ダブル★アクション

ダブル★アクション(3)

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「あんた、何者なんだ?」
「そうだな。簡単に言えば、パラレルワールドの人間だ」
「はぁ……」

 今更すぎる俺の質問に、矢車さんは至極簡単に答える。続きを待っても、矢車さんは「それだけだ」と返すのみ。
 仕方がないので、まずこちらの状況を話してみた。先ほどのやり取りを見ると、話すまでもないのかもしれないけれど、まあ一応。

 ワームという異星からの侵略者がいて、それらに対抗するZECTという組織があり、俺はその一員であること。上司の三島さん、田所さん、同僚の加賀美といった面々を某公式WEBサイトの登場人物紹介よろしく説明する。

「ここも、俺の世界とほぼ同じか」
 矢車さんは口元に手をやって、考える素振りをしていた。

 なんとか聞き出した話をまとめてみると――。
 矢車さんは、何かの拍子で別のパラレルワールドへ飛ばされた。ここへ来る前にも、いくつかの世界を渡り歩いたという。本来なら、パラレルワールドでは、同じ「矢車」の体に入るはずなのに、この世界に「矢車」は存在しなかった。そのため、やむなく俺の体に入った、ということらしい。

「どうして、この世界に『俺』がいないのかは分からない。宿なしでも困るんで、お前の体を借りた、というわけ」
「それにしたって、なんで俺に取り憑くのさ」
「お前とは波長が合うんだ」

 矢車さんは意味ありげに笑う。
 もとの矢車さんの世界で、俺たちが一体どういう関係だったのか、非常に気になるところだ。

「とりあえず、しばらくお前の中にいさせてもらう」
「え、ちょっと……!」

 言うが早いか、矢車さんは俺の返事も待たず、また俺の体に入ってしまった。

『心配するな、代わりにお前の願いを叶えてやる』

 頭の中で、声がリフレイン。これからずっと一緒にいるということは、俺のプライバシーは無いに等しい。ああ、基本的人権はどこへ。
 我が身の不運を嘆く俺を、そっとしておいてはくれないらしい。ポケットの携帯から、昔懐かしの『おぼっちゃまくん』の着メロが鳴った。手に入れるのに苦労したレアな着メロだ。

 それはともかく。発信者表示を見ると、予想通り「ぼっちゃま」の文字。

(剣から……。ってことは、またワーム退治の依頼か)

 実は、これは俺のアルバイトのひとつ。剣はZECTに属さず、流しでワーム退治を請け負っているが、剣が処理できない分を、さらに下請けとして俺が処理している。もちろん、剣から報酬はいただいて。
 加賀美だってバイトをしてるんだし、俺もZECTの安月給だけではやりくりできない。

 筋肉痛もプライバシーの危機も、この際構っていられない。生活第一。
 欠勤した手前、ZECTの皆に見つからないよう、俺はこっそりと部屋を抜け出した。

 剣とのやり取りは、いつもメールで行われる。
 携帯を鳴らした後、メールを送るから絶対電話には出るな、と念を押されている。この前うっかり出てしまった時は、えらい剣幕で怒られた。

 メールの方が安いわけで、逼迫する神代家の財政を考えれば、当然とも言える節約術だ。剣の代わりに、がんばってメールを打つじいやは気の毒としても。

「矢車さん、ワームだってさ。頼むね」
『調子のいい奴だな』

 ワームが出現した場所は、近所の児童公園だった。メールで場所を確認した俺は、昨日と同じように矢車さんと交代する気満々。
 どんなに近場であっても、オートバイに乗るのがライダーの鉄則。矢車さん=「俺」がバイクで乗り付けると、そこには剣の他にもうひとり見知った奴がいた。

「……天道!?」

 その男を目にするや、またも矢車さんの雰囲気が変わった。今度は、なんだか視点の定まらない目で、その不遜な男を睨んでいる。

「シャドウ隊長のおでましか」

 既にカブトに変身した不遜な男・天道は、俺の内なる変化に気付いていない。

 ヤバイ、と俺は焦った。
 俺が副業をしていることが、天道→加賀美→ZECTのルートでバレてしまう恐れがある。あとできっちり口止めしておかないと。

「遅いぞ、カゲ・ヤーマン! バイト料は減額だ」

 剣はサソードになって、ワームと応戦の真っ最中。いつもながら、センス皆無のコードネーム(?)はなんとかしてほしいのだが、減額なんてセコ過ぎる。というか、天道の前でバイトとかバラすな。

「お前はいいよなぁ……」

 とりとめのない俺の思考をよそに、「俺」はふらりとカブトに近づいていく。
 なんだろうか、このヒーローらしからぬやる気のない雰囲気は。

『ちょ、ちょっと矢車さん! ワームだよ、ワーム。パーフェクトハーモニーで倒してよ!』
「もう、パーフェクトもハーモニーもないんだよ……」

 やさぐれ全開の「俺」に、カブトもサソードも一瞬動きが止まる。ハァー、なんて深く溜息をつく「俺」の姿が、あまりにも似合っていないから。
 ザビーゼクターを待っているのかと思いきや、何やら緑色の物体がピョンピョンと地面を飛び跳ねてきた。
 「俺」はそれを左手でキャッチし、ベルトにカチャリとはめ込む。いつの間に、こんなベルトをしていたんだろう。

「変身……」

 ひどく気だるそうに、本来の俺を10倍くらい上回るやる気のなさで、「俺」はそう呟いた。



※ネタが見えましたね(^^ゞ
このシーンを書きたかったがために書いたパロディなんですが。続くんですかね・・・(苦笑)。
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