スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←お知らせとお詫び(追記あり) →完全調和な不協和音(16)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



【お知らせとお詫び(追記あり)】へ  【完全調和な不協和音(16)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

完全調和な不協和音

完全調和な不協和音(15)

 ←お知らせとお詫び(追記あり) →完全調和な不協和音(16)
vol.15 ホ長調の哀歌


 三島さんや、影山、日下部、そして俺。田所さんは、問題外として。
 さまざまな思惑が交錯する中、どんどん時間は過ぎて行く。

 いまだスト中のガタックゼクターは、すっかり引きこもり、ネゴシエーターとして、田所さんが部屋の外から説得に当たっている。

 なにせガタックゼクターは、鋼の扉さえもへこませてしまうくらい凶暴で。気に入らないことがあると、体当たりで部屋を破壊するので、中に入るのは危険過ぎる。
 「君のお母さんは泣いているぞ」という、田所さんの訳の分からない台詞では、ゼクターが手なずけられるはずもない。

 ザビーゼクターはといえば、虎視眈々と取り入る隙を狙っているようだ。
 その毒牙にかかるのは、俺か日下部か。じきに、ザビーゼクターの正式な資格者が決められる。

 一番まともそうなカブトゼクターは、資格者が決まったというのに、毎日窓際に寄り、遠くを眺めているという。

「寂しげに、誰かを待っているんだ。見ているこっちも辛い……」

 人情に厚い田所さんは、そう言って鼻をすする。
 この人の頭の中は、どうなっているのか。知りたくもないが、きっとカブトゼクターとその『誰か』とのハーレクイン並みの美しくも哀しいロマンスが展開されているに違いない。

 カブトゼクターの資格者となったのは、俺や日下部と同じく小隊長ではあったが、凡庸な男だった。
 ZECTに対しても適度に忠実で、取り立てて目立つタイプではない。

「あの人が主役じゃ、今年の視聴率はダメですね」
「そりゃ、失礼だぞ」

 イケメンじゃないし、と指摘する影山に、俺は苦笑するしかなかった。
 視聴率というのが何なのか、俺には意味不明だ。

「だって、絶対矢車さんの方がよかったのに」
「そう言うな。ゼクターが彼を選んだなら、それでいいじゃないか」

 影山はまだ、俺がカブトを断ったことが納得できないらしい。
 ゼクター自ら選んだ資格者を外部がどうこう言う筋合いじゃない。ところが影山は、ヒソヒソ話をするように、俺の耳に顔を近づけてきた。

「……内緒ですけど。カブトは、三島さんが半ば強制的に資格者を決めたみたいですよ」
「三島さんが?」

 俺は首をひねったが、何も不思議ではない。三島さんは、ZECTにとって都合のいい者を意図的に採ったのだろう。

「ZECTはカブトを手駒にする気なんだな」
「ザビーやガタックも同じです」

 小声でそんな事を話す影山が何を考えているのか、俺は測りかねた。
 こいつは、三島さんのお稚児、もとい傀儡くぐつではなかったのか。

「俺は、矢車さんの味方ですってば」

 そう言って、俺の部下はにこりと笑う。

「俺……本当のカブトの資格者はあの人じゃなく、どこか別のところにいると思うんです」
「別のところ?」
「きっと、カブトゼクターは、その運命の人が現れるのを待ってるんじゃないかな」

 影山の言葉を真面目に聞いていた俺は、その瞬間、自分自身を激しく呪った。

 政略によって引き裂かれる、カブトゼクターとその真の資格者。二人の運命や、いかに――。
 田所さんと同じく、ハーレクイン説を唱える男が、ここにもまたひとり。



vol.16 嬰ヘ短調の交渉


「……交渉? 俺が、ですか」

 やっぱり来たか、と半ば覚悟はしていたが、田所さんに熱血に頼まれると、つい逃げ出したくなる。
 条件反射だろうか。

「ダメに決まってますよ! 矢車さんが、性交渉なんてっ」
「お前は黙ってろ、影山」

 横で目をむく部下を、俺は押し留めた。
 勝手に “性” を付け足さないで欲しい。読んでくれてる人が混乱する。

「頼む、矢車! ガタックゼクターはもう俺の言うことなど聞かない。どうか、岬を助けてやってくれ!」

 土下座でもしそうな勢いで、田所さんはガバッと俺に頭を下げた。

「分かりました。ともかく、ガタックゼクターを取り押さえましょう」

 心の中では深く溜息をつきながらも、俺は笑顔で承諾する。
 俺の両手を握り締め、「ありがとう、ありがとう」と連呼する田所さんが、やや暑苦しい。

 どういう状況か、説明せねばなるまい。現状は、こうだ。
 ついにキレたガタックゼクターが、岬さんを人質に立てこもるという暴挙に出て、鋼鉄製の実験室内で暴れ回っている。

「ゼクターの要求は何なんです?」
「カブトの資格者の変更だ。ガタックゼクターは、カブトゼクターの元気がないのを知っていたんだ」

 俺が尋ねると、田所さんは顔を曇らせた。
 元気がないだの、知っていただの。カブトゼクターとガタックセクターは、一体どういう関係なのか。
 なにやらゼクター間で、不可思議な連帯感が生まれているようだ。

「……それにしても、どうやってゼクターの要求が分かったんですか」
「そうそう、それそれ!」

 俺の問いに、影山が妙な相槌を打つ。黙ってろ、と言ったのに。

 「筆談だ」と田所さん。
 なるほど。話すことのできないゼクターだが、ガタックゼクターならペンが持てるかもしれない。

 こうして俺は、人質を解放を要求すべく、田所さんに代わってガタックゼクターと交渉することとなった。
 野次馬・影山を引き連れて。
関連記事



【お知らせとお詫び(追記あり)】へ  【完全調和な不協和音(16)】へ

~ Comment ~

>磯野瞳様 

お返事遅くなってスミマセンm(__)m
クワガタって、あの挟むとこが、指とか挟まれたら痛そうじゃないっすか(^^;

カブトの資格者って、確か第一話でお亡くなりになってたなぁ・・・と記憶を引っ張り出して書きました。と言いつつ、あんまし、本編には沿ってないですが(笑)。

コメ、ありがとうございました~(^^)

 

筆談!!!
o(≧∇≦o)オナカイタイデスー
爆笑ですマーリン様w
かりばーでペンをはさんで。ドアの隙間から要求を出すひきこもりクワガタ……か、可愛いです!!

きっとカブたんは天様に運命感じちゃって、荷物持ったり麺切ったり…ロマンチックですねぇ(汗)
ゼクター達まで愛しくなってきました(*^ω^*)

影山ナイスボケ!!
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【お知らせとお詫び(追記あり)】へ
  • 【完全調和な不協和音(16)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。