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完全調和な不協和音

完全調和な不協和音(16)

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vol.17 イ長調の駆け引き


 ガタックゼクターは、たまたま様子を見に部屋を訪れた岬さんを拉致監禁し、カブト資格者の交替を要求してきた。

 要求に従わなければ、岬さんの命は――と言うのがセオリーだが、まあ、実際従わなくてもたいしたことはないだろう。
 ただ、こう着状態がこのまま続くのはいただけない。話が進まなくなる。

「ガタック! お前は完全に包囲されてる。諦めて、岬を解放するんだ」

 メガホンを使って、廊下から田所さんが声を張り上げた。

「インターホンありますよ」

 キーンと響く音に両耳を塞ぎながら、影山が珍しくまともな提案をする。
 ぜひともそうしてほしい。鼓膜が破れないうちに。

「中はどんな感じですか?」

 実験室には監視カメラが設置されている。俺は田所さんに頼むと、モニターのスイッチを入れてもらった。
 防弾防音の、窓もない実験室。モニターに映し出されたのは、部屋の隅にうずくまる岬さんの姿だけ。肝心のゼクターがいない。

「もしかして、もう逃げたんじゃないですか? どこかに穴でも開けて」
「おそらく、カメラの死角に入ってるだけだ。ゼクターが本当にいないなら、岬さんは外へ出てくるはずだろ」

 首をかしげる影山に、俺は策を講じつつ答える。

「とりあえず、岬を助け出さないと……」
「岬さんを、ここから連れ出すのは無理ですね。分が悪い」
「じゃあ、どうする!?」

 田所さんは自らの拳を掌に打ち付け、苛立ちを隠せない様子だった。

「ゼクターを捕獲しましょう。例の物は、持ってきてくれましたか」
「ああ、ここに」

 俺が尋ねると、田所さんは傍らの銀色のジェラルミンケースを示す。
 準備は整った。交渉を開始だ。

「……そこにいるんだろ、ガタックゼクター。教えてくれないか、どうしてカブトの今の資格者を降ろしたいんだ」
「やっぱり、イケメンじゃないから?」

 横から影山が余計な事を言う。
 誰か、こいつの口を塞いでくれないだろうか。“口で” とは言っていない、 “手で” いい。

 ガタックゼクターの返答がないので、失敗かと心配したものの、しばらくしてドアの下から紙片が差し出された。
 なるほど、これを書くのに時間がかかったらしい。

「『カブトの四角者あいつない。ベルトは他のやつがもっってる』――相変わらず、誤字脱字がひどい。字も汚いし。これは、もう一度教育をやり直す必要があるぞ」

 田所さんが、紙片を拾って読み上げた。
 字を教えたとして、今後また読み書きする状況が巡ってくるとも思えないのだが。そもそも他のゼクターは、ペンさえ持てない。

「二人とも、俺に任せて、後ろにいてください」

 ゼクターは、根気よく俺と筆談を続ける。確かに字は汚く読みづらいが、要点はつかめた。
 つまり、カブトのベルトはもうひとつあり、誰か別の男が持っている、というわけだ。その男が本当の資格者だと、ガタックゼクターは言う。

「ZECTに知らせずに、誰かがベルトを渡したとしたら、……ZECT内の誰かの裏切り?」

 情報を整理すれば、自ずと導き出される結論。認めたくはなくとも、事実は確かめねばならない。
 今度の問いにはやけに早く答えが来たと思ったら、「……」しか書かれていなかった。
 ゼクターは知っていて黙秘をしているのか、あるいは本当に知らないのか。

 そろそろ頃合だろうと、俺はジェラルミンケースを開けた。

「ガタックゼクター、俺が何を持ってるか分かる?」
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