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紅の箱舟(アーク)

紅の箱舟(4)

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 エリアX――その地は、予想以上に厳重な警戒が敷かれていた。
 少し前まで同僚や部下だったはずの者たちが、一片の容赦もなくこちらに銃を向けてくる。

 声を掛け合うこともせず、無感情な戦い方をするかつての同僚たちに、矢車は違和感を覚えた。

(マインドコントロール?)

 マシンガンを連射するゼクトルーパーから辛うじて逃れ、矢車は崩れかけたコンクリートの後ろに身を隠した。
 ガッガッガッ、と弾が壁を砕き、穿たれた場所から硝煙が上がる。紛れもなく、実弾だ。

 ZECTの私有地であるエリアXは、隕石落下から復興の手が入らず、治外法権と化している。
 すなわち、ここで何が起ころうと、明るみに出ることはない。

「まさか、トルーパーが見張りとは……」

 銃の弾倉を入れ直し、矢車はひとりごちる。

 エリアXは、矢車にとっては、隕石落下後に廃墟となったZECT施設のひとつ、という認識でしかなかった。
 しかし、これだけの番犬がいるところを見ると、秘密の実験場という噂は、あながち間違っていないのかもしれない。

(正面突破は無理だ)

 ふう、と息を吐き、侵入方法を思案する。
 その目の前に、“それ” は、大気中から忽然と現われた。

「……お前、ゼクター?」

 矢車が目を見張ると、ダークグリーンの物体がぴょんと跳ねた。その通りだと答えるかのように。
 意思を持つかのごとく、自在に動く小さなガジェット。バッタを模したその形状から、ZECTのゼクターであることが知れる。

 だが、マスクド・ライダーシステムのライダーは、全部で5体の予定のはず。三島から聞いていたライダーシステムに、バッタのゼクターなど含まれていない。目の前を跳ね回っているのは、見たことのないタイプだ。

「お前の資格者は? どうして、ここにいる?」

 ゼクターが単独で動くことは、まずない。資格者の意思に従って、現れるものだから。
 答えの代わりか、見知らぬゼクターは、矢車の周囲を一巡した後、一定方向を示して跳びはねていく。
 時々動きを止めて、矢車を誘い、促しながら。

「ついてこい、ということか」

 トルーパーは、エリアXに立ち入ろうとする者を標的とする。反面、砦から離れていく者に対しては、無関心だった。
 追撃の気配がないことを悟って、矢車はひとまず安堵した。
 建物から離れ、ゼクターは瓦礫の山へと矢車を導いていく。

「おい、そっちじゃ……」

 崩れた鉄筋の柱と思しきコンクリの塊の上に、ゼクターが跳び上がった。それを追い、一歩踏み出した矢車の足元が。その時、音を立てて崩れていった。

「つ……っ」

 したたか打った背をさすり、砂塵の舞い上がる中、矢車は体を起こした。
 見上げると、5メートル程上空にぽっかりと開いた穴。そこから、青い空がのぞいている。
 不意の落下にも、受身を取ったおかげで、骨や腱は痛めていないらしい。
 自分の足元にぴょこんと降り立ったバッタのゼクターを拾い上げ、苦笑を浮かべて語りかける。

「手荒な案内をしてくれたもんだ」

 物言わぬゼクターを、矢車はそのまま懐に入れた。
 どうやら、こいつは自分についてくるつもりなのだと、そう感じたので。

 もろくなって崩れた地面の下にあったものは、人工的に作られた通路だった。
 腐食した天井部分を落下の衝撃で突き抜け、運良く地下通路に落ちたというわけだ。

「とりあえず、感謝するよ」

 スーツの上から、ぽんと懐のゼクターを叩く。
 この通路が何か、説明を求めるまでもない。この場所は、ZECTの私有地。そして、地下の暗い通路は、先ほど後にしたあの建物のほうへと続いているのだから。

 この先に何があるのか、考えても始まらない。
 一歩一歩注意を払いながら、矢車は示された道を進んでいった。
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