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鬼殺し

鬼殺し(7)

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 急速に体が冷えていく感覚と痛烈な痛みが、影山の意識に上った。

『……バカかよ。体が死ねば、どっちもおしまいだってのに』

 信じられない、という面持ちでワームが顔を歪める。
 影山自身はもちろん、ワームもまた首から胸までを赤く染めていた。

 現実なのか、そうでないのか、判断がつかない中で、影山は自分の首に手をやった。
 鮮血に濡れた手をぼんやりと見て、目を閉じる。血が失われるにつれ、頭も体も痺れていくようだ。

『お前も、死ぬぞ』
『そうかな……』

 ワームも同じ苦痛を味わっているに違いない。
 息も絶え絶えに罵るワームを見て、影山は満足だった。やっと自分の手で、舞台の幕を引けた。

 本当なら、埠頭で散っていた影山の命を、矢車が救ってくれた。あの時の代償として、このまま命が終わっても構わない。
 それでも矢車は、生きろ、と言った。

『俺は、死なないよ』

 影山は隣に横たわるワームに顔だけ向け、口角を上げて見せた。

『きっと……、兄貴が、俺を生かしてくれる』

 揺るぎない信頼が、影山の心を満たす。
 ワームが何か言ったようだが、外の音はもはや耳に届かなかった。いつしか体が動かなくなり、影山の意識は闇に飲まれた。


 


 一瞬強く冷たい風が体を吹き抜け、影山は身震いした。

「……寒っ!」

 マフラーを巻き直しながら、自分はなぜ舗道に突っ立っているのだろうと首をひねる。
 パン屋を出て何をするつもりだったのか、度忘れして思い出せない。

「ま、いっか。買い出し、買い出し」

 慌てて店の中の時計を覗き込めば、時刻は午後五時。
 矢車が仕事から帰ってくるまでに済ませておかないと、文句を言われる。

 バケットの他、野菜と肉、果物を買い込み、なんとか六時前に影山はアパートへ帰り着いた。
 荷物をテーブルの上に置いて、コートとマフラーをハンガーに掛ける。

「……あれ?」

 影山は、ふと鏡に映った自分の姿に目を留めた。

「俺、いつ、こんな怪我したかな」

 首に横一直線に走る、真新しい傷跡がある。

「変だなー、なんでこんなとこ」

 触ると、まだ少し痛む。結構深く切ったようだが、影山にはまったく覚えがない。
 けれどそのうち治るだろう、と気にしないことにして、買った食材を片付け始めた。

 傷は、時が経てば、やがて癒える。
 頬に受けた裏切りと失意の傷跡が、今はほとんど目立たなくなったように。

 カーテンを引こうと窓に近づいた時、ふわふわと空から白いものが落ちてきた。

「うわっ、降ってきた! もー、だから傘持ってけって言ったのにさ」

 ばたばたと、再び外に出るための身支度を整える。二本の傘を持って、影山はアパートを飛び出した。

 しんしんと音もなく降る雪。
 白夜の国が、今夜は、本当に白く覆われそうだった。


 END



※お付き合い頂き、ありがとうございました。
久しぶりに本編に沿ったお話が書けて、楽しかったですv 皆様のイメージを壊していないことを祈りつつ・・・。
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~ Comment ~

>春巻様 

こちらこそ、本編ストーリーを書く機会を与えてくださり、ありがとうございました(^^)

本当は、影山がどうやって助かったかについては、『白夜行』につなげる形で考えてたんですが、そこら辺はボカしてしまいました。
もっと掘り下げればよかった、とか、ああすればよかった、とか書き終えてからいつも思います。
もっと兄貴をかっこよく書きたかった・・・(←そこか)。

今年の電王は色々記録を打ち立てたヒット作なので、来年それを越えるのは難しいだろうなぁ、と思っちゃいます。
でも1年ごとに変わっても、それぞれのライダーにそれぞれの良さがありますものね。
放送は終わっても、心の中にはずっと残り続けてると思います。響鬼もカブトも、きっとこれからのライダーたちも・・・。

完結おつかれさまです! 

そして、ありがとうございました。至福の日々でした。
本編で語られる地獄兄弟の姿は余りに断片的で、一体なにがあったのか?と懸命に脳内補完をしながらの視聴でしたから、こうして色々な角度からの考察に触れるたびに、パズルのピースが合わさってゆくような楽しさが得られました。
それと同時に、私には考えも及ばなかった矢車の苦悩、献身、そして救済の物語に強く心を打たれました。
平成ライダーのストーリーには、ろくでなしにも光を当てる優しさがあってそれが日曜日の朝にうってつけの空間を生み出していると思っているのです。鬱展開にも、コメディ回にも、燃える戦闘回にも、明日への希望につながるこの基本線があるから、こうもりん(?)も見ようと思います。
きっと初登場時には「拙者は、ザビタン!」と日本中でつぶやかれるのだろうなあと、変な期待をしたりしてます。
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