ダブル★アクション

新ダブル★アクション(11)

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vol.13 今日は楽しい残業日


 それからしばらく、ワームはナリを潜め、シャドウに出動要請はなかった。
 その代わり、三島さんに山程の書類整理を押し付けられた。俺がデスクワーク苦手なこと、知ってるくせに。

 戦いより体はラクとはいえ、連日連夜の残業に脳が疲れ気味。加えて、毎日のコンビニ弁当やレトルトのせいで、栄養も偏り気味。
 今までは矢車さんが夕食を作ってくれていたのに、今は仕事が終わったら、ひたすら寝たい。我ながら、空しい生活だ。

「影山さん、お疲れです!」
「あー、お疲れ……」

 颯爽と定時にあがる加賀美を、うらやまし気に俺は横目で見る。

「なんか、疲れてません? 目の下にクマできてますよ」
「えっ、マジ? 加賀美、鏡持ってないか?」

 別に、シャレを言う元気も、言ったつもりもないものの、一瞬周囲に妙な沈黙が流れた。

「女の子じゃないし、そんなの持ってないですよ」
「……そら、俺のを貸してやる」

 加賀美の横から、ひょいと柄の付いた丸い手鏡が差し出された。
 女子中学生が持つような、赤地に白い水玉模様のおしゃれな手鏡だが、当然ながらZECTに女子中学生はいない。

「あ、ありがとうございます。田所さん」

 俺は、鏡の持ち主に礼を言う。どんなにおかしな状況であろうと、礼を言うのは礼儀というもの。

 鏡に顔を映して黒々とした目の下を確認し、俺はいっそう落ち込んだ。
 田所さんの、気の毒そうに俺に向ける視線が痛い。同情に満ち溢れた加賀美の表情も、俺の惨めを助長した。

「こんなの、ほとんどイジメじゃないですか! 三島さんの影山さんへの態度、最近おかしいですよ」

 俺の主張したいことを代わりに言ってくれる加賀美に、めったな発言はするな、と田所さんが目で抑える。
 三島さんは俺を自主退職に追い込もうとしてるんじゃないか、という話も、いつだったかどこからか耳にした。

(もしかしたら、三島さんは……)

 俺の胸に、わだかまりが募る。
 
 いつものように、オロ●ミンCを片手に、俺は書類山積みのデスクに向かった。
 ZECTの自販機でこれを買うのが、最近日課になっている。
 健康飲料の褐色のビンを眺めつつ、上司への疑惑を俺は口に乗せた。

「三島さん、オ●Cから献金されてるんじゃ……?」

 ZECTは大●製薬と癒着し、オ●Cの売り上げに貢献するためにあえて激務を課しているのかもしれない。
 だとしたら、それはとんでもない陰謀だ。
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