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完全調和な不協和音

完全調和な不協和音(8)

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vol.8 嬰ハ短調の通話


「中華鍋に大さじ1を入れ、強火で豚ひき肉をしっかり炒める」

 横から覗き込んでくる影山に説明しつつ、俺は手早く鍋を振った。

「油を足してから、にんにく・しょうが・豆板醤を弱火で炒めて香りを出すんだ」
「なるほど。いい匂いしてきましたね」

 まるで『きょうの料理』のワンシーンだが、レシピはここまでなのでメモは取らないように。

 ちょうど具が炒まったところで、俺の携帯が鳴った。
 水のかからないよう台の上に置いていたものの、今は手が濡れている。

「影山、すまないが携帯をとってくれ」
「え? あ、はい」

 そう返事をした影山は、あろうことか電話に出ようとする。

「待て! 俺に “渡してくれ” という意味だ」

 手を拭いて、慌てて影山から携帯を取り上げた。日本語とは、難しい。
 画面に表示された発信者は、ZECT同僚の日下部だった。影山に豆腐を入れるようジェスチャーで示し、俺は少し離れたところで電話に出た。

『……矢車か?』
「そうだ。他に誰が出るっていうんだ?」

 今さっき、影山に電話をとられそうになったことは、あえて伏せておく。

『ザビーがらみで、また事件が起きた。明日周知があると思うが』
「分かった。お前も無茶するなよ」

 それだけ言って、俺は終了ボタンを押した。盗聴の危険がある為、長電話はできない。

 さて豆腐は、と鍋のところに戻ってみれば。
 焦げ付かないようサクッと混ぜろ、と言ったのに、影山には少々高度過ぎたらしい。

「……なんか、豆腐崩れちゃいました」

 すまなそうに影山が俺を見る。
 きちんとさいの目に切った豆腐は、見事に原型をとどめていなくて。見かけはもろに “吐しゃ物” とはいえ、味付けは俺がしたのだし、食えないことはないだろう。
 「気にするな」と声をかけて、麻婆豆腐を皿に盛った。

 その時、また俺の携帯の着信音がした。今度はメールだ。

「メル友ですか?」
「そんなとこかな。……日下部だ」

 別の隊の隊長であっても、名前ぐらいは知っているだろう。ところが、影山は「知りません」とふるふると首を横に振る。

「だって俺、矢車さんしか見てなかったし」

 こいつの回答は却下しよう。俺はもっと一般的な意見が欲しい。

 メールを確認する俺が気になるのか、影山はチラチラとこちらに目をやる。
 つい悪戯心が湧いて、俺は受信したメールを影山に見せてやった。

「これって……」
「知らないのか? ギャル文字だろ」

 呆気に取られる影山に、俺はにこりと笑った。
 これを最初に考えた人間はすごいと思う。怪しまれることなく、ちょっとした「暗号文」になるのだから。



※『ザビー・アディクト』をギャグ路線で書いたのがこの話だと、思っていただければ・・・(そうなのか?)。
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