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悪魔は夜歩く

悪魔は夜歩く(9)

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矢車の夜 第12夜


 獲物を狩らずには、ミシマなる上司の元に戻れない。すなわち、住む家がないという影山のために、俺はつてを辿りマンションの一室をその日のうちに借りた。
 生活用品は備え付けなので、着の身着のままでもしばらくは暮らせるだろう。

 マンションは、ZECTからそう遠くない場所にある。
 車でそこまで連れて行き、影山を部屋の中へ追い立てて、俺はほっと息をつく。
 とりあえず、確保は成功。これで、ヴァンパイア殲滅のための足掛かりができた。

「兄貴は、どこに住んでるの?」
「いや、俺は特に家は決まってないんだ。異動が多くて」

 唐突に尋ねられ、幾分苦しい言い訳をする。仮にもヴァンパイアに、自分のマンションは教えられない。

「そっか、ネカフェ難民てやつ」

 と、おかしな方向で解釈されたらしいが、追及されなければ何でもいい。

「ZECT入隊の準備ができるまで、おとなしくしてろ。絶対に人間は襲うなよ」

 念を押してから、影山に部屋の鍵を渡してやる。
 もうすでに深夜。早々に引き上げて、これからの策を練らないと。

 俺の苦労も知らず、「デ●ーズなら、コーヒー1杯で一晩いられるよ」と、笑顔で手を振る影山。ネカフェ難民の話をしつこく引きずっている。
 まるで笑っているかのような細い月を恨みがましく眺めながら、俺は部屋を後にし、車を走らせた。



影山の夜 第13夜


 幸運にも、兄貴のおかげで俺は住むところが見つかった。
 兄貴がどこかへ携帯を掛け、「先月の貸しの件だけど」と言って何事かを話した後、「OKだよね?」の一言で、マンションの契約が即決。
 きっと、兄貴は権力のある地位に就いてるに違いない。

 細い三日月に向かうように、車を走らせ去っていく兄貴。
 手を振って一応見送る素振りを見せてから、俺は自らの黒い翼を広げた。

 上空からなら、気付かれずに兄貴の車を追うことができる。
 決まった家はないと言った兄貴が、どこに泊まっているのか興味があった。

 15分ほどして、兄貴の車が停まった先は、都内でも有数の高級賃貸マンション。友達の家かな、と思いつつ、俺は地上に降りて尾行を続行する。
 兄貴がエレベータを降りたフロアを確認し、俺は非常階段を上がっていった。よりにもよって、最上階の10階。しんどいけど、この手のシチュエーションでは非常階段を使うのがお約束だ。

「……って、どの部屋だよ」

 ゼイゼイと息切れし、やっと辿り着いてみれば、いくつものドアがズラッと並んでいる。
 試しにひとつひとつドアに耳をくっつけてみたが、こんなマンションで室内の音が外に漏れるはずもない。

 せっかくここまで来たのに、と俺はがっくり肩を落とした。



矢車の夜 第14夜


 翌日、俺は影山をZECTに入れるための根回しに奔走した。
 ヴァンパイアと接触した旨を上層部に報告し、連絡、相談。いわゆる「ホウレンソウ」を終えた後、俺の計画を提示する。
 召集された緊急会議では、幹部の何人かがゴルフで来られなかったりもしたが、ともあれ俺の思惑通りに事が運んだ。

「お疲れさん。愛情1本だ」

 一区切り付き、休憩を取っていると、田所さんにオロ●ミンCを差し出された。

「どうも」

 一応礼を言って受け取ったものの、“愛情1本” は、オ●Cではなくチ●ビタの宣伝文句だという以前に、田所さんからの愛情だと思うと絶望を感じる。

「矢車、今日の会議の件だが。そのヴァンパイア、お前が矢車だと気付いていないわけだな」
「ええ」

 いつものごとく、会議中落書きを描いていたわりに、耳は働かせていたようだ。

「影山とかいう奴に、名前はどう伝えたんだ。名乗ってないのか?」
「……適当な名前を言いました。俺のことは、 “兄貴” と呼んでますよ」
「任侠か」
「いえ、そういうわけでは」

 いい加減くだらない会話は終わりにしたいと思っても、田所さんは妙に食い下がる。
 俺が微妙にはぐらかした部分をわざわざ蒸し返してくるあたり、実は意外にも、この人は鋭い洞察力を持っているのかもしれない。

「つまり、言いたくないような名前を名乗ったんだな?」

 疑問形ではあっても、田所さんの顔は確信に満ちていて。そこまで察しているのなら、隠しても意味がない。

「もののはずみで、“ジロー” と」
「そうか、あの人の名前か……」

 なぜか、田所さんは感無量という表情で遠くを見つめる。

「俺の尊敬する人だ。コメディアンとしても俳優としても歌手としても、才能があって」
「……はあ」
「よし! 俺とお前で、『コ●ト56号』というコンビ名はどうだ」
「遠慮します」

 田所さんがどこのジローの事を考えているのか、俺はようやく分かった。
 そして分かってしまった自分自身にもまた、めまいを覚えずにいられなかった。



※スミマセン。矢車さん、飲酒運転です。
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~ Comment ~

>熊猫GK様 

わー、キリ番ご報告ありがとうございました(^^)
こちらこそ、いつもお世話になってます。
せめてものご恩返しの更新が滞っていて、我ながら不甲斐ないです。
キリリクは、このブログが続いている限り無期限有効ですので、もし何かございましたら、いつでもお知らせくださいv
喜んで書かせていただきます(^^)

寒がりなんで、いまだに長袖ごっぽり着てる私です(^^;
熊猫GK様も、お体お気をつけて!
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