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心臓すごいコトになってんぜ?

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「……歯、くいしばれ」

 俺は容赦なく、相棒に言い放った。

 逃げるなら逃げればいい。反論したいなら反論すればいい。
 けれど相棒は、俺の言葉に従って目を閉じて歯をくいしばる。

「ごめん、兄貴」

 それだけ、ポツリと言って。

 俺が相棒を責める権利も、相棒が俺に謝る義理もない。これは、ただ俺の身勝手な感情。
 理不尽だ、と相棒が怒れば、男同士のよくある喧嘩として、殴り合って最後には笑い合って、終わりになるはずだったのに。

「ちっ」

 握り締めた拳に力を込め、そのまま相棒の頬に打ち当てる。
 鈍い音がして、相棒は数歩後じさった。手加減なしで入れたのに、膝を付かなかったとはたいしたものだ。

「……ごめん」

 口元の血を拭いながら、相棒はもう一度謝罪を繰り返す。

「もういい、この件は終わりだ。帰るぞ、相棒」
「うん。 ……あれ?」

 唐突に相棒の膝がカクンと折れた。

「今頃、腰が抜けたのか」
「あはは、そうみたい」

 相棒の肩を支えてやりながら、俺は呆れた顔を向ける。
 弱々しく笑う相棒の心臓は、激しく鼓動を打っていた。

「心臓すごいコトになってんぜ?」

 俺の一撃が怖かったのか、それとも、あわや一命を取り留めた先程の事態が怖かったのか。

「兄貴ほどじゃないと思うけど」
「え?」

 言われるまで、俺は気付かなかった。ふと自分の手に目を落とすと、小刻みに震えているのが分かる。
 おそらく心臓も、相棒に指摘された通り、通常より速く脈打っているのだろう。

 怖かったのは、俺の方。

「同じリズムだね、俺と兄貴の心臓の音」

 肩を貸した状態で歩いているため、心拍数は互いに伝わる。

「一生に打つ心臓の鼓動の回数って、決まってるんだって。きっと俺たち、寿命も一緒だよ」
「……くだらない」
「そんなことないよ。だってさ、目安にはなるじゃない」

“兄貴が生きてれば、俺も生きてる”

 呟く声を聞きながら、俺は顔を伏せた。

「兄貴、泣いてる?」
「うるさい……」

 まっすぐ見つめてくる相棒から目をそらし、少し体を離す。

 相棒を失っていたかもしれない恐怖、相棒を失わずに済んだ安堵。
 大きく揺れる感情の波で、鼓動が速まるのを、相棒に悟られたくなかったから。


 END

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※甘いお題のハズが、あんまり甘くないです。
どちらかというと切ないかも・・・。どうとでも解釈できる、ビミョーな話になっちゃいました(苦笑)。
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