完全調和な不協和音

完全調和な不協和音(22)

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vol.24 ニ短調の急転直下


「……日下部が……死んだ……?」

 いつもの冷静さは吹き飛び、俺は顔面蒼白で呆然と呟いた。

 衝撃の事実を告げた田所さんは、俺の様子にどう対応したらいいのか戸惑っているようだ。
 所在なげに、頭をかいたり手をブラブラさせたり。果ては、ラジオ体操第二まで始めるのは、いくらなんでもやり過ぎだと思うが。
 自分で号令をかけながら前屈する田所さんを完全無視し、俺は考えにふける。

 ザビーの資格者となった日下部が、ワームとの戦闘で死亡。あり得ないことではない。
 けれど、日下部はZECTの陰謀を暴こうとしていた。

 屋根裏に隠されていた大金も、日下部はZECTの裏金だろうと推測して、調査を進めているところだった。
 ZECTはマスクド・ライダーの開発以外に、何かの研究に金をつぎ込んでいる。

(それが何か、分かれば――)

 俺は無念の思いで唇を噛みしめる。
 重苦しい雰囲気を背負うこちらとは対照的に、いつの間にか加わった影山と一緒になって、田所さんはラジオ体操に励む。
 スーツの上着を脱いで、腕まくりまでして、本格的にやる気満々。ラジオ体操といえど、馬鹿にしてはいけない。真面目にやると、結構汗をかくものだから。

「いやー、やっぱり運動は気持ちいいもんだ!」
「本当ですね!」

 2人が醸し出す体育会系の爽やかさは、今の俺には眩しすぎる。

 ラストの深呼吸のところで、田所さんと影山は「やり方が違う」と意見がぶつかっていた。2回とも腕を大きく回すのか、それとも1回目に回して次は腕を横に広げるだけなのか。
 しかし、そんなマニアックな議論に、俺は加わるつもりはない。

「お前はどう思う、矢車?」
「絶対、2回目は腕回しませんよね!」

 田所さんに尋ねられ、後者派らしい影山まで詰め寄る。
 そっとしておいて欲しかったものの、連中にそういったデリカシーを期待しても無駄らしい。

「俺も、影山と同じやり方ですよ」

 仕方なく、そう答えた後。

「ところで、田所さん。聞きたいことが……」

 と、本題を切り出そうとしたところ。

「なんだと!? それは邪道だ! 正しいラジオ体操は、こうやる。よく見ておけ」

 再び田所さんは、「腕を大きく上にあげて背伸びの運動から」などと言って、体操モードに入ってしまった。
 負けじと影山も参戦。

 呆れる反面、音楽なしでよく覚えているものだと感心する。
 学生時代にやったきりだろうに。影山はともかく、田所さんは一体何百年前だろう。

「よし、今度からZECTでも朝礼にラジオ体操を導入するよう、提案しようじゃないか!」
「俺も、賛成です!」

 スポーツを通じて友情が育まれるのは、ジャ●プを始めとした少年マンガの王道で。
 がっしりと握手を交わし意気投合する田所さんたちの姿を見て、俺はフォントサイズ7の文字で、「やめてくれ」と叫びたかった。

 今回は、ラジオ体操の話だけで終わるのか。



※ラジオ体操、ちなみにワタシは影山派です(笑)。
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~ Comment ~

>磯野瞳様 

お久しぶりになってしまいましたm(__)m

おおっ、ラジオ体操情報ありがとうございます!
なるほど~、そうだったんですねっ。
長年の疑問が解消しました(^^;

田所さんは・・・もう、どーしましょ(笑)。
コメントありがとうございましたv

 

わーわー!
お待ちしてましたよっ!!
ラヂオ体操・・ビールの缶に玄米茶!
日下部さんが亡くなったのにどういう騒ぎですか田所さん!!

えー、ラヂオ体操は、第一が二回まわし、第二が二回目は横、だと、思います!
怪しい情報ですw
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