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大晦日の過ごし方

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「ねー、兄貴。なんで除夜の鐘って、107回つくの?」
「……1回足らない。108だ」
「だから、なんでなのさっ」

 聞きたがりの影山に、半ばげんなりとして矢車は答える。

「108の煩悩を取り去るためだ」
「少な過ぎると思うぞ。1日に1回の煩悩としても、365回はいる」

 田所が腕組みをして、矢車の言葉に深刻そうに眉を寄せた。

「えっ、じゃあ全部の煩悩払えないじゃん!」
「まったくだ。これは是非とも、改定を求めるべき問題だぞ」

 影山と田所の二人は、また訳の分からない話で盛り上がっている。
 勝手にしてくれ、と矢車はますます気持ちが滅入ってきた。

「ところで、加賀美はどうした。まだ来ていないようだが」

 店内を見回して尋ねる田所に、厨房からひよりの声がした。

「あいつは仕事。この近くでボヤがあって、駆り出された」

 すると、田所はガタリと椅子を後ろに引いて勢いよく立ち上がる。

「放火か! ワームの仕業だ!」
「あんただってワームでしょう、田所さん」

 テーブルに頬杖を付き、そっぽを向いたまま指摘する矢車。

「放火じゃなくて、タバコの消し忘れが原因らしい」

 言いながら、ひよりが三人分のパスタをテーブルに置けば、「いただきまーす」と、影山が一番に飛びつく。

「天道はどうした?」

 トマトソースで口の周りを真っ赤にしている影山を横目で見つつ、どうでもいいが、と付け足して、矢車はひよりに聞いた。

「ああ。パキスタンまで、豆腐を買いに行ってる」
「暗殺されてないだろうな」

 よりによって政情不安の今、しかも豆腐を買いに。だがパキスタンに、豆腐があるのか。

「きっと、擬態したワームの仕業だ!」
「だから、あんたもワームでしょうが」

 田所の根拠のない思い込みは、彼らの先輩である『BLACK』の南光太郎に匹敵する。
 ガリガリと頭を掻いて、矢車は溜息をついた。一体、何の因果で、こんな馬鹿げた大晦日を過ごすはめになったのだろう。

「『馬鹿げた大晦日』は、こっちの台詞だ」

 ひよりにジロリと睨まれ、矢車は肩をすくめた。思わず心の声が口に出てしまったらしい。

「一体、なんだって、ボクがお前たちのために料理を作ってやらなきゃいけないんだ?」

 ひよりは怒りをふつふつと湧き上がらせている。

「ほら、やっぱ、大晦日にはスパゲティ食べなきゃさ」

 オバQのような唇になった影山が、フォークを口に運びつつ主張する。

「一般的には、蕎麦だ」

 空気を読め、ナプキンで口元を拭け、と矢車が肘で突付くが、影山は気付かない。

「なんだよっ。大晦日はそば屋はどこも混んでるし、サルならツケが利くからって言ったの、兄貴じゃない!」

 影山の漏らした何気ない一言で、場の雰囲気はさらに悪化。

「……まあまあ、年末なんだし」

 誤魔化し笑いを浮かべて、田所が取り持った。同じ理由でここに来た者として、事態を沈静する必要がある。

「年末だから、何だよ?」

 ふくれるひよりに、

「「「歳末助け合い」」」

「だ」だの「だろ」だの「だよ」だの、語尾は微妙に違っていたが、三人とも同じ言葉を言っていた。

「……たく。食べたら、早く帰れよ」

 諦めたように、ひよりは厨房に戻る。

「あ、紅白見てこうよ、兄貴。その後、カウントダウンだよね」
「待て。行く年来る年の方がいいぞ」

 無駄なチャンネル争いが、影山と田所の間で繰り広げられ。

「そんな時間まで居座るなよ!」

 と、悲鳴にも似たひよりの叫びが響く。
 それを傍観して、矢車は定番になっている深い溜息をついた。

 ビストロ・ラ・サル。
 淋しい男たちが、大晦日に集う場所。


 END



※おバカギャグで、今年の締めとさせていただきます(^^;
良いお年を・・・。
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