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完全調和な不協和音

完全調和な不協和音(4)

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vol.4 ハ長調の勤務後


 例の一件以来、俺を避けているような田所さんだったが、勤務が終わった夕方、彼に呼び出された。
 夕焼けで建物も赤く染まった、ZECTの裏庭。俺たち二人の他には、誰もいない。

 手に封筒のようなものを持って立つ田所さんの顔も、ほんのりと赤く染まっているのは、あくまで夕日のせいだろう。
 決して、この、胸騒ぎの放課後シチュエーションのためではない。

「なんですか、田所さん。こんなところに呼び出して」

 俺の発した台詞もまた、この手の状況での定番だった。

「……矢車。この前は、すまなかったな」
「いいですよ、もう」

 どこからか、『禁じられた遊び』の曲が流れてくる。誰だ、そんなBGMを流すのは。
 白い封筒を握り締め、しばし無言で考え込んでいた田所さんは、それをグッと俺の手に握らせて言った。

「あとで、開けて見てくれ」

 定型郵便物用、長形4号の白い封筒。
 表裏とひっくり返して見ると、ZECTのロゴ入りだが、ハートマークはどこにもないことが分かり、俺は安堵した。

「わざわざ呼び出さなくても、俺の靴箱にでも入れておいてくれればよかったのに」
「今時それは、乙女チックな漫画でもまず見当たらないぞ」

 田所さんは、どこかの昭和歌謡曲の歌詞を引用する。

「変な誤解はするなよ。これは、あくまでこの前の詫びだ」

 誤解など、していないし、したくもないんだが。
 要するにこれは、この前俺が言った「2割」の正当な取り分らしい、と俺は見当をつけた。

「了解です。では、これは遠慮なく」

 そう言って、スーツの内側に封筒をしまう。賄賂を袖の下に入れる政治家とは、こんな感じだろうか。

 帰宅後、ミラノ風リゾットを作りながら、俺は封筒のことを思い出し、中を開けてみた。

「コンサートチケット?」

 それは、俺が行きたいと思っていたクラシック演奏のチケットだった。
 この厚みと大きさから、現金かと当たりをつけていたのだが予想がはずれた。もっとも、俺にとってはどちらでも構わない。

 チケットは、ご丁寧にペアで二枚入っている。
 つまり、誰かを誘えということだ。

「さて、誰と行くか……」

 チケットを振って、俺は思案した。



※田所さん、引っ張るなぁ・・・。
また影山、出せませんでした。次回は、皆様の予想通りです(苦笑)。
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