兄弟のつぶやき

試食

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兄のつぶやき


今まで何があっても屈しなかった俺が。
あまりにも腹が減っていたため、ついに相棒の甘言に乗ってしまった。

「兄貴、スーパー行こうよ! 今日と明日はカレーの試食販売やってるはずだからさ」
ウキウキと俺を誘う相棒を拒む力は、俺には残っていなかった。

「あ、今度の日曜日はアイスの試食もやるって。だいぶあったかくなってきたもんねぇ」

一体どこからそんな情報を仕入れてくるんだ、こいつは。
ZECTにも負けない影山の情報網に俺は舌を巻いた。

「で、なんで茶碗を持ってるんだ」
「だって、試食の皿小さいし・・・」

どこから茶碗なんか拾ってきたのか。しかも端が欠けている。不衛生だろう。
いや、その前に、お前にはプライドはないのか。

「来週あたりは麻婆豆腐やるらしいよ」

・・・もう勝手にしてくれ。
俺はヤケクソ気味に相槌を打った。

「そりゃ、楽しみだな」
「いや、来週は俺行かないよ」
「どうしてだ?」

麻婆豆腐は相棒の好物だ。食い意地の張ったこいつなら、絶対飛んでいって鍋ごと奪うのではないかと思っていたんだが。

「だって、兄貴の作るのが一番うまいんだもん」
兄貴が作ってくれるやつを真っ先に食べたいんだ、と言って相棒は笑った。

・・・本当にバカな奴だ。

なぁ。
いつかまた光の中で、お前に麻婆豆腐を作ってやれる日が来るのだろうか。
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