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矢車の夜 第43夜


 痩せ型の体格の割に、ミシマはさすが魔物の長だけある。
 格闘技術は俺の方が上でも、圧倒的な力でねじ伏せられ、ナイフ一本ではまったく歯が立たない。

 ミシマの命じるまま、影山はゼクトガンを俺に向けた。差し入れは何がいいかと聞いてくるが、『差し入れ』でなく『餞別』の方が適切だろう。

(この “銀” じゃ、無理か)

 地に伏したまま、俺は思考を巡らせた。ヴァンパイアを倒せる唯一の武器は、影山の手の中。
 伸ばした右腕の先で、銃身が不安定に揺れている。
 素人同然の構えに笑ってしまう。もし仮に、部下として影山を率いているなら、間違いなく撤退命令を出す。

「……撃てよ。連発にしておけば、すぐに済む」

 俺は静かな口調で影山に告げた。

 まだ心のどこかに躊躇いがあるのか、銃声はなかなか聞こえてこない。それでも、俺の提案どおりに銃をフルオートマチックに切り替えるあたり、素直というか、したたかというか。

「カゲヤマ。片付ける気がないなら、お前を白夜の国に左遷だ」

 元上司の無情な一声が、影山に引き金を引かせた。





 突如、ガラガラと崩れ始めた建物に、階下の天道たちは呆気に取られた。
 ヴァンパイア側も、もはやディナーどころではない。パーティー会場そのものが、なくなろうとしているのだから。

「急げ! 城の外に出るぞ」
「でも、矢車さんが」

 加賀美は俺の身を案じてくれるが。

「大丈夫だ。矢車なら、さっき城から出るところを俺はこの目で目撃した!」

 と、田所さんがまた嘘八百を並べて加賀美を急き立てる。
 気持ち的には色々引っかかるものの、まあこの際、文句は言うまい。

 一階の状況は、ライブ会場に必須の大きなスクリーンで、二階にいる俺たちの目の前に映し出されていた。
 事を起こした張本人は、崩れ落ちていく城を呆然と見つめるばかり。

 立て続けに発砲された弾は、すべて見事に壁に当たり、連鎖的かつ修復不能なまでに城の中心部へと亀裂を広げていった。
 もとより、ゼクトガンに込められた銀の弾丸は、魔を粉砕する威力を持っている。

「とんだことをしてくれたな!」

 頭上からパラパラ落ちてくる漆喰を払いながら、ミシマは影山を睨み付けた。
 脱出が先決と踏んだのだろう。ミシマは俺と影山をその場に残し、黒い翼を広げ窓から舞い上がった。

「影山、何してる。逃げるんだ!」

 事態が飲み込めないらしい影山は、口を開いて立ち尽くしている。

「あ、兄貴。俺……」
「よくやった」
「へ?」

 俺が背を叩いてやると、影山は目を丸くした。狐につままれたようなその表情に、思わず吹き出してしまう。

「気にするな、お前は悪くない」

 それだけ言って、影山を促し走り出す。直ちに外へ出なければ、城の崩壊に巻き込まれる。

 特殊なゼクトガンは、発砲する際の反動が一際大きい。連射状態で狙いを定められるのは、よほど腕に覚えがある者に限られる。本来、ゼクトガンの射撃法は訓練時に叩き込まれるのだが。
 影山を担当したのが田所さんで良かったと、その時初めて俺は心から感謝した。
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