |
| トライアングルハーフ [2] 無理に距離を縮めようとすれば、警戒心を強めるだけだ。 俺は、向こうから近づいてくるのを辛抱強く待った。 「心配するな。俺は、味方だ」 「・・・味方・・・?」 「そう」 どうやら言葉は分かるらしい。 「俺は、矢車想。お前は? 名前はあるのか?」 「・・・名前・・・」 そいつは何かを思い出そうとするように、首をひねった。そして、 「・・・シュン」 小さな声で告げる。 「出て来いよ、シュン。そんなところにいたら、誰かに見つかるぞ」 「行くとこ、ない・・・」 シュンはポツリと呟く。 仲間からはぐれたのか、それとも自分から逃げてきたのか。 「なら、俺のマンションへ行こう。そこなら安全だ」 できるだけ柔らかく微笑んで見せる。 「・・・うん」 ようやく、シュンは俺の手を取ってくれた。 影山瞬。 ZECTには、その名で登録をした。 経歴はもちろん適当だが、それくらいの詐称はどうとでもなる。ZECT入隊の手回しも、俺にとっては手馴れたものだった。 問題は、瞬本人の口から嘘がばれないか、ということ。 外見は20歳ぐらいに見えるが、精神的に幼すぎるところがあるから。 「いいか、お前はZECTという組織に入るんだ。これから社会の中で、生きていく。いい?」 「うん、分かった」 瞬は、俺の言うことをよく理解した。 驚くほど覚えも早く、今ではごく普通に、人間としての生活に順応している。 けれど、やはり俺の目の届くところに置いておく方がいいだろうと、俺は瞬をZECTに入れた。 「矢車さん、聞きたかったんだけどさ・・・」 「うん?」 「俺の名字・・・なんで "影山" って付けたの」 瞬が無邪気な瞳を向ける。 隊長職にある俺は、ZECTでは隊員を名字で呼ぶ。 もちろん、瞬にもそうしている。家に戻れば、別だが。 「・・・ああ、お前を見てたら思い出した。昔の記憶の中の・・・黒い影のような山を」 「影の・・・山?」 不思議そうに問い返す瞬。 俺はその頭をくしゃっと撫でた。 「お前は知らなくていい。・・・それより、今日の訓練はどうだった?」 新入隊員として加わった瞬は、日々厳しい訓練を受けていた。 ゆくゆくは、実地戦闘に出向くために。 「もうクタクタ。俺、こういうの向いてないと思う」 瞬は大袈裟に肩を落として見せた。 いつの間に、そんなリアクションまでできるようになったのか、と俺は目を細める。 たいした成長ぶりだ。 「自分の身は自分で守れるようになれ。そのための訓練だ」 この先、平和な世界なんて望めない。 火種は至るところでくすぶり、一般人といえど、いつ巻き込まれるか分からない危うい情勢。 そんな中、頼れるのは自分の力しかない。 「俺がずっとお前を守ってやれればいいが・・・」 俺は苦々しく笑った。 俺自身だって、どうなるか知れないだろう。 →NEXT |
雑記:ニコ動ハマリ中 |
| いや、もう最近時間があると、ニコ動を見てます。 昔のアニメとかドラマとか、見つけるともう懐かしくって。 最近見まくったのは、あんまり昔じゃないけど(ワタシ的には)、『アーク・ザ・ラッド』と『神八剣伝』です。 特に、『神八剣伝』は好きでしたね〜v 半ズボンで14歳の主人公・・・狙ったようなショタキャラで(^^; 昔は結構ショタだったもので、半ズボンはモーレツ(死語)でした(笑)。 拍手、押してくださった方、ありがとうございます。 ↓以下、レスです。 [Read More...] |
トライアングルハーフ [1] |
| ※『refraction』とは別バージョンの、GSLのパラレルです。 策士矢車さんの一人称なので、例の結末にはなりません(^^; あの隕石が空から降ってくる以前に、俺は何度か不思議な飛行物体を目撃していた。 それは、いつも夜中。 黒々とした山の麓に、楕円形に光るものが着陸する。 昔一度だけ、飛行物体の中から出てきた『それ』を見た。 その時、幼かった俺は、なぜか恐怖は覚えずに。ただ、神々しさと畏敬の念が、全身を満たした。 神秘的な『力』に、抑えようもなく、魅了されて トライアングルハーフ [1] ワームに対するZECTの対応の甘さに、内外で不満の声が高まっていた。 対ワーム組織として結成されながら、この7年間、ZECTはワーム壊滅のために何も決定的な策を打ち出してはいない。 ワームはのさばり続け、水不足は深刻化。 役に立たない、どこかの国の政府のようなもので。 