ダブル★アクション

新ダブル★アクション(20)

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vol.23 対決のとき


 カツカツと靴音を響かせて、「俺」はZECTの廊下を歩く。
 髪の色は少し茶髪だけど、きっちりスーツ姿でネクタイを締めて。クールビズも、ZECTには関係ない。

 昨夜まともに寝てない俺は、とてもじゃないが今朝は起きる気力がなかった。ただでさえ低血圧で朝に弱いし。
 今日一日、俺の代わりに仕事をするという条件付きで、俺は体の自由を矢車さんに明け渡した。

 この暑さの中、ザビーになんか変身したら熱中症の危険大。
 俺だったら絶対パスしてるけど、矢車さんはシャドウを率いてワームを撃退してしまった。矢車さんが入ってる時は、いつもこうだ。

「隊長! 俺、がんばって隊長みたいになります!」

 などと、暑苦しくも熱血している隊員B(注:隊員Aは数ヶ月前、一身上の都合で退職)に、「ああ、がんばれ」と「俺」は爽やか系の笑顔で悩殺する。

 そんな感じで任務が終わった後、「俺」は三島さんのいる執務室に向かった。
 ノックをして「失礼します」と礼儀正しく挨拶した時は、確かにパーフェクトハーモニーの矢車さんだったのに。

 後ろ手にドアを閉めたと思ったら、「俺」はシュルッとネクタイを取っ払った。上まで留めたワイシャツのボタンも2、3個はずす。
 三島さんが何か言うより早く、「俺」が口火を切った。

「面倒なのは嫌いなんだ。ここらで、はっきりさせてくれないか。…… “矢車” を殺したのは、あんただろう」
『ちょっと、単刀直入過ぎるよ!』

 叫ぶ俺の心の声は、矢車さんには届いてない。今日は、俺の声も「オフ」もしくは「ミュート」の扱い。
 マズイことになりませんように、と俺はひたすら祈るしかなかった。

「間宮麗奈からすべて聞いた。あんたの正体も」

 昨夜、麗奈は風間が連れ出し、ZECTから逃走した。取調べ中の麗奈が逃げたという報告は、俺たちも受けている。俺が逃亡に加担した事実は、誰にも知られていない。
 ワームが逃げたというのに、ZECTから捕獲命令は出なかった。麗奈の口からあれこれバレると困る誰かが、彼女をあえて見逃したってことだ。

 夜這い未遂(本人は違うと主張)のZECTの新入りは、本日付けで辞令を出している。
 お互い、昨夜の事は口外しないという約束で彼を解放したけど、ZECTに留まることを恐れたんだろう。
 決して、俺や風間が脅したのではなく。夜這い未遂犯が恐れたのは、麗奈を連れてくるよう指示した人物。

 命令どおりにできなかったわけだから、そりゃもう、減給やらボーナスカットやら残業地獄やら、世にも恐ろしい制裁が待っていたに違いない。
 辞めて正解だ。いい転職をしてくれ。

 三島さんと向き合った「俺」はといえば、荒々しく机に両掌をついた。

「なぜ、矢車を殺した? 口封じのためか」
「……だとしたら、どうする」

 三島さんの方は冷静そのもの。

「……遺体はどうした。エリアXにはなかった」
「すでに処分済みだ」

 何、このシリアス展開。
 さらっと交わされたこの会話は、犯行を自供したものなのだろうか。

「終わりですね、三島さん! 証拠は収めました」

 突然、大きな音を立ててドアが開かれた。
 部屋の外に立っていたのは、小型のボイスレコーダーを手にした加賀美。その横には、天道もいる。

 どうやら、矢車さんが加賀美たちに手を回したらしい。俺が寝ていた午前中のうちに話をつけたに違いない。
 事態は、どんどんクライマックスに向け加速する。
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