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悪魔は夜歩く

悪魔は夜歩く(12)

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矢車の夜 第17夜


 今日一日、影山は随分人間らしくふるまっていた。
 もちろんZECT側は、ヴァンパイアだと承知しているが、影山はその事を知らない。

 ライフエナジーだけでなく、人間と同じ食べ物でも腹は満たされるようなので、俺は影山に夕飯を作ってやることにした。
 空腹のあまり、約束を違えて人を襲ったらかなわないから。

 普段はどうやら例のバーに通っているらしく、またとんでもない噂が広まっているのではないかと思うと、気が滅入る。
 それはともかく、サブだかJUNEだか知らないが、バーのママは俺が矢車だと知っている。一応口止めはしているものの、影山に余計な事を吹き込まれたら、非常にまずい。

 バーにも手を回しておかなければと考えつつ、キッチンで豆腐をさいの目切りにしていた時。
 影山の間の抜けた叫び声と、大きな鳥のような羽音が耳に入った。

 部屋とキッチンの仕切りの扉はわずかに隙間が開いており、そもそも1Kのレ●パレスのマンションでは、どんなに声を落としても丸聞こえだ。

 俺はホルダーからZECTガンを抜き、扉の隙間から部屋の様子を窺った。

「ミシマさん、どうしてここが」

 呆然とした影山の方へ、窓から土足で侵入してきたのは、眼鏡の奥の眼光が鋭く光る、ネクタイにスーツ姿の男。
『嫌われる上司ベスト5』に、よくランキングされるタイプかもしれない。
 しかし、その背には黒く大きな翼がある。

「報告もしない、連絡も取れないとは。しかもまた、ターゲットを討ち損ねたようだが」
「あの……、ミシマさん。とりあえず、靴脱いでください」

 おずおずと、だがはっきりと影山は告げた。

 その判断は、正しい。
 部屋を汚すか破損した場合、修繕費を支払わなければならない、と俺は影山に口をすっぱくして言っておいた。

「それに、矢車は人間じゃなかったんです。魔物の国の王子だったんですよ!」

 一向に靴を脱ぐ気配のないミシマというヴァンパイアに、影山は必死に説明する。
 単純な影山はともかく、この男が、ばかげた『怪物●ん』パロディを信じるとは思えない。

「何を言っているのか分からん。人間どもに、うまくたぶらかされたな」
「え?」
「私が獲物の選定を誤ると思うのか。矢車は、間違いなく人間だ。追跡を逃れるため、嘘の予防線を張ったのだろう」

 ミシマの分析に、俺は思わず感嘆してしまう。魔物ながら、頭の切れる男だ。
 人間であっても、影山と頭が同レベルの男もいるというのに。誰とは言わないが。

「タイムプレイのリミットは過ぎた。今度失敗したら次はない、と言っておいたな?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ。俺、今人間としてZECTに入ってて。辞める時は、1ヶ月前に言わないといけないことになってるし」

 確かに、入隊規約はその通りでも、この場では言い逃れにしか聞こえない。
 虚しい詭弁に、俺は影山の命運を悟り、同情の念を寄せた。

「……ZECTか」

 しかしミシマは影山に下そうとした宣告を取り止め、何かを考えていた。

「よかろう、少し泳がせてやる。期待してるぞ、カゲヤマ」
「は?」

 影山が唖然としている間に、ミシマは来た時同様、翼を広げ空へと羽ばたいた。
 ミシマの姿が闇に消えるのを見届けて、俺は息をつく。銃を握った手に、じっとりと汗が滲んでいた。

 用心しなければならない。最大の敵は、おそらくあの男だ。

「羽根フェチに売れるかなぁ、これ」

 少なくとも、部屋の中に落ちた黒い羽根を拾って、そう呟く影山では絶対にない、と俺は確信した。
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