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鬼殺し

鬼殺し(2)

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 今度のゲームは、俺に分がある。
 そう思って笑ったのは、どちらの影山だったのか。





 公園の大時計から、午後三時を告げる軽快なメロディが流れてくる。
 ベンチに横たえていた体を起こして、影山は身震いした。

(寒……っ)

 妙に体がだるく、頭が割れるように痛い。
 冬だと言うのに片袖のコートとボロボロのタンクトップでは、風邪を引いても当たり前かもしれない。

 先日加賀美たちが配布していたネックレスが、胸元でカチャリと揺れた。

 二人分合わせてせっかくもらってきたネックレスは、矢車には受け取ってもらえなかった。
 いつもそうだ、と影山は思う。矢車の為に何かしようとしても、素っ気なく拒絶される。

(もしかして、本当は兄貴、まだ俺のことを憎んでるのかも)

 気弱な考えが忍び寄り、影山はブンブンと頭を横に振った。

(関係ない! 昔の事なんて、もう)

 ネックレスを自らの首に掛け、影山は矢車のもとへ戻るべく足を速めた。顔を見れば、きっと安心できる。
 加賀美によれば、ネックレスはワームを見つけ出し、殲滅するためのものだという。
 役所での無料配布は広く行き渡り、すれ違う人々の何人かは同じネックレスを付けていた。

「あ、兄……」

 二人が寝泊まりしている場所へ来て、矢車に声を掛けようとした影山の足は、そこで止まった。

 なぜか天道の姿があり、矢車と話をしている。影山は反射的に身を隠し、物陰から耳をそばだてた。
 こんな場面は珍しい。二人が共にいる時は、たいてい戦いの火花が散る時だったから。

 矢車と天道は、どこか似たところがある。
 だからこそ、互いにソリが合わないのかもしれない。

「いいか。絶対に付けるなよ」
「あんなもの、誰が付けるか」

 念を押す天道に、矢車は吐き捨てるように返す。
 彼らの声は断片的に耳に届くだけで、影山は話の内容までは分からない。ただ、『ネックレス』という単語は聞き取れた。

(俺がもらってきたやつ……?)

 絶対に付けない、と矢車が言い放ったのは、影山が手渡そうとしたネックレスのことだろう。
 矢車の言葉が、影山にはそのまま自分に対する拒絶として感じられた。

(兄貴は、俺より、天道を信じるのかな……)

 急速に膨れ上がっていく不安と疑心。
 ふと疼きを感じて右頬に手をやった影山は、塞がったはずの傷跡がぱっくりと割れているのに気が付いた。

 傷口から滲み出し、手に付着したその赤いものは、うぞうぞと蠢いているように見える。
 ぎょっとして目を凝らせば、何でもないただの血だ。だが、それは頬からではなく、指から出ていた。
 どこかに引っ掻いて、怪我でもしたらしい。

 影山がペロリと血の付いた指を舐めていると、唐突に矢車の声が降ってきた。

「……いつまで隠れてるつもりだ?」
「兄貴」

 血の滲んだ指をサッと後ろに隠し、影山は矢車の顔を見上げた。不機嫌そうな矢車を前に、思わず縮こまる。

「こそこそするな。天道はもう行っちまった」
「あ、うん」

 天道がいたがゆえに出て行きそびれたことは、矢車にバレていた。

「相棒、これをはずせ。今すぐに」

 不意に、矢車は影山の首に賭けたネックレスを強引に引っ張った。
 鎖を引き千切らんばかりに力任せに引かれ、影山の首回りに食い込んでくる。

「あ、兄貴! ちょっと……」
「はずせ、早く」

 焦れたように、今度は上から無理やり取り上げようとする。
 頭を押さえつけられた影山が暴れたため、ネックレスはぐるりと一回りし、ますます首を締め付けた。

「ちょ、兄……苦し」

 影山の瞳に、鬼気迫る形相の矢車の顔が映った。
 なぜ、それ程まで矢車はネックレスを嫌がるのか。ワームを探知する道具を影山が身に着けては困るのだろうか。
 そうだとしたら、考えられる理由は一つしかない。

(まさか、兄貴が……ワーム!?)

 湧き上がった恐ろしい憶測に、影山は震えた。
 血が出ていた指がズキンと痛みを訴える。右手中に痛みが広がっていくようだった。

「やめろっ!」

 無我夢中で、影山は矢車を全身で払いのけていた。痛む右手を左手で押さえながら、矢車から離れる。

「俺に、触れるな!」
「相棒……?」

 矢車は、殺気立った影山の瞳を見つめ息を飲む。

 体中の血が逆流するような感覚。
 影山の体は発熱し、顔は赤く火照っていたが、ただ右手だけがひんやりとしてしていた。その冷たさが、今は心地いい。

「天道がネックレスを破壊して回ってるって聞いた。人間の敵だ。そして兄貴、あんたも」

 荒く息を付き、影山はゆっくりと矢車から距離を置いていく。
 だらりと垂れた影山の右の手は、ゴツゴツとした固い殻で覆われ、すでに人間のものではなくなっていた。
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~ Comment ~

>春巻様 

感想、ありがとうございました。
いや、もうワタシ的ツボは春巻様と似ているようです(笑)。
機械の・・・特に、壊れかけた機械の体というのがいいなぁ、と思います(^^;

『鬼殺し』は、まんま、『ひぐらし』ですね(笑)。傷ネタは、なるほど~と思いました。さすがですv ネタをありがたく使わせて頂きましたm(__)m
あ、こちらも、『ひぐらし』ギリギリかも・・・(汗)。

機械人間への憧憬 

「サイバードール」についての感想です。
痛々しい筈の傷の描写に、性的に(きゃっ恥ずかしい)興奮してしまった!世代的なものかもしれませんが、人外へのフェティシズムを強く持っていまして、そうした暗部をえぐり出される陶酔感といったら・・・もっとやってください、お願いします。
そして鬼殺し編(ひぐらし風)、対峙しているのは擬態?ドッペルゲンガー?謎が謎を呼びます。顔の傷も本人はもう完治しかかっているのに、もう一人のほうのそれは、パックリと口を開き血膿を滲ませているのかなーなんて・・・病的ですか?
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