SS・お題

はっぴー×2 ばーすでー

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 一年に一度の、この日。

 兄貴に何かプレゼントを贈りたかったけれど、あいにく先立つものがない。
 歌だったら俺の十八番なのに、兄貴は、「お前のとんがり帽子はもう見たくない」なんて言うし。
 兄貴って、あの時サルにいたっけ、と首をかしげたものの、 まあ、それはともかく。

「兄貴、俺にして欲しいこととか、ない?」
「別に」

 素っ気無い兄貴の答えを聞いて、俺は溜息をつく。そう返されるだろうことは予想がついてたので、俺は頑として引き下がらなかった。

「じゃ、さ。今日の夕食は俺が作ってあげる」
「いらん」
「肩凝ってない? 肩たたきしてあげよっか」
「……そこまで歳じゃない」

 サザ●さんのカ●オ並みの提案は、ことごとく兄貴に却下された。
 白々とした空気が流れる。我ながら、俺ってKYR。いや、そういう話じゃなくて。

「『ない』以外の事、何か言ってよ、兄貴!」

 ゆさゆさと兄貴の腕を揺さぶってみた。腕組みしたまま面倒くさそうに、兄貴は俺にチラと目を向ける。
 それでも俺は、SKN。

「なら、プレゼントはお前自身でいい」
「え?」

 兄貴はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべていた。
 ちょっと、今ここでその展開はマズいんじゃないかな。KYRな俺は、ちゃんとPTAってものを心得てる。

「略語ばかり使うな、JKかお前は。それに、PTAじゃない、TPOだ」
「あれ?」

 うっかり声に出ていたらしく、兄貴に指摘されてしまった。
 もう、なんの話をしているのやら。

「どうしてそんな言い方するんだよっ。俺、ただ兄貴を祝ってあげたいから」

 MK5――じゃなくて、マジで切れる5秒前。
 思わず声を荒げる俺に、

「そこが、違うって言ってるんだ」

 ピシャリと、でもこの上なく優しい表情で兄貴が言う。

「俺が祝ってもらう必要はない。そもそも、生まれてきたのは、俺の意思じゃないからな」
「そんなの……っ」

 俺が反論しようとすると、手で「ストップ」と合図する兄貴。

「だが、俺に命をくれた人、そして俺を生かしてくれる人たちがいる」

 自分を取り巻く人々に、あらためて感謝する日。それが、誕生日だ。

「だから、プレゼントはお前でいい。お前が、ここにいればいい」

 そっぽを向いてるため、兄貴がどんな顔をして言っているのか分からない。
 だけど、なんとなく想像できた。
 大切な人が、自分の傍にいてくれて、笑顔を向けてくれる。たったそれだけのことが、どんなに嬉しいか、俺は知ってる。

 温かいものが、心の中を満たしていくのを感じながらも、

「安上がりだね、兄貴って」

 ついそんな台詞が口からこぼれ、兄貴にジロリと睨まれた。

 当たり前のように、この日常はあるけれど、たまには俺も兄貴みたいに感謝してみよう。
 兄貴の感謝に上乗せして。

 ハッピー×2、バースデー。


 END



※1/30は、徳山さんのバースデーでしたv
遅れちゃいましたが、ハッピーバースデー!!
徳山さん・・・矢車さんの歳まで、あとひとつですね(^^;
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