ハロウィン・カーニバル

ハロウィン・カーニバル(2)

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「や、やめよう兄貴。なんか変だよ」

 矢車の雰囲気が、いつもと違う。

「まだ、これからだ」

 かがり火から離れようとする影山の腕を、矢車は強く掴む。
 何かの粉末をかがり火に入れると、そこから胸の悪くなるような異臭が立ち昇った。いくら土手とはいえ、近くの家々から苦情が来るのではないか、と思うくらい凄まじい臭いだ。

「何だよっ、これ!」
「生贄の代わりだ。さすがに、本物は使えないからな」
「生贄……って」

 ゴホゴホと咳き込んで涙目の影山の腕を、矢車は掴んだまま放さない。
 
 おそらく、かがり火一式と一緒にあの怪しげな店で買い込んだものだろうけれど、まるで怪しげな儀式。
 周りのざわめきが、耳につくほどはっきりと大きくなってきた。
 しかし、近くに人の姿や気配はなく。感じるのは、寒々しさと得体の知れない恐怖感だけ。

(死霊……? 悪霊、とか)

 先ほどの矢車の言葉を思い出し、影山はぞくりと身震いする。
 矢車がかがり火を焚き始めてから、様子が妙だった。立ち上がる炎を食い入るように見つめる矢車の顔は、火明かりで赤く縁取られ、どこか禍々しい。

(兄貴……こんな顔してた?)

 薄く笑む矢車に、影山は恐る恐る声を掛ける。

「兄……貴」
「なんだ、相棒?」

 影山の方を向いた矢車の顔は――。

(兄貴じゃ、ない……!)

 直感的に影山はそう思った。
 矢車の姿であっても、矢車ではない。矢車とそっくりのそれは、狂気に支配された殺人鬼を連想させ、爛々と輝く瞳で影山を誘う。

「もっと、火の側へ来い」
「は、離せっ!」

 咄嗟に掴まれていた腕を振り払い、影山は駆け出す。

 怖かった。まるで、悪霊に取り囲まれているようで。
 矢車が、何か別の怪物に変わってしまったようで。

 一体なぜ、こんな奇妙な事になったのか。まさに、ハロウィンの夜に。

(ブギーマン……)

 ふと影山は、昔観たハロウィンのホラー映画を思い出した。ハロウィンの悪魔、暗闇に潜む怪物。

(まさか、でも)

「相棒」

 名を呼ばれ、反射的に振り返った影山の視界に、鈍く光る刃物を振りかざす矢車の姿が映った。



※なんか、自分で書いてても怖いんですけど・・・(苦笑)。
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