スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←バレンタイン →「電王」第4話
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



【バレンタイン】へ  【「電王」第4話】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

想が瞬を駆け抜けて

想が瞬を駆け抜けて(5)

 ←バレンタイン →「電王」第4話
9.再会

 シャドウ解散後、元シャドウ隊員が次々ワームに襲撃される事件が起こった。
 彼らの所在を的確につかんでいることから、内部にスパイがいるという見方が優勢だった。
 三島からの指令を受け、影山も内密にスパイをあぶり出す計画を立てた。既にこの時点で、影山は以前の影山ではなくなっていたのだろう。

 思わぬ人との再会にも、影山は心を揺らすことはなかった。
 元シャドウ隊長であり、上司であった矢車。
 矢車にとって、影山や他のシャドウ隊員たちに会うことは自らの傷口をえぐるようなものだ。
 しばらく表立って動くことはなかったが、部下たちを救いたいという思いが矢車を動かしていた。

「元気だったか、影山」

 影山はどういう反応を示すのか。自分を非難するか、拒絶するか。
 矢車にはどちらも覚悟の上だった。
 しかし影山は何事もなかったように笑みを返す。

「矢車さん! お久しぶりです」

 よくその眼を見れば、奥に潜む影山の意図に気付いたかもしれない。
 だが矢車は、影山の笑顔の仮面を信じきってしまった。

(こいつも、スパイの可能性がある)

 あまりにも冷静過ぎる推測を、影山は頭の中で組み立てた。
 ザビーの座を追われ失脚した矢車なら、元シャドウ隊員を狙う動機は充分にある。

「矢車さん、大変なことになってるんです。シャドウのみんなが……」

 従順な部下を演じながら、影山は探りを入れる。

「ああ、分かってる」

 己を律するように矢車は頷いた。
 部下たちの命を守るのが、今自分にできる唯一の罪滅ぼしだ。

「影山、また一緒にパーフェクト・ハーモニーを奏でよう」
「はい!」

 ザビーの力を手にしていた影山に、矢車の言葉は滑稽だった。
 自分はもう、矢車など必要としない。

(あんたは、もう終わりだ)

 顔には出さず、影山は心の中で冷笑を浮かべる。
 それはまさに、ザビーの魔に魅入られた証だった。



10.裏切り

 我々シャドウの完全調和に、もう、あんたは必要ない
 むしろ、不協和音なんだよ





 向かってくるザビーゼクターが影山の手に収まった時、矢車はようやく影山の真意を理解した。
 加賀美の命を軽んじ、自分をも騙した影山のあまりの変わりよう。胸にあるザビーの紋章を傲然と見せつける影山に、矢車は愕然とする。

(そうか……。お前も、堕ちてしまったんだな)

 かわいい後輩だと思っていた相手に裏切られたショックは大きい。
 けれど、最初に部下たちを裏切ったのは他ならぬ自分だ。

 ワームを一掃し新生シャドウを率いていく影山に、矢車は隊に復帰させて欲しいと訴えた。プライドも何もかもを、かなぐり捨てて。
 今のままでは、影山は間違いなく自分と同じ破滅の道を辿る。
 影山の道を正してやれるのは自分以外にいない、と矢車は思っていた。
 しかし、影山の口から出たのは、完璧な拒絶だ。

「完全調和、か。いい言葉だよね。これからは、パーフェクト・ハーモニー第二章さ」
「影山、お前は本当に……」

(本当に、あの影山なのか?)

 もしやワームに擬態されているのではないか。そう考えてしまうほど、影山の瞳は冷たかった。
 自分の時の比ではない。
 影山はザビーゼクターと波長が合ったのだろう。ザビーの紋章は、すでに影山自身を支配している。

 加賀美はザビーという『魔』を逃れた。
 だが、まさか影山が次の資格者に選ばれるなど、矢車は思いも寄らなかった。

 三島も何も語らず、すべて自分は蚊帳の外だ。
 それどころか、ワームの内通者という疑いまでかけられていたのだから。

 去っていく影山たちを、矢車はただ見送ることしかできない。
 ひどい虚無感だけが残った。

(俺は、今までZECTで何をやってたんだろうな)

 今までの自分が、足元から崩れ落ちていく。
 エリートの肩書きは虚飾に過ぎなかったことを思い知らされた。

 もう、ZECTに戻ることはない。
 矢車は、きっちりと締めていたネクタイを緩め、投げ捨てた。

(待っていてやるよ、影山。お前が地獄に堕ちてくるのを)

 矢車は笑う。それは、限りなく自虐的な笑みだった。
関連記事



【バレンタイン】へ  【「電王」第4話】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【バレンタイン】へ
  • 【「電王」第4話】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。