組織の中に反乱分子が出てくるのは、必然とも言えた。 リストアップされたのは、思っていたよりも厄介な連中ではあったが。 「織田と風間・・・か。ライダーが二人抜けるのはキツイな。確かな情報?」 いつものように北斗修羅と俺は、夜の歓楽街を歩く。 どんなに情勢が不安定でも、こういった街区の賑わいは廃れることがない。 むしろ、こんなご時世だからこそ、人々は一時の快楽に身をゆだねるのだろう。 「多分な。今日も、織田と大和の対立が噂になってた。織田が離反するのも、時間の問題だろう」 修羅はあまり関心もなさそうに答える。 「熱血な理想主義者だからな、織田は。人望もあるし、ZECT人員がごっそり持っていかれるんじゃないか」 「・・・やれやれ」 厄介事が、またひとつ。 「まあ、実際今の腑抜けたZECTじゃな。俺だって離れたくなる」 そんな風に言う修羅に、俺は眉をひそめた。 「・・・前にも、止めろと言ったはずだが」 「何が。本当の事だろ」 「そうじゃない。自分の事を "俺" と言うのを、だ」 すると、修羅は露骨に嫌そうな顔をする。 「・・・お前には、関係ない」 「確かに・・・」 彼女の言う通り、俺たちは何の関係もない。 職場の同僚であって、修羅がもたらす内密の情報を俺が買っている、というだけ。 「・・・じゃあな。こんなところをZECTの誰かに見つかると、まずいからな」 「ああ、お互い」 そのまま修羅は人ごみに紛れていき、俺も振り返ることはしなかった。 殺伐とした、この時代。 人同士の関係も、潤いを感じられない。少なくとも俺にとっては。 表面だけの街の賑々しさに嫌気が差すと、俺はよく渋谷廃墟に向かう。 そこにあるのは、破壊されたまま手付かずのビルや家屋。 誰もあえて顧みることはしないが、これが、この街の本質だ。 その時、カラン、と瓦礫が転がる音。 犬かネコでも潜り込んだのかと、音のした方に向かった俺は、そこでそいつを見つけた。 半壊した家屋の奥にうずくまるそいつは、まるで怯えた小動物のようだった。 小刻みに震える体は、明白な恐怖を示していて。 「・・・おいで。怖がらなくていい」 そいつに向かって、俺はゆっくり手を差し伸べた。 →NEXT ※別館の某話と、かぶらせてみました。 今後の展開は別物になりますが、若干かぶるかもです。あちらも読んでくださっている方は、ニヤリとしてくださると嬉しい(^^; |
マスカレード 〜冷たいけど、温かい |
| ※クリスマスの変な話です。とにかく変です(--; 甘い兄貴は、もうギャグにしか見えません(爆)。 突発的に書きたくなったので、予定しているクリスマス話はまた後日に・・・。 →お題一覧はコチラ [Read More...] |
雑記:今後の予定 |
| 寒いです・・・(--; こたつむりをしたいが、こたつがない! ストーブでカチカチ山をしたいが、灯油が高い! うちのエアコンは、28℃にしても、あんまり暖かくないんです(涙)。 もう12月ですか、早いな。 12月はノルウェーでの地獄兄弟のクリスマス話と、映画版のパラレルシリアスを書きたいなぁと思ってます。 策士矢車さんは、こちらではあんまり書いてなかったですね。別館ではさんざん書いてますが(笑)。 風邪がなかなか完治しません。 皆様も、お気をつけて。 拍手、ありがとうございました。 書き続けられる元気の源ですm(__)m ↓以下、レスです。 [Read More...] |
完全調和な不協和音 [21] |
| 完全調和な不協和音 vol.21 変ハ長調の記念日 仕方ない事だったにせよ、ゼクター2体をしばらく再起不能にしてしまった今回の出来事で、俺はザビーの資格者候補から外された。 つまり、ザビーは日下部に決定した、ということだ。 もともと気乗りしなかったし、むしろ懲罰がそれだけで済んで幸いと言える。 田所さんは、現在入院治療中の為ZECTにいない。 ・・・実に、平和だ。 清々しい気持ちで出勤した朝に、 「・・・矢車さん、お金、ないですっ!」 影山が切羽詰った形相で迫ってきても、俺はすこぶる寛容だった。 「仕方ないな。給料日までだぞ。・・・いくら要るんだ?」 「違いますよっ。お金、天井裏に返しに行ったら、もう札束なくなってたんです!」 「・・・天井裏・・・」 思い出したくもないが。 律儀にも、影山はネコババした分を戻しに行ったらしい。 