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想が瞬を駆け抜けて

想が瞬を駆け抜けて(6)

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11.新たな道

 その日のうちに矢車はZECTに退職願を出し、なんの話し合いも持たないまま、その届けは受理された。
 あまりにも早すぎる、上層部の回答だ。

 しかし、矢車はもうZECTに未練はなかった。明日からまた仕事を探さなければ、とぼんやりと考える。
 随分と長い間ZECTに身を置いてきた。ZECT以外の生活などなかったといっていい。

(これからどうするか……)

 その時、ふいに携帯が鳴った。
 表示された着信番号に心当たりはない。不審に思いながらも、矢車は携帯に出た。

「矢車くんか。私だが」

 短い言葉だったが、その独特のしゃべり方には覚えがある。

「加賀美、さん!?」

 驚きのあまり、少し掠れた声で矢車は問い返す。
 まさか、ZECTのトップから自分の携帯に連絡があるなど。しかも自分は既にZECTから正式に除隊したところだ。
 考えがまとまらないまま、矢車はただ陸の言うことに耳を傾けていた。

 ZECTには内密で話がある、と陸は言う。
 組織の中でも公にはできないことで、ぜひ君の力を借りたい、と。

 まるで追い出されるように組織を出た自分に、陸の頼みを聞く義理はない。
 ZECTとの関係を絶ち切りたいという気持ちはあったが、ふんぎりがつかないのも事実だった。

「……少し考えさせてください」
「いい返事を期待しているよ。私の直通に連絡をしてくれればいい」

 陸が言う携帯番号を、矢車は素早くメモする。
 おそらく今は警視庁の電話から掛けているのだろう。
 教えてもらった携帯番号は、ZECTには周知されていないプライベートなものに違いない。

(さぁ、どうするか)

 電話が切れた後、矢車は先ほどと同じ言葉を頭の中で呟いてみる。
 その口元には無意識にわずかな笑みが浮かんでいた。



12.混迷

 どこで、俺は間違えてしまったのだろう――





 初めはただ、ザビーに憧れただけだった。
 ザビーになってZECTに尽くしたい、人間をワームから守りたい。そんな気持ちから、影山はザビーを受け入れた。
 だが三島の下す命令は、時に冷酷で非道と思われるものさえ含まれていた。

 影山の中に残っている道義心が警告を鳴らしたが、あえてそれに目を瞑る。
 見捨てられたくない、という強い思いに影山はとらわれていた。

 ZECTは簡単に、隊員に見切りをつける。
 使えないと思われたら即お払い箱だ。

 矢車がシャドウの小隊長を務めていた頃は、誰一人シャドウを追い出されることなどなかった。
 もともと選りすぐりの精鋭部隊ではあっても、時にミスをする者はいる。
 自分も何度失敗をしでかしたかしれない、と思い出して影山はひとりで苦笑した。

(そうだ。俺が落ち込んでるとよく矢車……さんが励ましてくれて)

 矢車が小隊長の頃も隊長になってからも、脱落した隊員はいなかった。矢車はなにくれとなく部下の面倒を見ていたから。
 もしかしたらあの頃は、矢車が三島やZECTの幹部から部下たちを守っていたのだろうか。

 そんな風に考えてしまうほど、今シャドウの内部はすさんでいた。
『完全調和』など見せかけだけ。隊員たちはチームメイトを蹴落とし、裏切ることさえ厭わない。
 ワームと手を組む三島のやり方がさらにZECTへの疑心と不審を募らせ、自ら辞めていく隊員も後を絶たなかった。

 しかもZECTは、あれほど確執のあるカブトを組織に迎え入れた。
 カブトである天道は、あっさりとZECTの司令官になってしまったのだ。

(一体どうなってるんだよ)

 何かが、間違っている。
 しかしいったん動き出した以上、方向を変えることはもうできない。
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