報復のクロニクル

報復のクロニクル(7)

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“九月十日
事態は着実に進行する 向かう先は、『破壊』と『再生』”




 三島は、ザビーやシャドウを引き連れ、パンチホッパーとして幾度も実戦に赴いた。
 ホッパーに変身しても、三島自身が戦うことは、性能テストの為の最初の数回を除き、ほぼない。

 ホッパーゼクターが、加賀美陸を含めたZECT内の反対勢力にとっての “ジョーカー” であることを、三島は知った。
 このわずかの間に、陸側の部下の半数が三島に寝返っていた。切り札を奪われ、服従を選んだのだろう。
 ホッパーの存在を示せば示すほど、三島側に付く人間が増える。
 
 三島が依然、ホッパーであり続ける理由は、そこにあった。

 ただし、それは表向きのもの。
 ホッパーを手放せない真の理由に、三島自身も気づいていない。たとえ、感付いても、もはや手遅れだということも。

(……頭の切れる奴だからな)

 いつものように、ホッパーたちの戦闘を遠目で眺めながら、矢車は思いを馳せた。

(そろそろだ)

 矢車の持つホッパーゼクターが、三島の力の衰えを教えている。
 とどめを刺しに行く頃合だ。





 影山は、困惑していた。

 先日の矢車のZECTへの来訪だけでも十分な衝撃だったのに、今度はワーム狩りを命じられた。
 特に親しかったわけでもないとはいえ、そのワームは見知った人物で。彼女が働く店に、何度か足を運んだことがある。
 三島の命令である以上、従わざるを得ない。が、正直気は進まなかった。

 天道や加賀美が知ったら、止めに来ることは明らかだし、大きな騒動を引き起こすだろうことも簡単に想像がつく。

「……あの女が、ワーム? ほんとにですか」
「シシーラワームの擬態だ。ためらう必要はない」

 戸惑う影山に、三島は淡々と告げる。

 しかし、三島の顔色はひどく青白い。日頃、サプリしか摂らない上司は、もとより健康的とは言いがたいものの、ここ最近の体調不良は誰の目から見ても、はっきりと分かるほどだった。

「今回は、俺とシャドウだけで行きます。三島さんは休んでてください」

 立っているのが辛いのか、壁にもたれるようにして息をつく三島に、影山は声をかけた。

「私の目を離れて、矢車に寝返るつもりか?」
「えっ?」

 純粋に、上司を気遣ったつもりの言葉を、冷たく弾かれる。

「それとも、加賀美に加担して女をかばうか?」
「ま……さか」

 影山にしてみれば、三島がなぜそんな事を口にするのか不可解だった。
 今まで忠実に、三島の元で動いてきたというのに。

「俺は、三島さんに……ZECTに従います。何があろうと」

 その決意は、揺らがない。ZECTから見放されるわけにはいかないのだから。

「そうか。だが、私のことなら心配無用だ」

 目にかかる数本の髪を気だるそうにかき上げると、三島はポケットからガラス瓶を取り出した。
 サプリメントか薬だろう。緑色の錠剤をいくつか手に乗せて、水なしでそれをガリッと飲み込む。

「行くぞ。シャドウにも準備させろ」
「……はい」

 影山に、否を言う権限はなかった。
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