ダブル★アクション

新ダブル★アクション(19)

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vol.22 夜這いでGo!


「……起きろ、影山」
「ふぇ?」

 寝ぼけ眼をこすりながら、起き上がる。と、ギシギシと体が痛む。
 もしかして俺、寝てる間に何かされたんだろうか。

「馬鹿言ってないで、口元拭け」

 砂の体の矢車さんが、呆れたように俺を見ている。

 そういえば、昨夜は麗奈を見張るために、ZECTのモニタールームに泊り込んで。椅子に座ったまま、机に突っ伏して寝てしまったらしい。
 どうりで、体の節々が痛いわけだ。
 とりあえず矢車さんに指摘されたよだれを拭いて、ふと手元足元を見ると、機器類が砂でザラザラ。

「ちょっと……どうしてくれるのさ、これ」
「内から呼んでも、お前が起きなかったからな。仕方ないだろう」

 言うだけ言って、矢車さんはまたスッと俺の中に入った。
 キーボードの間にも砂が詰まっているし、明日、どうやってメンテの人に言い訳しよう。

 童心に戻って、つい砂遊びしちゃって、ハハハ、とか。我ながら、うさんくさい。

『なぜ起こしたと思ってるんだ。ほら、見てみろ』

 矢車さんが、俺の意識をモニターへと向けた。
 そこに映し出されたのは、簡易ベッドで寝ている麗奈の姿。そして、彼女にこっそり近寄る若い男。

「うわっ、夜這いかよ!」

 うらやましいやら悔しいやら、俺は思わず大声を上げてしまった。
 午前三時、草木も眠る丑三つ時。忍んで行くには、ちょうどいい時間。

『あの男の顔、よく見せてくれ』
「え? うん」

 言われるままに、俺はモニターを操作して一部を拡大する。

「あっ、こいつニキビ、無理矢理つぶしたんだね」

 アップになると、顔面にニキビ跡がくっきり。つぶす気持ちは分かるが、やっぱり薬で治した方がいいよ、青少年。

『ニキビの話じゃない。この男、見覚えないか』

 矢車さんがうるさく言うもんだから、めんどくさいなと思いつつ、俺は男の顔をじっと見た。
 確か、この男、昼間麗奈を取り調べてた奴じゃないだろうか。ZECT内での見覚えのなさに、見覚えがあった。

「新入りなのかな、こいつ」
『分からん。ともかく、急いだ方が良さそうだ』

 本当は、人の恋路を邪魔したくはないんだけれど。恨むなら矢車さんを恨んでくれ、青少年。

 深夜にもかかわらずバタバタと廊下を走る俺は、これまた前方から走り込んでくる人影に、角を曲がったところで正面衝突してしまった。

「いってーっ!!」
「ツッ!!」

 互いに頭と顔を押さえて、その場にうずくまる。

「お前っ、廊下を走るなよ!」
「それは、こっちの台詞だ!」

 顔を覆った手の隙間から相手を覗き見て、俺は心臓が止まりそうなくらい驚いた。多分、向こうも同じだろう。
 ぶつかった男は、風間大介だった。こんな夜中に、しかもZECT内部で出会うなんて、冗談がキツイ。

「お前も……夜這いか?」

 動転したゆえの俺の台詞。それを寛容に許してくれないところが、この男だ。
 ちょっした俺の失言に、風間は「汚らわしい貴様と一緒にするな!」だの「麗奈さんがこんな目に遭ったのは貴様のせいだ」だの、罵詈雑言を吹っかけてくる。
 しかし毎日、三島さんの嫌味攻撃に耐え続けた俺にとっては、それくらいどうということもなく、華麗にスルーする。

「それより、お前どうやってここに入ったんだ?」

 とりあえず、風間の剣幕が収まるのを待って、聞いてみた。

「天道から、通用口を教えられた」
「守衛は?」
「しばらく眠ってもらってる」

 不法侵入とは、立派な犯罪。どうか今の会話は、オフレコでよろしく。

「だいたい、貴様! どういうつもりで麗奈さんにあんなネックレスを!」
「待てってば。今はそれどころじゃないんだ。その麗奈が……」

 噛み付きそうな勢いの風間に、俺は事情を説明してやる。
 麗奈が襲われそうだ、との言葉に、風間は血相を変えて駆け出した。「襲う」の意味を、どう捉えたかは知らない。

「麗奈さん……!」

 マンガであれば、「ババーン!」と効果音を付けたヒーロー的タイミングで、風間は目的の部屋に飛び込んだ。
 麗奈に麻酔をかがせて連れ去ろうとしていた不埒な男の手を、風間は力任せにねじり上げる。

 恋する男は、怖い。

「貴様、ここで何してる!?」

 すっかり熱くなってる風間は、連続婦女夜這い未遂犯(?)のニキビ青少年から、全部話を聞き出してくれた。
 はっきり言って、今回はかーなーりラクだ。

「……風間さん!?」
「麗奈さん、助けに来ました。もう大丈夫です!」

 俺のことも、横で伸びてる可哀相な新入りZECT隊員も、風間の目には入ってないようで。
 よかったな。あとは勝手にやってくれ。

『うらやましい、って顔してるぞ』
「ほっとけよっ!」

 面白そうに言う矢車さんに、俺は怒鳴り返す。いつもいつも意地悪くツッコんでくるんだから。

『まあ、予想通りだったな。まんまとエサに食いついてくれた』

 麗奈を狙ったあの新入りは、上からの命令だった、という。こっそりと彼女を連れてくるよう言われたそうだ。
 命令した人物も、誰だか判明した。

『おそらく、目的は、麗奈の口封じとネックレスの処分だろう』

 矢車さんの口調が厳しくなる。
 「うん」と頷いて、俺は足を速めた。けれど、俺の足は、矢車さんが思っている方向とは逆の、仮眠室へと向かう。

『おい!?』

 呆気に取られた矢車さんの声。でも、今は聞けない。俺には、やらなきゃいけないことがある。

「もう限界! 眠いんだよ、俺! 何があっても、朝まで寝るからっ!」

 有無を言わさず、仮眠室のベッドに飛び込む。
 さすがの矢車さんも、この時ばかりは俺の迫力に圧倒されたらしい。

 俺からの教訓。
『恋と、睡眠不足は、人を凶暴にする』のだ。
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