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報復のクロニクル

報復のクロニクル(8)

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 シャドウが指定ポイントに到着した時には、あっけなく事が片付いていた。
 意外にも、カブトが、シシーラワームである彼女に引導を渡したという。

 カブトの行動は腑に落ちないが、深く追及するつもりはない。自ら手にかけずに済んで幸い、というのが影山の本音だ。

 後始末をトルーパーに任せ、影山はザビーの変身を解除した。
 ホッパーのままの三島は、やはりまだ具合が悪そうに見える。

「三島さん、カブトに先を越されたようです」
「ああ……」

 把握しているのかいないのか、三島は曖昧な返事をする。

(さっきよりも、ひどくなってるみたいだ……)

「変身、解いたほうがいいです。早く帰って休みましょう」

 衰弱している三島に肩を貸し、ZECTの指令車に向かって影山は歩き出す。

「……変身を解かないんじゃなくて、解けないのさ」

 前方から響いてきたのは、聞き馴染のある声。

 腕組みをして車の陰から現れた声の主に、影山は目をすがめる。
 触れたら切れそうなその狂気の瞳は昔と違いすぎるけれど、かつての上司に違いはない。

「三島の生命力は、すべてジャッキを通してゼクターに吸い取られてる。もう、変身は解除できない」

 元上司と元部下であった二人に対し、矢車は酷薄な笑みとともに告げた。
 残酷な告知に、三島のみならず影山も衝撃を受ける。これが本当に、あの優しかった矢車なのか。

「貴様、最初から、そのつもりで……」
「当然」

 苦しげな三島を前に、矢車は少しの哀れみすら感じていない。
 向けられる強い憎悪を思い知り、影山は身震いする。

「一応、忠告はしたはずだぜ? ホッパーは破滅の象徴だと。それだけの力を、媒体なしに引き出せるわけないだろう」
「媒体……だと?」
「装着者の命さ」

(命が、媒体……?)

 影山は必死に、矢車の言葉を頭の中で反芻する。確か、矢車自身も緑色のホッパーに変身したはずだ。

「だって、それじゃ……!」

 言いかけた影山を、矢車は強い視線でねめつけた。余計な事は口にするな、と。

「力を使えば使うほど、ゼクターは力を吸収する。少し欲張り過ぎたな」
「馬鹿な。ホッパーゼクターのそんな特性は、誰も……」

 矢車がリークした情報は、当然三島にとって信用の置けるものではない。
 ホッパーゼクターとその役割については、懐柔した陸側の人間から裏付けを取っている。彼らが告げたのは、ホッパーが『赤い靴』を凌ぐ力を発動するというその一点だ。

「そりゃ、そうさ。文字通りトップのみが知る、トップシークレットなんだから」

 くっくっと矢車は冷たく笑う。

「片割れのホッパーにあるのは、破滅だ」
「く……っ!」

 邪魔な影山を突き飛ばし、ホッパーのままの三島は、ベルトを外そうと試みた。

 まんまと矢車の策略に乗った己に、三島はほぞを噛む。
 何度か変身を重ねるうち、身の内にどこからか流れ込んでくる大きな力を感じた。震えるような充足感は、エクスタシーにも似て。それが破滅につながると気付いた頃には、すでに三島はホッパーに取り込まれていた。
 ザビーに仕込んだと同様のトラップに、自らが掛かってしまうとは。

「無駄だ。力づくで外せるわけ……」

 言い掛けた言葉は、しかし途中で止まる。矢車は、あることに思い至り息を飲んだ。
 重要なことを失念していた。

(マズい、三島は……!)

「おおおおおっ!!」

 獣じみた唸り声を上げたかと思うと、三島の体からガチャリとベルトが外れ、地に落ちた。
 行き場を失ったホッパーゼクターは、助けを求めるかのように矢車の手に収まる。

 矢車と影山の目の前で、三島は、ホッパーからさらに、人でないものに変わっていった。

「み、三島さんが……ワーム!?」
「奴はグリラスワーム。おそらく、最強のワームだ」

 チッと、矢車は舌打ちする。
 一度ホッパーに取り込まれた人間は、ホッパーに命を捧げ続けることになる。自らの力で、ゼクターを切り離すことは不可能。それができるのは、対になるホッパーだけのはずだった。

 装着者が、普通の人間であったなら――。

「離れろ、影山!」

 影山の脚は凍りついたように動かない。
 固まる影山の肩をぐいと引いて、矢車が自分の後ろに引き寄せようとした時。グリラスワームの左腕の爪が、影山の胸を深々と貫いていた。

「影山……!」

 矢車が伸ばした腕の中で、影山はくず折れるように倒れた。
 意識を失い、血の気が引いて蒼白な影山の顔。胸部からは、血がとめどなくあふれ出してくる。

(ちくしょう……!)

 己の不甲斐なさに、矢車は握った拳を地に打ち付ける。

 グリラスワームもまた、ホッパーに吸い尽くされ、戦う余力など残っていない。
 倒そうと思えば、この機に矢車のホッパーで討てた。

 矢車は影山を支えた体勢のまま、ギリと唇を噛む。宿敵の気配がクロックアップで消え去るのを感じても、追えなかった。
 今は、何より優先せねばならないことがあるが為に。
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