ダブル★アクション

ダブル★アクション(1)

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 今日も今日とて、シャドウはワームとの戦闘に駆り出されていた。
 薄給なくせに、休む暇もない。

「影山隊長!!  助けてください!」

 数体のワームを相手に、苦戦している部下の姿が見える。助けてと言われたって、こっちだって手一杯。
 俺はそちらをちらりと横目で眺めて、つらつらと考えた。

 確か、あの男は、俺のことをいつも陰でバカにしている部下Aだ。情けない隊長だとか、隊長の器じゃないとか。俺が気づいてないとでも思っているのだろうか。

 あまつさえ、あいつは今日の社食で俺より100円も高いヒレカツを注文してたのを思い出し、俺は聞こえないフリを決め込んだ。
 戦いの中じゃ、不慮の事故はよくある。許してくれ。

 とりあえず、俺は目の前のワームにライダースティングを見舞った。
 今日は珍しくヒット。なんせ、うまくいくのは5回に一度くらいだから。運良く、宝くじにでも当たった気分。

 見回すと、敵はほとんど片付いている。先ほどの部下Aも、なんとか危機を回避したようだ。

「よし、退却!」

 ザビーの変身を解除し、俺はシャドウに撤退を指示する。
 明らかに不信と不満と不安が入り混じった部下たちの視線が、背中に突き刺さった。

(ああ、もう、分かってるよ。どうせ、俺は隊長なんかには向かないんだ)

「お前のせいだぞ、ザビー」

 ハートマークでも飛ばしそうな雰囲気で、俺にブンブンまとわりつくザビーゼクター。
 こいつに何故かなつかれてしまったおかげで、俺はザビーの資格者と同時にシャドウの隊長を押し付けられてしまった。

「俺には荷が重いよ」

 背を丸めて、俺は大きく溜息をついた。





 ZECT本部に戻ると、今度は、いまや恒例となった三島さんの嫌味攻撃に耐えねばならない。

「今日も無事戻ってきたようだな、影山」
「そうですね。部下が5人、ちょっと重症ですけど……」

 俺はハハ、と力なく笑った。
 前回の、『カブトとガタックが来なければ、シャドウほぼ全滅状態』に比べれば、今回はかなりマシだと思う。

「お前には、ZECT直属のライダーとしての誇りはないのか」

 そんなものないです、とはっきり言う勇気のない俺。三島さんの無表情の仮面の下に、鬼のような形相が見える。
 
『……情けないこと言うなよ』

 その時、うなだれる俺の頭の中に、誰かの声が響いた。

「何か言いました、三島さん?」
「……私の話を聞いていなかったとでも?」
「いえ、もちろん聞いてました!」

 ピクリと眉を吊り上げた三島さんに、慌てて弁解をする。
 どこからか聞こえた声は、何だったんだろう。幻聴だろうか。

(疲れてるんだな、俺)

 三島さんのキツイ説教も軽く聞き流し、俺はふらふらとした足取りで自室に向かう。
 追い討ちをかけるように、俺の背に、田所さんの悪魔のような言葉が降りかかった。

「影山! ワームだ、シャドウ出撃命令が出てるぞ!」

 言葉もなく、壁に片手をついてガクリと肩を落とす。
 俺は、今戦闘から戻ってきたばかりで。休憩時間は、労働基準法で定められているはず。過労死したらどうしてくれる。労災が利くとも思えないのに。

「隊長、シャドウ準備OKです!」
「……分かった、今行く」

 ムダに勢い込んで、敬礼しながら伝えてくる俺の部下。こちらは、全然準備OKじゃなかったけれど。
 ZECTの自販機に常備されているオロ●ミンCを1本買って飲んだ後、俺は重い足を引きずるようにして外に出た。

「早く片付けばいいな……」

 もう、日が暮れかかっている。果たして、今日の残業代は付けてくれるのか心配だった。

『すぐに終わらせてやるよ』

 また、あの声が頭の中で聞こえた。

「……誰だ!?」
『俺に任せてくれるなら、お前の願いを叶えてやる』

 声は優しげに提案を持ちかける。
 疲れているし、かったるいし、夕食は遅くなるだろうし、なんだかもうどうでもよくなって。俺はつい、その声を受け入れてしまった。


※唐突に書きたくなった「影山→良太郎」「矢車→イマジン」の電王パロディネタのパラレルです。笑って許せる方のみ、どうぞ。
また、両方のファンに怒られそうなモノを・・・(--ゞ
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