地獄兄弟は今日も平和

□ ダブル★アクション □

新ダブル★アクション(17)

vol.20 コール・ミー・トゥナイト


 今日は花金(死語)。がっつり飲んで仕事の憂さを晴らそう、とか、彼女を誘ってロマンチックな夜を過ごそう、とか考えてたお客の皆さん、ごめんなさい。
 今から、店内はバトル会場となります。

 ウカワームに変わった麗奈に、もう人間の心は残っていない。カニの足みたいなおいしそうな腕を振り上げ、俺に襲い掛かってきた。

『逃げるぞ』
「え、え?」

 いつの間にか、俺に体を返した矢車さんが俺を促す。

「逃げるって……戦わないの?」
『ZECTにワームが暴れてると通報しろ。ワーム化ネックレスの事もな』
「でも、カブトやガタックが来たら、どうするのさ!? あの女、やられちゃうよ」

 俺たちが彼女を強制的にワームに変身させたんだし、いくらなんでもそれはマズイ。

『大丈夫だ、風間がいる。奴が彼女を守るさ。それに、天道はともかく、加賀美は事情を知れば、麗奈に攻撃はかけないだろう』

 俺の気持ちを察したらしい矢車さんが、珍しく優しく言う。今は、『策士』のはずなんだが。
 ホールに現れたウカワームの姿を見て、あちこちで悲鳴があがった。風間も、麗奈の異変を知っただろう。

 俺は騒ぎに紛れて店外に出たところで、携帯を取り出す。
 新しく設置されたというZECTのフリーダイヤルにかけると、「一般市民の方は “1” を、ZECTの方は “2” を押してください」というガイダンスが流れた。

「なんだよ、これ?」

 イラッとしながらも、 “2” を押す。すると、「勤務については “1” を、緊急連絡については “2” を――」と、さらに自動音声が。緊急連絡がこんなにまどろっこしくて、意味があるんだろうか。
 今度、フリーダイヤルへのクレームを匿名で投書してやる。

 俺はいったん電話を切り、ZECT直通の番号にかけ直した。すぐ出てくれた田所さんに事態を報告し、応援を要請する。
 バカなことに時間を取られてしまったせいで、店内の喧騒はますます大きくなっていた。

 がんばれ、風間。今はお前だけが頼りだ。じき、ZECTが来てくれる。
 心の中で風間を応援しつつ、俺は足早に店を離れた。

 でも、これじゃ俺はまるで放火して逃げた犯人そのもの。

「……ねえ、なんでこんな事するのさ、矢車さん」
『ZECTを引っ掻き回して、奴の尻尾をつかむためだ』
「そしたら、どうするの?」
『決着をつける』

 矢車さんの口調は、決意を込めた強いものだった。
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Date:2007/07/16
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Thema:二次創作
Janre:小説・文学

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