ダブル★アクション

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vol.21 Trust No One(誰も信じるな)


 ここ最近のワーム事件の容疑者として、間宮麗奈はZECTの取調室にいた。
 バーで騒ぎを起こしたところを、カブトとガタックに取り押さえられ、正気に戻った麗奈は何も覚えていないという有様。

「私にもよく分からないんです。本当に、知らないんです」

 麗奈は涙ながらに訴える。
 取調べに当たっているのは、俺も顔を知らないZECT隊員で、その机の上には定番のカツ丼が置かれている。

「うまそう……」

 モニタールームで取調室の様子を見ながら、俺は思わずジュルッとよだれを拭った。

「あのカツ丼は、確かにうまかった」

 いつの間に来たのか、天道が相槌を打つ。
 カラッと揚げた衣とジューシーな肉汁が絶妙にマッチして、肉の旨みを引き出し、温かいご飯の上に。これぞ、まさにパーフェクトハーモニー。

『安易に、その言葉を使わないで欲しいな』

 完全調和の矢車さんが口を挟むけど。今使わなくて、いつ使うっていうのさ。

「でも、彼女がしていたネックレス……。あれを着けるとワーム化するって、ほんとですか?」

 やはりこいつもいたか、の加賀美が、俺にそんな事を聞いてくる。

「そう。ZECTにあったんだよ。着けると、誰でもワームに変わってしまう。俺は見たんだ!」

 麗奈にネックレスを渡したのが俺だと悟られないよう、ボロが出ないようにと俺は細心の注意を払って言った。

「何を見たんだ?」
「えっと……」

 鋭い天道のツッコミに、いきなりボロが出るし。
 助けて矢車さん! とすがって、わずか0.05秒で蒸着、もとい人格を入れ替わる。

「ZECTの裏の顔だ。ZECTは一部のワームと手を組んで、人類をワームに変えようとしている」
「人類をワームに!? どうして?」

 矢車さんに代わった「俺」はすらすらと語る。衝撃を受けている加賀美に、俺も激しく同意。

「……それは、あなたが知ってるんじゃないですか。ねぇ、田所さん?」

 俺は気づかなかったが、開け放したドアの外で、田所さんが俺たちの話を立ち聞きしていた。
 矢車さんの言葉が終わる前に、天道がすかさずドアの前に回り、退路を阻む。

「ZECTはいろいろ裏がありそうだな。何を企んでる?」
「俺は、何も知らん!」

 冷静な天道と対照的に、田所さんは顔面に玉の汗をかいている。

 『知ってる、だが聞かないでくれ、頼む。人の情けがあるなら!』と、田所さんの顔に書いてあるようで。
 『ないな、そんなものは。痛い目に遭いたくなかったら、素直にとっとと吐け』と、天道の表情が語っている。

 多少脚色はあるにしろ、まあ、そんなところだろう。

「やめてくれ、天道! きっと本当に、田所さんは何も知らないんだ」

 情けの人、加賀美が二人の間に割って入る。加賀美に遮られ、天道はそれ以上問い詰めることを諦めた。

 横をすり抜け、無言で部屋を出て行く田所さんを、俺たち三人(正確には四人)はそれぞれ複雑な思いで見送った。
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