「だって、矢車さんが返しに行けって・・・」 「ああ、そうだったな」 三島さんからどういう命令を受けているのか知らないが、基本的に影山は俺の言うことには素直に応じる。 金は、恐らく用心のために、持ち主が隠し場所を変えたに違いない。 「あそこで札束を見つけた事、誰かに話したか?」 「え・・・、いえ・・・。ネットの掲示板に書き込みしたなんて、そんなことは・・・」 モゴモゴと口ごもる影山。 「・・・書き込みしたんだな」 「あの、でも、その・・・匿名だしっ。俺だってこと誰も分からないですよ」 影山の言葉に、俺は大きく溜息をついた。 こいつは、ネット社会の奥深さを知らないようだ。 「・・・まあいい。返せないんだったら、もらっとけ」 情けない顔をして1万円札を握っている影山の手を、俺はぐいと押し返す。 どうせ、あんなところに隠すなんて、まともな金じゃない。 1千万もあったなら、その中から3枚くらいなくなっていても、気付かないだろうし。 「ただし、持ち主が分かったら、ちゃんと返せよ」 一応、釘は刺しておく。 仮にも善良な一市民として、横領だのゴルフ接待だのを推奨するわけにはいかない。 「矢車さんが『もらっとけ』と言ったから、今日はネコババ記念日ですね」 にぱっと笑う影山は、また古いパロディを出してきた。 まったくもって、イヤな記念日だ。 →NEXT |
完全調和な不協和音 [20] |
| 完全調和な不協和音 vol.20 嬰イ短調の結末 『目標ポイントに到達した。我々の真下に、ゼクターたちと岬が見える。どうぞ』 田所さんの声がインカムから響いた。 「・・・部屋の中の様子が分かりますか?」 『ああ、あちこち天井に穴が開いてるからな。ネズミがかじったのか。どうぞ』 「そうですね。大アゴのあるネズミが体当たりをかましたんでしょう」 『何、そんな珍しいネズミがいるのか? どうぞ』 「・・・ガタックゼクターのことですよ。それより、いちいち "どうぞ" というのは止めてください」 細かい事を気にする奴だ、と田所さんはブツブツ言っているが、それはあえて無視。 『お、何か、ゼクター同士がもめ始めたぞ。矢車、カブトゼクターに盗聴器は付けただろうな』 「付けていませんよ」 『なんだと? お前らしからぬミスだな』 『そうですよ。どうしちゃったんですか』 田所さんだけでなく、影山まで一緒になってそんな事を言う。 俺は頭が痛くなってきた。 一体、盗聴器が何の役に立つのだろう。 俺にはゼクターが話していることなど、聞こえたとしても理解できないんだが。 やがて、ガンガンと扉を2度叩く音が中から聞こえた。 ・・・交渉がまとまった合図だ。 (・・・ガタックが応じたな) ほっと息をついたのも束の間。 『うわっ、カブトゼクターが扉を破ろうとしてますよっ!』 と、影山が勘違いをして。 『マズイ! 強行作戦に移るぞ』 などと、さらにとんでもない田所さんの掛け声が掛かる。 「ちょ、ちょっと待ってください! もう話は・・・」 慌てて止めようとした俺の声は、天井を破る大音響にかき消された。 その後に続いたのは、マシンガンブレードを乱射する音。 ガタックが、壁もしくは田所さん以下ニ人にぶつかる音。 男たちはともかく、岬さんに何かあったら申し訳が立たない。 『や、矢車さん! 大変です、ガタックが逃げますっ』 悲鳴のような影山の声。 どうやら、影山は無事だったらしい。 ゼクターは時空を超えてジョウント移動ができる。 だから、ガタックゼクターを刺激するなと忠告しておいたのに。 「・・・やれやれ」 俺は溜息をついて、最終手段のスイッチを入れた。 すっかり静まり返った室内。 数分経って、中から扉が開かれ、岬さん、影山、最後に田所さんが出てきた。 「大丈夫ですか、怪我はありませんか?」 「・・・ええ」 少し疲れた顔をしていたものの、笑顔を見せる岬さんに俺はひとまず安心する。 ルーパーのメットをかぶっていた影山は無傷だったが、田所さんの方は田所・・・いや、多々所々青アザや傷があるけれど、名誉の負傷だ。 この人は、まあ大丈夫だろう多分。 田所さんの手には、動かなくなったカブトゼクターとガタックゼクターが乗っている。 「・・・どういうことだ、矢車」 完全に機能を停止したぜクター。 不思議そうな顔の田所さんに、俺は苦笑した。 「・・・ターディオンです」 「ターディオン?」 「タキオン粒子に相反する粒子です。