完全調和な不協和音

完全調和な不協和音(17)

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vol.18 変ホ短調の作戦


「――というわけで、影山は天井裏から潜入し、奴の隙を突く。いいな?」
「了解です!」

 前回までの流れを無視で、田所さんが影山にてきぱきと指示を出す。
 何が「というわけで」なのか分からない。そういう展開じゃなかったはずなのだが。
 安易に了解する影山が、俺にはことさら理解できない。

「……なぜ、あなたが仕切ってるんですか、田所さん。俺がこれからガタックゼクターと交渉に入ろうとしているところだったと思いますが」
「分かってるとも。だが、万一の事を考えて、影山も配置させておけば万全じゃないか」

 珍しく正論を唱えられ、思わず言葉に詰まってしまう。いつの間に、そんなまともな事を言うキャラに変わったのか。
 混乱しそうになる頭をなんとか抑え、俺は自分のやるべき仕事に戻ることにした。

「ガタックゼクター、今ここに、カブトゼクターがいる」

 ジェラルミンケースをカメラの近くに寄せ、ゆっくりと言葉をかける。
 ケースの中に、大人しく収められたカブトゼクター。モニターを通して、ガタックゼクターにも見えているはずだ。

「岬を解放して、おとなしく投降しろ! さもなければ、カブトゼクターの命はない!」
「……違います」

 悪役っぷりを発揮する田所さんを、俺は小声で諌めた。
 カブトゼクターを破壊したら、困るのはむしろZECTの方だということを忘れてはいないだろうか、この人は。

「お前が立て籠もっている原因は、カブトゼクターだろう。こいつをそちらに送るから、よく話し合うんだ」

 俺はカブトゼクターに「行け」、と首を振って合図する。

 カブトゼクターには、交渉が成功したら真の資格者を探してやる、と交換条件を出した。
 このままではガタックゼクターの立場が悪くなり、破壊とまではいかずとも凍結処分にはなるかもしれないと、脅してもある。
 カブトゼクターは、既に懐柔済みだ。

 小さく開けられたドアの隙間から、カブトゼクターは部屋に滑り込む。
 あとは、待つだけ。

「いいか、影山。ここには落とし穴がある。角を曲がると、突き当たりに宝箱があるが、それは開けるなよ。トラップだからな」
「はい!」

 田所さんと影山はまだ、天井裏からの奇襲作戦を練っているらしい。
 ZECTの天井裏に落とし穴や宝箱があるものか。一体、どこのロールプレイングゲームだろう。

「余計な事をしなくても、カブトゼクターに任せておけばいいですよ。必ず説得してくれます」

 装備がどうの、武器がどうのと話し合う二人の間に、俺は割って入った。

「矢車。お前、カブトゼクターをたらしこんだんだのか。まさか、資格者を変えるつもりか?」
「たらし……は、ないでしょう。資格者を変更する旨は約束していません。俺は、『探してやる』と申し出たまでです」

 田所さんの身も蓋もない言い回しに、俺は眉を寄せる。
 もっと、違う言い方をしてもらいたい。嘘は言っていないのだから。

「ともかく、こちらもできる限り援護しよう。行くぞ、影山!」
「『上からドッキリ! 人質救出大作戦』ですねっ」

 楽しそうな影山を見て、つい溜息がもれた。
 チープなTV番組のサブタイトルのような作戦名はもとより、かえって足を引っ張られそうで脱力してしまう。

「くれぐれも、ガタックゼクターを刺激しないでくださいよ」

 場を離れる二人の背後からそう声をかけるのが、俺には精一杯だった。



※ギャグは久々・・・。感覚が戻りません(^^;
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