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俺だけ見てよ

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 チク、チク、チク、チク。
 裁縫なんてあんまり得意とはいえない俺が必死に針と糸を動かしてる様子を、兄貴が呆れたように見てる。

「……なんだ、その、けったいな物は」
「んー、町内会のボランティア」

 しゃべると集中できなくなってしまうから、言葉少なく告げる。

 ハロウィンの催しで子供たちにお菓子を配る係に選ばれたはいいけど、衣装を自分で作らなければならず。お手軽に白い大きな 布を一枚、頭の部分に穴を開けてかぶる予定だった。
 とはいえ、それでも、幾らかは縫う作業が必要になってくる。

「なんで、そんなものに参加するのかと聞いてるんだ」
「だって、地域社会との交流も大事だよ」

 加賀美に言われたままの台詞を、兄貴にも繰り返す。

「やっぱり、ほら、これから寒くなるし」
「それがどうした」
「俺たちみたいな住居不定者は、これから色々お世話になるかもしれないじゃない」

 俺の言葉に、兄貴が苦虫を噛み潰したような顔をした。

「いや、それは冗談だけどさ」

 冗談半分、本気半分。
 でも兄貴の機嫌が悪くなりそうだから、それ以上は俺の胸にしまっておく。
 再び針を通し始めた俺の手元を見て、兄貴は興味なさそうに呟いた。

「ひどい縫い目だな」

 確かに、我ながら不揃いだけど。

「いいんだよっ、どうせ誰も近くで見やしないから」

 子供たちが関心あるのはお菓子だけ。俺の衣装なんて、気に留めない。

「“誰も”、じゃないだろ」
「え?」
「貸せ」

 ひったくるようにして、兄貴は糸の付いた針ごと、布地を俺の手から取り上げた。
 滑らかに動く兄貴の指先に、どんどん縫い取られていく。白い布が次第に形を成してきて。

「器用だねー、兄貴」
「お前が不器用なだけだ」

 寝転がって頬杖をつきながら、兄貴の姿を眺める。

「兄貴、お母さんみたい」
「やめろ。お前が息子なんて、願い下げだ」
「ひどっ」

 すると、兄貴は目をそらして言葉を言い足した。

「息子じゃないだろ、お前は俺の」
「うん。相棒、だよ」

 俺はにこりと笑って見せた。兄貴の言葉の、裏の意味ぐらい分かってる。
 決まり悪そうな兄貴は、舌打ちをひとつしてプツンと糸を歯で切った。

「ほら、できたぞ」
「ありがと」

 広げてたなびく、ハロウィンの白いゴースト。

「しっかりやって来い。ちゃんと、見てるから」

 俺の背をぽんと押す兄貴に、俺は安心する。いつでも、どこにいても、兄貴は俺を見ていてくれるから。

「行ってきまーす!」

 温かい視線をまとって駆け出して。

 君を見守ってくれる人は、誰?
 ゴーストの姿で、俺は子供たちに聞いて回る。

『Trick or treat?』

 俺を見てくれないなら、いたずらしちゃうぞ。


 END

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※久々の甘いお題を。
お題に合ってないな、これ・・・。というか、もうギャグとしてお読みください(--;
甘いハロウィン話が書けなかったので、リベンジです(爆)。
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~ Comment ~

>磯野瞳様 

家事全般上手な兄貴ってのも、なんだかなーと思いつつ・・・(笑)。なんか、間違ってるよな~。
自分で書いてて恥ずかしいモノになっちゃいました(^^;
矢車さんの苦手・・・うーん、なんだろう。
とりあえず、弟の涙は苦手だったり(←だから間違ってるって:爆)
でもほんと、何か苦手なものあると萌えますねっv で、それがなぜか影ちゃんは得意だったりとか。
膨らむわ~妄想~(笑)。

 

甘いれす!!!
o(≧∇≦o)
兄貴が…おかあさん!
いや、見ててやるからとか本当おかあさんやないですか!兄貴!保護者!
かっぽうぎ…
↑戻りやがった。

矢車さんは何でも器用にこなしそうですよね(*´∀`*)
これだけは苦手、っていうのがあっても燃えるけど…
やさぐれても優秀な兄貴が、かっこよかったり切なかったり。
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