タキオンとぶつかって、エネルギーゼロになったんですよ」 田所さんはますます訳の分からない顔をするが、俺もそれ以上は説明できない。 科学班の受け売りだから。 万が一のためにと、カブトゼクターに取り付けた装置。 ダメージが計り知れないので、できれば使うなと言われていた。 予想以上の効果で、ゼクターは完璧にノックアウト。ゼクターが回復しなければ、俺のクビも、危ないかもしれない。 「・・・えへへ。矢車さん、実は3枚取ってきちゃいました」 能天気な影山のポケットには、3枚の福沢諭吉が。 「・・・返して来い」 この上、横領の責任まで負わされるのは、勘弁して欲しい。 俺は自分の暗雲垂れ込める未来に、がくりと肩を落とすのだった。 →NEXT ※タキオンは公式サイトに載ってますが、ターディオンとぶつかるとどうなるかは「?」です(←いい加減)。興味がある方は調べてみてください(^^; |
完全調和な不協和音 [19] |
| 完全調和な不協和音 vol.19 嬰ハ長調の陽動 中に入ったカブトゼクターからの合図は、まだない。 交渉は思ったよりも難航しているらしい。 そのうちに、耳に付けたイヤホンマイクから、ガガガッという雑音に続いて田所さんの声が聞こえてきた。 『あー、ただ今マイクのテスト中・・・』 「・・・聞こえてますよ。そっちの様子はどうですか?」 『現在、第1ポイント通過。途中、影山がトラップに掛かって、指を負傷した』 「トラップ?」 俺は不思議に思って問い返す。 防犯装置の類でもあったのだろうか。 『ネズミ捕りだ』 「・・・チーズでも拾い食いしようとしたんですか、あいつは」 俺の脳裏には、ネコとネズミが繰り広げるあの有名なアメリカのカートゥーンの一場面が思い浮かんだ。 『いや。思うに、人を近づけないようにするための、巧妙な罠だ』 深刻そうな田所さんの声が返ってくる。 エアダクトから天井裏に忍び込む人間が、他にどこにいるというのか、ぜひ教えてもらいたい。 『まあ聞け、矢車。・・・実は、俺たちはガタックゼクターを追っていて、とんでもないものを見つけてしまった』 『お札ですよ、札束!』 いきなり影山の声が飛び込んでくる。 「札束・・・?」 ゴート札か。どこのカリオ●トロの城だ。 『これ、みんな万札・・・スゲーっ!』 影山の浮かれようから察するに、相当の金額があったようで。 この部下は金と地位に弱いタイプだな、と俺は苦笑する。 「なぜ、天井裏に札束なんて・・・」 『誰かが隠しておいたんだろうな、ZECTの誰かが』 「幾らぐらいあるんです?」 『1千万は下るまい』 会話はすべて、俺と田所さんで行われていた。 影山は狂喜乱舞していて、話にならない。 それだけの大金を、こんなところに隠しておくとすれば、一般の隊員ではありえない。 何の金なのかは分からないが、持ち主として考えられるのは、ZECTの幹部クラスしか・・・。 しかし、それはそれとして、今は別の目的がある。 田所さんは第2ポイントへと急ぐが、影山が札束の前からテコでも動かないらしい。 俺はマイク越しに、影山に活を入れた。 「影山、俺の部下だということを忘れるなよ。俺に恥をかかせるようなマネはするな」 『あ・・・』 その言葉に動揺する影山の様子が、伝わってくる。 『そ、そうですね・・・俺、どうかしてました。つい誘惑に負けて、ネコババしようだなんて・・・』 ・・・ネコババする気だったのか。見てるだけじゃなく。 侮れない奴だ。 田所さんと影山が再び進み出したことを確認し、俺はいったん通信を切って、ふぅと息をついた。 ZECT内部に隠された、多額の現金。 関わりたくもない、秘密と陰謀の匂いがプンプンする。 →NEXT |
完全調和な不協和音 [18] |
| 完全調和な不協和音 vol.18 変ホ短調の作戦 「 「了解です!」 田所さんが影山にてきぱきと指示を出す。 ・・・待て。 何が「というわけで」なんだ。そんな展開じゃなかったはずだが。 お前も、そこで安易に了解するな影山。 「・・・なんで、あなたが仕切ってるんですか、田所さん。俺がこれからガタックゼクターと交渉に入ろうとしているところでしょ」 「分かってるとも。だが、万一の事を考えて、影山も配置させておけば万全じゃないか」 正論を唱えられて、俺は言葉に詰まってしまった。 いつの間に、そんなまともな事を言うキャラに変わったのか。 混乱しそうになる頭をなんとか抑え、俺は自分のやるべき仕事に戻った。 