ダブル★アクション

新ダブル★アクション(12)

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vol.14 砂の男


「おかしい……」

 今朝からずっと、いくら呼んでも矢車さんが答えてくれない。気配がないところを見ると、どうもどこかに出て行った様子。

 朝一番からまた三島さんに嫌味を言われるわ、エレベーターに挟まれそうになるわ、3日前から楽しみにしていた今日のランチメニューの焼肉定食は売り切れるわ、と、ついてないことばっかりで。

 愚痴を聞いてもらおうと矢車さんに呼びかけてるのに、いっこうに返事はなかった。

 もう夕食の時間なのに、どこへ行ったんだろう。
 まさか、事故にでもあってるんじゃないかとか、ヘンな女に騙されてるんじゃないかとか。どんどん悪いほうに考えてしまう。

「……今、俺を笑ったか」
「わぁっ!」

 なんとも言えないタイミングで、砂の塊のような矢車さんの姿が、いきなり俺の前に現われた。
 やはり、脚が上の方にあって上半身が下の方という怪奇現象ばりの光景。体からサラサラと、細かい砂が零れ落ちている。
 クリーニングに出した俺の愛用のカーペットは、再度クリーニングが決定した。

「そんな体でどこ行ってたのさ。矢車さんひとりの体じゃないんだからね!」
「俺の体は、俺ひとりのものだと思うが。ひとりの体じゃないのは、お前の方だろう」

 俺の言葉のアヤに、矢車さんはツッコミを入れる。

「で、ほんとにどこ行ってたわけ?」

 俺が真正面から追及すると、矢車さんは嫌そうに視線をそらす。負けじと矢車さんの前に回ると、仕方ない、というように深く溜息をついた。
 今の溜息で、コップ一杯分くらい砂が落ちたな。

「……エリアXだ」
「え?」

 そういえば遥か昔、ZECTの陰謀が何たらと、天道や加賀美と話していたことがあった。
 麗奈の事件やら残業やらで、そんな伏線はすっかり忘れていたけれど。

「俺は姿を消すこともできるからな。どこでも潜入できる」

 オバ●のQ太郎みたいだね、と言いかけ、矢車さんの黒いオーラを見てやめた。

「エリアXで、何してたの?」
「俺がどうしてこの世界でこんな姿になっているのかを、探っていた」
「待ってよ。どうして、矢車さんのことがZECTと関係あるのさ!?」

 話がまったく見えなかった。ZECTがオ●Cと結託していると言われたほうが、まだ納得できる。
 詰め寄る俺に矢車さんは困った顔をした。話したくない、という気持ちがありありと見て取れる。

「俺、矢車さんの力になりたいんだ。だから、話してよ!」

 これで落ちなきゃウソだろ、っていうくらい必死に訴えると、矢車さんは苦笑しながらぽつりと言った。

「三島さんは、砂遊びがお好みだったってこと」
「は?」

 言葉の暗喩というやつは、俺には難しすぎて。
 俺の頭の中で、三島さんの人物像は、今や変質者並みの最低ラインまで落ち込んだ。
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