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ナーサリー・ライム

ナーサリー・ライム(6)

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 ワームはどこか逡巡した様子で、一息に襲い掛かって来ない。その戸惑いは、明らかにワーム化した人間のものだ。
 影山ではないと思っても、矢車の心に、もしや、という気持ちが湧き起こる。

「お前……」

 呼びかけて伸ばした腕が即座に絡め取られ、矢車の体は大きく弧を描いて投げ飛ばされた。勢い余って土手の草むらへ転げ落ちながら、咄嗟に体勢を立て直す。

 ワームは攻撃を躊躇っている。己の中で、破壊衝動と人間の理性がせめぎ合っているのだろう。
 影山なのか、そうでないのか。判断がつかないまま、矢車は腰のライダーベルトを外し、地に放り投げた。

「来いよ。簡単にやられる気はないがな」

 不敵に笑い、脇を軽く締めて構えを取る。
 影山がワームになったなら、自らの手で倒す。そう約束したが、ライダーの力を二度と影山に向けるつもりはなかった。

「兄貴!?」

 聞き覚えのある声が、目の前に対峙しているワームではなく、矢車の背後からした。
 驚いて振り返り、注意をそらした矢車にワームが迫る。

「危ない、兄貴!」

 走り込んできた影山が、体当たりするように矢車を押し倒した。草を巻き上げ横転する二人の頭上で、ワームの腕が空を切り唸る。

「……相棒、お前」
「何やってんのさ。信じらんないよ、もう!」

 いつもと逆の立場で、影山が目をむいてまくし立ててくる。矢車は一瞬呆気に取られ、やがてくっくっと笑い出した。

(バカだな、俺も)

 ラボで治療を受けた影山がワーム化するわけがないと、十分理解していたはずなのに。わずかでも疑念を抱いた自分に、呆れてしまう。
 目に映る影山は、変わりなく人間の姿で、何より矢車の相棒だ。

「こいつ、ワーム化した人間だよ。こいつが、人を襲ってたんだ」

 矢車と一緒に立ち上がり、影山は哀れみを込めてワームを見据える。
 影山はアンカーブリッジで偶然このワームを見つけ、ずっと挙動を見張っていた。人を襲い掛けては、なんとか踏みとどまる。その繰り返しだった。

 先日の凶行は、身の内のワーム化に抗えず、衝動に支配された結果。治療を受ければ、人間に戻れる可能性はある。それでも、犯した罪は償わなければならない。

「なるほどな」

 小さく頷くと、矢車は素早くライダーベルトを拾い上げ、影山に放った。

「忘れ物だ。お前がなんとかしろ」
「えっ、俺?」

 影山は両腕でベルトを受け止め、まじまじと視線を落とした。
 それは確かに影山のもの。最初から矢車は自らの分を持たず、影山のベルトを付けてきたらしい。

「面倒はみないからな」

 いつかと同じく、傍観を決め込んだ矢車がぶっきらぼうに告げる。

 影山には矢車の真意が分からなかった。自分のライダーベルトを持って来なかった理由も、ワームを前にしてライダーベルトを外してしまったことも。
 もともと矢車は変身する気がなかったとしか思えない。

(でも、兄貴が、俺に任せてくれたなら)

 手の中にホッパーゼクターが収まった時、影山は口元を引き締めた。
 命を奪わず、ただワームを動けなくすればいい。
 心を決めて、パンチホッパーに変わった影山は腕のアンカージャッキを入れた。
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~ Comment ~

>熊猫GK様 

コメント、ありがとうございました。
甘い話にならなかった・・・玉砕(--;
スミマセン!
甘い2人が書きたいのに、気が付けばこんな展開に・・・ガーン・・・。

兄弟のフィギュア! いいですね~v
この調子で、カブトスピンオフで、兄弟の話TVでやってくれないかな、といまだに夢見てるんですが。スペシャル特番でもいいから・・・ぜひ東●様!
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