「ガタックゼクター、今ここに、カブトゼクターがいる」 ジェラルミンケースの中に、ちょこんと納められたカブトゼクター。 モニターを通して、ガタックゼクターにも見えているはず。 「岬を解放して、おとなしく投降しろ! さもなければ、カブトゼクターの命はない!」 「・・・違います」 悪役っぷりを発揮する田所さんを、俺は小声で諌めた。 カブトゼクターを破壊したら、困るのはZECTの方だというのを、忘れてるんじゃないだろうか、この人は。 しかし、よかった。やはり、田所さんはこうでないと。 「お前が立て籠もっている原因は、カブトゼクターだろう。カブトをそちらに送るから、よく話し合うんだ」 俺はカブトゼクターに「行け」、と首を振って合図する。 カブトゼクターには、交渉が成功したら真の資格者を探してやる、と交換条件を出した。 このままではガタックゼクターの立場が悪くなり、破壊とまではいかずとも凍結処分にはなるかもしれないと、脅してもある。 カブトゼクターは、既に懐柔済みだ。 小さく開けられたドアの隙間から、カブトゼクターは部屋に滑り込んだ。 「これで、よし・・・と」 あとは待つだけ。 「いいか、影山。ここには落とし穴がある。角を曲がると、突き当たりに宝箱があるが、それは開けるなよ。トラップだからな」 「はいっ」 田所さんと影山はまだ、天井裏からの奇襲作戦を練っているらしい。 どこのロールプレイングゲームだ、一体。 「余計な事をしなくても、カブトゼクターに任せておけばいいですよ。必ず説得してくれます」 装備がどうの、武器がどうのと話し合っている二人の間に、割って入った。 だいたい、洋画でも、そういった作戦はたいてい失敗するのが定番で。 「説得・・・? どうやってカブトゼクターをたらしこんだんだ? 本当に、資格者を変えるつもりか」 「たらし・・・って」 田所さんの身も蓋もない言い回しに、俺は眉を寄せる。 もっと、違う言い方をして欲しいものだが。 「・・・資格者を変更するとは約束していません。俺は、『探してやる』と言ったまでです」 そう、嘘はついていない。 「・・・まあいい。こちらも、できる限り援護しよう。行くぞ、影山」 「『上からドッキリ! 人質救出大作戦』ですねっ」 楽しそうな影山に、俺は溜息をついた。 チープなTV番組のサブタイトルのような作戦名にも呆れたが、かえって足を引っ張られそうで、脱力してしまう。 「くれぐれも、ガタックゼクターを刺激しないでくださいよ」 場を離れる二人の背後から、そう声をかけるのが、俺には精一杯だった。 →NEXT ※ギャグは久々・・・。感覚が戻りません(^^; |
ライダー語り |
| 来年のライダー・・・キャストについては色々噂が飛び交ってますが、タイトルは正式決定なようですね。 『アクマイザー3』のザビタンのリメイクかと思った(--; いや、そんなに似てるわけじゃないけど、黒いボディとかコウモリっぽいデザインが・・・。 もういっそ、「仮面ライダー」の名は取った方がいいんじゃないかと思ったり、でも反面、どんな形であれ、「仮面ライダー」は残して欲しいと思ったり、複雑なファン心理(苦笑)。 えー、先日やっとこ、某プロ漫画家さんの仮面ライダーのネットコミックを読みましたv 『H●brid Inse●tor』・・・。 スゴイ! 『SPIRITS』とはまた別の面白さです。 ちょっとヒビキさん入ってる風見志郎とか、風見としっかりバディしてる結城とか。 「人間が怖い」という敬介の言葉は、痛くて哀しくて重いですよ。 7人のライダーってことは、ストロンガーまで? それとも結城さん入れずに数えてスカイまで、ってことなのかしらん。 7人の後姿から、次のコマで変身しているシーンへの切り替えは、もうお見事としか言えません。 静のシーンなのに、熱い! ライダーじゃないけど、MEIMU先生の『キカイダー02』や『スカルマン』も、絵はきれいだし、燃えますよ〜v (島本先生版は、未読・・・) 拍手押してくださった方、ありがとうございました。 う〜ん、次のシリアスネタが浮かばない・・・(^^; |
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⇒キリ番の方々
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