フレイアは笑わない

フレイアは笑わない(1)

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 愛の女神フレイアは、黄金の涙を流して死に行く者たちを迎え入れた
 彼女ができることは、それだけだった





 夏はこの片袖のコートでちょうど良さそうだ、と矢車は思った。
 ノルウェーのオスロ空港に着いた時には、わりと日差しが強かったけれど。

「結構暑いんだねー。俺、北欧って一年中寒いのかと思った」

 影山は、手で扇いで汗ばんだ顔に風を送る。

「疲れたか?」
「全然!」

 初めての旅客機で、長旅はこたえたかもしれない。そう思って声をかけても、影山は弾んだ声で楽し気に周りを見回している。
 目に入るもの全てが物珍しく、楽しいのだろう。

(観光に来たわけじゃないだろ)

 苦笑しつつも、浮かれる気分は矢車も分からないではない。
 荷物らしい荷物を持たない二人は、空港を出ると身軽にタクシーに乗り込んだ。

「すげ、ベンツだ」
『ベルムのボーヒネン・ラボへ』

 気後れする影山を後部席に押し込むと、矢車は運転手に地図を見せて行き先を示す。

「兄貴、ノルウェー語できるの?」
「できると思うのか」

 これまですべて英語で会話をしているのに、今更聞くか、と矢車は呆れた。

「だって、兄貴は何だってできるし」
「買いかぶりだ」

 影山の純粋な賛辞が、矢車にはひどくこそばゆかった。

 緑が多く、豊かな自然に恵まれた美しい北欧の国。
 あれほど焦がれた白夜の世界に、今二人はいた。

「きれいなとこだね」

 車中から通り過ぎる外の景色を眺めながら、影山が見惚れるように呟く。

「そうだな」

 相槌を打った後、地図を確認する矢車の目が一瞬細まった。

(フログネル公園……。この辺りか)

 東京の渋谷に隕石が落ちたのと同じ年、ノルウェーのオスロにも隕石は落下していた。
 賑わう街中からほんの少し離れたところに、今もまだその爪跡は残っている。渋谷廃墟と同じように。

「うわー、あれ美味しそう! 兄貴、俺シーフード食べたい」

 オープンカフェのテーブルに並んだサーモンを、影山は羨ましげに指差す。

「さっき、機内食を食ったばかりだろ」

 どう見ても自分たちの目的を忘れているらしい相棒に、矢車は溜息をつく。
 やがてタクシーは大通りを過ぎ去り、森が広がる閑静なエリアへと二人を連れて行った。
 目指す建物は、そこにあるはずだった。



※『楽園依存症候群』の続きです。ストーリーは独立してますが、設定がつながってます、スミマセンm(__)m
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~ Comment ~

>磯野瞳様 

あれ? なんか、変なとこにコメント付いてますね・・・。スミマセン(あ、でも消えてなかったようで良かった)
頂いたコメントが、記事消滅で、もう訳分からないことになっててどうしたものやら(泣)。

10/1の記事にレス追記しましたm(__)m
ありがとうございました!

 

きゃー!兄貴!兄貴!
マーリン様のうそつきっo(≧∇≦o)めっさお絵書き上手じゃないれすか!!
あの、ぜひ裸割烹着をw
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