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学園迷走サバイバル

学園迷走サバイバル(9)

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 俺が落ちた場所は、迷路にも似たひどく入り組んだ地下通路だった。土壁全体が発光する苔で覆われていて、真っ暗闇でないのが救いだ。
 ハンターたちは矢車さんをこの地下迷宮に幽閉し、そのまま放置したらしい。迷路を抜け出ることは困難。外へ出られなければ、ここでのたれ死ぬしかない。

「連中も、この通路には降りて来ない。ミノタウロスの迷宮だからな」

 土壁に片手を付きながら、矢車さんが立ち上がった。
 聞き慣れない単語に、俺は首をひねる。

 ギリシャ神話に、ミノタウロスという怪物を閉じ込めるために作られた迷宮の話がある。つまりは、この地下通路もそういうものだと、矢車さんは言いたいんだろう。

「あ! そうだ、さっき上で、ザビーゼクターを見かけたんだ」
「ああ。ザビーが、お前のことを教えてくれた」

 矢車さんの言葉を受けて、ザビーゼクターが頭上から舞い降りてきた。
 崩れた土砂で、俺が落ちた穴は完全に埋まってしまっていたが、ゼクターはどこへでも移動できる。

 矢車さんの掌に一度止まったゼクターは、すぐにまた洞窟の天井まで上昇した。道を示すように飛ぶゼクターの後について、俺たちは歩いていく。

「忠実な部下だね、ザビーは」
「誰かと違って、聞き分けがいい」
「……誰かって、誰さ」
「さあ、誰かな」

 軽口を叩く矢車さん。でも、怪我が痛むのか、時折辛そうに顔を歪める。

 これまで、矢車さんに傷を負わせるほど腕の立つ相手はいなかった。天道たちの反ZECT派とは別の、第三勢力の過激派。現体制の変革を求めるテロまがいの組織が、しばしばプロの狩人を金で雇う。

「ハンターの中に、レベルAが二人いる。他は雑兵の集まりだ」
「レベルA……」

 つい復唱して眉根を寄せた。レベルEに落ちる瀬戸際の俺には、遥か遠い次元だ。

「痛む、よね。少し休もうか?」
「いい。もたもたして、『連中』に出くわしたくない」
「ハンターたち?」
「いや、別」

 額に脂汗を浮かべながらも、矢車さんは先を急ごうとする。

 土壁に囲まれた単調な通路をもう小一時間は進んだだろう。出口はまだ見えず、ザビーゼクターは止まらず飛び続ける。
 この迷宮を作ったのは、ハンターたちじゃない。それなら、誰が何の目的で作ったのか。その答えを、矢車さんは知ってるような気がした。

 迷路というのは、人間の感覚を狂わせる。
 前方の十字路を緑色の影がスッと横切ったのを目にした時、俺は錯覚だと思った。人間と同じか、それよりも少し大きな生き物で。人とは姿形はまったく異なるもの。

「どうした」
「今……、何かヘンなものを見た、ような」

 説明したくても、一瞬でその異形は視界から消えていた。

「なんか、緑色のブヨブヨした奴。見間違いかな」
「……そういうことにしとけ」

 矢車さんは訝しむわけでもなく、ただ苦笑を浮かべる。
 もしかしたら、あれがミノタウロスかもしれない、と俺はぼんやりした心持ちで思った。

 やがて、空気の流れが変わり、出口が近いことが肌で感じ取れた。

「やった! 出られそうだよ、矢車さん!」
「ああ……」

 外ももう薄暗くなっていたけれど、星と月が柔らかに廃墟を照らしている。ゼクターの案内のおかげで、なんとか地下迷宮から脱出できた。
 息詰まるような地下を後にし、俺は思い切り肺に新鮮な大気を吸い込む。

 横を見れば、明かりがない中でも矢車さんの顔色がよくないことが分かった。一刻も早く、病院へ連れて行かないと。
 だけど、現実はそうそう甘くない。

「ご苦労さま。残念ですが、ここでおしまいです」

 瓦礫の陰から、若い男が二人、俺たちの前に現れた。
 銃を構え、にこやかに告げる男と、その横に、西洋風の剣を手にしたもう一人。纏う雰囲気から、こいつらが雑魚ではないと俺にも直感できた。
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